PHEVなら電気自動車みたいに充電しなくても走る。なんでPHEVじゃダメなの?違いは?

結論:プラグインハイブリッド車(PHEV)はダメではありません!むしろ、多くの方にはPHEVはおすすめです。ただし、完全な電気自動車(BEV)と比較すると、利便性はPHEVのほうが圧倒的に高い代わりにBEVのメリットのいくつかが享受できなくなります。

PHEVにもいくつかのタイプがありますが、基本的にはエンジンとバッテリーを搭載し、モーターだけでも走行することができ、かつバッテリーに車両外部から充電できるものをPHEVと呼んでいます。これに対し、BEVはエンジンを搭載せず、バッテリーに充電した電力でモーターを回して走行します。この記事では、様々な種類があるPHEVやBEVの選び方を分かりやすくご紹介します。

目次

PHEVの種類

本ブログの最初の記事に様々な自動車の電動化の違いについて書きましたが、本記事ではもっと分かりやすく端的に書いていきたいと思います。

PHEVが生まれたときにはガソリンタンクが大きく、ガソリンのある限りどこまでも行くことができました。そしてその特徴は今も受け継がれています。三菱自動車工業のアウトランダーPHEVが代表的な例です。PHEVでは、家に充電設備を設置すれば通勤はすべて電気で賄え、ガソリンを使うのは遠出の時のみとなり、ガソリン消費を圧倒的に抑えることができます。しかし、排気ガスや燃費を世界で一番厳しく規制している米国カリフォルニア州のCARBという役所は、車の利用者がある程度不便を感じ、車の使い方を変えないといけないレベルの「もっと厳しい」ルールを導入しました。これがBEVx(REXともいいます)で、ガソリンタンクを小さくし、バッテリーが残り僅かになるまでエンジンを作動させないように規制したクラスなのです。この基準で作られた車には、BMW i3があります(日本では設定が少し緩めになっていますが考え方は同じです)。燃料タンクは9リットルしかありません。

もう一つのPHEVの分類には、パラレルハイブリッドがシリーズハイブリッドか、というものもあります。パラレルハイブリッドとは、エンジンとモーターが力を合わせて走行する車をいい、シリーズハイブリッドとは、エンジンはあくまでバッテリーの充電のためだけに使い、モーターのみで走行する車をいいます。先ほどのアウトランダーPHEVはパラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドを切り替えられる複雑な仕組みを持っていますが、BMW i3はシリーズハイブリッドで至ってシンプルです。高速域での高い性能が必要な場合にはパラレルのほうが有利、シリーズハイブリッドはエンジンを小さくできるので、燃費の点で有利となります。

本記事のこれ以降の部分では、BEVxはPHEVの一種として扱います。

電気自動車EVとPHEVの違い

完全に電気だけで走る自動車を電気自動車といい、EV(Electric Vehicle)またはBEV(Battery Electric Vehicle)と呼んでいます。本記事ではBEVと表記します。BEVはバッテリーに充電した電気がある限り走ることができますが、バッテリーの充電に時間がかかるため、自動車の運用にある程度計画性が必要となります。具体的には家に充電器を設置することや、遠出の際には充電計画を立てることなどです。家に充電器がないと、どこかに出かけようとしたときにバッテリーが不足して30分以上充電スポットで待つことになりますし、遠出したのに計画がないと、充電のタイミングを食事・休憩・買い物等の時間と重ねることができず、無駄に30分以上充電のためだけに留まる必要が出てきます。

PHEVではその心配はいりません。家に充電器がなくてもガソリン入れれば走りますし、遠出してもガソリンスタンドさえあればほとんど無駄な時間を過ごさずに帰宅できます。

PHEVはメリットばかりのようですが、BEVと比較するとデメリットもあります。

  • エンジンがあるので、メンテナンスが必要。オイル交換・オイルフィルター交換などを定期的に実施する必要があります。PHEVはBEVやガソリン車より複雑なので、故障する確率も多少高まるかも知れません。
  • バッテリーが小さく、ガソリンを使わずに走れる距離が短い(カタログ値で25-60km程度)。電気で走行したいからPHEVを買ったのに、実際には少し遠くに行くとすぐエンジンがかかります。通勤の帰りはガソリンを使うことになる人も。
  • バッテリーが小さいため、急速充電で少しの電気しか充電できない。例えばアウトランダーPHEVは30分で80%の充電ができますが、この時に充電して貯めた電気の量は、BEVであるリーフの半分にも満たないのです。もちろん、この電気で走行できる距離も半分となります。
  • バッテリーが小さいため、上り下りのある場所を走行する際、上りで使った電力を下りで回収しきれず、電費がそれほど伸びない(もちろんガソリン車よりは圧倒的に高効率)。

さて、デメリットを見てしまうと、なかなか悩ましい部分はありますね。車のある生活スタイルを変えてメリットを享受するか、メリットが半減してもガソリン車と同じ使い方が良いか、ということです。

どれを選べばいいの?

ではPHEV、BEVはどれを選べばよいのでしょうか。以下に表にしてみました。

こんなときは これがおすすめ
自宅充電が難しい PHEVもBEVも微妙ですが、自宅近くやよく行く場所に無料の充電器があるなら、PHEVは検討してもよいでしょう。普段は高性能なハイブリッド車として乗り、機会があれば無料充電器で充電し、ガソリンなしで走行できます。ただし、自宅に充電器がないと実質あまり充電する機会がなくなりますので、メリットも小さくなります。高速道路を含む多くの充電器は有料化の方向です。
絶対に待ちたくない PHEV一択ですね!ガソリン車と全く同じ使い方ができます。
ガソリンスタンドが嫌い BEVなら(灯油を買うなどの用事以外は)もう一生ガソリンスタンドに行かなくて済みます。オイル交換に行く必要もありません。
自宅周辺では静かにしたい BEVはもちろん無音ですが、自宅充電があればPHEVも通勤くらいの距離ならエンジンをかけずに走行できますので、どちらでもよいです。
遠くにはあまり出かけない BEVがおすすめです。近場の足として、スタンド・オイル交換不要で、走行距離に対してかかる電気代も圧倒的に安く済みます。
週末ごとに100km以上遠くに出掛ける PHEVがおすすめです。リーフでは100kmは航続距離ほぼいっぱい。例外的にテスラモデルSならBEVではありますが、片道150kmくらいまでの往復は途中充電なしで帰って来れますし、途中充電30分1回を入れれば片道200kmの往復も楽にできます。東京からスーパーチャージャーのある京都や大阪なら、途中30分の経路充電とスーパーチャージャーで、比較的容易に往復できてしまいます。しかし関越・東北方面で片道200km以上の距離だと現時点では事前に充電計画が必要になります。
電気自動車のトルクやパワーが気に入った 電気自動車はモーターと大容量のバッテリーが生み出す大トルクで、発進や加速のレスポンスが非常によく、特にBMW i3やテスラモデルSは同格の車と比較して速いといわれています。しかしパワーは感覚的なもの。実際に試乗してから検討されることをお勧めします。
環境に配慮したい BEVがおすすめです。現状、日本では火力発電によって電気を供給していますが、今後太陽光などの再生可能エネルギー発電が増加するにつれ、BEVの排出するCO2は減少していきます。未来を考えると、BEVはCO2を減らす効果があるといえます。またBEVはCO2以外のエミッションがありませんので、ガソリン車やPHEVのように窒素酸化物、硫黄酸化物やPM2.5を近隣に排出することはありません(代わりに火力発電所から出る→将来は減少)。
安く維持したい 「安く」の意味合いによります。自宅充電が確保でき、かつ遠くにはあまり出かけないのであれば、BEVにすれば副次的効果で維持費は非常に安くなります。一方、契約している充電カードにもよりますが、無料充電器があれば安く上がる、、と思っていると、無料充電器が廃止になったり、有料化されたり、非常に混雑したりするなどして、思った通りにならないことも。基本的には自宅以外での充電はある程度のコストがかかると思っていただいたほうがよいです。ガソリン代よりは安いですが、年間何十万円も安くなるわけではありません。自宅外での充電がメインの方は、PHEVのほうが得になるケースが多いです。

これから先、欧州メーカーを中心にPHEVが多く発売されてきそうです。三菱自動車工業の次期RVRと噂されるコンセプトカーConcept XR-PHEV IIAudi A3 Sportback e-tronAudi Q7 e-tron クアトロフォルクスワーゲン ゴルフGTEフォルクスワーゲン パサートGTE2016 Chevy VoltメルセデスベンツCクラスPlug-In HybridSクラスPlug-In Hybrid・そして3月15日発表されたばかりのBMW X5 xDrive40e。まだPHEVもBEVもC~Dセグメント以上の車が主体ではありますが、Cセグメントのピュアなガソリン車にするくらいなら、PHEVを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。