【動画あり】ヒョンデ IONIQ5 徹底チェック〜EVへの給電や静粛性などをリーフ&モデル3と比較!

日本でも話題沸騰中のヒョンデのIONIQ5(アイオニック5)。V2L機能を使って他のEVに給電したり、V2H(Vehicle to Home:車から家へ給電)が実際に動くのか確認、さらに日産リーフ、テスラモデル3との静粛性比較など、徹底チェックのレポート動画を公開しました。

【動画あり】ヒョンデ IONIQ5 徹底チェック〜EVへの給電や静粛性などをリーフ&モデル3と比較!

ヒョンデIONIQ5からEVへ給電・静粛性比較!日産リーフ・テスラモデル3を使って試してみた!
(YouTube)

IONIQ5からモデル3へ給電

IONIQ5は100V16A=1.6kWの電源を取り出すことが出来るV2L機能が備わっています。運転席側の車体後部に設置されている普通充電口に専用のアダプターを取り付ける、または後部座席足元のコンセントから電源が取り出せるようになっています。

結論から書くとIONIQ5からモデル3への給電は成功しました。しかしながらテスラ純正の充電ケーブルであるテスラモバイルコネクターはアースエラーが出て充電不可。実際に試していませんが、おそらく日産のケーブルでもアースエラーが出るはずです。今回使用したプリウスPHV用のケーブルは100V充電の場合アース不要なので問題なく充電が出来ました。しかし、このケーブルは100V6A=600Wでしか充電が出来ないため注意が必要です。

車内コンセントは物理キーを使ってロック可能。

もちろん車への給電に限らず、電気ケトルなどの家電も問題なく使用できます。IONIQ5のような電気自動車があれば災害時でも安心です。

IONIQ5でV2H実験

IONIQ5は輸入車であるにもかかわらず、ニチコン製の機器を通してV2Hが使用できます。とはいえ車両はまだ正式販売前なので、実際に日本で使うことが出来るのか気になるところです。

公式サイトから引用

千葉県睦沢町でV2Hを導入している総天然素材革工房 革榮さんにお邪魔して実証実験しました。敷地内に革製品を扱う工房と自宅があり、屋根には13kWのソーラーパネルを設置しニチコンのEVパワー・ステーションと日産e-NV200を用いてV2Hシステムを構築しています。

使用機器:ニチコンEVパワー・ステーションVCG-666CN7

早速IONIQ5を繋げてみると、何の問題もなく太陽光で発電した電気を5kWでIONIQ5へ充電することに成功。今度は逆に家中の家電をフルで使用し太陽光発電量<消費電力となるように調整。するとIONIQ5から家への給電が自動的にスタートしました。

ヒョンデの日本再上陸に対する本気度をひしひしと実感。

今回使用したIONIQ5には72.6kWhのバッテリーが搭載されているので、一般家庭での一日あたりの使用電力量を12kWhと仮定すると、最大6日間程度の電気を供給することが出来ます。

テスラウォールコネクターからIONIQ5へ充電

次はテスラ純正の家庭用充電器ウォールコネクターからIONIQ5へ充電してみます。先端がテスラ専用のコネクターとなっており、そのままではIONIQ5に充電することは出来ません。今回は市販されている変換アダプター(Lectron – TeslaJ1772アダプター)を使って充電してみます。

提供元:Tesla, Inc.

結果、見事に充電成功。このウォールコネクターでの設定通り、9.4kWの出力で充電できてしまいました。すでにテスラウォールコネクターを設置している家庭でも充電設備はそのままにIONIQ5導入が出来る事が分かりました。なお、このアダプターは定格が最大40A(200V×40A=約8kW)までとなっているので、ウォールコネクター側の設定に注意する必要があります(今回は短時間の実験だったのでそのまま報告します)。

車外からリモコン操作

IONNIQ5はスマートキーを使って車両を遠隔操作する「リモートスマートパーキングシステム」という機能が備わっています。乗り降りが難しいくらい狭い場所へ駐車する時や駐車に自信がない人でも車外から縦列駐車・並列駐車を行うことが可能です。

静粛性

次は、静粛性の検証です。IONIQ5・モデル3・リーフで少し騒がしい場所に出かけて、社内のノイズレベルを計測してきました。

①地下駐車場
大黒パーキングエリア

結果、IONIQ5が最も遮音性高いことがわかりました。

①の地下駐車場内ではBGM+女性の声で常にアナウンスが再生されており、比較的高音域での環境音という状況。IONIQ5のドアを閉めた瞬間から耳につく高音はしっかりカットされ、静粛性の高さを感じることが出来ます。

②の大黒パーキングエリアは円を描くように高速道路が建設されているため、「ゴーー」という低めのロードノイズが常に聞こえてきます。数値上ではモデル3やリーフと比べて大きな差はありませんが、「バフッ」っとドアを閉めた瞬間に感じる遮音性はIONIQ5が間違いなくトップでした。

窓ガラス挟み込み防止機能

IONIQ5に乗って色々操作をしていると、窓ガラスが勢いよく閉まるのが少し気になりました。「さすがに挟み込み防止機能」は付いているだろうと思いつつも実験してみることに。

その結果、運転席・助手席は障害物を挟むと自動的に停止し、窓ガラスが少し下がります。後席は両サイドともに挟み込み防止機能は付いておらず、バナナは潰れ、人参は真っ二つに・・・

運転席からボタン一つでチャイルドロックを有効にすることが出来るので、子どもやペットを後席に乗せる場合はお勧めします。

まとめ

ヒョンデIONIQ5と日本を代表する電気自動車日産リーフ、テスラモデル3を使って様々なことを検証してみました。今回試乗したIONIQ5は「Lounge」と呼ばれる上から二番目のグレードでありながら549万円という電気自動車SUVにしては手に入りやすい値段設定です。

静粛性も高く、自動車線変更やリモコンによる遠隔操作など使い勝手の良い機能もフル装備。鉄などの原材料費が高騰しているので、今後予定されている新しい2022年モデルが発売される頃には値上げ必至と噂されています。気になる方はぜひチェックを!

(文/テスカス 写真/石井光春)

この記事のコメント(新着順)6件

  1. アイオニック5でニチコンEVパワー・ステーションV2Hは確かに充電・放電ができましたが、EVパワーステーションでは、ほぼ5.7kw程で充電されている表示、アイオニック5では5kw(時々6kw)の表示が出ますが、実際車に充電された量は5%/hで3.5kw程でした。それでも電気使用量は5~6kw/hになっています。放電は太陽光発電で全て賄えた時間帯でも2%減ってしまいます。実際に放電していなくても放電モードになっていれば2%1.4kw/h程減り続けます。
    ニチコンに問い合わせるとアイオニック5はヒョンデの申し出で対応車種リストから外したとの答えで、ヒョンデに聞いてくださいの一点張りでした。ヒョンデについてではなくニチコンのHP広告で対応車種として挙げV2Hの効果をうたっているので、これについてアイオニック5を対応車種にのせていたニチコンのHPの内容について虚偽があったのではないか聞きたいのですとお願いするとヒョンデに聞いてくださいのオウム返しでした。あまりにも酷い対応だったのでニチコンのHP広告についてヒョンデに聞くのですか?答えられますか?等、質問をすると無言でまたヒョンデに聞いてくださいの一点張りでした。最後には5分くらい無言が続き呆れて電話を切りました。
    ヒョンデに問い合わせると”「IONIQ 5」は800V仕様の高電圧バッテリーシステムを搭載しており、日本のV2Hシステムは400V仕様のシステムをベースに開発されております。したがって、V2H機器による充放電時には、800Vと400Vの変圧が必要になります。”
    ”変圧の際に約1~2kW程度の電力消費が発生することが確認されました。”という返答がありました。つまり充放電時には1~2kw/hが充電・放電に別に使われるということで、私の利用パターン(明らかに太陽光で使用電力が賄える時間以外は放電、深夜帯に充電)では電気代が2.5倍くらいになる計算です。
    以前からこの問題が上がってきていてヒョンデは現在、改善策を検討中との事でした。
    現状ではV2Hを使えば使うほど電気代が跳ね上がるという状態で、EVパワーステーションはただの邪魔で高価なただの箱となっております。

    1. masuhilo さま、コメントありがとうございます。

      IONIQ 5 でEVパワーステーション(V2H)利用の際の効率の件。ご指摘の通りと認識しており、改善策が見出されることを期待しています。

      とはいえ、V2Hで電気を出し入れする際の損失(効率の悪さ)は IONIQ 5 特有の課題ではなく、400V仕様のEVでもおおむね40%近い損失が生じていることを、以前、ご自宅にEVとV2Hを導入した飯田哲也氏が指摘されていました。
      https://blog.evsmart.net/charging-infrastructure/home-charging/zero-energy-house-isep-tetsunari-iida-executive-director-interview/

      このあたり、V2Hを他規格と比較したアドバンテージとアピールしているチャデモ規格(や関連機器)の側にも、進化の余地がある気がしています。

      EVsmartブログとしては、リアルなEVユーザー目線でさまざまな事象や不満、要望などをお伝えしつつ、より理想的なEV社会構築に少しでも貢献できれば、と思っています。

  2. 私は、テスラモデル3 ロングレンジを2022年3月に納車しました。
    今回の比較取材は、とても興味深かったです。ヒョンデも頑張っていますね。
    素晴らしいですね。別の視点では、日韓問題が根強く残っていますが、お隣ですし、
    他のアジア圏の国々と比べても政治的に国民同士でも仲良くしていきたい相手です。
    ココの雪解けが、日本への再上陸の鍵だと思われます。韓国の大統領や外務大臣の動きも注目していきたいです。韓国には、ヒョンデやサムスンという最先端技術を扱う企業が多いので、日本国民に抵抗なく入り込んで欲しいです。何よりも日本企業の尻に火が付けば良いんだけどとつくづく感じる今日この頃です。

  3. 非常に興味深いレビューありがとうございました。
    V2H対応と言うことは、補助金も80万円取得可能かと思いますが、IONIQ5は、V2H対応で認定されているのか気になるところです。
    後は、ヒョンデの耐久性等が気になるところです。
    私は、ヒョンデではないですが、大宇のマティスを所有していたので韓国車には、アレルギーはありませんので、IONIQ5も購入対象で考えようかと思います。

    1. Nally様
      経産省のHPを見ると、少なくとも令和3年度補正予算における補助対象車両にIONIQ5は含まれています。よって引き続き令和4年度の補助金対象にもなるかと思われます。

    2. Nally さま、コメントありがとうございます。

      詳細、別件で確認中ですが。
      令和3年度補正予算による「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」、上限が85万円に増額されて、すでにIONIQ5は補助対象車両リスト(下記リンク先の添付資料にPDFがあります)に掲載されています。

      https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/cev/cevr3/cevinfrastructure.html

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この記事の著者


					畑本貴彦

畑本貴彦

1986年生まれ。福岡県出身。テスラモデル3注文を機にテスラに関する情報を集めだすも、日本語での情報が少ないことに気づき、2019年からテスラ専門ブログ・フォーラム「テスカス」を立ち上げる。

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