フルモデルチェンジで新型マカンとなり、EVモデルが登場したポルシェ「Macan Electric」にカーライフエッセイストの吉田由美さんが試乗レポート。ポルシェのエントリーモデルに位置付けられるラグジュアリーSUVは、日常生活でもポルシェらしさを感じられる1台でした。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
800Vアーキテクチャーを採用した最新EV
いよいよ日本でもポルシェのベストセラーモデル「マカン」がフルモデルチェンジ! しかも今回の2代目マカンは待望のフル電動SUVモデル「 Macan Electric(マカン エレクトリック)」として生まれ変わりました。
今年3月には東京・増上寺で日本でのローンチイベントをメディアとマカンオーナーに同時公開。さらに私はそのわずか1週間後、今度は韓国ソウルモーターショーにて、韓国でのお披露目に立ち会うことが叶いました。
新型マカンの基本骨格はアウディとポルシェが共同開発した800Vのアーキテクチャーを採用するPPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)を採用し、アウディのQ6 e-tronと共有しています。
100kWhのバッテリーを搭載し、後輪駆動の「マカンエレクトリック」、フロントとリアのアクスルに最新世代の永久磁石同期モーター(PSM)を搭載するAWD仕様で最高出力285kW(387PS)、ローンチコントロールを使用時は300kW(408PS)、最大トルク650Nmの「マカン4 エレクトリック」、ハイパワー516PSの「マカン4S エレクトリック」、639PSのフラッグシップモデル「マカン ターボ エレクトリック」がラインアップされていますが、今回試乗したのは「マカン4 エレクトリック」。
DC急速充電の対応出力は最大270kW。ただし、これは800Vシステムに対応した高電圧の急速充電器を使った場合の最大出力。日本ですでに設置されている充電器であれば、ポルシェ正規ディーラーなどに多く設置されている最大150kW器の高出力を活かしきることができる性能です。
スポーツカーの力強さを纏ったプロポーション
外観を見て感じたのは、よりクーペライクでモダンなプロポーション。ワイド&ローを強調したフォルムに、新しい4灯シグネチャーデイタイムランニングライトの下にLEDヘッドライトがキリっと印象的な一方でグリルレスなフロントマスク。このデザインはBEVならでは。リアはコンビランプを一文字のLEDのストップランプで繋げたポルシェらしいスタイル。SUVやクロスオーバーというより、スポーツカーの力強さを纏っているという感じかな。
インテリアも最新のものに刷新され、曲線とデジタルが奏でるハーモニーが心地いい。湾曲した12.6インチのタッチスクリーンに、10.9インチのセンターディスプレイ、さらにオプションで助手席にも10.9インチのディスプレイが用意されています。未来的でありつつ、ポルシェらしいタイトでスポーティな雰囲気がしっかり漂います。
メーターパネルの左側にレバー式のセレクター。「R」「N」「D」と並び、パーキング「P」のスイッチだけ独立しています。
そしてパドルシフトが……ない。プラットフォームを共有するアウディQ6 e-tronなどには回生の強さを変えるパドルスイッチがありますが、マカン4にはありません。とはいえ、ドライブモードを変えると回生ブレーキの強さの変化を感じます。デフォルトは「ノーマル」。「スポーツ」「スポーツプラス」と変えると、よりレスポンスがよくなり、気分に合わせて変えてみますが、個人的には「ノーマル」が一番バランスが良い印象。
また、音の演出もぬかりなし。もちろんエンジン音はありませんが、その代わり「アイコニックサウンド」というポルシェ独自のギミック走行音の設定が用意されています。これが「スポーツ」「スポーツプラス」モードにすると、エンジン音のように響くため、気分もアガります。
今回の試乗車、シートやドアトリムの色はボディカラーとコーディネートしたパープル系の「ブランブル」。シックな外装色「プロヴァンス」とぴったりで華やかな印象です。
出力150kWの急速充電器で、10~80%(70%相当)を33分でチャージできるという充電性能はまさにスポーツカー級でロングドライブの強い味方。航続距離は最大613km。東京から大阪まで一気に走れる実力は、安心感につながります。

編集部注:現状で日本国内に設置されている公共の150kW器ではブーストモードが採用されているため70%相当を33分で充電することはできないと思われます。全国各地のポルシェセンターなどには、ブーストモードがないポルシェ「ターボチャージャー」という150kW器が設置されています。ただし、後述のように実際の充電結果は開始時SOCなどの諸条件に左右され、カタログスペックへの期待通りには入らないケースが多いことを心得ておきましょう。
エンジンが無くなったことで収納スペースが拡大し、フロントにも84リッター、リアは540リッター、後席を倒すと最大1348リッターの荷室を確保。
ちなみに試乗車にはオプションでエアサスペンション、電子制御可変ダンパー、リアステアリング、22インチのホイールとグッドイヤー「イーグル F1 スーパースポーツ」(フロント255/40R22、リア295/35R22)サイズのタイヤを装着していました。
富士スピードウェイへの往復で扱いやすさを実感
今回の試乗はちょうど夏の富士スピードウェイで開催される「スーパーGT」のタイミング。片道約90kmのドライブは、行きはほぼ高速道路のルートで、帰りは渋滞を避けて途中まで一般道のルート。
ステアリングを握った瞬間に気付いたのは、「SUVを超えたスポーツカー感覚」。視点の高さはSUVなのに、ハンドリングは911に近いキレ味。EV特有の重さを感じさせないのは、50:50の前後重量配分と新世代シャーシのおかげかも。
街中ではスムーズで優雅に、でもひとたび郊外のワインディングに入ると、少し大きめのスポーツクーペを操っているような軽快さ。足回りはしなやかで上質。SUVにありがちな揺れはほとんど感じません。
そしてドラマチックな加速。アクセルを踏み込んだ瞬間、ターボラグなんて存在しない、瞬時の加速感が、全身を突き抜けます。シームレスにぐ~っと伸びる力強さは、女性でも扱いやすいのに運転がどんどん楽しくなる魔性の加速。「EVって退屈」と思っている方にはぜひ体験していただきたい! しかも静粛性は極上。
EVらしく走りの質感はしっとり。でもポルシェらしい官能もしっかりあります。ステアリングを切ったときのダイレクトさ、コーナーを抜けるときの安心感は、EVの重心の低さとポルシェのチューニングの両立のたまもの。
「最新のポルシェは、ちゃんとポルシェしてる~!」―――これを実感させてくれる一台でした。
ちなみに充電は、富士スピードウェイの往復に加え、都内の往復ぐらいだと全く充電しなくてもよいレべルでしたが、充電を試したかったので、東京・虎の門ヒルズの急速充電器を使用。ここには、CHAdeMOの150kWの急速充電器である「ポルシェ ターボチャージャー」が2基設置されています。
ここまでの実走行距離は297km。30分の充電で、SOC(バッテリー残量)は32%から85%に。航続距離も156kmから452kmに大きくジャンプアップ。地下の駐車場なので外気温などの影響は受けにくそうではありますが、外気温は31℃。このぐらいのスピードで充電できるといいよね~。しかも私はヒルズカードを持っているので、虎の門ヒルズの駐車場は1時間無料。
ちなみに、マカン エレクトリックの価格はこんな感じです。
Macan Electric :10,380,000円〜
Macan 4 Electric:10,870,000円〜
Macan 4S Electric:12,440,000円〜
Macan Turbo Electric:15,410,000円〜
ひとつだけ気になったのは、手を軽く充電口の蓋の上を滑らせると電動で開閉するのですが、この動作がなかなか気まぐれなこと。これは要改良でお願いしま~す!
取材・文/吉田 由美
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