ヒョンデの電気自動車『KONA Lounge』で伊勢往復〜航続距離などはCasualと同じ感覚?

ヒョンデの電気自動車『KONA Lounge Two-tone』で、横浜=伊勢を往復してきました。バッテリー容量は64.8kWh。先だってレポートしたマイカーKONA Casual(48.6kWh)での京都往復と比較してどうだったか。また、宿泊施設の普通充電設備でのドタバタエピソードです。

横浜=伊勢の往復で行った充電は?

3月はじめ、三重県伊勢市に開設された「CHAdeMOマッチングセンター」の開所式(関連記事)を取材するため、ヒョンデの『KONA Lounge Two-tone』で一泊二日の往復ドライブをしてきました。

KONAには4つのグレードがラインナップされています。

**KONA Casual(48.6kWh/456km)399万3000円

KONA Voyage(64.8kWh/625km)452万1000円

KONA Lounge(64.8kWh/541km)489万5000円

KONA Lounge Two-tone(64.8kWh/541km)489万5000円**

カッコ内は、搭載する駆動用バッテリーの容量と、WLTCモードの一充電航続距離です。グレードはバッテリー容量と装備の違いで分かれていて、今回試乗したLounge Two-toneはボディカラー選択肢違いのLoungeと並ぶ最上級グレードに位置付けられています。同じ64.8kWhでも、Loungeの航続距離が541kmに対してVoyageが625kmと80km以上長いのは、タイヤサイズ(Lounge=235/45 R19、Voyage=215/60 R17)の違いが最大のファクターです。ちなみに、Casualも17インチです。とくにタイヤ幅は電費への影響が大きいのだと理解(BMW i3が細いタイヤ奢ってたように)してます。

マイカーとして購入(関連記事)したKONA Casualと比べて、リアルなカメラ映像に進行方向などを示してくれる「ARナビ」や、ヘッドアップディスプレイ(ともにCasualではオプション選択も不可)がやっぱり便利&わかりやすい。また、ひとクラス上のプレミアムなSUVを思わせる上質な乗り味(これはCasualでも同様)が魅力的であることを再確認できました。

2月にマイカーKONA Casualで東京=京都の往復をレポートした際には、90〜100km/h巡航を心掛けたこともあり素晴らしい電費性能でした。さて、Lounge(Two-tone)はどうだったのか。まずは、走行データを紹介します。

**時間**

外気温

**区間

走行距離**

SOC

充電前

充電後

航続距離

充電前

充電後

表示電費

km/kWh

**SOC推計

消費電力**

kWh

**SOC推計

電費**

km/kWh

**往路**3月4日
出発時

みなとみらい

1415

16℃

65%291km
新東名

掛川PA下り

1638

13℃

196.9km17%

53%

67km

163km

6.831.106.77
伊勢湾岸道

刈谷PA下り

1831

11℃

105.5km33%

43%

140km

186km

7.012.968.14
フレックスホテル

(松阪市)

2010

10℃

110.5km12%

100%

39km

409km

5.420.09

5.50
**復路**3月5日
出発時

フレックスホテル

0830

8℃

100%409km
三重県営

サンアリーナ

1100

7℃

31.0km92%

100%

366km

411km

5.45.185.98
新東名

静岡SA上り

1950

7℃

277.4km16%

48%

49km

170km

5.254.435.10
東名

海老名SA上り

2205

5℃

131.7km12%

36%

37km

119km

5.223.335.65

【関連記事】

ヒョンデ『KONA』京都往復からの提言~復路は急速充電1回で余裕の完走でした(2024年2月26日)

東京=京都と横浜=伊勢、片道の距離は約450kmでほぼ同じです。3月4日、横浜みなとみらいのヒョンデジャパン本社で広報車を借りた時、SOC(電池残量)が65%、航続距離表示は291kmしかなかったので「これは往路は2回充電かな」と覚悟しました。

実際、新東名掛川PAでの30分に加えて伊勢湾岸道の刈谷PAで10分だけ注ぎ足し充電をしたので2回充電ではあったのですが、刈谷はトイレ休憩を兼ねて行った「念のため充電」だったので、実質1回の急速充電で予約していた松阪市内のホテルに到着できる感じでした。これは、大容量の底力だと思います。

復路の2回充電にも理由があります。この広報車、私の伊勢往復を受け継いで、翌日はライターの烏山さんが「東名300km電費検証」を行う予定になっていました。残量ギリギリで川崎市内の烏山さんちに届けるのは不親切なので、静岡SAでの30分に加えて、海老名SAで充電。SOC30%くらいで引き渡すことができました。

充電記録も表にしておきます。

充電場所

区間距離

気温充電器

最大出力

充電時

最大出力

開始時刻

充電時間

SOC

開始時

終了時

航続距離

開始時

終了時

増加分

SOC

距離

充電器

表示

電力量

**往路**3月4日
新東名

掛川PA下り

196.9km

13℃90kW71kW16:38

30分

17%

53%

67km

230km

36%

163km

26.1

kWh

伊勢湾岸道

刈谷PA

105.5km

11℃90kW56kW18:31

11分

33%

43%

140km

186km

10%

46km

非表示
ホテル

(松阪市)

110.5km

10℃6kW6kW20:10

約10時間

12%

100%

39km

409km

88%

370km

非表示
**復路**3月5日
サンアリーナ

(伊勢市)

31.0km

7℃30kW12kW11:00

30分

92%

100%

366km

411km

8%

45km

5.18

kWh

新東名

静岡SA上り

277.4km

7℃90kW71kW19:50

30分

16%

48%

49km

170km

32%

121km

25.3

kWh

東名

海老名SA上り

131.7km

5℃40kW35kW22:05

40分

12%

36%

37km

119km

24%

82km

17.0

kWh

海老名SAで40分という中途半端な充電時間になっているのは、90kW器が埋まっていて出口側の40kWで充電開始したものの、10分ほどで90kW器が空いたので、バックで戻ろうと試みたのですが……。すぐに次の充電車両が入ってきたため、元の充電器に戻って再び充電したからでした。

そもそもの海老名到着時、出口寄りの充電区画が仮眠トラックに塞がれていて、土砂降りの中、ドアをノックして移動してもらわなければならなかったのもちょっと切ないエピソードです。夜の海老名、かなりの高確率でトラックによる充電区画ブロックに遭遇するのは、悩ましい課題ですね。

航続距離や充電での増加はCasualと同じ感覚

ここからは、今回の長距離試乗で得られた気付きを2つ挙げておきます。今回の気付きというか提言は「大容量バッテリーばかりが正義じゃない」と、「宿泊施設の充電器は予約できるとありがたい」です。

まず、Casualが48.6kWhに対してLoungeは64.8kWhと16kWh以上も大容量。でも、満充電からの走行可能距離や、急速充電で回復する航続距離には大きな差は感じなかったのが意外な気付きでした。京都往復の日は14〜18℃と季節のわりに暖かく、伊勢往復の今回、往路は10〜18℃と暖かかったものの、復路は5〜7℃程度と肌寒く、土砂降りの雨に見舞われました。そのせいもあって、京都復路では8km/kWh台後半を連発していた区間電費が、伊勢復路では5km/kWh台前半から抜け出せず……。

同じバッテリー容量でVoyageの航続距離は625kmと80km以上長いことからも推察できるように、CasualとLoungeの実用的な航続距離感覚は、ほぼ同じ程度であることを感じました。気温条件が近かった往路を比べても、1〜2km/kWhはCasualの電費が優れている印象でした。

急速充電性能も、バッテリーの総電圧がCasualの269Vに対してLoungeは358Vと高いので、90kW器30分での充電電力量は、Casualで20kWh弱だったのが、Loungeでは25kWh程度と多かったです。でも、増加する航続可能距離はどちらも120〜160km程度といった範疇で、それほど違わない感覚でした。

もちろん電費はさまざまな条件次第ではありますが、感覚として大きな差がなかったということで。同じ電力による効率的なドライブという観点から、60kWh以上は too much、と考えてCasualにした私の選択が、「ま、ひとつの正解ではあったな」と感じている次第です。

ただし、タイヤサイズがCasualと同じVoyageや、スタッドレスなどで215幅の17インチタイヤにデチューンしているLoungeではどうなんだろうっていうあたりも気になります。オーナーの方がいらしたら、実感などコメントいただけるとうれしいです。

ホテルの充電器が満車? でジタバタ……

もうひとつの気付き、というか改めて痛感したのが「ホテルの充電器、ほんとは予約できるとありがたいなぁ」ということでした。

今回、取材するイベント会場は伊勢市内だったのですが、近くで充電器がある宿は高級な温泉宿ばかり。30kmほど手前の松阪市内で、フレックスホテルという宿を予約しました。このホテルには、EV充電エネチェンジの6kW器が2基設置されていました。すぐ近くのルートインにもエネチェンジの充電器(1口)がありますが、ここは以前宿泊して充電したこともある(関連記事)ので、あえて違うホテルを選んでみた次第。

ところが、刈谷PAで念のため充電を終え、EV充電エネチェンジのアプリでフレックスホテルを確認すると……、なんと、充電器が2基とも使用中の表示になっていたのです。時刻はすでに19時過ぎ。2台とも宿泊者の可能性が高いでしょう。

翌日の復路を考えてもホテルでの充電は必須だったので、アプリで充電器が空いていることを確認した上で、ホテルルートイン松阪駅東へ電話。充電器に「予約あり」のパイロンを立てていただくことにして(それでもパイロン退けて駐車する猛者もいるそうですが)シングルを一部屋取っていただきました。

ということで、フレックスホテルに「充電器がいっぱいだからキャンセルで」と連絡すると……、なんとなんと、充電できないのはキャンセル理由にならないので、キャンセル料が必要と言われてしまいました。もったいないけど、キャンセル料より充電が大事です。

実は、国の補助金を使って設置した充電器は、基本的に「誰でも使える施設」でなくてはならないので、予約はできません。ルートインは補助金を使わずにエネチェンジの6kW器に置き換えているので、夜間は宿泊者専用として、予約(場所や状況によってケースバイケースでしょうが)にも対応してくれるんですね。

こんなことなら、最初から今回もルートインにしておけばよかったと後悔しつつ。伊勢道の松阪ICを下りたところで念のためもう一度アプリを確認してみると……。なんたることか、フレックスホテルの充電器がひとつ、空きになりました。

空いてるならキャンセル料はかからない方が賢明です。まずフレックスホテルに到着して無事に充電器に繋げることを確認。フレックスに「キャンセル中止」の電話、そしてルートインには「急な電話に対応していただいて申し訳ありませんが、やっぱり宿泊できません。充電器も予約解除してください」とお詫びの電話を入れたのでした。

なんというか。フレックスホテルのご担当者は「充電できないのはキャンセル理由にならない」と言ってましたが、EV乗りにとって予定していた充電ができないのは、鉄道や飛行機の運休とか天変地異にも匹敵するトラブルです。このあたりのメンタルへの理解が、もっと多くの人(とくに設置施設関係者)に広がるといいなと思います。

また、宿泊施設の充電設備は、やっぱり宿泊者が利用できるのが本分だと思います。公共性を担保するなら、ルートインチェーンのように昼間は一般の方も利用可能でも夕方〜翌朝は宿泊者専用という方法は賢明だと感じます。さらに、補助金のルールをアップデートして、宿泊施設の充電設備については、夜間は宿泊者専用、かつ予約可能な仕組みになるとありがたいなぁ、と痛感したのでした。

というわけで、少しKONAから話題がずれちゃいましたけど。目的地充電インフラが利便性高く拡充されるのは、高速道路SAPAの高出力複数口設置、そして、KONAとかDOLPHINのような多くの人の手が届きやすい価格帯のEV車種拡大とともに、日本のEV普及を左右する大事なポイントだと思います。

前進しましょう!

取材・文/寄本 好則

フレックスホテルの充電器わたしも利用したことあるのですが、充電器のある駐車場のすぐ側に別のホテルもありますし、近くの焼肉店などにも歩いていけなくもないので、フレックスホテル宿泊客以外の人も利用できそうで、補助金使ってると基本その辺はオープンなのだと思いますが、宿泊用途の人の利便性を高めるという導入目的を考えると仰せの通りなのかと思いました。エネチェンジアプリで時間指定予約できるようにするのが一番近道なのかも(eMPカード使う場合はどうするのかはありますが)

貴重なレポートありがとうございます。

充電にかかった費用は、どの程度であったのか?教えてもらえると

ありがたいです

よろしくお願いいたします

ホテルでの普通充電、最近ややこしいですね・・

充電事業者によって料金がまちまちな上、充電量に対してかなり割高になっています。

数年前に貴ブログが提唱されていましたが、「ホテルでの普通充電はホテルが簡便な機器を設置し、利用者から実費をもらう。あるいはサービスとして提供する」というのが見直されても良いのでは?と思います。

私の経験では、3kW器でも到着から出発まで繋いでおけば十分な充電量を得られますし、到着直前にどこかで短時間の急速充電するという裏技もあります。

ブレーカーやタイマーをホテル屋内から操作出来るようにする事も可能ですし、費用も高額ではないのでは?

利用者の立場からすると「充電料金が高くなったうえ、そもそも充電できる保証がない」というのは最悪の事態です。誰にもメリットがないシステムに見えます。

hatusetudenn さま、コメントありがとうございます。

今回、KONA Loungeは64.8kWh。SOC12%で到着したので、満充電までは約57kWh。3kW出力だと19時間かかるので、6kWはありがたかったです。いずれにしても「使える確約」、大事ですよね。

今後もいろんな記事などで「宿泊施設の充電器は予約可能に!」の声を挙げていきたいと思います。m(_ _)m

しげ さま、コメントありがとうございます。

充電料金。今回は自分のZESP3ではなく広報車と一緒にヒョンデから借りたeMPカードを利用したので、eMPの会員料金になります。

https://www.e-mobipower.co.jp/driver/

ざっくり。

急速140分=3850円。

普通600分=2310円。ですね。

伊東真吾 さま、コメントありがとうございます。

私も夕食は近くの一升びんで、と目論んでいたのですが、出発が遅くなり。昼間、横浜の試乗会でいただいたシウマイ弁当と黒霧島で済ませた次第。ご指摘のように、途中で空いた充電器の利用者は、焼肉とか行ってたんだろうな、と想像してました。

アプリで時間指定も含め、いろいろと仕組みが前進していくよう思いを発信し続けたいな、と。