マイカーのHonda eでEV関連の話題をレポートする連載の第34回。全国からEVユーザーが集結する「ジャパンEVラリー白馬」を今年も楽しんできました。超レアなフィットEVから最新車種までホンダEVも多数参加。普及を実感できる大規模オフ会となりました。
ジャンプ競技場で開催されたEVラリー白馬
電気自動車の普及と発展を目指すジャパンEVラリー白馬(主催:一般社団法人日本EVクラブ)は、EV界を代表するイベントです。13回目を迎えた今年も、多くのEVやPHEV、FCEVが白馬に集まりました。
今回初めてEVラリーの会場になったのが白馬ジャンプ競技場。1998年の長野五輪でスキージャンプ団体が大逆転で金メダルを獲得したドラマの舞台です。雪が積もっていない期間もサマージャンプが行われています。2026年7月11日、その競技場にEVがずらりと並ぶ前代未聞の光景が出現しました。
2021年から6回目の参加となった筆者は、東京からHonda eで往復。会場ではホンダEVについて情報共有や意見交換をする交流サイト「ホンダEVコミュニティ」をPRするお手伝いをしました。当ブログでも紹介したことのある(関連記事)キャンパー仕様N-VAN e:の鯨岡さんが埼玉から参加してくれて、太陽光パネルを積んだ愛車を披露。私たちもテントを設営して、ユーザーコミュニティーの楽しさをアピールしました。
事務局が気を利かせて並べてくれたのでしょう。私たちの隣は、メーカーとして参加していたホンダのブースでした。メイン展示は、今年発売された『インサイト』と『スーパーワン(Super-ONE)』です。最新EVの車内に乗り込んで細部をチェックしたり、開発担当者らから直接話を聞いたりできるのは滅多にない機会。訪れる人が絶えませんでした。スーパーワンは展示車とは別に試乗車も用意されていて、そちらも人気だったそうです。試乗サポートを担当していた諸星さんの白馬往復ルポはこちら。
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お買い得EV! ホンダ「スーパーワン」長距離試乗/白馬への往復で実用性と楽しさを満喫(2026年7月21日)
折りたたみ式電動バイク『モトコンパクト』
「いま注文しても納車は来年」という声も聞こえるほどヒットしているスーパーワンが注目を集めていたのは当然かもしれませんが、個人的にかなりうれしかったサプライズ展示が電動バイク『モトコンパクト(Motocompacto)』でした。
スーパーワンは、1980年代にヒットした「シティターボII(通称ブルドッグ)」をオマージュしています。当時、そのシティターボIIのトランクにピッタリ収まる折りたたみ原付として同時開発された「モトコンポ」を覚えていますか。あれを令和に甦らせた電動折りたたみバイクが「モトコンパクト」。
「シティターボII+モトコンポ」の電動版が「スーパーワン+モトコンパクト」というわけですね。ただし、モトコンパクトはまだ国内で販売されていないので、このツーショットはなかなか見ることができません。
モトコンパクトは、折りたたんだ状態だとほぼ真四角。厚さは約10cmしかなくて、スーツケースみたいです。シートやハンドルをボディ内部に格納する手順は、なかなか複雑。でも、きっちり真四角になってくれると、少しぐらい苦労してもOK、と思えます。デザイン優先の割り切った設計ですね。
そしてなんと、会場内の空きスペースで試乗させてもらうことまでできました。2種類のモードが切り替えられて、「モード1」ではパワーや最高速度が制限されます。足で地面を蹴って助走しないと発進できません。メーター部のボタンをダブルクリックして「モード2」にすると動力性能が全開放。最高速度は24km/h程度ですが、かなりのスピード感です。
ショートホイールベースで小径タイヤ。見た目はいかにも扱いが難しそうでしたが、乗ってみると意外にコントローラブル。コーナリングでも自然な挙動を見せます。もちろんラフな体重移動は禁物ですが、怖さを感じたりはしません。気がつけば結構倒し込んでいて、ステップがカリッと音を立てちゃいました(ごめんなさい)。この操縦安定性は、さすがバイク屋さん、ですね。
ホンダ社員やラリー参加者と交代で試乗したのですが、横で見ているとみんな自然に笑顔になっています。乗るだけで人をニコニコさせてくれる乗り物って、なかなかないですよね。スーパーワンの純正オプションには「ブルドッグ」ステッカーなどが用意されていますが、モトコンパクトもぜひラインアップに、と希望しておきます。出たらすぐ買ってHonda eに積みます。
ブースには水素で走る燃料電池自動車『CR-V e:FCEV』も展示されていました。このFCEVはプラグイン充電もできるので、普通充電用の充電口(J1772端子)が装備されています。さらに荷室内にはCHAdeMO端子もついています。こちらは急速充電のためではなくて、外部給電用。
そこに可搬式給電器「パワーエクスポーター」を繋ぐデモンストレーションが行われました。給電先はEV。「V2H(ヴィークルトゥホーム)」ならぬ「V2V(ヴィークルトゥヴィークル)」です。変換効率が悪いので「あくまでも可能性を示唆する特別展示」とのことでしたが、Honda eにはしっかり充電中の表示が出ていました。緊急時には電欠車をレスキューできますね。
もちろん、一般的なV2L(ヴィークルトゥロード)として家電製品などを使うこともできます。蓄電池のように電気を自由自在に活用できるのは、間違いなくEVの魅力のひとつだと思います。
街ではなかなか見られない『フィットEV』と記念撮影
加えて会場には『フィットEV』も展示されていました。ホンダのEV開発史は、Honda EV Plus(1997年)に始まり、フィットEV(2012年)、CLARITY ELECTRIC(2017年北米のみ)、Honda e(2020年)と続いて、現在に至ります。そのなかで、自治体や企業向けのリース限定で販売されたこのフィットEVは現行のホンダEVにつながる技術を盛り込んだ意欲作です。
バッテリー容量は20kWhと控えめながら、徹底してエネルギー効率を追求して航続距離を稼いでいます。当時としては日本最高の電費性能を叩き出したそうです。減速エネルギーを最大限に回収できるように設計された「電動サーボブレーキ」は、ブレーキフィールと回生能力を両立させる画期的なシステムで、Honda e以降のホンダ車にも採用されているとのこと。
先輩後輩のホンダEVを並べて撮影させてもらいました。フィットEVはすべてリースを終えて、いまではホンダ社内に限られた台数しか残っていないそうなので、(しかもHonda eも販売終了しちゃったし)貴重なツーショットです。
FFとRRという違いはあれど、コンパクトEVという着想は共通です。バッテリー容量を増やすと長い距離を走れるようにはなりますが、それだけ車両は重くなって電費も悪化しますし、運動性能も損なわれます。フィットEVがリーズナブルな価格設定で再登場したらヒットしちゃうかも、と妄想しました。
ホンダEV軍団もかなりの存在感を発揮
今年の白馬に集結したホンダEVは(メーカーの出展車両を含む)Honda eが5台、N-VAN e:が3台、スーパーワンとCR-V e:FCEVが2台ずつ、インサイトとフィットEVが各1台の計14台。2日目のEVパレードの後、駐車場の一角を借りて「ホンダEV軍団」で記念撮影をさせてもらって、「増えたなぁ」とニヤニヤしてしまいました。日産やテスラのオーナーからは「まだそれだけ?」と言われそうですが、初参加以来、一桁レベルの少数派だったので、ほんとにうれしい。来年はN-ONE e:やスーパーワンの一般オーナーにも参加してもらって、ますます勢力拡大することを楽しみにしています。
じつはEVラリー白馬は、Honda eのオーナーズクラブが設立されるきっかけになったイベントです。そのつながりはしっかり続いていて、他車種のユーザーとも「ホンダEV」という縁で交流が広がってきました。その原点にあるのはEVラリーのフレンドリーな雰囲気。EVに乗っているということで、年齢も仕事も住む場所も違う人たちと仲良くなれるのは素晴らしいですね。今年の白馬も、メーカーや車種を問わないEVの祭典として楽しませてもらいました。
「ホンダEVコミュニティ」は、ホンダEV各車のユーザーはもちろん、EVに興味がある人なら誰でも参加できます。ぜひ覗いてみてください。
ラリー2日目は少し早めにおいとまして、オーナーズクラブのメンバーとHonda eを連ねて長野周遊を楽しみました。東京=長野間の往復なども含めてHonda eによる充電旅の様子は「みだれ打ちEV日本一周 長野編」にて、あらためてお届けします。
私のHonda e(2021/4/29~2026/7/15)
総走行距離 8万6810km
平均電費 9.0km/kWh
累計充電回数 急速593回、普通170回
取材・文/篠原知存







