初開催のEV「1時間エコラン」で電費1位/サーキットで電費を伸ばした走りの秘策とは?

日本電気自動車レース協会(JEVRA)が初開催した「EV 1時間エコランレース大会」に参加してきました。結果は「BEV-2クラス」3位で表彰台、電費順位は断トツの1位を獲得することができました。サーキットをそれなりのタイムで周回しつつ、電費を伸ばした作戦を説明します。

したたる汗でシートを濡らしながらクラス3位で完走

2026年8月2日、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「EV 1時間エコランレース大会 in SODEGAURA」に参加してきました。最低1回のドライバー交代と、ドライバーとナビゲーターの2人一組で乗車することが義務づけられたレギュレーションで、一緒に走ったのはEVsmartブログに「EV放浪記」や「みだれ打ち EV日本一周」を寄稿してくれている篠原知存さん。マイカーのヒョンデ KONA Casual(48.6kWh)でエントリーしました。

まずは私がハンドルを握り、スタートから30分をメドにドライバーを交代。外気温32℃の真夏のレース、電費最優先でエアコンはオフにしていたので、私も篠原さんもシートがぐっしょり濡れるほど汗だくの1時間でしたが、レース結果はバッテリー容量40kWh以上80kWh未満の「BEV-2クラス」で、テスラ モデル3(54kWh)、モデルY(75kWh)、ボルボ EX30(69kWh)といったライバルを抑えて3位表彰台に立つことができました。

電費順位はぶっちぎりの1位でした

このエコランは、最も長い距離を走行した車両に「レース順位ポイント」、最も電費良く走行した車両に「電費ポイント」が付与されて、その合計ポイントが最も高い車両を優勝とする競技です。リザルトを見てうれしかったのが、私たちのチームが電費順位1位だったことです。

公式のリザルトだけでは詳細な電費結果がわからなかったので、後日、JEVRAにお願いして電費データを入手しました。

車両名 容量 前SOC 後SOC 使用kWh kWh/Laps 電費順位
KONA Casual 48.60kWh 87% 38% 23.814 0.700 1
KUNISAWA.NETスーパーミニ 29.60kWh 98% 5% 27.528 0.810 2
MKproject Model 3 2号車 69.00kWh 98% 56% 28.980 0.828 3
BARN RACING TESLA 54.00kWh 97% 41% 30.240 0.889 4
ONE HIOKI 54.00kWh 95% 35% 32.400 0.926 5
EV充電器のジゴワッツみんなで安全運転号 75.00kWh 94% 47% 35.250 1.068 6
IONIQ5 84.00kWh 99% 49% 42.000 1.167 7
モタスポ.net Racing Project 69.00kWh 93% 33% 41.400 1.218 8
RWORKS ARIYA B9e4 91.00kWh 98% 22% 69.160 1.921 9

電費ポイントは「使用したバッテリー容量(kWh)÷ 周回数」で計算されます。袖ヶ浦フォレストレースウェイのコースは1周「2.436km」。つまり、電費「2.436km/kWh」で走れば電費スコアは「1.0」になるということですね。KONAの電費ポイントは「0.700」で、電費2位だった自動車評論家・国沢光宏さんチームのホンダ スーパーワンにも0.1以上の差を付けて、圧勝というべき1位獲得でした。

サーキットを駆け抜けながら電費を伸ばしたポイントは?

なにしろ初開催のエコラン1時間耐久ですから、ほかのチームがどんな走りをしてくるのか、どんなペースで走ることになるのかまったく予想できません。スタート前、私が篠原さんに示した作戦は、次の2つがポイントでした。

●フットブレーキは使わず回生ブレーキをフル活用する。
●ホームストレートでも最高速は130km/hまでにする。

回生ブレーキで電力を回収できるのは電気自動車の大きな特長です。KONAには回生ブレーキの強さを自在にコントロールできるパドルスイッチがあり、アクセルオフで完全停止までできる「i-Pedal」を装備しています。

それなりのペースを保つためにアクセルを踏み込むのは避けられないけど、フットブレーキでエネルギーを熱にして捨てることを極力避けて、強めの回生ブレーキで可能な限り電力を回収する作戦です。

私がフットブレーキを踏んだのは1コーナーでオーバースピードになりそうになった2回だけ。レース前には回生パドルでコースティングも駆使して……、なんてことも考えていましたが、実際に走ってみると回生ブレーキは最強のi-Pedalにしておいて、アクセルワークでスピードをコントロールするのがスムーズでした。

ちなみに、街なかではi-Pedalは使わず、回生「オート」で必要に応じてパドルで強さを切り替えるのが私の好みですけど、サーキットのエコランではi-Pedalが最強! でした。あと、最高出力が99 kW(135PS)しかないCasualでは最高速は伸びにくいことを痛感。ホームストレートで130km/h出すのはギリギリだったことが、2回のフットブレーキ使用につながりました。

後半は篠原さんが攻めた走りで周回数でも上位をキープ

走行距離は「周回数」が基準なので、できるだけ周回遅れにならないようにするため、スタート直後からドライバー交代するまでは、前を走る2台のモデル3を追走しました。

周回ごとのラップタイムはこんな感じです。私が走った前半は、おおむね1分45秒~1分50秒程度で周回を重ねたことがわかります。

一点、国沢さんのスーパーワンにだけは負けたくないね、と話していたものの、15周目くらいのヘアピンで大外からぶち抜かれてしまいました。モデル3を追走しながら回生ブレーキ走法を続けていたとはいえ、スーパーワンのコーナリング性能恐るべしです。

ピットインして篠原さんにドライバー交代した後は、前後に他車の姿は見えない独走状態のなか、気持ちよくペースアップ。ベストラップを出した25周目くらい(ちゃんと記録はしてませんけど)にはスーパーワンを抜き返すこともできたのでした。

メーター表示の電費は、私がドライブした前半は「4.8km/kWh」程度だった(私としては5km/kWhを目標にして走ってました)のが、篠原さんが攻めた後半で「3.7km/kWh」(データは始動後の累積)くらいになりました。アクセルを踏めば電費は落ちるってことですね。

このラップタイムを見てちょっと悔しかったのが、私も最後の2周くらいは思いっきりタイムアタックすればよかったなってこと。まあ、無理して最高速などの性能でかなわないモデル3を抜きにかかるのは危ないし、結果オーライです。

電費ポイントの比重がもっと高ければ総合優勝も?

スターティンググリッドとゴール後、SOH(健全度)計測で紹介したこともあるバッテリーテスター 「ETX010」でバッテリーのSOC(電池残量)を測定。見た目の順位では最終的なリザルトがわからないのはスリリングで面白かったのですが……。

今回の配点表

電費ポイントよりもレース順位(走行周回数)ポイントが大きかったこともあり、電費で大逆転! はありませんでした。もし、レース順位と電費のポイントが逆だったとしたら、なんと、私たちのKONA Casualが総合優勝していたことになります。

試算表

車両名 電費順位 仮ポイント 走行順位 仮ポイント 合計
KONA Casual 1 120 5 52 172
KUNISAWA.NETスーパーミニ 2 116 5 52 168
MKproject Model 3 2号車 3 112 3 56 168
BARN RACING TESLA 4 108 5 52 160
ONE HIOKI 5 104 3 56 160
IONIQ5 7 96 1 60 156
RWORKS ARIYA B9e4 9 88 1 60 148
EV充電器のジゴワッツみんなで安全運転号 6 100 9 44 144
モタスポ.net Racing Project 8 92 5 52 144

初開催&初参加のEV1時間エコラン、とても楽しかったです。ただ、レース順位ポイントが大きい今回のレギュレーションだと、結局速く走ることが勝利につながります。エコランとしての面白みを増幅するためにも、次回開催時には電費ポイントがより重視されるといいな、と思うのでした。JEVRAさん、期待しています!

取材・文/寄本好則
写真協力/石渡史暁

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電費で1位おめでとうございます。

電費と速度とのバランスを考えながらのジレンマを楽しみながらのレース面白そうですね。暑い季節ということでしたが、もし定期開催するなら、3シーズン(夏、冬、春秋)で違いを見てみたいです。

総合ランキングの計算方法のアップデートにも期待したいですね。重量やバッテリー容量もクラス分けの時は良いとしても、総合ランキングの場合は細かい実車の数字を入れて計算してほしいかも。