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ラスベガスでロボタクシー「ZOOX」に試乗レポート/レベル4自動運転は「すでに現実」と実感

ラスベガスでロボタクシー「ZOOX」に試乗レポート/レベル4自動運転は「すでに現実」と実感

EVエンジニアの福田雅敏氏による「CES2026」視察からのスピンアウト。ラスベガスの街をレベル4自動運転で運行するロボタクシー「ZOOX(ズークス)」の試乗レポートです。日本ではまだまだ未来の話に思いがちですが、実用化は目前という完成度です。

目次

ラスベガスでは当面無料で乗車可能

ここ数年、CESに参加するたびラスベガス市街で試験走行中のZOOX(ズークス)を目にしてきた。Amazonグループのロボタクシー部門が開発しており、今回のCES2026でもブースは人だかりで、その期待の高さが伝わってきた。これまではAmazon社員等の送迎や試験運行が中心だったが、昨秋からラスベガスで一般運行に移行。エリアは限定されるものの、当面は無料で乗車できる。サンフランシスコでも実証運行中で、近く商用運行も始まりそうだ。

まず車両概要から紹介しておきたい。自動運転レベルはドライバー席のないレベル4。サイズは全長3,630×全幅1,785×全高1,940mm、ホイールベース2,780mm、電池容量133kWh。側面から見ると中央で前後対称のデザインで、4WDかつ4WSを備えるため最小回転半径は約4.3mと小さい。タイヤはコンチネンタル製で「HL 185/60R22 S XL」の表記。確認した全車が同一仕様だった。室内も前後対称で、向かい合うラウンジ型2人掛け×2列の4人乗り。チャイルドシート用のISOFIXも備え、ガラスサンルーフのおかげで車内は明るい。

アプリの利用には米国アカウントが必要

乗車準備では、まずアプリのダウンロードでつまずいた。日本のApple IDではZOOXアプリが表示されず、現地で知人にiPhoneを一度ログアウトしてもらい、米国アカウントでログインし直してダウンロードしてもらった。こうしてようやく乗車環境が整った。

運行エリアは市内7か所に限られており、そのエリア内からでないと配車予約ができない。ZOOXには計3回乗車したが、いずれも予約時に「45分待ち」または「45+」と表示され、基本的には45分前後の待ち時間がかかるようだ。アプリには、到着予定時刻に加え、乗車地点までの徒歩時間も表示される。停留所の中には「ZOOX」と明示された場所もあれば、案内が乏しく本当にここで合っているのか不安になる場所もあった。バス停のような分かりやすい標識はなく、待っているときに他の乗客が乗り降りするZOOXが来て、そこでようやく安心するといった状況だった。

乗り方はシンプルだ。アプリで現在地近くの乗車場を選び、目的地候補の中から降車場を指定する。すると、ZOOXの到着予定時刻と、割り当てられた車両のナンバーが表示される。初期表示の45分は走行状況に応じてリアルタイムに更新され、やがて指定車両が到着。スマホを使ってドアを解錠する点はWaymoと同じだ。乗車してシートベルトを締めると、車内四隅に設置されたスマホサイズのディスプレイに「Close Door」の表示が現れ、タッチするとドアが閉まり、走行が始まる。

洗練された走行性能だが乗客からの視界は今ひとつ

走行性能はかなり洗練されている。カーブは滑らかにトレースし、大通りに出ると、制限速度30マイル(約50km/h)の道路が空いていたこともあり、力強く加速していく。速度メーターは見当たらないが、体感的には法定速度いっぱいまでしっかり使っている印象だ。走行中、ディスプレイでは音楽と空調を操作できる。BGMの選択や温度調整は乗客側で完結する。

一方、内装で気になった点もある。私は進行方向に向かって座ったが、後ろ向きシート側(進行方向前方側)のヘッドレストが視界を遮り、前方景色がほとんど見えない。サンルーフのおかげで開放感はあるものの、やはり進行方向が見えないのは物足りない。ヘッドレストを倒せる可倒式にするなど、視界確保の工夫を期待したい。

目的地付近では、車両は減速し静かに停車する。ディスプレイに表示される「Door Open」をタッチするとドアが開き、降車後はスマホまたは車両側面のボタンでドアを閉める。数秒後には無人のまま静かに走り去っていく。

レベル4自動運転は、すでにリアルワールドの出来事であることを感じた。

ラスベガスとサンフランシスコで約100台が稼働中

ZOOXスタッフによれば、現時点でラスベガスの商用運行とサンフランシスコでの試験走行を合わせ、約100台が稼働中とのこと。CES2026では、筆者が滞在したリゾート・ワールドの巨大ビジョンにも大々的な広告を出しており、攻勢の本気度がうかがえた。

これまで世界各地で自動運転バスやタクシーに乗ってきたが、ZOOXの完成度はWaymoに匹敵するレベルだと感じる。投じられた開発投資は桁違いなのだろう。ZOOXは「ロボタクシー」と呼ばれているものの、実際には日本でいうグリーンスローモビリティ(GSM)に近い印象だった。コミュニティ型ミニバスに位置づけるのがしっくりくる。

ラスベガス市内では、昨年に引き続きRAV4風のガソリン車ベースの自動運転車も複数台が試験走行していた。ZOOXとしては、停留所型のコミュニティミニバス(ロボタクシーZOOX)と、Waymoのようなオンデマンド型自動運転タクシーの二本立てで都市交通を攻めていく構想なのではないかと感じる。

日本でも、たとえば東京湾岸や横浜といったエリアでZOOXのような車両が走る光景を見たいと思う。街の風景そのものが変わり、先進的な未来都市像を体感できるはずだ。

取材・文/福田 雅敏

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この記事を書いた人

埼玉県生まれ。自動車が好きで自分で車を作りたくて東京アールアンドデーに入社。およそ35年にわたり自動車の開発に携わるが、そのうち30年はEV、FCEVの開発に携わりこれまで100台以上の開発に携わってきた。自動車もこれまでに40台以上を保有してきた。趣味は自動車にミニカー集め(およそ1000台)と海外旅行で39か国訪問している。通勤などの足には、クラウンセダンFCEV(燃料電池車)を愛用し、併せてDS7 E-TENSE(PHEV)を保有している。

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