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日産サクラ「あおぞらエクステンダー」に注目【Japan Mobility Show 2025】希望価格や意見を募集中!

日産サクラ「あおぞらエクステンダー」に注目【Japan Mobility Show 2025】希望価格や意見を募集中!

「Ao-Solar Extender」の読み方は「あおぞらエクステンダー」。日産エンジニアのアイデアをカタチにした伸縮式ソーラー発電パネルを備えた軽EVがジャパンモビリティショー2025に出展されています。いくらなら買う? など、みなさんからの意見を募集中です。

目次

日産エンジニアが作った最先端の「ダン吉」?

これは格好いい「ダン吉」じゃないか? と思ったのは私だけではなかったよう。取材に訪れた多くの人がそう述べたそうです。クルマを太陽光のエネルギーだけで走らせるのは、なんとも夢のある話です。

2001年から2010年ごろにかけて、日本テレビの番組「ザ! 鉄腕! DASH!!」で、軽1BOXバンのルーフにソーラーパネルを装着し、鉛バッテリーを積んだEVで日本一周を一筆書きで走破しようという人気コーナーがありました。そのチャレンジに使われた、ソーラーEVのニックネームが「ダン吉」だったのです。

古い話はさておき、Japan Mobility Show 2025(ジャパンモビリティショー2025)で「Tokyo Future Tour 2035」の会場(西2ホール)に展示されている日産サクラ「Ao-Solar Extender」の姿に、その「ダン吉」を思い出しました。

日産サクラ「Ao-Solar Extender」(あおぞらエクステンダー)とは、サクラのルーフにソーラーパネルを装着。ソーラーパネルで発電した電気で走らせる電気自動車です。2021年に開催された社内コンペティション「New Value Co-Creation」で最優秀賞を受賞したアイデアです。受賞は2022年2月、日産サクラの正式発表は2022年5月なので、先行開発されていたとも言えます。

商品化を目指して先行車両開発部に移籍

アイデアコンテストの作品といえば「こんなのあったら面白いね」という感じで埋もれてしまうことが多いのですが、あおぞらエクステンダーを作った井上潤一さんの情熱がすごかった。何とか商品化したいということで、異動を申し出て先行車両開発部に移籍。2024年4月から本格的に製作を開始したといいます。

プロジェクトリーダーの井上潤一さん。

作り始めてみると「仲間がたくさん助けてくれた」と井上さん。あおぞらエクステンダーはルーフに電動スライド式のソーラーパネルを装備し、停車時にパネルを展開して効率よく発電する仕組みです。「パネルをスライドさせるなら、スライドドアのシステムが使えるのでは」と提案をしてくれる人がいたり、こんな色のボディにしたいと伝えたら、特別色の「青空ブルー」を作ってくれる人が現れたり……。井上さんの人柄なのでしょう、インタビューしていると多くの仲間に支えられて完成した経緯が伝わってきました。

搭載されるソーラーパネルは収納時には幅約1m×長さ約1.5m、伸縮する展開側が幅約1m×長さ約1.1mというサイズです。車高は標準のサクラよりも+約4cm、重量は約+30kgになっています。この重量は兄弟車である三菱eKクロスEVのルーフレールの耐荷重に合わせたもので、ソーラーパネル部分はルーフボックスのような扱いを受けてナンバーの取得を可能にしています。

使用したソーラーパネルはごく普通のタイプで現在の効率は約20%とのこと。ソーラーパネルの効率とは、最も効率のよい状態で1平方メートルあたり1000Wの発電を100%とするというものです。つまり「Ao-Solar Extender」のソーラーパネルは1平米あたり200Wの発電量を持っていることになります。今後、技術が上がっていけばソーラーパネルの発電素子を二重(ダブルレイヤー)にするなどで、発電量を上げることにも期待しているといいます。

年間で約3000km走行分の電力をソーラーで発電

気になる発電量はルーフ部分が約300Wh、展開部分が約200Whで合計約500Wh。この発電量で年間約3000km分を走れるのが目標値。遠くに出かけるには足りない発電量ですが、比較的近くの通勤や買い物ならば足りる人も出てきます。完全オフグリッドにならなくても、発電分の電気代が節約できるのは明白です。

ソーラーパネル付きの軽EVといえば、EVsmartブログではモータージャーナリストの国沢光宏さんが手作りした「でん吉」を紹介したこともあります(関連記事)。でん吉の場合は一度ポータブルバッテリーに電気を溜めてから駆動用バッテリーに充電する仕組みですが、あおぞらエクステンダーは直接駆動用バッテリーに充電できるのもポイントです。

あおぞらエクステンダーの発電量をリアルタイムでチェックしたり、他のユーザーと交流できる専用アプリの開発も進められているとのこと。毎日の発電をゲーム感覚で楽しめますね。

現在、実証実験が進められていて、厚木市内に居住する日産の社員が通勤に使っているとのこと。実は展示されていたあおぞらエクステンダーは2台目で、半年前に広報部から「ジャパンモビリティショーで展示したいからもう1台製作して欲しい」とオファーがあり、急いで作った個体です。なんだかちょっと夢があって、こんな取り組みができるのは楽しそう。日産という会社に頑張ってもらいたいと感じる展示車でした。

EVsmartブログ読者からの意見も大歓迎

ジャパンモビリティショーの会場ではあおぞらエクステンダーについての意見を募集中。「いくらなら買う」といった具体的な意見を求めています。アンケートには専用のフォームが開設されていて、「会場には行けないけど記事を読んだ」という方からの意見もOKなので、「EVsmartブログの記事を見た」と添えて回答してください。

【関連情報など】
「Ao-Solar Extender」アンケートフォーム
共創のイノベーション:Ao-Solar Extender(日産公式サイト)

Future Technology:青空からの贈り物 Ao-Solar(あおぞら) Extender | 日産(YouTube)

取材・文/諸星 陽一

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この記事を書いた人

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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