電気自動車はリッターバイクより速い? 新オーナーになられた方へ

ここ一年で、日産リーフやテスラモデル3以外にも、ホンダ、マツダ、プジョー、メルセデス、ポルシェなどからも完全電気自動車が買えるようになりました。実は電気自動車には運転のコツみたいなのがあります。電気自動車歴6年8か月、15万キロ以上を走行してきた私からのヒントをお伝えします。

東京でも電気自動車が増えてきました!

電気自動車は、私の周りでも少しずつ普及してきて、リーフやテスラは通勤路でも毎日見かけるようになりました。自分で毎日運転していると、結構な頻度で、どこかしらで事故を目にします。そして、少しずつあることが気になり始めました。

「電気自動車の特性上、起こしやすい、または巻き込まれやすい事故があるかも」ということです。

新電気自動車オーナーの方々、おめでとうございます! 当記事では、新オーナーの方々に向け、余計な一言かもしれないのですが、安全運転を願ってヒントを書いてみたいと思います。

ご存知の通り、電気自動車には様々な特長があり、その一つに加速が良いという点があります。これは多くのガソリン車オーナーが知らない事実であり、最近では、量産車で加速の最も速かった「ブガッティ シロン」を、新モデルの量産電気自動車、「テスラ モデルS Plaid(プラッド)」が上回ったことが数日前に話題になりました。価格はシロンが3億円に対し、モデルSプラッドは2千万円程度とされています。

電気自動車オーナーでない方は、ぜひこの動画をちらっとご覧ください。カワサキ Ninja ZX-10Rのところからです。

現時点で、普通に走行しているリッターバイクより、一部の電気自動車は加速が速いということをお分かりいただけたかと思います。電気自動車は、動力性能ではガソリンエンジン車を上回りつつあります。

安全運転のヒントとして挙げておきたいシチュエーションを、3つ挙げておきます。

**●急加速を友人に自慢するのは要注意!

●バイクとの並走など周囲の動きに要注意!

●高速道路での割り込み車に要注意!**

ひとつずつ解説していきたいと思います。

急加速を友人に自慢するのは要注意!

これは当然のことですね。ハンドルを切った状態で急加速すると車があらぬ方向に飛んでいくことがあります。

新しい電気自動車オーナーの方には、テスラモデル3が納車されたばかりという方も多いでしょう。モデル3の0-100km/h加速は、パフォーマンスが3.3秒、ベースモデルのスタンダードプラスでも5.6秒とされています。エンジン車と比較してみると、たとえば、ホンダ『シビック タイプR』が5.7秒ですから、モデル3はスタンダードレンジプラスでもエンジン車のバリバリスポーツモデルを凌駕する加速性能をもっていることになります。

しかも、エンジン車での急加速はクラッチミートやシフトチェンジなどの運転テクニックが必要ですが、電気自動車の場合はガツンをアクセルを踏み込むだけ。誰にでも圧倒的な加速Gが体感できてしまいます。

テスラ車を買うと「加速性能を同乗した友人に自慢したくなる」という話はしばしば聞きますが、ドライバーが電気自動車に不慣れなまま、迂闊にフル加速を試すのはリスキーです。発進時はハンドルはまっすぐ。周囲の他車やバイク、自転車、歩行者の動きには十二分に注意しましょう。

バイクとの並走など周囲の動きに要注意!

電気自動車の加速性能を、多くの人はまだ知りません。したがって、信号待ちからの発進時など、電気自動車のドライバーとして注意すべきことがあります。

一般道路の場合は見えない角から車が飛び出してきたり、路上駐車の陰から人や自転車が出てくることがあります。

忘れがちなのは、発進時の横の車と、後ろの自転車です。自車が1車線目で信号待ちしていることを想定してください。タクシーなど、信号が変わった瞬間に2車線目から急にお客を拾おうとして1車線目に被せてくるようなケースがあります。このような場合、タクシーが信号を無視して、青になるより前にフライングして走り出して前に割り込もうとしても割り込めず、フラフラしたりします。電気自動車のドライバーは急加速したつもりではなくても、あまりにも速すぎてタクシーが割り込めないのですね。

自転車も同様ですが、読者の皆様は発進時、後ろに自転車がいないかどうか確認されていますか? 実は自転車も真剣に加速すると一般的なガソリン車より速いため、信号待ちのタイミングで、たまに車の左横や右横から抜こうとすることがあります。また自転車はずっと後ろから継続的に信号待ちの車を抜き続けて、信号が青に変わるタイミングで先頭の車をさっと追い越して左に寄る、という運転をされることもあります。この場合、先頭が電気自動車だと、自転車が道路の左側端に寄ることができず、1車線目と2車線目の間に取り残された状態で両車線で車が走り出してしまう状況に陥ったりします。

バイクにも注意が必要です。先ほどのパターンと似ていますが、これは遥か後方から来るので、継続的に後ろを見ていないと見逃すリスクがあります。

自車が信号待ちをしていて、真横にバイク、または後ろにバイクが来ていることを想定してください。ここで信号が変わると、バイクは「車を抜いて」「好きなレーンに移動する」ということを瞬時に行おうとする傾向にあります。ところがこれは電気自動車ではできないため、お互いにとって予想外のことが起こります。

パターンA: 信号が青に変わったあと、自車とバイクが並走状態になった時、バイクは自車が真横にあることをあまり意識されていないように思います。そのため、この状況でバイクがいきなり自車側の真横に車線変更してくることがあります。

パターンB: 信号が青に変わる瞬間、バイクが自車の真横かつ、レーンとレーンの間にいることもあります。これは「すり抜け」にあたる場合がありますが、左右の距離が非常に近い状態になっています。ここでバイクは通常だと、車が走り出す前に広い場所に出られるわけですが、電気自動車が信号の先頭だった場合、すり抜けようとした結果、並走になり、左右の距離が非常に近いまま2台で走行することになってしまい、接触のリスクがあります。

このようなケースでは、少し速度を落として、バイクは先に行かせる方が安全だと思います。

ちょっと大きな音量で音楽を聴いていて(反省)、パターンBになってしまったドラレコの動画をご紹介します。左車線にガソリン車で右車線に自車、間をバイクがすり抜ける様子です。

高速道路での割り込み車に要注意!

高速道路では止まることがあまりないため、ゼロからの加速を行うことはほとんどありません。しかし、普通に走行していてもリスクはあります。左右への注意は怠らないようにしておきましょう。

自車の前に割り込む車がいたら、その動きに注目してください。割り込まれそうになる場合、早めに減速して、余裕を持って割り込ませるようにしましょう。このような状況で、割り込ませないために加速するドライバーがいらっしゃいますが、電気自動車でこれをやると危険です。割り込みドライバーは、「急加速して、あの車間に入ろう」とアクセルを踏みながら車線変更してくるわけですが、電気自動車では一瞬にしてその「車間」がゼロになってしまいます。結果として割り込みに失敗するばかりか、衝突事故の原因にもなるのです。

以上三点、電気自動車では、性能が高いゆえに、より気を付けて運転しなければならないヒントをお伝えしました。考えてみればどれも普段からやっておくべきことですが、案外忘れがちなものです。エンジン車が急加速する際は空ぶかしの轟音で気配を発散したりしますが、電気自動車は静かに急加速できてしまいます。初心に帰り、安全運転を心がけましょう。

(文/安川 洋)