世界的にEV(電気自動車)市場の減速が指摘されるなか、世界最大級のテクノロジーイベント「CES」では何が起きているのか。一昨年、昨年に続き3年連続で現地を訪れた筆者が、その最新トレンドをレポート。後編では「充電」に注目します。
「充電ロボット」ソリューションの急増に驚き

前編では自動運転車を中心に紹介し、今年のキーワードとして「AI・自動運転・ロボット・NVIDIA」を挙げた。そうした潮流はEVにも及びつつあり、本稿では「ロボット化された充電インフラ」と「プラグ&チャージ(PnC)」にフォーカスする。
筆者にとって、CESでここまで充電ロボットが増えていたのは意外だった。むしろCES 2024では、米WiTricity(ワイトリシティ)がワイヤレス給電システムを展示しており、筆者自身も日本で自動車技術会ワイヤレス給電技術部門委員会およびEVワイヤレス給電協議会に関わっていることから、今後はワイヤレス給電が広がる可能性を感じていた。昨年(2025年)発表のポルシェ・カイエンEVでもオプション採用が予定されていたことも、その予感を後押ししていた。
ところが今年のCESでは、ロボット化された充電ソリューションが複数展示される一方、筆者が見た範囲ではEV向けワイヤレス給電の展示は確認できなかった。
ジゴワッツがカメラによるPnC実現をアピール
CENTRAL HALLでは一部大手家電メーカーが蓄電システムやV2Hを展示していたが、本稿では自動車関連が集まるWEST HALLに絞ってレポートする。

まず日本勢として、企業のフリートや戸建て住宅向け普通充電器などを中心に展開するジゴワッツ(Jigowatts)が出展していた。日本最小をうたう超小型のケーブル付き普通充電器「Ella」は、認証機能を内蔵し、Ethereumネットワーク接続によりスマートコントラクトを用いた自律型の認証・課金インフラ構築も可能なモデルだ。
さらに「Nadiya」は各種オプションモジュールを装着できる。たとえばカメラモジュールを追加すれば、ナンバープレート読取により車両側に特別な機器を付けずにPnCを実現できることをアピールしていた。そのほかミニディスプレイ、NFCリーダー、RS-485経由でエネルギーマネジメント用電流センサーを接続するなど、拡張性も高い。柴田知輝社長によれば、北米市場での展開を視野に入れたうえでのCES出展とのことだった。
全固体電池搭載の可搬型急速充電器

次に、台湾ProLogium Technology製バッテリーを搭載した可搬型充電器を展示した九州電力である。ProLogiumのバッテリーセルは全固体電池で、セルは台湾で製造し、立ち上げ中の北九州工場でモジュール化とパック組立を行う。主に建設機械向けの可搬型急速充電器として、パートナー企業の日立建機で既に採用が始まっているという。今後は非常用電源、イベント用電源、可搬型EV急速充電器としての利用も想定しているとのこと。全固体電池ではあるものの、寿命(サイクル数)は三元系リチウムイオン電池と同程度の約3000回と説明を受けた。

ユニークな事例として注目したのが、フランスgulplugの充電システムだ。これはワイヤレス給電でも一般的なコネクタ式でもない。地上側に直径約50cmの送電部を設置し、車両側にはケーブル付き直径約5cmの受電部を装備。受電部を送電部中央に落とすと磁力で適切な位置に自動的に収まり、充電が開始される仕組みだ。V2Gにも対応し、ワイヤレス給電方式に比べて安価である点がメリットだという。
●参考資料(PDF)

欧州勢では、ドイツP3とイタリアAlpitronicによる急速充電器が印象的だった。CHAdeMO、NACS、CCS1/2、GB/Tに対応し、PnC機能を備えたマルチスタンダード対応機で、写真のモデルは400kW級。PnCがいよいよ本格普及段階に入ってきた手応えを感じる展示だった。
自動充電ロボットに注目

ここからはいよいよ充電ロボットである。まず中国のAUTEL。CESでは毎年EV充電器を出展しているが、今年はKIA EV6と組み合わせた自動充電ロボットを展示。車両の充電ポート位置を認識し、自動で充電プラグを挿入するデモを行っていた。

HYUNDAIの自動充電ロボット。
韓国のHYUNDAIは、前編で紹介した自動運転サービスMOTIONALのIONIQ 5とともに自動充電ロボットを展示。自動運転車がガレージに戻り、自らの判断で自動充電まで完結する姿は、これからの自動運転車のひとつの完成形を示しているように見えた。
ちなみに昨年のCESでは、ZEEKRのブースでも自動充電ロボットが披露されていた。こちらも自動で充電リッドが開き、ロボットアームがプラグを挿し込む仕組みだ。

このように、さまざまな充電ソリューションが出展されていた一方で、MCS(メガワットチャージングシステム)は今回のCESでは確認できなかった。北米や欧州の商用車ショーでは頻繁に見られるが、少なくとも現状の乗用車向けとしては、MCSは「出力過多」と捉えられている可能性もあり、用途による使い分けが進んでいきそうだ。
取材・文/福田 雅敏






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