電気自動車(EV)ユーザーのミーティング「EV MEET 2025 秋」が11月9日(日)に、千葉県柏市で開かれました。メーカーや車種を問わず、誰でも参加OKのイベントに国内外15ブランドのEV約90台が集まって、EVオーナー同士で交流を深めました。
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あいにくの天気でも多くのEVオーナーが参加

会場になったのはスーパーオートバックスかしわ沼南店(千葉県柏市)の立体駐車場です。午前中から続々と集まってきたEVやPHEVは、スタッフに案内されてメーカーごとに整列。同じ車がずらっと並ぶのは写真映えしますし、近くに停めることで、初対面の人とも話すきっかけが生まれます。
あいにく朝から小雨がぱらつく天気でしたが、屋根のある駐車場なので、雨具は不要。コミュニケーションには困りませんでした。
ざっと見て歩いたところ、参加車両はテスラが最も多くて、続いて日産とヒョンデといった感じ。それにしても、メーカーと車種がバラエティに富んでいます。「メルセデスベンツ G 580 with EQ Technology」とか、なかなかお目にかかれないEVも。
車種ごとのオーナーズクラブも集結

来場したオーナーのみなさんですが、当ブログでもおなじみのユーザーグループである、テスラ・オーナーズ・クラブ・ジャパン(TOCJ)、ヒョンデ・モーター・クラブ・ジャパン(HMCJ)、アリア・オーナーズ・クラブ・ジャパン(AOCJ)や、古くからのEVコミュニティーである「日産リーフ・オーナーの会」などに参加しているメンバーもいたようです。
筆者も参加するHonda eオーナーズクラブのメンバーも集合。Honda eは5色5台が集まりました。そのうちの1人は、最近ネットを通じて参加表明してくれて、このミーティングで初めて会うメンバーでした。
EVのミーティングがよく「オフ会」と呼ばれるのは、コミュニティーも普段はオンラインでの情報交換が中心だから。私たちもそうですが、顔を合わせるイベントは貴重な機会です。違うEVに乗っている人たちと親交を深めることもできます。駐車場のあちこちに輪ができて、みなさん楽しそうに話していました。

店舗駐車場に「Mercedes-Benz Charging Hub」開設

会場内では、フィンランドに本社を置くタイヤメーカー「ノキアンタイヤ」がEV専用スタッドレスタイヤを展示していたり、オートバックスがプライベートブランド「AQ. オートバックス クオリティー」のテスラ向け商品を販売したり、小型電動モビリティの試乗も行われていました。

千葉公園に開設された第1号の「メルセデス・ベンツ・チャージング・ハブ」(関連記事)
会場となった店舗の駐車場に「Mercedes-Benz Charging Hub」の急速充電器が設置されたことも紹介されていました。他社オーナーでもPower Xアプリがあれば100円/kWhで利用できるそうです。
EVの普及が進んでいることを実感

主催者の石井さん。
イベントを主催したのは、EVユーザーの交流サイト「EVごはん」と情報サイト「EVモール」を運営するテスラオーナーの石井啓介さんです。
「趣旨はシンプル。メーカーやブランドは関係なく、EVユーザーみんなで楽しい時間を過ごして、仲間を増やしましょう、ということです。関東地区でEV MEETの開催は2回目でしたが、車種や参加者のバラエティーが広がって、EVの普及が進んでいることを実感できました」(石井さん)
いろいろなEVを眺めて歩いて、オーナーさんとしゃべるだけでも楽しいのですが、告知記事でお知らせした通りにアトラクションも用意されていました。
せっかく多種多様なEVが集まるのだから、と石井さんがチーム対抗戦として企画したゲームは「計って計ってなんじゃらほい」。乗っている車のメーカー(ブランド)ごとにチームを組んで、渡されたビニール袋に物を詰めて重さが2kgになるようにして持ってくる、という借り物競走です。ジャスト2kgに近いチームが優勝。
よーいドン、でみんな散らばり、車のトランクなどから品物を引っ張り出して「これがいいんじゃない?」「重すぎない?」などとワイワイガヤガヤ。われらがホンダチームは「これしかない!」と純正200V充電ケーブルで挑みましたが、2.8kgと意外に重くて、あえなく入賞圏外。2リットルのミネラルウォーター(そりゃ近いはず)を持ってきたチームが「審議入り」したりして、なんだかんだ、盛り上がりました。
それにしても、ゲームが15組もの対抗戦になったのには、びっくりしました。テスラ、ヒョンデ、日産、ホンダ、BYD、BMW、トヨタ、フォルクスワーゲン、MINI、三菱、アウディ、ポルシェ、ボルボ、フィアット、メルセデスベンツ。当日不参加だったプジョーの方がいれば、もう1チーム増えていたそうです。ほんとにEVの選択肢は増えていますね。
EVユーザーに聞いた「EVシフトを迷っている人に一言」など
さて、これも告知記事でお知らせしましたが、EVsmartブログのユーザーインタビューも実施しました。質問したのは「あなたがEVに乗り換えた理由」と「EVシフトを迷っている人に一言」。
日常的な速度域でパワーとトルクが楽しめる

伊藤さん
まずは、Honda eオーナーズクラブに仲間入りしてくれた伊藤さん。トヨタ・プリウスに約20年乗っていたそうです。
「無振動無騒音のモーターは自動車に合う駆動方式。もう少しバッテリーが進化したら、と思っていたんですが、待っている間に楽しめる時間が減ってしまうので、昨年6月に購入しました」
Honda eにしたのは、サイズがちょうど良かったのと、リア駆動でハンドリングが魅力的だから、とのこと。
「サーキットに持ち込んだりしなくても、日常的な速度域でパワーとトルクが楽しめる。電気自動車の走行フィーリングを試してみてほしいですね」
車好きこそEVに乗ってほしい

浅本さん
2023年7月からヒョンデIONIQ 5に乗っている浅本さんは、免許を取得してから9年間、マイカーを持っていなかったそうですが、とうとう出てきた「欲しい車」がEVでした。先進性が高そうなことに惹かれたそうです。
「IONIQ 5を選んだのは、内外装やインフォテインメントを含めて全てのデザインが気に入ったから。V2HとV2Lが使えるのも決め手のひとつになりました。音も振動もなくて走り心地も良く、ワンペダルで思い通りに走ってくれる。車と体が一体化している感じがします」
「EVは充電がネックと言われたりしますが、IONIQ 5は最大150kWという超急速充電もできます。先日500km走ったときは、トイレ休憩3回の間に5分ずつ充電しただけで、目的地に到着できただけでなくSOCは60%も残っていました。車好きこそEVに乗ってほしいです」
EVシフトはもうチャレンジではありません

Rayさん
先月納車されたばかりというテスラ モデル Y ロングレンジの前で取材に答えてくれたのはユーチューバーのRayさん。電気自動車についてYouTube(@raydaofficial)でさまざまな情報を発信しています。聞けば、2020年1月からテスラユーザーで、モデル 3を2台、モデル Y パフォーマンスを経て、通称ジュニパーと呼ばれるこの新型が4台目のテスラだそうです。
「テスラの前はシエンタ ハイブリッド、プリウス PHEVに乗っていました。振動なしでスーッと動くのが良くて、PHEVでもほとんど電気でしか走らなかったので、EVに乗り換えました」
新しいモデル Yは「いいことしかない」そうです。静粛性も乗り心地も向上していて、前モデルのパフォーマンスと比較すると電費も15%ぐらい良くなっているのだとか。
「テスラを選ぶなら、EVかどうかは、もう意識しなくていいと思います。全国にスーパーチャージャーの充電網が整備されていますし、充電に困るとか、ネガティブな心配は不要です。EVシフトはもうチャレンジではありません。この価格でこのクオリティーの車はなかなか買えませんよ」
電気自動車を知るともうガソリンには戻れない
最新モデルもたくさん参加していましたが、EV黎明期から大切に乗り続けている三菱i-MiEVや初期型日産リーフ(ZE0)が並んでいたのも、EVなら車種を問わずウェルカムの「EV MEET」らしい風景でした。

鈴木さんご夫妻
2012年から乗っている日産リーフ(ZE0)で参加していた鈴木さんご夫妻にインタビューさせてもらいました。
「家を建てて、V2Hにしようと思ったのがきっかけですね。当時はZESP2(月2,000円で充電し放題だった日産の充電サービス)があったので、定額料金でどこまでも走っていけるのも魅力でした。ガソリン車20台以上に乗ってきて、フェアレディZをいじくって遊んだりしていましたが、電気自動車を知るともう戻れない。静かだし、ガソリンの匂いもしないし」
これまで約7万9000km走って、走行用バッテリーは新車時の12セグが6セグまで減ったものの、まだまだ乗るそうです。「友人知人から譲ってもらった部品がついていたりしますし、愛着が湧いて、もう乗り換えできなくなっています」
そんな鈴木さんの回顧談の中で、いいなと思ったのは、リーフオーナー同士による交流のことでした。「なにかトラブルがあっても、みんながアドバイスをしてくれる。助け合えるのがよかったですね」
こうしたミーティングが、これからもEVのオーナー同士で交流を深めることにつながり、情報共有や助け合いのきっかけになってほしいと思います。
EV MEETは、今後も定期的に開催されるそうです。次回は「NEW YEAR EV MEET 2026」が、年明けの1月25日(日)に東京都江東区の「海の森水上競技場」で開かれる予定です。
詳細や申し込みはこちらから。
取材・文/篠原 知存






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