カーライフエッセイストの吉田由美さんが、エンジン車を含めて世界で最も売れたクルマ(2023年)となったテスラ「モデルY」の新型に試乗。フルモデルチェンジ(日本では2025年1月)を経て完成度がさらに向上。未来を感じたポイントを紹介します。
世界一売れてるクルマがフルモデルチェンジ

提供元:Tesla, Inc.
テスラの中でも最も人気の高いミッドサイズSUV「モデルY」。本国アメリカで2020年に発売されて以来、テスラで最も売れている車種。2023年には世界の乗用車販売台数でエンジン車を含むすべての車種の年間世界一に輝きました!
2024年には2位となりましたが、年間100万台超を維持。日本でも今年1月にはフルモデルチェンジした新型モデルYがデビューして、2025年1月〜7月の国内電気自動車普通車セグメント累計販売台数No.1を達成するなど、高い人気を誇っています。
新型モデルYは、さらりと、しかし確実に進化しました。アップデートされたモデルYは、フロントマスクを中心にエクステリアデザインを一新。走りや快適性、そして完成度が一段ステップアップした感じ。
シャープでクリーンなエクステリアデザイン

提供元:Tesla, Inc.
まずはエクステリアデザイン。シャープなラインと滑らかな面構成は先代のテイストを受け継ぎながら、細部の仕立てがより上質に。無駄を削ぎ落としたフォルムは空力性能にも貢献し、Cd値は0.23という驚異的な数値に。
また、フロントからリアにかけてのクーペのような流れるルーフラインが美しく、EVらしい静かさとクリーンさを体現しています。
横方向に広がるLEDライトバーを備えたフロントと、リアのクロスカーランプの中にTESLAのロゴが映し出されて印象的に。ちなみにこのクロスカーランプには、市販乗用車として初めてという拡散反射技術が採用されています。
インテリアは、いわゆる「デジタルミニマリズム」というものですね。物理的なスイッチ類はほぼなく、操作は全て15.4インチのセンターディスプレイに集約され、シフトレバーの代わりに、前進や後退などもこのディスプレイ内で行うので、最初は戸惑いますが、慣れてしまえばシンプルで合理的。

さらに操作は直感的にできる上、テスラ自慢のOTA(Over-The-Air=オンラインでアップデートしてくれる機能)で常に最新のソフトウェアに進化する点は、まさにスマートフォン的!
車内をより広く見せてくれるパノラマルーフのガラスにシルバーメッキコーティングが施され、遮光効率が26%向上したのもうれしいポイントです。
小気味いい加速はテスラならではの快感!
今回はデュアルモーターAWDのロングレンジに試乗。
最大出力は約441ps、0-100km/h加速は5秒を切る俊足ぶり。それでいて航続距離は635km!(WLTC)と、ロングドライブにも十分対応する実用性を備えます。アクセルを踏み込んだ瞬間に感じる加速は、EVならではの快感。
乗り込んでまず感じたのは、静粛性の高さと乗り心地の向上。新しいダンパーセッティングにより、これまでのやや硬い印象はソフトになり、街乗りでの上質感アップ! 路面の段差をしなやかに吸収し、SUVでありながらフラットで落ち着いた乗り心地を実現しています。テスラの中では最も日常に寄り添うモデルかも、と感じました。
ステアリングフィールも軽すぎず、電子制御の補助感が自然。重心の低いシャシー構造により安定感は抜群で、ワインディングではSUVを運転していることを忘れるほど。ブレーキの制御も滑らかで、ワンペダル走行の完成度が上がった感じ。
スーパーチャージャー&充電性能の高さが魅力
テスラといえば、急速充電インフラも充実しています。全国に拡大を続けるテスラスーパーチャージャーネットワークは急速充電が超高出力。アプリでルートと充電ポイントを自動計算してくれるため、EV特有の充電の不安はほとんど感じません。
また、テスラのスーパーチャージャーはどんどん増えていて、私が今回利用した横浜・みなとみらいのコインパーキング内に設置されているスーパーチャージャーでは、駐車場自体は有料だけど、係員がいる時間は1時間割引サービスが。こういった、きめの細かいサービスはありがたい!

今回の試乗では、あまり距離を乗れませんでしたが、充電は1回。
バッテリー残量49%からスタートして、20分で80%に。どこで充電してもテスラスーパーチャージャーなら安定した出力を確保できるのがうれしいですね。古い「テスラスーパーチャージャー」でも72kW か120kW 、設置数が多い新型の「V3」では最大250kWを確保しています。
CHAdeMO規格の公共急速充電器では残念ながらそうはいかず、どこか行った先で充電する場合、充電場所とともに最大出力も確認しなければならない(出力50kW以下の低出力器が多い)のも、ちょっとストレスを感じます。その点はテスラが一歩リードしていますね。
そして何より、このクルマが特別なのは所有後も進化すること。新しい安全支援機能や車内のエンタメ、AIによるオートドライブ補正など、OTAで次々にアップデートされます。
最近ではOTAができるクルマも増えましたが、これもテスラが先駆け。これにより、クルマは買った瞬間から古くなっていきますが、モデルYは買った後でも最新の機能になっていく……。この感覚はテスラならではかもしれません。

提供元:Tesla, Inc.
犬などのペットを車内に残して一時的に車を離れる際に、車内の温度を快適に保つ便利機能の「ドッグモード」や、「ブーブークッション」などのイタズラ機能はもちろん健在。
新しい「モデルY」は、これまで「EVは特別な存在」だったものを、日常の選択肢へとステージを上げました。
モデルYは、未来を実用に変えた身近なテスラのSUVなのです。
取材・文/吉田 由美






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