お盆休みを利用して、今年はテスラモデル3で東京ー兵庫のロングドライブ取材を敢行。詳細なレポートの前に、日産のZESP3を使っている方に、JFEの蓄電池内蔵型チャデモ認定機『RAPIDAS-R』を使う時は20分以内を目安に自分で途中停止しましょう、という緊急のお知らせです。
ZESP3を契約しているリーフユーザーの皆様へ
私の郷里は兵庫県北部の但馬地方。但馬牛の原産地、また松葉ガニの水揚げ地として食通に知られる、自然豊かな過疎地です。
2018年にEVsmartブログに関わるようになってから、何度となく、いろんな電気自動車で帰省がてらのロングドライブレポートをお届けしてきました。今年の夏は、EVsmartブログチーム(アユダンテ)の社有車であるテスラモデル3によるロングドライブレポートをお届けするべく8月11日(夜)〜14日(早朝)まで実走取材をしてきました。
そのレポートは追って公開予定なのですが、その前に。ひとつ「え、そうなの?」と驚愕の事実が明らかになったので、速報&悲報をお届けします。
といっても、お伝えしたい対象者は日産のZESP3を契約している方々限定。つまり、ほとんどが日産リーフユーザーの方だと思います。私が知らなかっただけで、リーフユーザーの間ではすでに知られている事実だったら、ごめんなさい。
加入しているZESP3の仕組みについて
EVsmartブログチームでは、ZESP3のリリースとともに、それまで契約していたNCSのチャージするゾウカードから、日産車ユーザーでなくても加入できるZESP3の『プレミアム10』に切り替えました。
ご存じない方も多いでしょうから、日産のウェブサイトからZESP3の料金についての解説表を引用しておきます。
EVsmartブログチームが契約しているのはプレミアム10の3年定期契約なので、月額基本料金は2500円/月。日産ディーラー、もしくはNCS加盟充電器での普通充電は無料で、10分×10回の急速充電は基本料金に含まれており、それ以上の急速充電を行う場合、10分当たり350円がかかります。
道の駅の50kW器が2回とも20分ほどで自動停止
さて、今回のロングドライブでは基本的にテスラスーパーチャージャーを活用して走りきるプランだったのですが、残念ながら私の実家には電気自動車充電用の200Vコンセントをまだ設置していません。そこで、私がよく利用しているのが、実家から10kmほどの道の駅村岡ファームガーデンに設置されている、JFEの『RAPIDAS-R』という50kW器です。
【スポット紹介】
EVsmart『道の駅 村岡ファームガーデン EV充電スタンド』
この道の駅には、特産の但馬牛をリーズナブルに食べられるレストランがあり、実家滞在中の食事にもよく使います。今回、到着した日のランチを食べたついでに1回、翌日、ゴルフに行く前のまったりした時間を活用して1回、合わせて2回の急速充電をここで行いました。
まず、ランチついでの充電の際。ランチ前は先客がいたので、ランチが終わって充電開始。ソフトクリーム食べてそろそろかなとクルマに戻り車内で待っていると、20分を過ぎたあたりで突然充電が自動停止したのです。
ちゃんと計っていたわけではないので「20分3秒とかで止まってたら嫌だなあ」と思いつつ、この時はあまり気にしないようにしたのですが。
翌日、母校の剣道部OB会のゴルフコンペに参加するため実家を出発。スタート時間が9時過ぎと遅く、道の駅で充電しながらパンとアイスコーヒーの朝食を食べていたところ、またまた、充電開始から20分ほどで充電が自動停止してしまいました。
「なんだ、これは?」と不思議に思い、EVsmartブログチームのスタッフに連絡して、充電ログをメールしてもらったところ……。
OMG! 12日の1回目が22分、13日の2回目が21分で終了していることがわかりました。
ZESP3、プレミアム10の急速充電料金は、10分ごとに350円です。充電ログの画像をみると、充電料金は1050円=350円×3回になっていることがわかります。10分を1秒でも過ぎると次の10分料金が課金されるので、今回のケースの場合、1回目は2分に350円、2回目は1分に350円を支払う必要があります。
**【追記】**SNSで「10分※秒だと10分1回分のカウントになる」という説をご指摘いただきました。改めて日産EVカスタマーセンターに電話で確認してみたところ、やはり「1秒でも過ぎると10分1回分追加」とのことです。
厳密にいうと、今月はまだ基本料金に含まれる10回分がまるまる残っていたのでさほどの実害はなかった(無料分の回数を浪費したけど)のですが、10分単位の課金なのに1分や2分過ぎて勝手に止まる、というのはあまりにも理不尽です。
小さなことであっても「気付いたことは関係者に伝える」のが電気自動車の正しい普及のために役立つと思い込んでいる私は、村岡ファームガーデンに電話して、支配人の方に素性と事情を説明し「管理してるのはおそらくJFEさんだと思うので、こういうクレームがあったと伝えてください」とお話ししました。
JFEご担当者から直接電話をいただきました
村岡ファームガーデンに電話してから約3時間後、見知らぬ番号から私の携帯電話に着信がありました。出てみると、電話をくださったのはJFEの太陽光・風力・EV事業部のご担当者でした。以下、お話しのポイントを紹介します。
**●JFE『RAPIDAS-R』は蓄電池内蔵型で、出力のおよそ半分程度を蓄電池でアシストしている。
●内蔵蓄電池が消耗するとパワーが落ちるため、そこで一回充電を終了する仕組みになっている。
●今回使用したタイプの蓄電池出力は22kWほど。新開発の100kW出力対応機はおよそ55kW出力相当の蓄電池を内蔵する計画。
●今回使用した現行型は開発からすでに8年ほど経過している。
●当時は、日産リーフの24kWhを想定して開発。大容量電池搭載のEVが増えるにつれて、現状の蓄電能力では公称出力の50kW(125A)を30分維持することが難しくなっている。
●また、当時は1分単位の課金システムを想定。ZESP3が突然10分単位となったことに戸惑い、対応できていない。**
事情はわかりました。でもね……
JFEのご担当者はとても真摯に説明してくださいました。また、当時は24kWhリーフを想定して開発したというのも、そうでしょう。ことさらに、JFEを責めるつもりはありません。
また、日産のZESP3が10分単位の課金にしたことには、日産として熟慮した理由(それがなんなのか私にはよくわかりませんが)があるのでしょう。ことさらに、日産やZESP3だけを糾弾するつもりもありません。
対照的に、今回のロングドライブで痛感したのは、スーパーチャージャーのネットワークを独自で整備して、それに見合うクルマの性能や電池容量を提供している、テスラ車のグランドツアラーとしての底力(詳しくは追って別記事でレポートします)です。悲しむべきは、日本の電気自動車に関する状況があまりに未成熟であり、こうあるべきというビジョンがまるでないことだなぁ、と切ない気持ちになったのでした。
厳しい見方をすれば、商品を世に送り出し使い続けている限り、JFEは電気自動車の進化や課金システムの変化に対応してしっかりとアップデートを行うべきでしょう。また、日産は10分単位の課金にするのなら、日本中の充電インフラを検証し、考えられるトラブルを潰し、ユーザーにアナウンスするべきです。
でも、今はまだ日本の電気自動車産業界隈に、そこまでの理想は求めません。細かいことはさておいてでも、電気自動車の車種拡充と大衆車のリリースを実現し、高出力で十分な数の充電インフラを広げることに邁進してほしいと願います。
というわけで、今回の「JFEの蓄電器内蔵型QCは21分で自動停止する」という現象については、ZESP3ユーザーにこの事実を周知して、それぞれ、気をつけていただくしかないなというのが、速報として、私が見出した結論、ということです。
ちなみに、このJFEの蓄電式QC器、昨年の夏、ジャガーアイペイスで郷里へ走り使った際にも、先客がいた場合(おそらく蓄電池が消耗状態)などにちょっと挙動不審になることがありました。EVsmartブログチームリーダーの安川さんからは「テスラモデルXでは充電できないことがある」とも聞きました。e+をしっかり使いこなしている方であれば、もっと違った独自の不調体験をお持ちかも知れないので、ぜひコメントでご教示ください。
ともあれ、ZESP3に加入している電気自動車ユーザーのみなさん。とくに「シンプル」プランをお使いの方であれば、1分過ぎただけでも500円。わりとシャレになりません。e+のように電気がたくさん入るEVで、JFEの蓄電器内蔵型QCを使う際には、18分とか19分で自分で途中停止するのがオススメですよ。
**【追記】(2020年8月17日)**記事公開から2日、大きな&さまざまな反響をいただいています。再読してちょっと気になったので追記です。
今回の現象は、電池容量75kWhのモデル3で、残量50%程度から充電した際の体験です。ご承知のように、急速充電できる電力量は電気自動車側の電池容量や残量、電池温度などさまざまな条件で変動します。たとえば、私のマイカーである30kWhリーフであれば、問題なく30分完走できるケースがほとんどではないか、とも思います。
私のリーフは、今、白馬のEVシェアリングに貸し出し中なので、日産からリーフe+(電池容量は62kWh)をお借りして、複数の同型機で検証してみるつもりです。追ってレポートをお届けしますので、今しばらくお待ちください。
(取材・文/寄本 好則)




