著者
充電スポット検索
カテゴリー

高級ミニバンEV『ジーカー 009』日本上陸! フォロフライ小間社長が語る「真意」と「勝算」/中国産への「逆風」どう超える?

高級ミニバンEV『ジーカー 009』日本上陸! フライ小間社長が語る「真意」と「勝算」/中国産への「逆風」どう超える?

物流現場を支える商用EVを扱うフォロフライが、代理店として約1300万円のラグジュアリーEV「ZEEKR 009」を日本導入。逆風も強い中国産EVを日本で販売する「真意」と「勝算」は? 小間裕康社長への直撃インタビューです。

目次

EVsmartブログ寄本編集長がインタビュー

フォロフライ株式会社 代表取締役 CEO 小間裕康さん。

海外OEMに製造委託するファブレスモデルで商用EVの市場投入を進めてきたフォロフライ株式会社が、「ジャパンモビリティショー2025」において、ラグジュアリーミニバンEV「ZEEKR 009」の日本発売を発表しました。

ZEEKR 009は、全長5,209mm×全幅2,024mm×全高1,812mmというボディサイズの7人乗り高級MPV。140kWhのCATL製の高性能リチウムイオンバッテリー「Qilin」を搭載し、2,870kgという車重ながら0-100km/h加速4.5秒という動力性能を実現しています。

ZEEKRはVOLVOなどを傘下とするGeely Holding GroupのプレミアムEVブランドで、この009は中国だけでなく、すでに販売を開始しているグローバルの市場で注目されているモデルです。

魅力的なEVではあるものの、はたして日本で売れるのか? フォロフライ株式会社代表取締役CEOの小間裕康氏に、EVsmartブログの寄本好則編集長が直撃インタビューを行いました。この記事は、小間社長と寄本編集長の対談を要約したものです。太字は質問、本文は小間さんの回答となっています。

納車開始は2026年夏ごろを予定

EVsmartブログ 寄本編集長。

ジャパンモビリティショー2025の反響は?

日本には、まだBEVの高級ミニバンがほとんどないこともあり、多くのメディアに「ZEEKR 009(ジーカー ゼロゼロナイン)」が取り上げられ、注目していただきました。会場ブースでは、車内へ乗った一般の人から「2クラス上くらい」という評価もいただきました。
また、ハイヤー事業者やアプリを使った配車サービスのフリートとして、非常に多くの引き合いをいただきました。

販売目標台数・受注状況・納車開始はいつ?

009は「まずやってみる」というスモールスタート。まずは年間数百台という数字を見た上で、1000台以上も目標にできると考えています。
現時点の受注台数は50台ほどで、増加中です。中には、1社で数十台の導入を検討いただいているところもあります。
納車開始時期は、2026年年央(夏ごろ)を目指しています。

009の魅力とは?

BEVならではの静粛性の高さ、低振動、軽快感ある加速は魅力です。009は、デュアルチャンバーエアサスペンションを採用しており、乗り心地の良さも魅力です。
この魅力は、特にハイヤー事業者に強くアピールできるポイントです。

フォロフライが日本で販売する強み

ZEEKR 009

なぜフォロフライがジーカーの代理店に?

フォロフライはかねてより、ジーリーへBEVの生産委託をしています。ジーリーOEM車のローンチ時に、せっかくならアフターサービスも含めて、to Bの販路を活かして手堅く日本市場参入を一緒にやっていきましょう、ということになり、当社はジーカーの日本における販売代理店になりました。

009をジーカー日本導入モデルの1番目に選んだ理由

BEVのラグジュアリーMPV(高級ミニバン)が日本にないというニッチな市場を狙ったこと、それを求める事業者の声があったことが009を選んだ理由です。

009のCHAdeMO対応や充電性能は?

009のCHAdeMO対応は、フォロフライが担当しています。海外製BEVのCHAdeMO充電相性問題については、まずは導入する企業が使用する範囲のCHAdeMO対応状況のチェックからはじめる計画です。
※充電まわりのローカライズは進行中で、充電性能などの詳細は未定です。

日本市場向けへの変更点

日本の法規制やニーズに合わせるための変更点は数十カ所に及びます。現在、ジーカーと日本仕様の開発項目を整理しています。

アフターサービス体制は大丈夫?

フォロフライがファシリティを持つのではなく、全国の整備工場とネットワークを組んだエコシステムでアフターサービスを展開していきます。積極的に整備研修を進めており、現在、全国240カ所の認定工場ネットワークを構築しています。

中国産EVへの逆風を乗り越えられるのか?

トミーカイラZZ

フォロフライでは中国メーカーからのOEM販売が主力になる?
※筆者注:寄本編集長は、GLM「トミーカイラZZ」がホンハイMIHのようなEVプラットフォーム開発の先駆け的な構想だったと考えている旨を引き合いに、GLMにも在籍していた小間さんへ今後の販売戦略について深掘りする質問を投げかけました。

トミーカイラZZが開発された2010年代は「BEVプラットフォーム」という考え方がありませんでした。GLM時代は、ゼロから開発していましたが、今では、すでにあるBEVプラットフォームを活用してクルマを作ることができます。F1シリーズは、このファブレス(自社工場を持たず外部委託で生産すること)手法で100項目以上の追加設計を行って開発、生産に至っています。
さらに、もう一段階進んで、多額の開発費用がかかるBEVプラットフォームを共同で作るというステージにきています。我々はこれを「ファブレス2.0」と呼んでいます。

ジーカーブランドの日本導入ラインナップは今後増えるのか?

フォロフライの顧客層は2段階あると考えています。1段階目は「働くクルマ(商用車)」の層で、当社が最も強い層です。まず、ここで使えるクルマであれば、販売台数のベースができます。
2段階目は、to C(一般ユーザー)の層です。この層については、アフターサービス網がとくに重要となります。現在、この点についてもお客様に満足いただけるのではないかと考えています。
ただ、新しいBEVは、取り組み自体も新しく、いきなり日本市場へ導入しても売れるかどうかわからないリスクもあり、日本で売るため(日本のユーザーが求める機能の実装など)の開発費も必要で採算が合うかも検討しなければなりません。
※筆者注:小間さんは、ジーカーブランドの車種ラインナップを拡充するかについての直接的な明言は避けていましたが、「まずは009の実績を見てから判断したい」のではないかと筆者は解釈しました。

F1シリーズ「1万台」販売目標の進捗状況は?
※筆者注:2022年にはフォロフライの「EV VAN F1」を物流会社のSBSホールディングスが導入。最大1万台導入する計画を発表しました(関連記事)。

フォロフライ F1 VAN

F1シリーズだけで「1万台」ではなく、今後フォロフライが展開していくBEVをすべて含めての台数目標です。なお、車種ラインナップの展開は、軽BEV商用バンの「FKV/FKT」、3t中型BEVトラック「F3T」、1.1t BEVバン「F11VS」と増加中で、今後、普通自動車免許で運転可能な1.5t BEVトラックの導入も計画しています。

「仮ナンバー試乗会」問題などへの対応は?

ジーカー「仮ナンバー試乗会」問題についての見解は?
※筆者注:2024年、GEELY社が実施したZEEKRの公道試乗会が「仮ナンバー」を不正使用していた問題がありました。

フォロフライがジーカーブランドを扱う上で知っておかなければならない、と思っています。
仮ナンバー試乗会の主催は本国の関係者で、日本の法制度や慣習を十分理解しないまま実施したのかと思います。当社はもちろん、仮ナンバーで試乗会を開催するといった、法規上や安全性の問題に抵触するようなことは一切いたしません。
なお、仮ナンバー試乗会開催時期は、当社がそこに関与できないタイミングであり、開催の経緯や背景は想像の域を出ません。当社として見解をコメントする立場ではないと考えています。

中国生産BEVのOEM販売のリスクはどう評価?
※筆者注:大阪・関西万博で、ファブレスモデルを進めていたEVモータースジャパンが導入した中国生産のBEVバスに不具合があることが発覚し問題となっています(関連記事)。

詳細は知り得ません。ただ、中国生産BEVのすべてに問題があるように捉えられてしまっている風潮は、すごく悲しいことだと思っています。
フォロフライは、日本側の技術陣の常駐、品質基準を満たした工場での生産委託、アフターサービスネットワーク、という3点で安心を届ける方針です。もし、クルマに問題が発生しても、ワンストップでスピーディーに解決ができる体制を敷いております。

まとめ:009はただの「打倒!アルファード」ではなかった

「F1」シリーズで、物流業界にしっかりとリーチをかけて拡販、一定の法人ユーザーを形成した上で、日本にはまだないBEV高級ミニバン「ジーカー 009」を法人向けから展開という、実に地に足をつけたマーケティング戦略をフォロフライが進めていることがよくわかりました。

決して「打倒!アルファード」と日本の高級ミニバン市場に向けて狼煙を上げたのではありませんでした。そこには、企業が対策しなければならない、CO2削減問題の解決、ガソリン車よりも高い「経済合理性」もありました。この点については、009試乗レポート動画の中で、フォロフライの Co-COO 中尾氏が詳しく、熱く語ってくれました。こちらもぜひ併せてご覧ください(試乗レポート記事も公開予定です)。

【動画】フォロフライ小間社長 × 寄本編集長対談の一部始終

【動画】ZEEKR 009試乗レポート

まとめ/宇野 智

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元「MOBY」編集長で現在は編集プロダクション「撮る書く編む株式会社」を主宰、ライター/フォトグラファー/エディターとしていくつかの自動車メディアへの寄稿も行う。

コメント

コメントする

目次