ホンダが『CR-V e:FCEV』を世界初公開
毎年行ってるからこそ、わかることもある……。私にとってそんなイベントのひとつが、東京ビッグサイトで2024年2月28日~3月1日まで開催されていた「スマートエネルギーWEEK【春】2024」。
スマートエネルギーWEEKは世界最大級のカーボンニュートラルに向けたエネルギーの総合展示会で、太陽光発電、バイオマス、水素エネルギー、スマートグリッド、二次電池、次世代火力発電、脱炭素ソリューション、サーキュラエコノミーなど多岐にわたる分野の1600社が参加。
「H2&FC EXPO」(水素・燃料電池展)、「PV EXPO」(太陽光発電展)、「バッテリー ジャパン」(二次電池展)、「スマートグリッド」、「WIND EXPO」(風力発電展)、「バイオマス展」、「ゼロエミッション火力発電EXPO」の6つ、さらに「脱炭素経営EXPO」、「サーキュラー・エコノミー EXPO」(CE JAPAN)の2つが併催されています。ただし、業界向けのイベントなので、残念ながら一般の方は参加できませんが。
今年の会場で私が勢いを感じたのが、「H2 & EXPO」(水素・燃料電池展)。出展エリア&出展社数の拡大を実感しつつ、気になる展示があったので紹介します。
とくに注目を集めていたのはこの会場で世界初公開となった、ホンダ『CR-V e:FCEV』。北米や中国で販売している6代目「CR-V」をベースに、大容量バッテリーと外部からの充電が可能なプラグイン機能を搭載したSUVタイプの燃料電池自動車(FCEV)です。
燃料電池システムはホンダとゼネラルモーターズ(GM)が共同開発したもので、生産は「Fuel Cell System Manugfacturin LLC」という合弁会社。FCスタックやモーターギアボックス、電動ターボ型のコンプレッサーなどを一体化し、すでに生産終了しているホンダのFCEV「クラリティ FUEL CELL」と比べて小型&軽量化されています。
クラリティ FUEL CELLのバッテリー容量は1.47kWh。CR-V e:FCEVは17.7kWhと大幅アップ。充電はACの普通充電のみ。充電時間は約2.5時間とアナウンスされているので、6kW以上の高出力AC充電に対応しているはず。
水素は3分で充填が可能で、EVとしての航続可能距離は約60㎞。水素の満充填&満充電での航続距離は600㎞と長い航続距離なのもポイント。走行用モーターはフロントに搭載されています。ドライブモード(エネルギーマネージメント)は「EV」「AUTO」「SAVE」「CHARGE」の4種類。
外部給電も可能で、しかもさまざまな方法で利用できるのが特徴。まず、「SAE J1772」規格の普通充電ポートにAC車外給電コネクター「Honda Power Connector(ホンダパワーサプライコネクター)」を繋いで最大1500WのAC給電(100V)が可能。荷室には給電専用のCHAdeMOポートを備えていて(日本仕様のみ)、別売の可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」(税込約120万円!)を接続すれば、最大9kW(100V/200Vに対応)の電力供給が可能です。
ボディサイズは4805㎜、全幅1865㎜、全高1690㎜。ホイールベースは2700㎜。ベースのCR-Vより全長が11㎝拡大され、水素タンクは2個で後席下と荷室に装備。燃料電池システムやモーター、ギアボックスはフロント、大容量バッテリーはフロントシートとリアシートの足元部分の床下に。発売は2024年夏の予定。公式サイトでは先行予約受付中とのこと。
ホンダはほかにもGMと共同開発している次世代燃料電池をベースにする最大80kWの燃料電池モジュールもここで世界初公開。定置電源や燃料電池の大型トラックの取り組みを公開していました。
CR-VのFCEVは昨年、富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久の際に展示されていましたが、この度、世界初のプラグイン燃料電池車として登場したことはちょっとうれしく感じました。
トラフグの養魚場で水素が活躍!
トヨタは千代田化工建設と共同開発中の「大規模水電解システム」などを出展。このシステムは「世界最小レベルのサイズでありながら、水素の製造効率が高い水電解システム」とのこと。トヨタがMIRAI製造のノウハウを活かして高品質で高性能な装置を作り、水素サプライチェーンの構築を手掛ける千代田化工建設がより効率的なプラント設置を進めていくというプロジェクト。
初日(2月28日)のプレゼンテーションでは、2025年度に5MW級の水電解装置をトヨタ本社工場に設置して実証試験を実施することも発表されました。
さらに、私が気になったのは「壱岐島 養魚場での再エネ水素システム」という展示。これは、「脱炭素チャレンジカップ2024」で環境大臣賞グランプリを受賞したそうです。脱炭素チャレンジカップというのは地球温暖化防止全国ネットが主催し、優れた脱炭素への取り組みを表彰するもの。
今年のグランプリを受賞した長崎県壱岐市は、2019年に国内初の「気候非常事態」を宣言し、2050年までに再生エネルギー100%の島の実現を目指しています。「養魚場での再エネ水素システム」は、島内で再生可能エネルギーを効率的に活用するため、地域の民間企業や東京大学と連携し、再生エネルギーと水素燃料電池を組み合わせた「トラフグ養殖」を開始。養殖で使用する電力は太陽光発電を使用し、さらに余った電力を使って水を電気分解してグリーン水素を製造。それを蓄えて夜間に燃料電池で発電させるというもの。この取り組みにより、養殖場のCO2排出量は41.6トンの削減に成功したとのこと。
この展示は、豊田通商とパートナー企業のエノアが、小型燃料電池の活用事例のひとつとして紹介していたもの。大きな展示会では見落としがちな小さなブースではあったけど、「環境大臣賞グランプリ受賞」というアピールのおかげで、気が付くことができました。
仕事柄、水素といえばFCEVと考えがちだけど、再生可能エネルギーとしての水素活用のチャレンジもいいですね。
ちなみに、EVsmartブログの運営会社であるENECHANGEも「スマートグリッド EXPO」に出展してました。今回、来場者の約半数が海外からのお客様という感じ。国内外で再生エネルギーへの関心は高く、新技術や新しい取り組みから目が離せません。
取材・文/吉田由美
水素押しの記事をあげなければならない事情もわかりますが、水素ステーションはせめて各市町村や区/高速道路のSAにひとつは無いと。
しかも24時間利用可能にならないと。
充電スポットですら実現出来ていないのに、、、
しかも
電気自動車は軽自動車、所謂ローエンドがその下支えをしているのに
軽く600万円を超えるような車がブリウスのように普及するとは到底思えないのです。