BMWがEVのエントリーモデル『iX1』を発売/充電費用込みの電気自動車専用リース提供開始

BMWが『BMW X1』を発売し、スモール・コンパクト・セグメント初の電気自動車となる『BMW iX1』をラインナップすることを発表しました。17日から受注を開始して、納車は2月下旬からを予定しています。また、電気自動車専用のリース・パッケージとして外出先での充電費用込みの「BMW iライフ・パッケージ」を提供開始することも発表しました。

BMWがEVのエントリーモデル『iX1』を発売/充電費用込みの電気自動車専用リース提供開始

BMWにとっては電気自動車のエントリーモデル

2023年2月17日、BMWが『BMW X1(エックスワン)』をフルモデルチェンジした新型モデルを発売し、BEVモデルとして『BMW iX1』をラインナップすることを発表しました。BMW X1はプレミアム・スモール・コンパクト・セグメントの位置付けで、BMWではSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んでいます。デビューから三世代目となる新型では、BMWカーブド・ディスプレイの採用をはじめ、ユーザー・インターフェースの大幅なデジタル化が行われたとしています。

X1のBEVモデルとなる iX1のバッテリー容量は66.5kWh。普通充電は8kW対応、チャデモ規格による急速充電は最大130kWの出力に対応していることが確認できました。

一充電走行距離は日本のWLTCモードのカタログスペックで465km。実用値に近いアメリカのEPAモード換算推計値としては約372kmとなります。

ボディサイズは「全長4,500mm×全幅1,835mm×全高1,625mm」とコンパクト。「xLine」と「M Sport」のバリエーションが用意され、車両本体価格はともに668万円〜。エンジンモデルよりも112万円高い設定となっています。安い! という価格ではないですが、生産終了した i3 に代わる、BMWの電気自動車におけるエントリーモデルとなります。

BMWの電気自動車ラインナップが充実

iX1 の発売で、日本に導入されたBMWの電気自動車は以下の7車種(公式サイトのモデル一覧に準ずる)になりました。価格順に並べてみます。

●BMW iX1/6,680,000円~
●BMW i4/7,910,000円~
●BMW iX3/8,620,000円~
●BMW i4 M50/10,810,000円~
●BMW iX/10,750,000円~
●BMW i7/16,700,000円〜
●BMW iX M60/17,400,000円~

さらに、プラグインハイブリッド車も4車種が揃っています。

●BMW 330e セダン/7,100,000円〜
●BMW 530e セダン/8,840,000円~
●BMW X5 xDrive45e/11,190,000円~
●BMW XM/21,300,000円~

さらに、今年の夏には「X5 xDrive50e」を導入予定とのこと。「Mモデル」を含めたリストであり、改めてBMWが高級車であることを再認識する価格帯ではありますが、いわゆる「フルラインナップ」でEVやPHEV=電動車の選択肢が揃ってきたことがわかります。

BMWでは、各車種シリーズでエンジンモデルに加えて、「i」の名を冠したBEVモデルを展開しています。「駆け抜ける歓び」をキャッチフレーズとするBMWならではの哲学は踏襲しつつ、BMWらしい電気自動車の魅力をパッケージしていると評することができるでしょう。

BMWのEVには、テスラ車のようにエンジン車の常識を覆す目新しさはありません。ただし、いわゆる「エンジン車と違和感がない」ことを標榜したEVのなかには、ユーザビリティに疑問符が付くような例もありますが、BMWの繰り出すEVは「BMWらしい電気自動車」に仕上がっている印象です。大手メーカーのなかではいち早く i3 を発売して試行錯誤を重ねてきたEV開発のノウハウが活かされているからのことだと感じます。iX1 にはまだ試乗できていませんが、気持ちよく走れる「プレミアム・スモール・コンパクト」EVにまとめ上げられているのだろうと思います。

BMWだけでなく、ドイツメーカーではメルセデス・ベンツも EQA、EQB、 EQC、EQE、EQS とEV車種のバリエーションを完成させつつあります。フォルクスワーゲンも日本に導入されたのはまだ ID.4 だけですが、欧州では ID.3 や ID.Buzz などのラインナップを展開。グループのアウディでe-tronシリーズ、ポルシェではTaycanといったEVモデルを発売しています。

最近、東京の街中では、テスラだけでなく、BMWやベンツ、アウディ、ポルシェなどの電気自動車を目にすることが増えました。欧州メーカーのEVは、今はまだ「高級車ばかり」ではありますが、フォルクスワーゲンが2024年には コンパクトカーセグメントのEVとして ID.2(もしくはID.Golf?)を2万ユーロ台前半(300万円程度)で投入予定であることが報じられています。

と、またぞろ日本の現状への愚痴になりそうなので世界のEVシフトを語るのはこのくらいにして……。

電気自動車専用のリース・パッケージ提供開始

iX1発売を発表した2月17日、BMWはiX1を対象とした電気自動車専用のリース・パッケージとして「BMW iライフ・パッケージ」を提供開始することを発表しました。

月額リース料には外出先の公共充電スポットを利用する際の利用料を含むパッケージは「業界初」。もっとも、日産ZESP2の「旅ホーダイ」も公共急速充電器は使い放題だったので、「充電代込み」という概念はすでに前例があったともいえて、個人的には「充電したら合理的に料金は払いますよ」と思っているので、実はあまり賛成できる方法ではないのですが……。

BMW iライフ・パッケージ では、契約期間を3年、4年、5年から選択。また、年間規定距離数は 6,000km / 9,000km / 18,000km から選択するということなので、充電料金も規定の走行距離内での利用に限られることになります。

公式の案内では、4年リースで月額リース料が57,700円(税込)となる例が紹介されています。


4年リース 月々のお支払額(48回):57,700円(税込)
[お支払例:BMWクローズドエンド・リース、ボーナス併用4年48回払い]*4
前払リース料 1,336,000円、ボーナス月リース料(8回)200,000円、総額リース料5,782,800円、2022年度クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 650,000円*5
重量税・環境性能割・自動車税・自賠責保険・登録諸費用・BSI・BSI延長・新車保証・新車延長保証・
BMWサービス・コンプリート(スタンダード・パッケージ)含む、任意保険除く。

*4:全国のBMW Charging提携充電スタンドでご利用いただけます。また、規定の総走行距離分の使用を超過した場合、超過走行分の清算をしていただく場合がございます。
*5:表示の価格は、2023年2月17日現在のメーカー希望小売価格(消費税込)です。
*6:国土交通省審査値。一充電走行距離は定められた試験条件での値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて数値は大きく異なります。WLTCモード:市街地(信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定)、郊外(信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定)、高速道路(高速道路等での走行を想定)の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。

文/寄本 好則

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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