著者
充電スポット検索
カテゴリー

新型「日産リーフ」B7試乗レポート/量産EVのパイオニアとして日産「自信の1台」であることを実感

新型「日産リーフ」B7試乗レポート/量産EVのパイオニアとして日産「自信の1台」であることを実感

新型「日産リーフ」の公道試乗会を取材してきました。約2時間のドライブ&急速充電を試したのは「B7」の「G」グレード。EVならではの快適さに磨きをかけて、EVに付きまとってきたネガティブを払拭しています。日産が自信をもって送り出す新しい電気自動車であることを実感できました。

目次

EVならではのスムーズで上質な走りをグレードアップ

新型リーフの魅力について解説するチーフビークルエンジニアの磯部博樹氏。

千葉県、成田空港近郊の会場で新型「日産リーフ」のメディア向け公道試乗会に参加してきました。試乗したのは、バッテリー容量78kWhで、一充電走行距離685km(WLTCモード)の「B7G」です。

まず、端的な印象を総括すると「いいEVになった」ことを実感しました。静粛性や加速レスポンスのスムーズさなどは初代や先代でも実現されていた、いわばEVならではのメリットですが、新型リーフでは「3-in-1 電動パワートレイン」によってモーター特有のノイズなどを大幅に削減。試乗前のプレゼンテーションでも、電気自動車専用に開発された「CMF-EVプラットフォーム」を採用することで、「スーッと滑らかな走り」を進化させたことが強調されていました。

実際にハンドルを握ってみると、開発陣が強調した「自信」を裏切らないフィーリングでした。今回、動画チームのテスカス(畑本)さんと一緒に試乗会に参加して、最初はテスカスさんの運転でスタート、私は後部座席に乗ってみました。高速道路に乗る前には空港周辺のちょっと路面の悪い場所もあったのですが、後席に座っていても不快な突き上げ感などはそれほどになく。

全長は先代の「ZE1」が4480mmだったのに対して新型は4360mmと120mmもコンパクトになっているものの、ホイールベースは2690mmと先代(2700mm)とさほど変わらないので、さほどの窮屈さは感じません。これもまた、EV専用プラットフォームの恩恵でしょう。

後席シートヒーターやAC100Vのアクセサリーコンセント(ともにオプション)も装備。

全体的に「EVならではのスムーズで上質な走り」が磨き上げられた、完成度の高い乗り心地を確認することができました。

初代リーフで懸念されたEVのネガティブを打破

日産リーフ「B5」

1月29日には、バッテリー容量55kWhの「B5」も正式に発売されました。主要スペックや価格を確認しておきましょう。

新型日産リーフ主要スペック

B5SB5XB5GB7XB7G
全長×全幅×全高4360×1810×1550mm4360×1810×1550(1565)mm
(※PP2.0装着車)
ホイールベース2690mm
車両重量1750kg1770kg1820kg1880kg1920kg
総電圧372V353V
総電力量55kWh78kWh
グロス電力量52.9kWh
※北米発表値
75.1kWh
一充電走行距離
※WLTCモード
521km469(461)km
(※PP2.0装着車)
469(461)km
702(687)km685(670)km
普通充電最大出力6kW
急速充電最大出力
※チャデモ規格
150kW
最高出力130kW(177PS)160kW(218PS)
最大トルク345N・m355N・m
駆動方式前輪駆動
タイヤサイズ215/55R18 95H 235/45R19 95V 215/55R18 95H235/45R19 95V
価格(税込)4,389,000円〜4,738,800円〜5,648,500円〜5,188,700円〜5,999,400円〜
CEV補助金額129万円
実質価格約310万円〜約345万円〜約436万円〜約390万円〜約471万円〜

日産リーフは、2010年に発売されて三菱「i-MiEV」とともに世界における量産電気自動車のパイオニアとなった車種です。一方で初代の「ZE0」が、ことに日本国内で今も根強い「EVへの不安」を醸成してしまった面を否定できません。私としては、ZE0が抱えてしまった弱点は、当時の日産が「チャレンジ」してくれたからこその副作用であり、EVの発展にとっては大切なことでもあったと評価したいのですが、一般的なユーザーにとって「やっぱり不安」に感じてしまうのは仕方ないと考えています。

でも、昨年10月、発表時の速報で書いたように、新型リーフ「ZE2」は、ZE0が作り上げてしまった「EVのネガティブ」をことごとく打破してきたと感じていて、今回の試乗で確信することができました。

つまり「EVに買い替えるのは不安」という方に、ややこしい話は抜きにして「もう大丈夫ですよ」とオススメできるEVに進化したということです。

【関連記事】
「ZE0の呪い」が解けた!【朗報】新型「日産リーフ」に日本で蔓延るEVへの偏見粉砕を期待(2025年10月12日)

航続距離が400km以上で不満があるか?

スペックを見ても、いくつかの「進化」を確認できます。まず、航続距離(一充電走行距離)はカタログスペックでいちばん短い「B5G、B5X」のプロパイロット2.0(PP2.0)装着車でも461kmです。厳寒期のロングドライブなど電費に不利な条件下では安心して走れる距離(最初の経路充電スポットまで)は350km程度になることが想定できますが、約350kmあれば東京から高速道路上で最大150kW器が設置されている三重県の湾岸長島PA(下り)まで一気に走破することが可能です。

急速充電は最大150kWに対応

酒々井PAの最大150kW器で急速充電を検証。

充電に時間がかかるというのも、よく聞くEVへのネガティブです。給油とは違うのですから、それなりに時間がかかるのは当然として、新型リーフは全グレードで「普通充電は最大6kW」、「急速充電は最大150kW」に対応しました。

急速充電における実際の充電速度(出力)は外気温などの条件で大きく異なるので一概にはいえない面もありますが、現状、国内の公共用急速充電器で普及が進んでいる最大150kW器のメリットを最大限に享受できるようになったことは評価できます。

今回の試乗でも、東関道の酒々井PAに設置されている150kW器で検証。バッテリー残量(SOC)は52%と高めだったにも関わらず、充電開始直後に「108kW」の出力を確認することができました。試乗時は最大出力を確認することが目的だったので2分ほどで充電を停止して先を急ぎましたが、急速充電時の出力が得やすいSOC20%程度から30分間充電すれば、50kWh近い電力が補給できるのではないかと思います。

ちなみに、筑波サーキットに最大9.6kWの普通充電器が設置されたこともあり、リーフをはじめ国産EVにも「普通充電で最大48A(9.6kW)に対応してほしいな」というのが、基本的なEV性能が進化したからこそ感じる新たな期待です。

バッテリーを含めた熱マネジメントが大きく進化

EVへの不安として挙げられることが多い「バッテリー劣化」への対策も大きく進化していました。初代リーフでバッテリー劣化が顕著だった大きな要因は、バッテリーの温度管理です。先代のZE1でも駆動用バッテリーは「空冷」という名の成り行き任せだったこともあり、とくに夏場、高速走行と急速充電を繰り返すとバッテリーが過熱して充電の出力制限が発動しやすい「弱点」になっていました。また、バッテリーの過熱は劣化の原因にもなります。

新型リーフでは、駆動用バッテリーや電動パワートレイン、さらにキャビンの空調システムの冷熱システムを統合して効率化する「統合熱マネジメントシステム」を搭載。バッテリー劣化を防ぐとともに、暖房や冷房使用時のエネルギー効率の向上を実現しています。

試乗時の外気温は10度前後でかなり寒く感じる状況でしたが、搭載されていた「バッテリーヒーター」を手動で活用。酒々井の急速充電ではSOC52%で108kWという結果を得ることができました。バッテリーヒーターやクーリングについては、ナビ設定とリンクして自動でオンオフするような設定もあるのだと思いますが、今回、短時間の試乗であまり突っ込んで確認することができなかったのは悪しからず、です。

回生パドルシフトを新搭載

センターステーの奥に見える「+」「ー」の表示が回生コントロールのパドルスイッチ。

以前のリーフには、ドライブモードで通常の「D」と、回生ブレーキを強くする「B」がありました。新型リーフのシフト選択はボタン式。Bモードがなくなった代わりに、回生ブレーキの強さを自在にコントロールできる「回生ブレーキコントロールパドル」が採用されました。

回生ブレーキを自在に切り替えながら走るのは、エンジン車に置き換えるとシフトチェンジを駆使しながらワインディングを駆け抜けるようなフィーリングにも似ていて、個人的に、EVにおけるドライビングプレジャーを享受するための重要な機能だと感じています。メルセデス・ベンツやアウディ、ヒョンデなどのEVに採用されている一方で、今までのリーフにはなかった機能が追加されたのは、ZE2がEVとしての魅力を磨き上げたと感じる主要なポイントのひとつです。ちなみに、トヨタbZ4Xにも先だってのマイナーチェンジで回生パドルシフトが追加されました。市販EVの進化にとって良い流れだと思います。

ただし、今回試乗したZE2では、パドルシフトで回生を最も弱くしても、完全なコースティング(空走状態)にならない点が気になりました。日産に確認すると「日本ではまだATのエンブレと同じような減速度を出す方が好まれるお客さまが多いことから、コースティングの設定はしなかった」とのこと。今後のアップデートに期待したいポイントです。

また、回生のコントロールに「AUTO」の設定がありません。この点は先行車両を感知して運転支援を行う「インテリジェントディスタンスコントロールが『AUTO』モードにあたると考えている」とのこと。このあたりのフィーリングは、改めて長距離試乗で確認してみたいところです。

PP2.0で高速道路出口誘導の機能は割愛

試乗した「B7G」は、高速道路で手放し運転ができるPP2.0搭載車でした。以前、日産アリアでPP2.0を使って走っている際、ナビで設定した高速道路の出口に自動で誘導してくれる機能があって感嘆したのですが、今回の試乗時、何度かあった高速道路出口でその機能は作動しませんでした。

これも日産に確認すると「新型リーフから、新たに Google Automotive Services を採用したため、ナビとリンクしての出口誘導は機能としてはありません」という回答でした。

短時間の試乗でしっかり使い込むことはできなかったものの、Googleマップと連携したナビは好感触でした。細部への感想はさておき、EVユーザーにとって便利な機能が充実し、さらなる進化を遂げていくことに期待しています。

購入決断へ最大のハードルは、やっぱり価格

新型リーフが、EV購入に不安を抱いてきた人たちにもオススメできる1台に進化を遂げたことは間違いありません。とはいえ、数あるEV車種のなかからリーフを選択するという決断における最大のハードルは、やはり車両価格ということになりそうです。

日産では、新型リーフ発表会でも「EV普及を目指した価格設定」にチャレンジしていることをアピール。国のCEV補助金は満額近い129万円(2026年2月現在)となり、先日発売された「B5X」は事前の宣言通り「実質350万円以下」になりました。

とはいえ、大きな魅力のひとつであるPP2.0はオプションで、価格は40〜50万円程度(車種によって異なる ※価格はすべて税込)もします。V2L用のAC100V1500Wの車内アクセサリーコンセントも6.6万円。このほか、フロアマットやトノカバーなどのオプション品を加えて公式サイトでセルフ見積もりしてみると……。

●B7X:約605万円(実質約476万円)
●B7G:約682万円(実質約553万円)

しっかりと500万円前後以上の高級車価格帯に突入します。

B5についてはセルフ見積もりサイトが未公開ですが、PP2.0を含めたオプション価格が約72万円とすると……。

●B5X:約474万円+72万円=約546万円(実質約417万円)

やはり、400万円を超えてきます。

『国のEV補助金増額で「300〜400万円台」が大激戦』という記事で紹介したように、先般のCEV補助金増額によって「400万円台」にはテスラのモデル3やモデルY、MINIやヒョンデ、ボルボなどの魅力的な輸入ブランドEVはもとより、トヨタbZ4Xやスバルソルテラなどが群雄割拠。さらに安価な価格帯にはスズキeビターラなどが選択肢のライバル車種として並んでいます。

200Vの充電ケーブルが6.6万円のメーカーオプションとなっていることにも、正直、疑問を感じました。旧型リーフなど他のEVからの乗り替えが多いとしても、「EV普及を目指した価格設定」を標榜するのではあれば、新たなEVオーナーを重視するべき。三菱ekクロスEVのようなレスオプションとするのがユーザーフレンドリーではないかと感じます。高速道路SAPAなどで便利な、e-Mobility Powerと提携していて、それなりに合理的な料金設定である「日産ZESP3」のカードに加入できるのが日産EVのメリットではありますが、はたして、どのくらいのアドバンテージとなるものか。

旧型から大きく進化したとはいえ、ZE2のEV性能は競合他社のEVとようやく対等な勝負ができるレベルになっただけと評することもできます。トヨタbZ4Xがモデルチェンジで50万円ほど価格を下げたり、BYDやヒョンデなどがコストパフォーマンスの高いEVラインナップを拡げるなか、日産にはさらなる価格設定のチャレンジを期待したいところです。あるいは、リーフを高級車に位置付けるなら、さらにコンパクトで大衆的な新型EVを投入すれば、日本のEV普及に貢献できることでしょう。

ともあれ、「どのEVにしようかな」と悩めるようになったこと。そして、電気自動車を象徴する車種であるリーフが大きな進化を遂げたことを喜びたいと思うのでした。

取材・文/寄本 好則

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメントする

目次