ランボルギーニのPHEV『ウルスSE』に南イタリアで試乗レポート【吉田由美】

地中海の風を感じるイタリアの有名な試乗コースと南イタリアの一般道で、ランボルギーニの超人気SUVにしてプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの『ウルスSE』に試乗してきました! 電気自動車としての快適な加速とV8サウンドを、セレブ気分で楽しんだテストドライブレポートです。

ランボルギーニのPHEV『ウルスSE』に南イタリアで試乗レポート【吉田由美】

PHEVのスーパースポーツSUV

『ウルスSE』はウルスSをベースにしたPHEV。スーパースポーツカーとしてのパフォーマンスを保ちながらSUVとしての実用性と環境性能を併せ持つウルスの新たなフラッグシップモデルです。

今回の試乗会ではウルスSEの走りのパフォーマンスをさまざまな路面で体感するため、メインの試乗は南イタリアの有名なテストコース「ポルシェ・ナルド・テクニカルセンター」が用意されていました。

実車は、今年2024年4月24日に中国・北京モーターショーで世界初公開。約1か月後の5月23日に日本公開しているので確認済み。エクステリアデザインは一見、4.0リッター V8ツインターボエンジンのウルスSと「そんなに変わっていないように見えますが、「闘牛の尾からのインスピレーションを受けた」というライトシグネチャーや新しいデザインのバンパー、グリル、テールランプ、ディフューザー、バックドアのデザインなどが変更に。

車内では12.3インチのセンターディスプレイや新しいデザインのシート、パネル類、エアベントなどが変更になっていますが、エクステリア&インテリア共に「Y」のモチーフが増えた印象。「シンプル方向に向かった」とチーフデザイナーのミティア・ボルケルト氏が語るように、あえて大きな変更を加えなかったのかも。

迫力のV8サウンドも満喫できます

「世界一のテストコース」と呼ばれるコースで走行する期待感に心を躍らせつつ、まずは一般道走行。ウルスSEは620ps/800Nmの4.0リッターV8ツインターボエンジンと192ps/483Nmの電動モーターを搭載し、システム最大出力は800ps、総トルクは950Nm! 0-100km/h加速は3.4秒、最高速は312㎞/hという爆速。

駆動用バッテリーは容量25.9kWhのリチウムイオン電池を搭載し、EVでの航続距離は60km。もちろんその時はゼロエミッションです。しかも最高速130km/hまでEVでの走行が可能なので、ランボルギーニのスタンダードモード「ストラーダ」で一般道を走れば、ほぼエンジンをかけずに都市部でも田園のどんな道でも圧倒的な加速力と快適さを提供してくれます。

特に低速域では、電動モーターが静かにパワーを供給し、スムーズかつ静かな走行を可能。一方、「スポーツ」モードや「パフォーマンス」モードを選択すると、V8エンジンの迫力あるエグゾースト音が響き渡り、いわゆるランボルギーニらしいスリリングな走行を味わうことができます。

これらは状況によって使い分け可能で、ドライブモードには、ストラーダ(スタンダード)/スポーツ/コルサ(サーキット)/ネヴァ(雪)/サビア(砂)/テラ(オフロード)があり、すべての路面で最適なトラクションを提供。それぞれ「EV」「パフォーマンス」「リチャージ」の選択が設定可能。「リチャージ」モードにするとパフォーマンスを落とさず、走行しながらバッテリー充電ができます。これ、意外とすぐに電気がたまりますよ。

ただし、ガソリンは減りますが。そのあとで住宅地を走行するなどEVとして走りたいシーンがある際にはよいかも。

テストコースではドリフト走行なども楽しめました

そしてオフロードなどでの走りの体感は、お楽しみのテストコース「ポルシェ・ナルドテクニカルセンター」で。

南イタリア・プーリア州にあるテストコースで、今は「ポルシェ」の施設ですが、元はイタリアメーカーのものだったとか。700Ha以上の広さを持つ敷地の中に、全長12km以上の周回路。インフィールドには20以上のさまざまなコースがレイアウトされています。

ここ、とにかく入場規制が厳しくて、スマホのシリアルナンバーまで事前申請せねばならないほど。

まずはオフロードコース。1周2kmのグラベルコースですが、晴れた日のダートコースなので、「テラ」(オフロード)モードを選択。すると車高が75mm上がり、まさに戦闘モードに突入。

コースは高低差が大きく、タイトなコーナーが続きますが、ここはランボルギーニの4WDシステムの満喫ポイントでもあります。

ウルスSEには新しい電動トルクベクタリングシステムの「ハングオン」が搭載されていて、従来のトルセン式センターデフに代わり、電子制御の油圧多板クラッチを採用し、前後のトルク配分を高精度に調整。このシステムのトピックは、ドライバーの意図を予測し、駆動力を最適化する「ハングオン・インテリジェンス」。特にリアアクスルに搭載された新しい電子制御リミテッドスリップディファレンシャルがコーナーリング時に車両の挙動を先読みし、リアタイヤに適切なトルクを配分します。

これにより、ドリフトなどのダイナミックな走行が私でも簡単にできちゃう!(笑)そしてこのシステムはオンロードやオフロードを問わず、様々な路面状況に応じて、最適な制御を実現する魔法の装備。この「ハングオン」の性能が向上したことにより、ウルスSEは高いパフォーマンスと快適性を両立し、より魅力的になっています。

走りを支えるタイヤは専用開発23インチの「ピレリP Zero」。

パフォーマンスは上がったのに、環境にも優しいウルスSE、最高かよ!(笑)で楽しい試乗となりました。

取材・文/吉田 由美

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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