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ごめんなさい『日産サクラ』!【EV買い替えレポート03】インスターをネットでポチってから納車まで

ごめんなさい『日産サクラ』!【EV買い替えレポート03】インスターをネットでポチってから納車まで

著者陣の中尾真二氏が「日産サクラ」からヒョンデ「インスター」への買い替えを決断&決行した連続レポートの最終回。ネット注文に感じたあれこれや、CEV補助金申請の手順などを紹介します。

目次

ネット注文はむしろ楽かもしれない

日産サクラからヒョンデ インスターへの買い替えレポート。これまで、購入決定から車種、装備品の選択ポイントなどを紹介した。今回はいよいよ正式な発注(公式サイトでポチるだけ)と諸手続き、納車までの流れをまとめたい。

ヒョンデはCXC(カスタマー・エクスペリエンス・センター)というショールーム機能を備えた販売・整備の拠点を持っている。さらに、全国各地に「Hyundai Citystore」や「Hyundai Mobility Lounge」などのショールーム&試乗拠点を設けているが、販売店(ディーラー網)は展開していない。そして、こうした拠点でクルマを見て試乗したとしても、実際に車両を注文するのはウェブサイトからとなる。

スタイルとしてはテスラに近い。全国に提携の整備工場ネットワークがあり、出張整備などのサービスもあるが、ショールームやサービス拠点の物理的な数はテスラより少ない。

車はディーラーから購入するのが一般的なので、テスラやヒョンデの体制は、注文や納車、整備について不安が残る。だが、実際にやってみるとそれほど難しいことではない。なにからなにまでやってくれる日本のディーラーに慣れている人には、ハードルが高く感じるかもしれないが、通販慣れしている世代は、むしろ自宅のPCやスマホ(+書類の郵送程度)でほとんどの処理が完結できるので、こちらのほうが楽と思うかもしれない。

通える範囲にCXCがあるとハードルが下がる

注文画面

筆者は自宅(川崎市)がCXC横浜に近いこともあって、最初の相談は店舗に出向いて担当スタッフとのやりとりからスタートした。遠方の場合、最初のコンタクトも公式サイトからの見積もり依頼やカスタマーセンターへの問い合わせから始まることになるだろう。

これはセールス的にはデメリットだろう。車はディーラーから買うものと思っている層にはリーチしにくい。単純にはCXCや販売拠点を増やす必要がある。が、ヒョンデとしては最初から手広くやるより、まずは市場の拡大が見込みやすい大都市部からという戦略をとっているようだ。

一般の人にとってネット注文は手を出しにくい。だが、実際にやってみるとそれほど複雑というわけでもなく、戸惑うことはほとんどなかった。自分の場合も、店舗で購入の意思を伝え装備などの相談をしたが、実際の見積もり作成や注文はオンラインで行った。その後の登録書類のやりとりも、基本的にオンラインでカスタマーセンターとのやりとりで、必要に応じて郵送を活用した程度だった。CXCや試乗イベント等で、車両を確認したら、そのまま公式サイトでポチっても、後の流れは同じである。

今回、筆者が体験した範囲では、書類や入力フォームの確認、質問事項は基本的にCXC担当者とのメールかカスタマーセンター対応だった。カスタマーセンターの対応に問題はなく、むしろ既存のディーラー方式で、電話して担当者不在などで待たされるより処理はスムーズだった。

オンライン対応やメール対応は、平均的な手続きや処理について、非常に効率的に機能する。ただし、例外処理やトラブル時に役に立たなくなることがあるリスクは覚悟しておく必要があるだろう。

必要な手続き:アカウント登録・契約書・ナンバー登録・車庫証明

見積りはヒョンデの公式サイトを利用して入力していく。そのためにはヒョンデのアカウント登録をしなければならない。アカウントを作成したら、車種選択、オプションの選択、支払い条件など必要事項を見積りページのフォームから設定する。金額の明細を確認したら、申込金(30,000円)を支払って注文が成立し、残金を指定口座に振り込めば正式に車両が発注される。ローンを利用する場合などの手続きもネット上で行う。

アカウントは、購入後の整備予約や車検、保証の問い合わせにも必要なため、登録は必須となる。

発注が完了すると、車両登録に必要な書類提出がある。用紙や記入方法は郵送で送られてくる。基本はナンバー登録のための書類と車庫証明の申請書類だ。実際の作業はヒョンデが契約している行政書士が行うので、指示どおりに書類を用意したら同封のレターパックで送り返す。申請書類の他、行政書士への委任状、印鑑証明、車庫証明の配置図(地図)などだ。これらの書類はディーラーで契約するときに求められるものと基本的には同じだ。店頭で記入して渡すか、自宅で記入して送付するかが違ってくる。

また別便で届く、Bluelinkというヒョンデのテレマティクスサービス(SOSコール)を利用するための同意書の提出も求められた。

CEV補助金の申請は個人で行うことにした

CEV補助金の申請は、サクラの場合はディーラーが代行してくれたが、今回は自分でやることにした。補助金は所有者に給付されるもので本来は個人が行うべきものだ。

車両の購入や金額を証明する書類、本人確認書類(マイナンバーカードなど)、自動車検査証記録事項(ICチップ車検証の記載事項を記録した書類。従来の車検証に準拠したフォーマットで情報が記載されている)など、複数の書類提出が必要だが、すべてオンラインで行えるので(郵送も可)、オンライン注文との相性はいい。補助金申請に必要な見積もりや契約書が公式サイトのマイページからPDF等の確認、ダウンロードができる。

申請フォームに必要事項を入力し、画像一式のアップロードが終われば申請終了となる。

なお、CEV補助金の申請はナンバーが交付されてから通常1か月半以内の申請が必要なので、自分で行う場合は申請期限に注意することが必要だ。

筆者の場合、補助金対象とする4年という所有期間より前に買い替えたので、処分したサクラのCEV補助金の払い戻しが発生する。この処理は郵送が原則となる。インスターのCVE補助金申請とほぼ同時に、次世代自動車振興センターにサクラの補助金払い戻しに必要申請を行った。

おおまかに、以下のような手順となった。

①次世代自動車振興センターの公式サイトで「車両処分に関する手続き」のページへ。
②指示に従い「財産処分承認申請書」をダウンロードする。
③記入例を参考に、申請書に必要事項を記入してセンターに郵送する。
④センターから提出すべき書類(買い取り書など)の指示が届く。
⑤必要書類を返送する。
⑥センターから最終的な払戻し額や手続きについて連絡があり、支払いを行う。

この記事原稿執筆時点では、⑤の必要書類を提出して、センターからの連絡待ちの状態だった。払い戻しの条件や残債の精算方法は、補助金の事業年度によって変わるが、令和4年以降の予算で受けた補助金の返納額は、交付された補助金の処分制限期間(48か月)のうち何か月分残っているかの割合で計算する。

サクラの場合は、ちょうど1年(12か月)を残して処分したので、55万円の25%として137,500円と想定していた。ただし最終的な金額は、センターからの通知がくるまではわからない。残存期間はセンターの交付記録や処理基準で決まるが、これが車検証の登録日や下取りや売買した日付で計算した月と同じ月数になるとは限らないとも考えていた。

先日、センターからの通知が届き、すでに払戻金は振込済みである。最終的な金額は132,428円だった。

処分制限期間以内に車を買い替えるのは、補助金の主旨から見てどうなのか? という意見はあるかもしれないが、事故やその他の事情を含めて返納のしくみも整備されているので、それを使うことに道義的な問題はないと考える。そもそもEVやPHEVの販売拡大を目的とした制度なので、車両販売の刺激になるという点で、主旨に反する行為ともいえない。

短納期がうれしい輸入EV

グレードが絞られているのは、選択肢が少ない半面、納期について有利に働くことがある。

購入を決定してから最初にCXCを訪ねたのは、9月に入ってからだった。10月半ばにサクラの車検が切れるので、その前には注文を確定して納車予定をはっきりさせる必要があった。車検切れまでには間に合わないとしても、空白期間はなるべく短くしたい。

このとき、見積もりした装備の車両がちょうど船積みされ豊橋の事前配送検査センター(PDI)に向かっているとの情報を得た。幸運ともいえるタイミングだが、考えてみればメーカーオプションのバリエーションがほとんどグレードの種類(インスターなら4種類)しかなく、装着オプションも後付けのETCやドラレコ、アルミホイールや装飾品だ。見込み発注もしやすく、希望の車種は輸送中の船やPDI(Pre Delivery Inspection)センターですぐに見つかるのだろう。

あとは、前述した書類関係を用意するだけだ。記入方法、代金の振り込み方法などは、CXCスタッフ、カスタマーセンターのオペレーターが迅速に対応してくれたので、タイムロスなく書類提出および残金の支払いができた。

必要書類がそろっていれば、車両がナンバー登録などの手続きに入れる。最短納期は10月20日から25日と言われた。サクラの車検切れは10月11日だったので、それには間に合わなず、マイカーがない期間は約2週間となった。

いよいよサクラとのお別れ

この間、もうひとつの大きなイベントは愛車サクラとのお別れである。車両はCXCに買い取ってもらうことで話が済んでおり、車両持ち込みは車検切れ当日でOKとのことだった。

前日までに車内の荷物を降ろし洗車と清掃を行い、当日は昼前にCXCに持ち込んだ。2Fの待合スペースでコーヒーを飲みながら(ここのコナブレンドはお勧め)サクラの最終査定を待つ。

最終的に確定した査定金額は82万円。もちろんCXCに任せるとしていたので、そのまま処理を進めてもらった。

サクラの荷物を回収しているとき、改めて思ったが国産乗用車の収納ユーティリティの豊富さ、優秀さだ。サクラは助手席ドアに車検証を入れる蓋つきのポケットがある。おかげでグローブボックスが車検証でいっぱいになることはない。ドアポケットもドリンクホルダーになっており、後席にドリンクホルダーを増設する必要はない。

小さい軽自動車のトランクも底までさらうと細かい工具やケミカル品などいろいろでてくる。大昔に買って、歴代の車で受け継いできた「毛ばたき」がでてきたときは自分でもびっくりした。なお、ETCになって久しいので、シートの下を見ても小銭を発見することも皆無になった。

毛ばたきはインスターにも受け継いだ。

この年になると、車の入れ替えで神妙になることはないが、内外装ともに目だったキズはなく、車両のメーター読みだがセグ欠けもない、純正アルミホイールもついており、走行距離は15000キロ足らず。手前みそにはなるが、程度のよいEVと思うので、よい人に買われることを願う。

注文から1か月ちょっとで納車式を体験

そうこうしているうちに、正式な納車日の連絡が届いた。CXC横浜の担当者からの連絡と、ヒョンデアカウントのお知らせメールはほぼ同時だった。納車日は10月24日となった。

車両自体はその前の週に豊橋PDIセンターに届いているが、陸送の都合(陸送のトレーラーがなかなか空きがない)でCXC到着が21日となった。CXCでの最終点検を経て、24日午後以降なら納車可能だという。

納車式は、花束やセレモニーキーの贈呈などはないが、CXCに設けられた納車専用スペースの「お立ち台」に乗せられたインスターと対面し、背景スクリーンの動画と音楽に合わせてターンテーブルが回る。

記念撮影など行い、車両の操作についてひととおりの説明を受けて終了だ。お立ち台の正面シャッターが開いてそのまま道路に乗り出す。スタッフ一同がお見送りをしてくれる。小市民の筆者にはいささか分不相応で落ち着かないが、これも体験の付加価値、「コト売り」のひとつということだろう。

最後に、輸入車でありながら、インスターのウィンカーレバーはありがたいことに、国産車準拠で右側にある。ウィンカー操作を間違えて恥ずかしい思いをすることなく、CXC横浜を後にすることができた。

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取材・文/中尾 真二

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この記事を書いた人

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。「レスポンス」「ダイヤモンドオンライン」「エコノミスト」「ビジネス+IT」などWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアをカバーする。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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