「EV本気宣言」をしたトヨタがこれから直面する課題とは【舘内 端からの提言】

トヨタ自動車は先日のバッテリーEV戦略の発表で、2030年までに世界でのEV販売台数を年間350万台とする目標を示しました。日本における電気自動車普及活動の先駆者であり、日本EVクラブ代表理事の舘内端氏は、この発表をどう捉えるのか。「このままでは日本でEVは売れない」と提言する緊急寄稿です。

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トヨタが電気自動車に本気宣言〜2030年に350万台のBEV販売を目標(2021年12月15日)

世界最大メーカーのEV本格参入を歓迎

トヨタ自動車(株)が2030年までに350万台、30車種のEVを販売するとの発表を行った。そのことに関して個人的な感想のようなものを語りたい。まずどのようなスタンスで本レポートを書くか、私の立ち位置について述べておく。面倒な話だが、現在の私の立場上、必要だと思うのでお許しいただきたい。

数年前、私は35年以上も務めたカーオブザイヤーの選考委員を辞して、現在は評議委員として自動車や自動車業界と接しているが、個人としては、トヨタという企業の現在と行く末に特段の関心はない。一自動車メーカーとして、今後に成功するも、衰退するも、己の考える方向に向かって進めばよいと考えている。

一方、EVの普及活動を27年も行ってきた日本EVクラブの代表としては、世界最大の自動車メーカーが、ようやくEVに大きく舵を切ったことは大変に好ましく、歓迎したい。少なからず自動車によるCO2の排出量も減るだろう。

世界最大のメーカーが、長らくEVに対して後ろ向きともとれる態度をとってきたことは、各方面に甚大な影響を与えてきた。その影響は日本国内にとどまらず、米国、欧州、中国にも及んだに違いない。

トヨタの影響力を考えると、これまで国内メーカーの多くが、やたらにはEVに舵を切れなかったことは想像するに難くない。小さな市民団体である日本EVクラブの活動など、風前の灯火のようであった。

EVクラブは置くとしても、トヨタの消極的な姿勢はEVシフトの遅れをもたらし、日本の産業、経済にとって大いなる損失であった。また、減るはずのCO2排出量もその機会を逃したといえなくもない。

それが一転、EVに向かうことは、トヨタだけではなく、ほとんどのEV賛同メーカーのEV開発、販売に好影響を与えると考えられる。行政としても、国民、市民へのEV推進に力を入れやすくなる。

「EVが売れない日本」を変えていくのがトヨタの責務

もっともこうして日本がEV化に後れを取っている間に、欧州、米国では最新のEVを開発し、電池工場を各地に建設し、ノルウェーのように新車販売の70%ほどを占める(2021年11月の新車販売におけるEVシェアは73.8%)までにEV普及率を高めている国さえ出てきた。そして、ここがもっとも重要なことだが、かの国では国民・マーケットにEVアレルギーはなく、EVさえ開発して発売すればマーケットはすぐに反応し、販売は好調に伸びていったのである。

日本では逆のことが起きていた。どこに行っても、誰でも、「EVは使えない。だからまだ買わない」と言うのである。見事に反EVキャンペーンの成果は上がっていたのだ。世界最大、国内最大の自動車メーカーの転向は良しとしても、EVを販売するにはこうした反EVの世論をまずは払しょくしなければならず、それにはとてつもないエネルギーが必要で、長い時間がかかるだろう。マーケットは反EVであり、マーケットを舐めてはいけない。このままでは、絶対に日本でEVは売れない。

それだけではなく、今後に大きな問題となっていくエンジン車の開発停止、EV開発の推進、生産等に伴う業務転向、解雇等の労働問題にも、大きな影響力を持つのではないだろうか。「あのトヨタだって……」という言辞が良くも悪くも、労働現場で、協力企業との交渉の場で使われるに違いない。

これはトヨタとて免れる問題ではなく、EVネガティブからEVポジティブへの転向について、いずれ職種転向、解雇等に遭遇する(エンジン開発、生産も含めて)トヨタで、そして自動車産業で働く人たちに丁寧な説明が必要だろう。

EVシフトへの根拠と矜持を示す必要がある

そのような場面では、何を根拠にEVポジティブに転向するのか、説明する必要があるのではないだろうか。

これまで多くのカーメーカーのEV推進宣言を聞いてきた。もっともほとんどがヨーロッパのメーカーだが……。メーカートップの挨拶の冒頭は、必ずと言って良いほど「地球温暖化・気候変動」が困難な状況にあることの認識を示し、それに対する自社の責任を開示してきた。そして、自動車によるCO2排出量が世界の20%に及んでいることに触れるのが常であった。さらに、必ずや「わが社の自動車から排出するCO2をゼロにし、自動車を未来に存続させる」といった旨の力強い宣言が加えられるのである。

もちろんエネルギー問題の解決や、充電インフラの整備といったことへの対応も示される。たとえばBMWは、2013年にi3の生産・販売を始めるにあたって、生産拠点のドイツ・ライプツィヒの工場に巨大な風力発電機を2基設置した。また、軽量化のためにCFRPを使っているのだが、大量の電力を使うCFRPの生産に当たっては、北米の水力発電のある地域に生産工場を建設して、CO2ゼロを達成していることも発表した。

私はこうした宣言を聞くたびに、彼らには自動車生産者としての矜恃を感じてきた。そして自動車を愛する者の一人として、ともに地球と自動車を守ろうと思ってきた。振り返れば、これはもう10年ほども前の話である。

残念ながら今回のトヨタの発表で、地球温暖化・気候変動と、それに対する自社の責任に関する話の内容は乏しい印象だった。近いうちに、EVシフトの理由について、世界各国の政策や市場の変化、他メーカーの動向といった自らの企業としての生き残りに関することだけではない、トヨタとしての矜恃を感じられる話を聞きたいものである。

(文/舘内 端)

安川様

少し時間が空きましたが、返信ありがとうございました。

このブログに何度かコメントし、記事も読ませていただく中で、感覚として色々思うことがありまして、少し質問をさせていただきたいと思います。

ブログのベースとして取り上げておられる各種記事を見ていますと、まるであと数年の間に世界中がEVになるかのような勢いを感じるのですが、私にはどうもそうは思えません。

私に対する安川様の返信には、各種の裏付けのあるデータや資料を添えて返信いただいているので、感想的な内容しか書かない私がとやかく言える立場ではないのですが、もし本当に皆さんが主張されている内容のとおりであれば、現時点でももっとEVは売れていいと思うんです。

でも現実にはそこまでいっていない。中国で爆売れがあったかと思うこともありましたが、補助金がなくなると途端にメーカーが倒産し、こんなに捨てるのかと思うほどEV墓場が現れる。

本当にユーザーにとってメリットがあるならば、ひと頃のスマートフォンのように、各国政府が本腰を入れずとも、爆売れすると思うんです。

たしかにEVはスマホとは違い、高価な品物です。また充電設備を必要とします。一方でスマホは無線電話ですから、基地局がないと使えません。

で、世間がどうしても「EVがほしい!」となったとしますと、スマホのときに「もっと基地局を増やしてほしい!」というのと同等の熱量で「もっと充電設備を増やしてほしい!」「もっと安価な充電設備を販売してほしい!」的な動きがあってもいいと思うんです。しかし現実にはそんな声はありますが大きくはない。騒いでいるのは国や自治体ばかりです。

とりとめのない文章になり申し訳ありませんが、一般市民レベルでEVがあまり大きな声にならないのはどうしてだと思われますか。各国のユーザーがここまで慎重になる理由はなんだと思われますか。

polaris様、再度のコメントありがとうございます!

疑問に思われている点はごもっともだと思います。そしてその回答は思ったよりシンプルです。それは、各社、生産規模を拡大するのに苦労している、それだけだと思います。

本日時点で、例えばRAV4 PHVは納期が非常に長くなっています。テスラモデル3は在庫車(新車で、今すぐ売れる車)がほぼゼロ、新車をオーダーで3-4か月待ち。モデルYは他国優先で日本への導入は世界で最後、まだ発売すらされていません。

他のメーカーも同様。私は日産アリアを注文していますが、現時点で注文〜納車まで9か月です。

https://blog.evsmart.net/nissan/ariya/nissan-ariya-b6-limited-order/

知人がメルセデスEQAを数ヶ月前から正式注文していますが、現時点で夏までの納車は絶望、納期未定です。

トヨタさんも今年のbZ4Xの生産予定台数はわずか6万台、来年もわずか5万台です。流石にそのくらいは売れると思うので、「作れない」か、または「利益がまだ出せない」レベルと思われます。天下のトヨタさんですから恐らく前者でしょうね。専用の電池工場への具体的投資やEV専用組み立て工場のアナウンスもあまり聞きませんし。

ものがなければ、買えないということです。電気自動車は、作ったぶんだけ売れていく状況ではないでしょうか。

本気ならDに急速充電器を早々に設置して欲しい!

トヨタは補助金申請は1件も出してないらしいけど天下のトヨタ!そんなもの当てにしてないよね。

同感です。

私もあの発表会には違和感を感じていました。

業界のリーダーとして世界を引っ張る責任のある宣言と行動を期待したいです。

脱炭素についていけない国や個人のために内燃機関を選べるようにするのではなく、そのようなユーザーに対しても脱炭素できるように、電源や材料調達、廃棄まで含めて2030年までにこれこれを実現します。という宣言が聞きたいです。

このままでは2030年以降も販売されてしまった内燃機関車が中古として途上国で2050年以降も流通し続けてしまうことの責任を業界のトップとしてどのように考えているのか疑問になってしまいます。

やっと日本のEVを語って欲しい方の寄稿をネットで読む事が出来ました。

人とクルマの関係、人のクルマへの関わり方も変化しないと環境への対応が出来ない時代になって来ましたね。

発表会でのトークは別として、様々な所でカーボンニュートラルへの取り組み、水素をはじめ多様なソリューション、国家のエネルギー対応、ウーベンシティの挑戦などを語ってきた。それを踏まえてのEV戦略の話でしょう。大変革時代のトヨタの取組は他のメーカーをはるかに凌いでいると思われるけどね。

宮本様、コメントありがとうございます。一点だけ補足いたします。

>トヨタは補助金申請は1件も出してないらしい

レクサス様の急速充電器は補助金対象になっていないようですが、トヨタ販売店様にある普通充電器は多くがCEV補助金を受けて設置されています。

最近はそうでもなくなりましたが、従来のCEV補助金は外部から供給した電力だけで走れる距離で計算されていたにもかかわらず、PHVが優遇されるような金額となっていまして、特にアイミーブは酷いものでした。

(過去には他にもPHVに忖度した様なキャンペーンもちらほら)

トヨタがEVにも舵をきった今後は、平等に補助されることを期待しています。

館内先生のコメントを待っていました。

日本市場においては先生のおっしゃられるようにトヨタさん(&私感では某電器大手)は国内EV普及に対しニュートラルではなくネガティブであったことは否めない事実です。EVアレルギーを広めることに腐心することなく今後は少なくとも諸外国並みの普及となるべくリーダーシップをとることに期待したいです。

先日のトヨタの転向宣言には違和感を覚えた人が多いと思います。

トヨタディーラーに行くと「航続距離400km以下のEVは使い物にならない」「今のEVは電池がすぐに劣化する」(だからトヨタが出すまで待った方が良いという意味らしい)などと言われます。トヨタのみならず多くの自動車メディアが同じ論調です。

EV普及率が1%にも満たない日本でこのようなネガティブキャンペーンは異様な感じがします。やはりトヨタの影響力は絶大と言わざるを得ません。

気になるのはトヨタのEV が売れ出したとき「うちは元よりEV導入に熱心でした」と胸を張る責任者の姿が目に浮かぶことです。すでに類似のコメントも散見されます。

責任感と矜持、舘内さんがおっしゃるようにこの二つを肝に銘じて欲しいと思います。

トヨタのEV本格参入の発表は世界市場に向けたものであって、日本市場向けではないと思うのですが。

トヨタは世界企業なのですから市場規模からするとそう見るのが普通なのに、なぜか井の中の蛙のような論理が多いように見える。

エンジンに頼らざるをえない電源の確保が難しい国や途上国、特殊事情の日本、ヨーロッパの錬金術でEVに舵を取っている先進国、その全てに応えるのが世界を股にかけて商売しているトヨタの答えでは。

トヨタの全方位戦略って地域の事情に合わせて車を提供するということなので、たんなる現状追認ですよね。これに対して、EVに消極的という周りからの批判が強いので、とりあえずBEVの販売目標を発表したのだと思います。EVシフトも現状追認のひとつで、そもそもトヨタには「EVシフトへの根拠と矜持」というものはないと思います。これだけやってEVシフトが十分でないといいうなら、何をすればいいのかという一種開き直りと思われるCEOの言葉がそれを示しています。

しかし、現在のBEVが魅力的かと言えば、必ずしもそうではないと思います。少し燃料代(電気代)は安いけど、新車であれば車体価格が高いので相殺されてしまいます。モーターの優れた走行性能と言っても、モーターで走る車はバッテリEVだけではありません。充電で不便になり、長距離走行で不安になる。製造まで考えると、日本では他の電動車とCO2削減が変わらないとなるとHVやPHTVでもいいのではと考えるのはもっともです。それでもBEVはガソリン車や他の電動車よりも優れていると思いますが、その能力を発揮するのはほぼ完全に自然エネルギーを利用したエコ社会が実現してからだと思います。また、現在の車は待機時間が多く無駄が多いので、完全自動運転で配車サービスやカーシェアが普及して、所有から共有へと社会の仕組みが変わってからだと思います。おそらく、これから資源価格が低下するとは考えにくいので、BEVの価格が急激に下ることはないでしょう。しかし共有になれば、一人あたりのコストを下げることができます。所有しなくなれば、個性的な車を作る必要もなくなります。無駄がなくなり社会的利益は大きくなります。ただこういった社会にするには、国の強い力や大幅な制度変更が必要です。今の日本はそこまではないので、結局ややBEVが増えるというところに落ち着くのではないでしょうか。残念ですが。

seijima様、いつもコメントありがとうございます!

私見ですが、BEVには車両と充電インフラがセットになります。またトヨタさんがいつもおっしゃっているように、台数が出ないとやったことにならない、すなわちコンプライアンスカーは意味がないということだと思います。

この点で、レクサスUX 300eは、ご発言と実態が全くかけ離れていると考えています。「EVシフトが十分」とは、BEVをある程度の台数販売できる準備が整い、安心して使える充電インフラへの投資を行うことをいうのであって、そこには全く到達できていないし、今回のトヨタさんの発表にも、そこ点は一つも含まれていません。この点で、「矜持」が足りない、ということを著者は述べたかったのではないでしょうか。

またいくつか、私とは意見が異なる点があるように思います。

  1. 配車サービスやカーシェアが普及し、共有へと仕組みが変わる?私はそうならないと思います。今でもカーシェアはどこにでもありますが、ぐんぐん伸びているわけじゃないです。

https://www.carsharing360.com/market/quarter/

自動運転になればタクシー代わりに、ということにはなりますが、誰もドライバーが乗車していない車両で、マナーが保たれるとは私は思いませんし、個人のものを一切置いておけないファミリーカーというのも想像できません。あくまで公共交通機関として主力にはなると思いますが、完全に置き換わることはないのではないかと思います。個人的に、根拠がなくて恥ずかしいのですが、シェアになるのは今の車両の30%以下くらいでしょうか。。

  1. 資源価格。現時点ではリチウムイオン電池は増産の一途を辿っており、まだ鉱山側は投資を拡大していない状況にあります。これから鉱山側の投資が拡大すれば、コストは下がっていきます。また今の電池製造は工場があり、そこでは加工された原材料を処理して電池を作っていますが、今後はここに採掘された原石を運び込んだり、逆に電池工場を資源国内に作るなどのアプローチも出てくると思います。電池製造のオートメーションも、まだ完全には完成しておらず、電池をシャーシに組み込む取り組みも始まったばかり。このほかに、電池がシャーシになると車両製造において不要になる工程はたくさんあり、そこはコスト削減も可能ですし、BEV化により販売店が要らなくなることで、販売側のコストダウンも見込めます。私は、一般用すなわちプレミアムではない実用品としてのBEV(商用車含む)の価格は数年で、急激に下がることになると考えています。

おっしゃる通りだと思います。もうすでに、つい最近までEVにネガティブな記事を書いていたメディアが一週間かそこいらで「トヨタのEV本気度」みたいな記事書き始めてますからね。呆れてしまいます。

テスラのマスク氏、リビアンのスカリンジ氏など、スタートアップのトップは消費者や社員をエキサイティングにさせるのが、たとえそれがホラであったとしてもとてもうまいと思えるのですが、巨艦トヨタの「重責」なのか、章夫氏は敷かれた盤石のレールから一歩も出ようとしません。日本はともかく、海外はもうそれでは無理そうですよ、章夫社長。

コメントありがとうございます。カーシェアについてですが、東京都の調査で2010年と2019年の自動車の利用実態を比較したものがあります(注1)。

それによると、2019年は2010年に比べて、自動車の保有者が7.6%減少しています。一方、平日の利用日数は週に1回かまったく利用しない人の割合が4割を超えています。車の購入、維持には多額なコストがかかります。これからも自動車の保有者は減少するでしょうし、もし完全自動運転のカーシェアが出現したら、そちらに乗り換える人はかなりいるのではないでしょうか。カーシェアの問題点は、車を取りに行ったり、乗り捨てができず不便なことです。これが解決できれば、利用者は増えると思います。現在のカーシェアの利用を見ると、遊びや行楽が6割以上とダントツの1位。車を利用して遊びに行く場合、ドライバー担当は運転を強いられ楽しくありません。アルコールも飲めない。むしろ、行楽利用の土日ほどカーシェアが利用されると思います。これは東京の話ですが、地方の大都市も同じ傾向だと思います。

一方、成長力を失った地方圏では公共交通機関が廃止されたり、減便されたりしてますます不便になっています。平成以降の約20年でみると、地方鉄道は平成元年の約79%に、バスは約54%に、国内旅客船は約62%にまで減少しています(注2)。そのため、地方の自動車保有者は増えています。しかし、高齢化で免許を返納する人も増えるでしょう。収入がある人は、完全自動運転のEVを購入する人もいるかもしれませんが、平均的な年金生活者が高額な車を購入するのは困難です。そうなると、ますます不便になります。そのため、完全自動運転のカーシェアや配車サービスの利用者が大幅に増えるのではないでしょうか。地方の交通機関や大型のショッピングセンター、ベンチャーなど様々な企業がカーシェアビジネスに進出すると思います。日本人の所得は年々減少しています。家計に厳しい出費はできるだけ抑制しようという方向に進むと思います。

(注1)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/27/01_01.html

(注2)https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h20/hakusho/h21/html/k1132000.html

EVの普及を阻止するためにアメリカの政治家に賄賂をばら撒いていたトヨタだけにその心変わりの早さに呆れると同時に懐疑的でもあります。

好きこそ物の上手なれといいますが、10年以上EVの可能性にかけてきたテスラや日産の作るEVに、嫌々作るトヨタのEVが適うのかお手並み拝見と言ったところです。

seijima様、コメントありがとうございます!はい、おっしゃる数字はその通りだと思いますし、傾向もその通りだと思います。

しかし私はこの傾向が続くとは思っていないです。理由は前回のコメントで述べたとおり、

・時間的な利便性。利用者が増えれば思った時間に使えないことも多いが、案外子供の送り迎え・夕飯の買い物など、仕事より、家庭の用事のほうがタイムクリティカルな用事は多い

・家族に子供がいる場合、チャイルドシートの対応や安全性。チャイルドシートはあればいいというわけでなく、信頼して命を預けられるかどうか

・綺麗さ。無人のシェアカーでマナーが保たれるとは思えない。掃除をしていない繁華街の駅くらいの汚れ方になるのでは

・荷物。釣りに行くのが趣味の方なら釣り道具、スノボ、海水浴、キャンプ、、道具を積んでおきたいというニーズは根強い

これらの自動運転シェアカーにおけるネガティブ点を、seijima様がご提示くださった「圧倒的なコストメリット」を上回るかどうかが、将来のシェアを決めてくると思います。

欧州の自動車メーカーのEV推進宣言。

>メーカートップの挨拶の冒頭は、必ずと言って良いほど「地球温暖化・気候変動」が困難な状況にあることの認識を示し、それに対する自社の責任を開示してきた。そして、自動車によるCO2排出量が世界の20%に及んでいることに触れるのが常であった。さらに、必ずや「わが社の自動車から排出するCO2をゼロにし、自動車を未来に存続させる」といった旨の力強い宣言が加えられるのである。

しかし、上記宣言はあくまでも建前であり、彼らに自動車生産者としての矜恃はありません。

11月のNHKスペシャルで「EVシフトの衝撃〜岐路に立つ自動車大国・日本〜」を皆さんご覧になったでしょうか。

EV化が世界の潮流といわれる中、番組の開始早々に出てきたキーワード「日本メーカー外し」。

これが欧州を中心とするEV化の本質だと私は思っています。

放送途中の、ルノー(フランス)の会長の言葉には、思わず笑ってしまいました。

「EUのような規制はすぐに世界に広がるに違いありません」

→ 未だに自分たちが世界の中心だと思っているのでしょう。

「政府も民間企業も産業を我々の国に取り戻したい。そうした意識を強く共有しています」

「EV化を進めることで、我々は世界の自動車産業の中心に返り咲けるのです」

→ EV化を進めることで地球環境をよくします。とは言わないわけです(笑

欧州の態度は、自国の産業を守りたいだけのようにしか、私には見えません。

米国や欧州では、EV化に向けた動きが活発化していますが、10年前までは、そんなことは1ミリもありませんでした。

米国が動き出したのは、カリフォルニア州がガソリン車の販売に対する過激な州法を成立させたからであり、欧州が動き出したのは、VW(フォルクスワーゲン)が、ディーゼル車の排ガスの不正問題で、不正車の買い戻し費用や罰金、集団訴訟の和解金などで、合計約147億ドル(約1.5兆円)を支払うことになり、ディーゼル車に対する信用を地に落としてしまったからです。

それまでにおける世界の自動車排ガス公害に対する考え方は、地域によって異なっており、日米ではNOx対策が中心でしたが、欧州ではCO2対策が中心でした。

このため欧州では、PMの排出さえ抑えれば、ディーゼル車のほうが環境に良い、との考えのもとに、ディーゼル車が多く販売されていたわけです。(ディーゼル車はガソリン車よりCO2排出量が少ない)

自動車雑誌でも、欧州べったりの自動車評論家などは、「日本はHVだの何だのとやっているが、欧州は既存のディーゼル技術で環境問題を『解決した』」などと今から見ればふざけたことを堂々と論説していました。

個人的には、彼らが現状をどう考えているのか聞きたいくらいです。

その後、前述した状況変化により、特に欧州では、HVをすっ飛ばしてEV化に邁進していますが、彼らがEVにシフトしている本当の理由は「HVよりEVが環境に良いから」ではなく、長きにわたってHV技術を蓄積している日本には、逆立ちしても勝てないからです。(初代プリウスの発売[1997年]は、既に25年も前のこと)

再生可能エネルギーでの発電も云々されていますが、日本では、中東のように広い砂漠に太陽光パネルを並べておけば何とかなるお国柄でもありません。

台風も来ないオランダのような貧弱な風力発電を行うわけにもいきませんし、国民感情的に見れば、フランスのように原発を活発に稼働させるわけにもいきません。

また日本は、ノルウェーのように水力発電の宝庫というわけでもありません。

諸外国に比べて異常気象の多い日本で、安価で安定的な電力を国民に供給するには、ベストミックスが最善の方法だと私は思っています。

欧州もこういう日本の発電事情の実情を見抜いているのだと思っています。

その上で、仮に日本が安価で超高性能なEVを製造しても、製造に要した電力が火力を中心とした、いわゆる「汚い電気」であることを論い、そのような電力で製造されたEVを欧州では販売させない、あるいは関税障壁を上げることで、欧州の自動車産業を守ろうとしているに過ぎないのだと思っています。

欧州のEV化の最大の目標、それは環境に名を借りた「日本自動車産業の撲滅」だと私は思っています。

で、ついでにテスラも叩き潰したいんでしょう。

テスラは「石炭発電を中心とした汚い電力」が供給されている中国で主に製造されていますからね。

もっとも、テスラはアフターサービスの評判がボロボロなので、10年後に今の勢いがあるかどうかもわかりませんが。生活を支える耐久消費財を販売しているという感覚が希薄なのかもしれませんね。

ただ、テスラと日本メーカーの双方を叩き潰せる段階が同時に到来したら、欧州はまず日本を叩き潰すでしょう。

日本は有色人種ですから。

日本人が考えているほど、欧州の人種意識は進んではいませんよ。

>もっともこうして日本がEV化に後れを取っている間に、欧州、米国では最新のEVを開発し、電池工場を各地に建設し、ノルウェーのように新車販売の70%ほどを占める(2021年11月の新車販売におけるEVシェアは73.8%)までにEV普及率を高めている国さえ出てきた。そして、ここがもっとも重要なことだが、かの国では国民・マーケットにEVアレルギーはなく、EVさえ開発して発売すればマーケットはすぐに反応し、販売は好調に伸びていったのである。

欧州メーカーと日本メーカーとでは、抱えている主要市場が違います。

欧州メーカーの主要市場は、①欧州、②富裕層です。

だから、EV比率を簡単に上げることができるのです。

南米、アフリカ、東南アジア、南アジア、ロシアなどは、すでに日本が市場を支配し、欧州のシェアは微々たるものです。

このような国々では、下手をすると生活を維持するために必要な電力すら十分にないことが往々にしてあります。

そのような地域にEVを販売することに何の意味があるでしょうか?

長くなりましたが、周辺事情をよくよく考えて発言する必要がありますよ。