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【韓国EV事情レポート03】進む韓国のEV普及と充電インフラ/アイオニック5で走って経路充電を体験

【韓国EV事情レポート03】進む韓国のEV普及と充電インフラ/アイオニック5で走って経路充電を体験

韓国レポートの最終回は、韓国のEV状況について実際の充電体験やデータから紹介したい。前回レポートしたテスラのライトショーに参加するため、ヒョンデのアイオニック5を使ってソウルから束草(ソクチョ)まで、片道約2時間半のドライブで往復し、経路充電もしながら韓国の車風景を観察した。新車販売台数では日本の3分の1程度しかない市場であるが、街を走るEVも多く、全体的にテクノロジーの採用は早いと感じた。

目次

アイオニック5で韓国を初ドライブ

アメリカに出張する際はテスラを借りるようにしている。普段モデル3に乗っており、UIの操作方法、充電まで使い勝手がわかっているからだ。知らない海外でも充電の認証は必要ないし、夜のガソリンスタンドでドキドキしながら給油する必要もない。面倒なナビの設定もボイスコマンドで済ますことができる。しかし、今回ソウルでモデル3をお願いしたら、同等クラスということでアイオニック5が用意されていた。アイオニック5の長距離ドライブはしたことがなかったので良い機会だ。これでソクチョまでの往復をすることになった。

レンタカーのアイオニック5。

韓国のレンタカーでは、日本でいうETCのような高速料金支払いシステムのプリペイドが必要で、カウンターで3000円くらいを前払いして端末を搭載してもらう。レンタカー会社が言うには充電はクレジットカードでどこでも可能だとのことで安心して借りることができた(しかし、後ほどこれが問題になる)。

ソウル駅から出発し、ソウル襄陽高速道路に乗って東に進み、途中はミサリというパーキングエリアで休憩を取った。フードコートが充実しており、日本のSAとよく似ている。アイオニック5の運転自体はとても快適で、自動運転支援機能はレーンキープアシストがあり、動作は優秀であった。ただ、ハンドルに圧力がかからないとすぐに警告が入る仕様である。

韓国での充電体験(もちろん初めて)

ソクチョからソウルへの帰路では充電をする必要があった。空中型デザインで有名なハナムのパーキングエリアで充電を試みた。

ここにはヒョンデが展開する充電サービス拠点「E-pit」が入り口付近にある。350kW級(CCS2)の施設で、主にヒョンデおよびキアのEVユーザー向けの施設だがCCS対応ならどの車でも充電できる。6基の充電器が設置してあり、それぞれにUIを備え、E-pitユーザーであればPnC(プラグアンドチャージ)に対応。現在、全国で64のステーションを展開しており、今後はヒョンデ・エンジニアリングといったパートナーと提携し、PnCの充電器を1500基以上増やす計画を発表している。

ヒョンデが展開するE-pit。

ゲストユーザーはクレジットカードで決済する方法になっていた。自分が充電したい料金を3000円など選びクレジットカードを挿すだけのシンプル設定であるが、なんと日本(もしくは海外)のクレジットカードがどれも使えなかった。隣で充電をしていたKIAオーナーに聞くともう一つの充電ステーションがあるから行ってみてはとのこと。

パーキングエリアを進むともう一つの充電ステーション「Water」が設置してある。これはBright Energy Partners(BEP)という再エネ専門会社が母体の充電事業者で、2022年にサービスを立ち上げた。韓国道路公社から大規模契約を勝ち取り、25年8月時点ですでに高速道路に73か所・397基を運営している。デザインや充電器のUIもポップかつシンプルで分かりやすい。この充電ステーションの特徴はCCSとNACSの両方に対応しているということだ。そのため、テスラオーナーもここで充電している(ちなみにテスラのスーパーチャージャーは韓国では高速道路上にも設置されている)。

Waterではさまざまなモデルが充電中だった。

ここでもゲスト充電を試そうとしたが、再び日本のクレジットカードを受け付けてくれない。ソウルまで約110kmの地点で充電残量は50km、これは大変まずいことになったとE-pitでもWaterでも会員登録をしようと試みたが、そこでも韓国の在住カードの番号入力があり観光客の登録は無理であった。途方に暮れていると、隣にテスラオーナーが充電にやってきたので、最後は親切なオーナーのクレジットカードで支払ってもらい、現金をお渡ししてなんとか解決した。

海外のカードが使えないことには何らかの理由があるのかもしれないが、その点さえ解決されれば観光客にも分かりやすい充電体験である。その後、ソウル駅前のソウルスクエアに車を返却することになるが、同じパーキングに今度はHUMAXグループが展開する急速充電器が設置してあった。こちらも充電器がICチップ対応となっており、試したところ、問題なくカードを受け付け充電することができた。

結局カード受付可否の詳細はわからないが、カードが使えればゲストでも買い物をするように充電ができるのでとても便利だ。

現在、国全体の充電基数は約493,000基であり、急速充電器(50kW以上)は約66,400基である。[*1]

HUMAXで無事充電できた。

韓国のEV普及状況は?

訪問前に韓国では昨年EV販売が急成長したというニュースを見かけていた。実際にソウルの街中を走るとテスラを筆頭にアイオニック5やKIAのEVを頻繁に見かける。市場全体を見てみると、2025年の韓国新車販売総数は約166万台(国内ブランド約137万台+輸入車約29万台)[*2]と、前年比微増ながら堅調に推移している。国内のヒョンデ・KIAが市場の大部分を占め、輸入車はBMW・メルセデスがこれまで人気であったが、テスラが急浮上している状況だ。

BMWは人気ブランドの一つ。

その中で、EV(BEV)は22万177台(前年比+50.1%)を記録し、市場シェアは初めて13.1%に到達[*3]。韓国はすでに本格的なEV大国入りしていると言われる。背景には政府の補助金とインフラ整備が後押しし、EVシフトが完全に定着したということ、さらに韓国ユーザーのテクノロジーに対する感度や受容性の高さもある。アイオニック5やアイオニック9を街中でよく見かけたし、KIAのEV6やEV9も人気があるようだ。

なかでもEV市場を牽引しているのはテスラで、2025年販売台数は約5万9916台(前年比約2倍)と飛躍し、輸入車市場で3位に浮上、EV市場の27%を占めている状況だ[*4]。

ライトショーで何人かのオーナーと話をしたが、今後、上海製のモデルYとモデル3にFSDが展開されれば、爆発的な需要を呼び起こすことは間違いなく、年間10万台も可能だろうと述べていたことは印象的だった。

韓国の旅を終えて

4泊5日の短い旅だったが、テスラ ライトショーへの参加と、ヒョンデ アイオニック5でのドライブや充電体験を通じて、韓国のEV事情を垣間見ることができた。テスラFSDの採用率の高さからもわかるように、ユーザーのテクノロジーに対する受容性は非常に高い。

充電環境については、外国人の私から見てもよりシンプルで分かりやすいインフラが整っていると感じた。これは政府の補助金だけでなく、メーカーの充電インフラへの強いコミットメントも大きな要因だろう。モビリティという観点からは、市場全体が正しく進んでいることを実感した。

ポールスターも韓国には参入している。

[*1]Chargeinfo.ksga.orgデータ
[*2]KAMA(韓国モビリティ産業協会)データ
[*3]聯合ニュース(KAMAデータ)
[*4]中国新華社英語版(KAIDA:韓国輸入車協会データ)

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文/前田 謙一郎(x.com

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この記事を書いた人

テスラ、ポルシェなど外資系自動車メーカーで執行役員などを経験後、2023年Undertones Consulting株式会社を設立。自動車会社を中心に電動化やブランディングのコンサルティングを行いながら、世界の自動車業界動向、EVやAI、マーケティング等に関してメディア登壇や講演、執筆を行う。上智大学経済学部を卒業、オランダの現地企業でインターン、ベルギーで富士通とトヨタの合弁会社である富士通テンに入社。2008年に帰国後、複数の自動車会社に勤務。2016年からテスラでシニア・マーケティングマネージャー、2020年よりポルシェ・ジャパン マーケティング&CRM部 執行役員。テスラではModel 3の国内立ち上げ、ポルシェではEVタイカンの日本導入やMLB大谷翔平選手とのアンバサダー契約を結ぶなど、日本の自動車業界において電動化やマーケティングで実績を残す。

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