ゲーミングPCやデバイスメーカーとして知られる台湾のMSIが、日本向けにポータブルEV充電器「EZgo」を発売しました。最近増えている価格控えめなコンパクトEV車種では、車載充電ケーブルがオプションになるケースが多く、価格も高め。使いやすければ純正品以外の選択肢になるでしょう。自宅の充電ケーブルを交換することを想定しつつ、試しに1本買ってみました。
充電ケーブルがオプションのEV車種が増えている
軽EVのパイオニアといえる「日産サクラ」をはじめ、ホンダの「N-VAN e:」や「Super-ONE(スーパーワン)」、さらにはBYD「RACCO(ラッコ)」にスズキ「e SKY」などなど、価格控えめでコンパクトなEV車種が増えています。日本のEV普及にとって喜ばしいことではありますが、発表会などを取材していて気になっていたのが、車載充電ケーブルがオプションになっていることです。
車載充電ケーブルのオプション価格一覧
| メーカー | 車種名 | オプション価格(税込) |
|---|---|---|
| スズキ | e SKY | 7m: 65,450円 / 15m: 79,200円 |
| ホンダ | N-ONE e: | 7m: 66,000円 / 15m: 79,200円 |
| ホンダ | Super-ONE | 7m: 66,000円 / 15m: 79,200円 |
| ホンダ | N-VAN e: | 7m: 66,000円 / 15m: 79,200円 |
| 日産 | SAKURA | 3m: 70,400円 / 15m: 79,200円 |
| BYD | RACCO | 7.5m: 95,249円 |
一般的に使いやすいケーブル長7m程度で各社6万円台後半から。ラッコではなんと7.5mで9万円超えと結構高い。
車載充電ケーブルはEV充電用の「JWDS-0033」規格に準拠した200Vコンセント用の電源プラグと、EV側は普通充電用の「J1772(タイプ1)」規格に対応したプラグを備えています。自宅などにEV用200Vコンセントを設置するなら充電ケーブルは必需品。外出先の目的地充電スポットではケーブル付き充電器が設置されているケースが多いですが、たとえば草津温泉の湯畑駐車場(関連記事)のように、200Vコンセントが提供されている場合、EVオーナー側で準備しなければいけない装備です。
普通充電用のケーブルはプラグの規格が合っていれば、おおむね車種を問わずに使えます。EVからの乗り換えやEV複数台所有で「すでに充電ケーブル持ってるし」ならいいですが、初めてのEVで車載ケーブルは不可欠という方にとって「オプション価格の高さがちょっと悩ましいだろうな」と気になっていたのでした。かといって、「ケーブルはなし!」のEVライフはオススメできません。
200Vなら最大3.2kW、100Vでも0.6kWで充電できる
10月のはじめ、富士山麓で開催された「日産EVオーナーズミーティング」を取材に行った際、「EVごはん」の石井啓介さんがブースを出展し、「販促のお手伝いをしている」とのことでMSIのポータブルEV充電器「EZgo」を紹介していました。
改めて説明を聞いてみて、心に響いたのが「今ならキャンペーンで100V用の交換ケーブル付き!」というポイントでした。「EZgo」の大きな特長が、電源ケーブルを付け替えて使える点です。長さ30cmの200V・16AケーブルでEV専用コンセントにつなげば最大3.2kW、長さ150cmの100V・6Aケーブルなら一般的な3Pコンセントから最大0.6kWで充電できます。
兵庫の実家にEV用200Vコンセントを設置(関連記事)する以前とか、日産リーフで出かけた先にEV充電設備が無い時には「100Vでも充電できるといいな」と思ったものです。三菱や日産、トヨタから100Vに対応した充電ケーブルも提供されていますが、数万円を掛けて追加で買うほどのことではなく。アース回路がない100Vコンセントに繋ぐための変換プラグを購入して試してみたりしたことがありました。結局、ちゃんとアースを取らないと車両(コントローラー)側で拒否されて充電はできなかったですが……。ちなみに、プリウスPHEV用の充電ケーブルはアースなしの100Vコンセントからでも充電可能。ただし、出力は0.6kWに抑制されます。
「EZgo」なら1台の充電器(ケーブル)で200Vと100Vの電源を利用できます。100V用ケーブルはアースピン付きのプラグになっているものの、出力が0.6kWということで、もしかすると変換プラグを使うだけで充電できるかもしれません。今回、100V用の電源ケーブルはキャンペーンの特典として別送されてくるとのこと。変換プラグで試してみてダメだったら、通販で手頃なアース棒をGETして再試行。使えそうであれば変換プラグとアース棒を付属品の専用キャリングケースに入れておこうと思っています(細かくマニアックな思いで恐縮です)。
ちなみに、今回はキャンペーン(数量限定。購入対象期間は2027年1月4日まで)で100V用電源ケーブルを無料GETできましたが、今後は100Vケーブルを追加した商品バリエーションが増える(価格もプラスされるでしょう)ことになるようです。
実際に充電してみて気が付いたこと
ともあれ、「100Vでも充電可能」に惹かれた私は、EV普及に向けてユニークな取り組みを続ける石井さんへの応援がてら、その場で衝動的に購入ボタンをポチりました。個人で「EZgo」を購入する場合、公式サイトからリンクしている「KOMERI. COM(コメリドットコム)」限定です。後日、PCで販売サイトを確認すると配送も可能だったのですが、スマホでポチったその時は「お店で受け取る(送料無料)」しか目に入らず。注文してから約2週間、入荷通知のメールをもらって、受け取り店舗に指定した「コメリハード&グリーン大泉学園店」へ商品を受け取りに行ってきました。大泉学園まではマイカーで片道1時間ほど。購入金額が税込1万円以上なら自宅への配送でも送料無料なので、配送を選択しておけばよかったと反省しています。
充電開始や停止は専用アプリから操作
「EZgo」を自宅に持ち帰り、さっそく充電を試してみました。前出各社の純正ケーブルは、基本的に繋ぐだけで充電開始されますが、「EZgo」は「MSI aConnect」という専用アプリから充電開始や停止の操作を行います。
充電器(コントロールボックス)本体には液晶画面が付いていて、ボタンを操作することで電流値やタイマーの設定が可能。充電電流は、ボタンを押すごとに「6→8→10→12→13→16(A)」という感じで順次切り替わります。3kWきっかりになる「15A」が選択肢にないのがちょっと気持ち悪いな(ヒョンデの純正ケーブルも電流値変えられるけど15Aが選択肢にない)と思いつつ。バッテリー容量48.6kWhのマイカーKONA、SOC50%~80%までの約30%(概算で約15kWh)を、5時間弱で問題なく充電することができました。
取扱説明書はPDFをウェブサイトから入手
アプリを入れたスマホと充電器はBluetoothで通信します。アプリのインストールや設定は、とくにマニュアルを紐解くことなく簡単にできました。でも、電流値の設定で「16A」に固定する方法がよくわからず。公式サイトで提供されている取扱説明書(PDFファイル)を確認すると、電流設定ボタンを「3秒間長押し」でした。長押しも試したつもりだったのですが、3秒間に足りてなかったんですね。
同梱のクイックガイドには細かな操作方法などは書かれていないので、念のため、PDFファイルをプリントアウトしてキャリングケースに入れておくことにしました。
自宅に常設するならホルダーの付け替えが必要
「EZgo」の商品パッケージには、充電器を固定して、ケーブルをまとめておくための「ホームキット」が付属しています。現状、私の自宅の充電コーナーは、旧型リーフ用の充電ケーブルに合わせて日東工業の「Pit-C3シリーズ」のホルダーなどを取り付けてあるので、「EZgo」を使う場合、コンセントと充電器ホルダーの距離が近すぎてケーブルが押し曲がる感じになってしまいました。
EV用200Vコンセントには脱落防止のストッパーが付いているので、今回はぶら下げた状態で充電しました。今後「EZgo」は車載しておくつもりなので問題はないですが、自宅常設の充電ケーブルにするのであれば、ホルダーを付け替えるのが賢明ですね。
充電ケーブルは純正の3kW用よりかなり太め
実際に使ってみて気になったのが、いつも使っている日産の充電ケーブル(3kW用)に比べて、ケーブルがかなり太いことでした。当然、太い分だけ重いし、取り回しに力が必要(まあ、大した力ではないですけど)です。
公式サイトを確認してみると、北米向けの「EZgo」は最大9.6kW(240V×40A)に対応しているとのこと。ポテンシャルとして40Aは流せるケーブルが使われているのだと思います。我が家には差し当たり必要ないですが、せっかくなので日本向けでも最大6kWとか8kWに対応してくれると素敵です。
MSIの製品であれば、品質やアフターサービスも大丈夫、でしょ?
自宅の充電コーナー。ケーブルは8年ほど前にヤフオクで買った(たしか、2万円ちょっと)旧型リーフ用を使っています。今のところ問題なく使えていますが、おそらくは製造から10年ほどは経過した製品。日頃の曲げ伸ばしのせいか、ケーブルが微妙によじれて波打ってきているのが気になっていました。
3年前に買ったKONAに標準装備の充電ケーブルもありますが、自宅と車載、2本は常備しておきたいと思っています。「EZgo」を買ったので、もしリーフ用の充電ケーブルが経年劣化で故障などしても大丈夫です。
EV充電ケーブルって、Amazonなどのネット通販を探すと2~3万円程度でいろんなサードパーティ製品が並んでいます。でも、中国系の通販サイトでは日本向けといいながら「タイプ2」と呼ばれる欧州仕様や中国「GB/T」規格のプラグ写真が掲示されていたりして。まがりなりにも長時間それなりの電流を流し続ける製品なので、発熱なども気になって購入してみる決断ができません。
でも、「EZgo」はゲーミングデバイスやPCで定評あるMSIの製品です。品質やアフターサービス(とくにサービスしてもらう必要はないことを願いますけど)も「きっと大丈夫!」と思っているところです。
初めてのEVで安心重視ってことなら、もちろん純正ケーブルを選べばOK。でも、複数台のEVを使いこなしていたり、今後、違うメーカーのEVに乗り換えるかもといった方、さらに、少しでも手頃な価格でEVライフを整えたいという方は、「EZgo」を選択肢に加えて検討してみる価値があるかと思います。
日本のEV普及はまだ進展途上です。よりよい製品やサービスが生まれて拡がって、ひとりでも多くの方が幸せなEVライフを過ごせることを願っています。
「EZgo」おもなスペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 電源ケーブル | 200V・16A(30cm)/100V・6A(150cm) |
| 最大出力 | 3.2kW(200V)/0.6kW(100V) |
| コネクター | Type 1(SAE J1772) |
| 充電ケーブル長 | 7.5m |
| 防塵・防水 | IP66 |
| 使用温度 | -30℃〜50℃ |
| 耐荷重 | 本体最大2トン |
| ディスプレイ | 1.8インチLCD |
| アプリ | MSI aConnect(Bluetooth) |
| 認証 | PSE |
| 付属品 | ホームキット(壁掛け用)、キャリーバッグ |
| 価格 | 64,800円(税込) |
取材・文/寄本好則











