寒波襲来が気になりつつ、東京湾岸の会場で「NEW YEAR EV MEET 2026」が開催されました。国内外メーカーのEV車種、150台以上の参加申込が集まり、募集を打ち切るほどの満員御礼。晴天に恵まれ、それほど寒風が吹くこともなく、楽しく盛り上がったイベントのレポートです。
EVオーナーが情報交換できるコミュニティイベント

2026年1月25日(日)、海の森水上競技場(東京都) 第二駐車場を会場に「NEW YEAR EV MEET 2026」が開催された。メーカーや車種を問わず全国のEVオーナーが集まる、いわゆるオフ会だ。このイベントは昨年、オートバックスかしわ沼南店(千葉県)の駐車場で初開催(関連記事)。今年はさらに大きな会場となり、キッチンカーも並んで盛況だった。
輸入車EVの場合、ディーラー網や整備拠点が限られるケースも多い。日本におけるEVはエンジン車にくらべてまだまだ小さい市場でもあり、同じ車種のオーナーが集まる場は、貴重な情報交換の場でもあり、グラスルーツ的なオフ会、コミュニティイベントがむしろ盛況だ。
2回目の開催となった「NEW YEAR EV MEET」は、昨年よりもさらに規模を拡大、2026年は事前の参加申込が150台を超えて「満員御礼」の申込受付終了となるほどだった。駐車スペースに限りがあるため、会場駐車場が使えない前提で、タクシーや公共交通機関を利用して参加した人もいた。
募集締め切り直前の集計では、14メーカー、28車種の登録があったそうだ。会場には、街中で出会う機会が少ないポルシェやFIATなどのEVも集結。2025年に発売されたフォルクスワーゲンのミニバンEV「ID.Buzz」まで見ることができた。




マジョリティはやはりテスラだ。ざっと数えただけでも40台以上が確認できた。次に多かったのは日産アリアで30台ほど。それぞれ、オーナーズクラブの声掛けによって多くのオーナーが参加した。同じ車種が数十台、しかも自分と同じ車種が並ぶと壮観である。これもオーナーイベントの魅力のひとつだろう。
会場にはキッチンカーが3台並んでおり、温かいコーヒーやお茶、沖縄そばやおでん、焼き立てチキンのグリル料理、たいやきなどのスイーツまで堪能することができた。
国内初のKIA「PV5」試乗会を開催

協賛企業の出展も多彩だった。Hyundai Mobility Japanは大阪・関西万博会場で活躍したEVバスを展示。車内が開放され、運転席にすわることもできた。本物のバスの運転席を体験できると家族連れの子供たちで(いや、大人たちもだが)賑わっていた。

最大の目玉はKia PBVジャパンが行った、国内初となるKIA「PV5」の試乗会だった。まだナンバーを取得して公道を走行できる試乗車がないものの、会場は駐車場敷地内のクローズドエリアである。短距離ではあったが、同乗による試乗ではなく自分で運転することができる試乗会だった。車両は、年始のオートサロンで公開されたPV5の商用バン「カーゴ」と乗用車仕様の「パッセンジャー」の2台。試乗の申し込みはすぐにいっぱいとなるほど注目だった。
EVオーナーやEV経験者には、ミニバンこそEVがほしいという人が少なくない。とくに車中泊勢やキャンピングカー用途でそのニーズが高い。そういえば、唯一ID.Buzzで参加していたオーナーも「このあと車中泊仕様に改造する」と述べていた。
【今回の出展企業】
Hyundai Mobility Japan 株式会社
Kia PBVジャパン株式会社
ノキアンタイヤ(株式会社シス・マーケティング)
株式会社アイエーエナジー(EVエコホーム)
一般社団法人 全日本災害住宅レジリエンス協会
株式会社オートバックスセブン
HeartUpWorld株式会社
株式会社NOJ
プルテウスレンタカー
株式会社BOXIV
株式会社EVry
三洋貿易株式会社(EverBlue Drive)
ニチコン株式会社(パワームーバー)
1008株式会社(チバレザー)
株式会社141マーケティング(EVモール/EVごはん)
非常時にV2LのAC電源を家庭に供給できるユニークな新商品

オーナー向けで気になる新製品として、日本災害住宅レジリエンス協会の「レジリエンスチャージ」に注目した。V2HとV2Lの間を埋める製品&ソリューションだ。
災害などの停電時にEVのバッテリーが利用できると便利である。グリッドの停電にEVの電気を活用して対応するには、V2Hシステムを導入する必要がある。しかし、これらの設備は工事費含めて高額になる。
EVからAC100Vの電気を取り出して活用する「V2L」は変換アダプターが標準装備の車両も増えており、キャンプなどのレジャーだけでなく、停電時にも役立つ。しかし、非常時に屋内でその電気を使うためには、テーブルタップなどを使ってコンセントを室内に引き込む必要がある。
レジリエンスチャージは、既設の配電盤と屋内配線の間に増設する配電盤として機能する。グリッドからの電力が途絶えたら、EVのV2Lやポータブルバッテリー、小型発電機などからの電力に切り替えることができる。太陽光発電のパワコンとの併用も可能だ。屋外に電力を引き込むためのレセプタクル(受け口)が設置され、停電時はV2LやポータブルバッテリーのACコンセントをここにつなぐ。
なお、V2Lによる電源は最大1500Wといった制限があるため、レジリエンスチャージで供給できる配線は5回路に制限される。冷蔵庫など、キッチン回りの電源を供給するようにしておけば、停電時にも温かい食事や冷たい飲み物を確保できる。
キッチンカーにはEVバスから電源供給

会場で温かい料理を提供してくれたのは、以下、3台のキッチンカーだ。
●毎日が遠足~SHONAN Roast&Grill~
●ちゅら島家87cafe 5456
●おやつ処まるさん

このうち2台のキッチンカーには、Hyundai Mobility Japanが展示したEVバスのバッテリーとニチコンのパワームーバーによって電力が供給されていた。
PV5の商用バンは、キャンピングカーだけでなくキッチンカーとしても絶好のベース車両となるのではないかと思った。
4つのオーナーズクラブ代表が熱くトーク

会場内の特設ステージでは、オーナーズクラブの代表によるトークショーが開催された。トークに参加したのは、テスラオーナーによるTOCJ(Tesla Owners Club Japan)、アリアオーナーのAOCJ(Ariya Owners Club Japan)、ホンダeがメインとなっているコミュニティ、ヒョンデオーナーのHMCJ(Hyundai Motor Club Japan)の4つから代表者各1名ずつがステージに上がった。
TOCJは、現在2600人もの会員が登録されているといい、EVコミュニティとして日本最大といっていいだろう。昨年、代表が変わっている。ことに2025年はテスラジャパン自体が販売数を伸ばしていることから、「会員数も増えており、メンバーのすそ野の広がり、世代交代も感じる。新しいオーナーへの情報提供や交流の場としての機能をさらに強化しているところだ」という。
会員はテスラ車オーナー限定となるが、TOCJ主催のイベントは、オープンなものが多い。ガソリン・ディーゼル、ハイブリッドなどEV以外の参加も可能なケースもある。より多くの日本の自動車ユーザーにEVを知ってもらうためオープンにしているという。
AOCJを代表して登壇したのは、Youtubeチャンネルを運営しているEV Life Japanさんだった。会員の広がりはAOCJでも感じているという。名称にアリアのAが入っているが、「会としては、新型も出たのでリーフの仲間を増やしたい考えがある。しかし、リーフのコミュニティと合流すると、一気に大所帯となるのが検討ポイント」と、変革の落としどころで悩んでいるようだ。
ホンダのコミュニティからは、ホンダeのオーナーズクラブのメンバーがトークに参加した。現在40名弱だが、ホンダはN-VAN e:、N-ONE e:と車種ごとにコミュニティが存在しており、とくにN-VAN eのコミュニティ会員は100名を超えているという。現在、アルプスアルパインの協力で「ホンダEVコミュニティ」を立ち上げて横のつながりを広げているところだ。今後は「ラッコ」も市販され、スズキらの軽EVも市場投入される。サクラ、eKクロスEV、アイミーブなど軽EVコミュニティも活発化しそうだ。
HMCJも設立当初はIONIQ 5のオーナーのクラブだった。国内で販売されたEVはそれだけだったので当然なのだが、コナ、インスターとEV車種が増えてきたので、現在はヒョンデ車のオーナーズクラブという形で運営されている。HMCJの特徴は、定例のミーティングにヒョンデの整備・販売拠点であるCXC新横浜を利用させてもらっている点だ。韓国のオーナーズクラブとの交流もある。
EVコミュニティの広がりと世代交代

全体として、どのオーナーズクラブもEV車種の増加、市場の拡大を会員数の増加で感じているという。そのため、知り合い同士で自然発生したようなクラブでも、新しい人達、新しい世代の人たちも楽しめる、役立つクラブとするようにコミュニティのあり方を模索している。
他クラブとの連携も考えている。「EVのオーナーは各社EVを乗り換えることが多い。そのため、他のオーナーズクラブとの交流や意見交換ができるイベントは重要と考えている(AOCJ)」という声もあった。実際、各オーナーズクラブでは、イベントの日程が重ならないように連絡をとりあっているという。
トークショーでは、このほかメーカーとの距離感、イベントの場所確保の難しさや裏話、さらにEVオーナーの本音トークなども炸裂し、かなり盛り上がった。最後は「来年のこのイベントにはぜひトヨタのオーナーズクラブも参加してもらい日本のEVコミュニティを盛り上げたい。」という意見で締めくくられた。
筆者自身、昨年は日産サクラで参加したが、今年はEVsmartブログで買い替えをレポートしたヒョンデ「インスター」で参加した。日本のEVオーナーがさらに増え、こうしたコミュニティとイベントが盛り上がることを楽しみにしている。
取材・文/中尾 真二






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