2025年10月31日(金)~11月9日(日)まで東京ビッグサイトで開催(一般公開日)される「Japan Mobility Show 2025」。乗用車関連各社のブリーフィングを巡り、電気自動車普及を応援するEVsmartブログとして気になった見どころを速報レポート。日本専用開発の軽乗用EVをお披露目したBYDなど、東ホールの出展メーカーを紹介する【後編】です。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
EVの選択肢がより身近になってきていることを実感
今回の「ジャパンモビリティショー2025(JMS)」を巡ってひしひしと感じたのは「自動車が電動であることは大前提になってきた」という印象です。また、高価な高級車が中心だった市販EVのバリエーションに、より身近な選択肢が増えつつあることを実感できました。
※冒頭写真はスズキの軽乗用EVコンセプト「Vision e-Sky」。
南ホールの「トヨタグループ」、西ホールの「BMW/MINI」「三菱自動車」「日産自動車」は前編レポートで紹介しています。
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ジャパンモビリティショー2025【速報/前編】EVsmartブログ的な見どころ案内(2025年10月29日)
出展各社の見どころをチェック!
プレス用の駐車場は、フォーミュラE東京大会でパドックが設置された「東棟屋外臨時駐車場」です。朝一番、広大なビッグサイトを端から端まで歩いて、南ホールのトヨタグループからプレスブリーフィングの取材を開始。西ホールを経て、東ホールに戻ってきました。
この東展示棟、1〜3ホールは2026年3月末まで大規模改修工事中。1〜3ホール階上にある数店舗のレストランも休業になっています。会場に足を運ばれる方、お昼ごはんは計画的に! です。
ホンダ
2050年に「Hondaの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラル実現」という目標に向けて、次世代EV「Honda 0 シリーズ」をはじめ、陸・海・空・宇宙領域にわたるHondaの幅広いモビリティを展示。三部敏宏社長のスピーチで、なんだか少し声がお疲れ気味? だったのが気になったけど、ホンダらしいワクワク感が詰まった出展という印象でした。
Honda 0 シリーズ

Honda 0 シリーズは、「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」という独自の開発アプローチで、EVは「厚くて重い」という従来の常識を覆すことを目指した次世代EVです。新たなSUVモデルとなる「Honda 0 α(アルファ)」のプロトタイプを世界初公開。「Honda 0 SALOON」「Honda 0 SUV」など3車種を展示。
Acura RSX Prototype

Acuraブランドの次世代EV「Acura RSX Prototype」を日本初公開。北米向けモデルではあるものの「(今回のJMSで)リクエストが多ければ日本導入も?」という三部社長のコメントがありました。
Super-ONE Prototype

N-ONE e: のホットバージョン的な小型EV「Super-ONE Prototype」を世界初公開。専用開発の「BOOST モード」を搭載し、ボタンを押すと「出力の拡大とともに、エンジン搭載車のように、ギアが切り替わる感覚にあわせてエンジンサウンドが響き渡る」とのこと。2026年から日本をはじめアジア各国や英国など、小型EVのニーズの高い地域に展開予定。
サステナブルロケット

EVではないですが。2025年6月に北海道大樹町で行ったロケットの離着陸実験に大成功した実験機の機体を展示。再使用可能な機体と再生可能燃料を使ったサステナブルロケットです。
スズキ
EVシフトに前進中のスズキブースは要注目。プレスデーの会場に、9月に発表されたeビターラがなかったのですが、確認すると一般公開日には展示されるそうです。
Vision e-Sky

2026年度内の量産化を目指す軽乗用EVのコンセプト。毎日の生活に寄り添う「ちょうど良いEV」を目指すとのこと。
MOQBA(モクバ)2

脚を使って階段や段差もシームレスに、車輪によって平地はスムーズに、快適に移動できる次世代モビリティ。動きを紹介するイメージ動画がYouTubeにアップされています。
スズキブースには、このほかにもユニークな電動モビリティや、ダイハツやトヨタと共同開発している軽商用EV「e EVERY CONCEPT」などが展示されています。
マツダ

EVに関する出展はほぼなし。微細藻類から精製されるカーボンニュートラル燃料や、走行過程で排出されるCO₂を回収する「MAZDA MOBILE CARBON CAPTURE」への展望が強調されていました。
MAZDA VISION X-COMPACT

未来においても誰もが気軽にアクティブにクルマで楽しんでほしいという想いをシンプルなデザインで表現した新しいコンパクトカーのコンセプトモデル。もう1台のコンセプトカー「MAZDA VISION X-COUPE」が「カーボンニュートラル燃料で駆動する2ローター・ロータリーターボエンジンとモーター、バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド」ということだったので、こちらはBEV? と確認してみましたが、デザインのコンセプトカーなのでパワートレインは未定ということでした。
デザインが秀逸でコンパクトなマツダのEV。リアルな登場を期待しています。
スバル
「実用・自然共生型」SUVを標榜する電気自動車「Trailseeker prototype」が日本初公開。とはいえ、ブリーフィングやブースのメッセージとしては「走る愉しさを表現するPerformanceと、冒険へ踏み出す高揚感などを表現するAdventure」を強調。電気自動車的には見どころはあまりなかった印象です。
なんというか、EVが普通になってきているということでもあるのでしょう。
メルセデス・ベンツ
EV専用のサブブランド「EQ」を廃止するなど、EVシフトの方針転換が伝えられるメルセデス・ベンツ。とはいえ、高級車とEVは相性抜群。興味深い展示に注目です。
CONCEPT AMG GT XX

EV専用プラットフォーム「AMG.EA(AMG Electric Architecture)」を搭載。「電動化時代の新たな常識を創造」とアピールするコンセプトモデル。アジア初公開。
The all-new electric GLC

伝統的なグリルを継承しつつ電気自動車ならではの個性を具現したニューモデルを参考展示。日本初公開。
Mercedes-Benz Vision V
新開発のバン専用電動アーキテクチャ「VAN.EA」を導入したラグジュアリーリムジンのコンセプトモデル。日本初公開。
Hyundai
EVとFCEV、ZEVだけを携えて日本市場に再参入したHyundai(ヒョンデ)がJMSに初出展。
The all-new NEXO

水素燃料電池自動車(FCEV)の「The all-new NEXO(ネッソ)」を日本初公開。2026年上半期に販売開始予定であることを発表しました。
最大出力350kWの次世代超急速充電器

ヒョンデのブースでは、東光高岳と e-Mobility Power が共同開発した最大出力350kW/口の次世代超急速充電器「SERA-400」(関連記事)が、現状、国内の市販EVで唯一この充電器の高出力を享受できる性能をもつ IONIQ 5 と並んで展示されていました。
SERA-400がこうした展示会などで一般公開されるのは日本初、だと思います。
KIA

PV5の日本発売について説明するキアPBVジャパンの田島靖也CEO。
韓国のKIAが、日本の商社である双日とパートナーシップを結んで日本市場への参入を正式表明。新型EV「PV5」を2026年春に発売することを発表しました。
PV5パッセンジャー

バッテリー容量は51.5kWhと71.2kWhの三元系。エントリーモデルとして43.3kWhのLFP(リン酸鉄)バッテリーモデルも追加予定。
価格は679万円〜と発表されました。この価格はおそらく43.3kWhのエントリーモデルだと思うので、うーん、期待してたより150万円くらいは高いかな。

ブースでは、キャンピングカー仕様や、車いすでサイドドアから乗降できる福祉車両などのカスタムモデルも展示されていました。
PV5カーゴ

広い荷室空間を確保した「カーゴ」の価格は589万円〜。架装やカスタムのベース車両となるモデルでもあり、パッセンジャーと合わせて初年度1000台、2027年には2000台とする販売目標台数を実現するためには、もう少しコスパがいいと魅力的だと感じます。

BYD

29日のプレスブリーフィング。大トリを飾ったのはBYDでした。冒頭、BYDジャパンの劉学亮社長が熱弁。続いて
BYDジャパンの石井澄人副社長が商用車を、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長が乗用車について紹介しました。
T35

まずは商用車から。T35は普通免許で運転可能なEVトラック。2026年春に、価格は800万円前後で発売予定です。
EVバス

「J6」「J7」「K8」など、日本市場ですでに豊富な導入実績がある電気バスを一挙に出展。一般公開日には導入企業の方々による実感トークショーなどもあるようです。
小型EVバス「J6」は移動型オフィスにカスタムされたコンセプトモデルです。

BYD RACCO

BYD初の海外専用設計モデル。日本向けに開発中の軽乗用EVであるBYD RACCO(ラッコ)のプロトタイプを世界初公開。2026年夏に導入予定。バッテリー容量や価格などの詳細は未公表ですが、東福寺社長のスピーチで「スタンダードとロングレンジの2タイプをラインナップ」することが示されました。
すでに100台以上の試作車で、衝突試験などを進めているという説明がありました。まだプロトタイプとはいえ、明確に市販に向けて前進中。庶民的には今回JMSで最も注目のモデルです。後日別記事で詳報する予定ですが、東福寺社長へのインタビューで価格のメドを質問したところ、JMSの一般来場者にアンケートなどを行い、日本発売価格の検討を進めるとのことでした。バッテリー容量とともに、望ましい、現実的な価格をリクエストしてみてください。
BYD SEALION 6 DM-i

世界累計販売台数700万台超えのDM(PHEV:プラグインハイブリッド)シリーズから、もうすぐ日本発売が予定されているBYD SEALION 6を日本初公開。DMとかPHEVといった用語は伝わりにくいので、積極的に電気で走るユニークなPHEVということで「スーパーハイブリッド」という呼称でアピールしていくそうです。
YANGWANG U9

BYDの高級車ブランド「仰望(ヤンワン)」の高性能BEV「YANGWANG U9」。今年9月にはチューンナップモデルの「YANGWANG U9 Xtreme」がニュルブルクリンク北コースで6分59秒157を記録して、世界最速のEVスーパースポーツカーとなりました。日本発売予定などはなく、参考出品。
大衆価格のEVがもっともっと増えてくれることに期待
プレスデー2日目となる10月30日も、私はビッグサイトに足を運んであちこち取材&ご挨拶。早めのランチを終えて、日陰の休憩用テーブルで昨夜だけでは書き切れなかった記事の続きを書いています。
繰り返しになりますが、いやあ、EVの車種バリエーションが増えてきたなぁと感慨深いJMS2025になっています。さらに、当然といえば当然ながら、高級EVと多くの人が買える大衆的EVの「階層」が着々とできあがりつつあるのを感じます。
見ているだけで楽しくなっちゃうような高性能高級EVもいいですが、日本のEV普及を進めるためにも、大衆的&魅力的なお手頃EVの選択肢がさらに広がってくれることを願います。
と、まとめた後ではありますが、最後にふたつ。番外編で気になった出展車を挙げておきます。
ASF/新型EV軽トラック ASF2.0PT

EVベンチャーとして唯一、東ホールに出展していたのが軽商用EVを展開するASF。今回のJMSで、新型EV軽トラック「ASF2.0PT」を発表しています。
folofly/ZEEKR009

ボディへの光の写りこみがえらいことになってますが……。
これまた中国メーカーからのOEMで商用EVを提供するEVベンチャーの「folofly(フォロフライ)」が、中国の高級EVブランド「ZEEKR」のプレミアムミニバン「009」を出展。2026年春に発売で、価格は約1300万円。
トヨタグループが集結している南ホールの階上、南3・4ホール「TOKYO SUPERCAR DAY」コーナーの一角にブースを出展しています。
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今回のジャパンモビリティショー2025は、EVsmartブログ的にも見どころ満載。2日間、足がヘロヘロになるくらい歩きました。
まずは速報の前後編をお届けしましたが、複数の執筆陣がJMS会場に散って取材中です。気になるトピックは別記事としてご紹介していきますね。
会期は11月9日まで。お楽しみください!
取材・文/寄本 好則






コメント
コメント一覧 (1件)
日本でもだいぶEVの選択肢が増えてきたな、とは思いますが。
こう言うショーのニュース記事などを見ると「よくなったな」より「マシになった」感を感じてしまいます。
私個人的に気になるのはホンダの完全停止ワンペダル、N-Van e:でがっくり?きたものの、N-ONE e:でうっとり?されられて、次以降にも期待したいと思っています。