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新型「日産リーフ」試乗レポート【諸星陽一】プロパイロット2.0のオプション価格が悩ましい

新型「日産リーフ」試乗レポート【諸星陽一】プロパイロット2.0のオプション価格が悩ましい

日産リーフがフルモデルチェンジを受けて3代目となりました。初代から2代目へのモデルチェンジでは進化したポイントが少なかったリーフですが、今回のモデルチェンジはどのような印象となるのでしょう? モータージャーナリスト、諸星陽一氏の試乗レポートです。

目次

新たなEV専用プラットフォームを採用

新型「日産リーフ」の公道試乗会に参加してきました。初代と2代目ではICEモデルのBプラットフォームをベースとしていましたが、新型ではプラットフォームを一新。CMF-EVと呼ばれるアリアと共通性のあるEV専用プラットフォームを採用し、よりEVとしての完成度を高めたモデルへと進化しています。

新型リーフは当初78kWhモデルのB7のみが発売されましたが、ちょうど筆者が参加した試乗会日程と時を同じくして55kWhモデルのB5が追加されました。リーフのバリエーションはトップからG、X、Sの順ですが、B7にはボトムグレードのSは用意されずGとXの2タイプです。

試乗車として用意されたのはB7の最上級グレードであるGでした。B7グレードに搭載されるバッテリーの容量は78kWhで、受け入れ電力は150kWです。モーター出力は160kW、モータートルクは355Nmでフロントタイヤを駆動するFWD。初代から今回の新型まで、リーフに4WDが設定されたことはありません。同価格帯で4WDモデルをラインナップするEV車種が増えていることもあり、降雪地帯での販売力にはブレーキとなっていると思われます。

一般道では「まとまりの良さ」を実感

今回の試乗会は成田空港近郊のホテルをベースに、一般道、高速道路、ワインディング、渋滞路と変化に富んだ道を走りながら、途中のサービスエリアで充電体験もできるというものでした。

一般道を走り出して感じるのは全体としてのまとまりのよさです。CMF-EVプラットフォームの採用によって、クルマ全体のまとまり感がグッとアップしています。クルマのシャシーやボディは適度なゆるさと適度なしっかり感が共存していなければなりません。ゆるすぎるとクルマの動きが安定しなかったり余計な振動が起きたりします。一方でガチガチに仕上げたシャシーやボディだと、路面からのこまかい入力を吸収しきれずにドライバーに負担をかけたりもします。リーフのそのあたりの調整というか落とし所がすごくいい印象で、ゆるさもしっかりさもちょうどいいさじ加減なのです。

高速道路に入り、加速していくとEVらしいスムーズで力強い加速を得られます。モーター出力は先代のe+と同一ながら、加速に荒々しさを感じません。インバーター、モーター、減速機の一体化を始め、モーター内部構造の改良、プラットフォーム刷新によるマウントブラケットの剛性アップなど各所の進化による効果が大きいことを感じます。データを見ると加速性能はアップしていますが、大きな変化はないと言っていいでしょう。

120km/h区間のプロパイロット2.0が快適

試乗で走った東関東自動車道には最高速度が120km/hの区間があります。この区間でプロパイロット2.0を使ったハンズオフドライブを試しました。ACCをオンにして設定速度を120km/hとしてハンズオフにするとイージードライブを楽しめます。

最高速度120km/hの区間でも120km/hで走っているクルマばかりではなく、120km/h走行はわりと周囲をリードするような速度です。このように周囲をリードできるとハンズオフドライブも快適なものです。ハンズオフドライブの設定可能速度は、検知速度(標識の速度)プラス10km/hです。つまり130km/hまでしか設定できませんが、おそらくメーター誤差を考慮すれば実測で120km/hを少し超える程度でしょう。これならば使えるという印象でした。

最高速度が80km/hの高速道路では80km/hで走っているクルマは少なく、この状況下でのACC走行は周囲のクルマの流れに逆らってしまうようなストレスがあります。80km/h制限区間では、プロパイロット2.0は使わずに走行したほうが快適なケースがありそうです。ACCを含む運転支援機能そのものについては速度や車間距離調整、レーンキープともにていねいなドライブでした。

ワインディングではシャシー性能の進化を体感

GグレードにはBOSEパーソナルプラスサウンドシステム(10スピーカー、運転席用アナウンス)が標準装備されます。試乗中に音楽やラジオは聴いていませんが、ナビの案内がヘッドレストスピーカーから流れてくるのが快適です。運転には五感のうち味覚以外の感覚を使っていますが、耳元でナビの経路案内が聞こえるのは聞き取りやすく、運転に集中しながらも経路を確実に把握できます。ただし、高速走行中はつねにフロントドアガラスから空気を吸い出す音がしていたのは残念でなりません。

ワインディングロードに入るとシャシーを一新し、リヤサスペンションをマルチリンクにした効果が大きく出ます。マルチリンク化されたリヤサスペンションは横剛性が66%アップ、それを受け止める車体もねじり剛性が86%アップしています。マルチリンクサスはタイヤの上下動を垂直に近づけられますが、それと同等に効果が大きいのがサスペンションの剛性がアップしたことによって、従来よりパフォーマンスの高いタイヤの装着を可能にしていることです。

先代モデルはNISMOモデルで225/45R18サイズでしたが、試乗車のB7Gは235/45R19サイズが装着されます。このタイヤチョイスにより、足まわりのしっかり感は大きく向上。軽快で踏ん張りのあるコーナリングを実現しています。また、パワーステアリングは従来のシャフトからステアリングラックをアシストするデュアルピニオン式としたことで、ハンドリングのリニア感が向上していることも付け加えておきます。

回生パドルスイッチの装備はGグレードのみ

ワインディングではパドルスイッチによって回生ブレーキの強さを調整しつつ、フットブレーキの使用頻度を落とした走行を試しました。回生ブレーキの強さは4段階に調整できるので、山道からの下りなどで強さを調整しつつ効率的にエネルギーの回生ができるでしょう。EVには必須の回生量調整のためのパドルスイッチですが、Gグレードにのみ設定され、XやSではオプションでも選べないのはちょっと残念です。

今回は試乗会としては珍しく急速充電を体験できるコース設定となっていました。とはいえ、充電スポットとして指定されたのは東関東自動車道下りの酒々井パーキングエリアだったので、まだまだバッテリー残量がしっかり残っている状態での充電となりました。

充電スタート時のSOCは78%でした。150kW器に接続して充電を開始、出力47~49kW程度で充電が行われ12分37秒で自動停止(急速充電は90%で停止する設定にしていました)。12%、9.338kWh(画像では9,338kWhと本来ピリオドである部分がカンマとなっていますが、ABBに確認したところ欧州表記に準じているということでした)を充電しSOCは90%まで回復しました。

SOC78%からの充電で50kW近くの充電性能を確保し、なおかつ90%まで充電がストップしなかったのはなかなか優秀だと思います。ただし、普段の使用ではSOCが80%近い状態からの急速充電は時間的な効率がよくないのであまりおすすめできません。

オプションを考えるとなかなか悩ましい価格

さて、価格です。リーフのバリエーションと価格(税込)は以下の通りです。

【B7(78kWh)】
X:518万8700円
G:599万9400円
オーテック:651万3100円

【B5(55kWh)】
S:438万9000円
X:473万8800円
G:564万8500円
オーテック:616万2200円

国の補助金は全モデルで129万円。東京都の場合はさらに60万円(再エネ電力導入などの条件で加算もあります)程度の補助金を活用できます。

回生パドルスイッチは欲しいところですが、XとGの価格差はB7で約81万円、B5で約91万円と、大きく開いています。またGを選んだからといってハンズオフドライブができるプロパイロット2.0が標準装備されるわけではなく、最低でも40万円ほどのセットオプションをプラスしなくてはなりません。補助金を活用した実質価格で考えると、標準装備でコストパフォーマンスが高いB5Xが魅力的ですが、回生パドルの設定がなく、プロパイロット2.0のオプション価格も高くなるという、じつに悩ましい選択となります。

ちなみに、プロパイロット2.0を利用するには、年間2万8580円(税込)の「NissanConnect プロパイロットプランG」に加入する必要があります。また、バッテリーヒーターは寒冷地仕様のセットオプション、200V充電ケーブルもオプションとなっています。先進のEVに進化したリーフの魅力を満喫するには、それなりのコストが必要ということですね。

取材・文/諸星 陽一

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この記事を書いた人

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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