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アメリカのエレガントな電気自動車が日本にやってきた!【吉田由美】キャデラック「リリック」試乗レポート

アメリカのエレガントな電気自動車が日本にやってきた!【吉田由美】キャデラック「リリック」試乗レポート

2025年3月に日本発売されたキャデラックブランド初の電気自動車「LYRIQ(リリック)」に、カーライフエッセイストの吉田由美さんが試乗。アメリカを象徴する高級ブランドのEVはエレガンスでラグジュアリー。しなやかな乗り心地なのでした。

目次

アメリカン・ラグジュアリーのど真ん中

最近の電気SUVというと、「北欧風ミニマル」や「無機質クール」な感じのものが多い中、このキャデラック「リリック」は、まさにアメリカン・ラグジュアリーのど真ん中。私も初めてこのクルマを発表会で見た瞬間、「あ、このクルマ、ちょっと特別!」と感じました。

スッキリとしたデザイン、未来的なインテリア、静かな走り……。もちろんそこに、ブランドらしさや個性がトッピングされています。ブランド初のEVとして、押し出し感が強い印象。

まずはなんといっても見た目が華やか。ボディはまるで宝石をカットしたような面の構成。フロントグリルは、「ブラッククリスタルシールド」となっており、グリルというより、まるで光を吸い込む宝石の板のよう。細かいパターンの中にキャデラックのクレスト(紋章)が堂々と配置され、LEDヘッドライトと共に立体的な陰影を作り出します。

アメリカでは「光るグリル」の演出が話題になりましたが、日本仕様では静かに輝くブラックフェイスとして導入。派手さを抑えたことで、むしろ成熟したラグジュアリーを感じさせる大人っぽい仕上がりになっています。

そしてキャデラックといえば、縦のライト。この垂直の光が、ブランドの象徴です。リリックではそれを最新のEVデザインと融合させ、細く長く伸びるLEDが、まるで時を刻む光の柱のように夜道を照らします。

空力性能と圧倒的な存在感を両立

リアのデザインも迫力ものです! ガラスのような透明感を持つフルワイドLEDテールライトは、左右を貫くように配置され、点灯時は赤い光のリボンのよう。サイドから眺めると、リアピラー部分のクロームのアクセントバーが光を拾ってリリックの存在感を強調します。しかも日本仕様では流れるウィンカーを採用。

そして、サイドから見ると、空気を切り裂くようなクーペライン。こんなに存在感がすごいのに、EVらしくアンダーボディをフラットにし、エアカーテンやスポイラーを最適化した結果、Cd値は0.29と空力性能を実現。このサイズのSUVで、迫力のあるデザインを考えると、なかなか優秀です。

そしてなにより、存在感が凄い! まさに「走るラグジュアリー・ラウンジ」です。

インテリアも高級感満点

ドアハンドルは、フラッシュマウント式で、必要な時だけ飛び出てきます。

開けると広がるのがウッドとメタルの美しいコントラスト。そしてナビやメーターが一体化された広大な33インチのワイドカーブドLEDディスプレイが広がり、まるでデジタルアートの世界!

ステアリングの手触りや座席のクッション性、ウッドトリムの温もりが絶妙なバランスで共存し、機械的ではなく、人肌感覚とでもいうのでしょうか。大きくてソフトなシートは、座っているだけで、ラグジュアリーホテルのソファにでも座っているような感覚に包まれます。

柔らかいシートは長時間ドライブすると逆に疲れてしまうことがありますが、リリックは柔らかいのに疲れにくく、むしろ長時間ドライブの強い味方。シートはレザーではなく、サステナブルな素材「Inteluxe(インタラックス)」を採用。

しなやかだけど力強い乗り心地

試乗したのはAWDモデル。スタートボタンを押すと静かに「すっー」と動き出します。EVでは当たり前ですが、リリックは静かさの質が違う! って感じ。タイヤの音や風切り音さえも、どこか上品で心地いい。まるで走る音がBGMになっているような錯覚に陥ります。

圧倒的な静粛性は、次世代のアクティブノイズキャンセレーションの賜物。ノイズを検出し、逆位相でマスキング。音を音で制す……ですね。また、フロントガラスとサイドガラスは二重の合わせガラスになっているうえ、厚さが5mm! なるほど、静かで、防犯的にも効果が高そう。

ドライブした第一印象は、乗り心地のしなやかさに驚きました。SUVなのに、サスペンションの動きがまるで上質なセダン。路面の継ぎ目も「トントン」と小気味よく優しくいなしてくれます。

そしてアクセルを少し踏むと、風のような加速。モーター特有のリニアなトルクがグッと押し出してくれ、アメ車らしい大らかさとパワーをしっかり両立しています。その力強さは、最高出力384kW、最大トルクは610Nm。荒々しくなく、しっとりした加速感。なるほど、これが「キャデラック流の電動パワーなのか」と納得。

前後それぞれの車軸にモーターを搭載する「eAWDシステム」を採用し、前後モーターを独立して制御。4種類のドライブモード、「ツアー」「スポーツ」「スノー/アイス」「マイモード」があり、それぞれトラクションと安定性を考慮。

ブレーキフィールも秀逸で、回生ブレーキを強めに設定すると、ワンペダルドライブとなります。最初は少し違和感を感じるかもしれませんが、慣れてくるとこれが楽しい~♪ とくに、ストップ&ゴーの多い街中でスムーズにリズム良く走ることができます。ブレーキペダルを踏む回数が減り、疲労軽減にも役立ちそう。

急速充電も試してみました

そして今回は高速を使ったドライブも。仕事で東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアに行く用があり、約100kmの高速ドライブ。

時速100km/hを超えても静粛性は圧倒的。足回りも秀逸で、5リンク独立サスペンションが絶妙に路面をいなしてくれます。路面の段差も軽く受け流す感触はアメリカ車の新時代を感じさせます。

バッテリー容量は95.7kWh。WLTCモードの一充電走行距離は510km。

今回のドライブで行った充電は1回。最初は航続可能距離表示412kmからスタートし、今回の走行距離は314kmで、充電前のバッテリー残量は19%になりました。

充電は都内・芝公園にある実証実験でパーキングメーターに設置されているCHAdeMO規格で最大出力50kWの急速充電器を利用。30分で航続可能距離は209km、バッテリー残量は41%に増加。

ディスプレイ中央にリリックの姿を映し出し、充電時などにはそこに大きな光のバーでリリックの電池残量がわかるような演出がなされているのも面白い。

サイズは全長4996mm、全幅1977mm、全高1623mm、ホイールベース3085mm、車両重量が2650kg。

日本で立体駐車場は入らないことが多いだろうし、狭い道ではちょっと苦戦するかもしれませんが、やはりアメリカン・ラグジュアリーは素直にカッコいい!

取材・文/吉田 由美

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この記事を書いた人

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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