第三京浜でプロパイロットVSオートパイロット! 新型リーフとテスラモデルXを直接対決させてみた

単純にスコア上の勝敗でいったら0対4。新型リーフとテスラモデルXを第三京浜で運転支援機能がどれだけ安定して作動するか、その一点を比べてみた。

「自動運転」がかまびすしい昨今ながら、いまだ市場で手に入るのはあくまで「運転支援機能」。いつ何時でも、運行の責任はクルマの側ではなくドライバーの側にある「レベル2」でしかない。2018年に日本導入が予定されるアウディの新型A8が世界初のレベル3、つまりクルマと造り手であるメーカーの側が初めて、「自動運転」機能として作動中の運行責任を負うが、そのオペレート可能な範囲は中央分離帯のある高速道路上で時速60km/h以下に限られる。ようは高速の上で渋滞中にメールやテレビを見られるかもしれないが、法令によってステアリングから手は離せず、クルマからいつコントロール(指揮権)を戻されるか分からない、それがレベル3だ。

ならばいっそ、人間の側がオーバーライドする必要を失くすことを前提とするレベル4の出現までは、ドライバーが運転の主体であり続けるレベル2の方が心理的にはラクなんじゃないか? そんな前提の下、2台のEVのレベル2機能を、第三京浜の玉川~保土ヶ谷IC区間で比較してみたのだ。日産の新型リーフはメーカーの広報車、テスラモデルXは個人車両。実験方法は簡単で実際的であるよう、日産の「プロパイロット」とテスラの「オートパイロット」を中央分離帯のある80km/h速度制限の3車線道路で走らせてみた。ドライバーによる偏差や癖が出ないよう、3人が上記区間の往路・復路を代わるがわる担当した。片道を1セットとして各車両とも1人をメインドライバーとし、他の2人のドライバーによる交代を1回づつ挟み、2往復で計4セットを計測した。ただし撮影と運搬でテスラもリーフもさらに2セット走っているが、計測とほぼ同じ結果だった。

計測の基準は4つ。

A/ 運転支援が解除された回数

B/ 運転支援中に白線を踏んだ回数

C/ 運転支援中にドライバーが手動に戻らざるを得なかった回数

D/ ドライバーがステアリングに戻るよう促される頻度

まず新型リーフだが、気温がひとケタ台に冷え込んだ日の午前中に借り出した直後、インストルメンタルパネル上に目をやると、ほぼ満充電の状態で航続距離は246kmと示されていた。米国日産がEPA基準で航続距離は約240kmとアナウンスしたことは、やはり評価できる。1km刻みで正確に、航続可能な距離が確認できるのは利点だ。

「プロパイロット」の操作は、3本スポークのステアリングホイール上、右側に集められている。30~100km/hという然るべき速度域に達したら、まず青いピクトグラムの「PILOT」ボタンを押し、続いて十字ボタン上の「SET -」もしくは「RES +」で速度を調整する。一番左は3段階の車間距離調整で、前走車が認識されていればそれも表示される。

玉川ICから第三京浜の下りに入ってすぐの区間は、上りの料金所が張り出した分、緩やかなS字カーブになっているが、その手前からプロパイロットを80km/hに合わせて気を緩めていると、早速ヒヤッとする。S字区間の黄色い車線をどうやら認識せず、車線逸脱警報による表示と振動が出て、ドライバーの介入が必要となるのだ。さらに進んで路面の車線が白に変わると、認識し直したか、インストルメンタルパネル上の両側車線が白から緑に再点灯し、レーンキープ、つづいてステアリング支援が回復したことを伝えてくる。ただし白線になっても再認識には数秒かかるなど、慎重さが看てとれる。

リーフの、警告から機能回復までの表示と流れはとても分かりやすく正当なものだ。しかしこれはテスラのモデルXと、もっとも違いが出たポイントでもあった。

というのも、モデルXは同じ区間を、車線が黄色でも白でも関係なく、ステアリング操舵もクルマに預けたまま、何の警告を発するでもなく、走り抜けてしまうのだ。

テスラのモデルXで「オートパイロット」をエンゲージさせるには、ステアリングコラムの9時位置にあるレバーを2回、手前に引く。設定速度の+-は、同じレバーの上下で、車間距離は先端のダイヤルを回して調節する。エルゴノミー的にも、手元を見ないで直観的に操作できる。

玉川料金所の反対側下りのS字が苦手だったとはいえ、リーフの「プロパイロット」の作動は、法令通りステアリングに手を添えていれば、概して安定しているし快適といえる。ただし単眼カメラにとって厳しい条件なのか、太陽が高い位置で逆光気味になる保土ヶ谷への下り区間では、Bの白い車線を踏むことが3回ほど生じ、Cのドライバーによって手動へ戻らざるをえない局面も3回あった。路面の違いはあるが、順光になりやすい保土ヶ谷~玉川への上り区間では1~2回に減じた。さらに下り、むしろ太陽が傾きかけてからの逆光下では、計測終了後の返却の1本でもD、Eの各項目、白線を踏んでドライバーがステアリング操作を取り戻す流れは1回と、最終計測の時と同様で安定してきたので、晴天下の条件でも認識の癖がやはりあるのだろう。

計測結果は下記の通り。Aの、運転支援がクルマの側から勝手に解除されることは起きなかったが、警告後に解除はありうるので、それは後ほど説明しよう。

モデル上り/下りA: 運転支援が勝手に解除された回数B: 運転支援中にも関わらず白線を踏んだ回数C: 運転支援中にドライバーが危険と感じて手動で運転を代わった回数D: ハンドルへの入力がない状態でハンドルを握るよう指示が表示されるまでの平均時間(10回計測して平均)ドライバー
2017日産リーフ下り0335A
上り0215B
下り0115A
下り0115C
平均0回1.75回1.5回5秒
2017テスラモデルX下り00065B
上り00065A
下り00065C
下り00065A
平均0回0回0回65秒

ちなみにリーフが白線を踏むケースは、例えば緩やかな左コーナーで右に修正舵を切って、次は左に切り直すといったような、車線内でのブレ幅が大きくなった局面が続いた後。車線内でセンターをキープしながらコーナーをトレースする意識がもうひとつ、というところだ。車幅があるせいなのか!? モデルXはこの点が申し分なく、緩やかなカーブでも外側へ修正舵をあてることがない。コーナリング中は外側にずっと荷重が載っている感覚なので、怖くないのだ。

もうひとつリーフに難しい局面があったが、計測上でテスラ モデルXがA~Dに該当するケースはゼロだったので致し方ない。玉川ICを出る時、目黒方面に進もうとリーフで中央車線キープしていたら、左側車線の薄いところでレーンキープが途切れ、注意が前方の出口に向いていたのと路面のカントの仕業だろう、左側にクルマが寄ってしまったことがあった。レーンキープ表示が緑から白になって振動による警告はあっても、ドライバーがオーバーライドするのは、それだけ微妙な瞬間なのだ。

それはEの項目、ステアリングに戻るべき際の警告の出し方や頻度にも顕著に表れる。リーフはステアングから両手を放すと、5秒後すぐに警告が出る。ステアリングの下部でもどこでも軽く触れる程度に握り直せば、プロパイロットはONのまま継続される。対してモデルXがステアリングを握らないドライバーに警告を発するのは65秒おき、随分と間が空いている。液晶のメーターパネルの周囲が白く光った後に、2度目の警告を無視すると、テスラはステアリングの10時10分位置を握るよう促し、オートパイロットを止めてしまう。すると再設定しようとレバーを2度引いても、オートパイロットはONにならない。一度クルマを停めてPに入れ、ドライバーが交替したと見なされるまでオートパイロットは使用禁止という、強い制裁的措置が発動されるのだ。

これは、レベル2の領域と本分をどのように弁え、どう切り拓いて運用するか、考え方の違いでもある。100km/h前後の高速巡航よりも渋滞時の車速・車間コントロールとステアリング操舵、停止・再発進という、他車との相対的なポジショニングをほぼ自動化したシステムを構築したリーフと、何ならレベル3に近づくことを厭わず、能動的に自動で走ろうとするテスラ、といえる。

象徴的であるのは、テスラのオートパイロットは1.0、2.0に続く現在「2.5」世代で、それはまさしくレベル2と3の中間にある数値であること、そして毎月アップデートが継続されていることだ。ハードにリコールは可能であっても多大なコストと手間がかかり、ソフトにはバグは許されないが、つねに改善のしようはある、それだけは確かだ。(文・南陽一浩)