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テスラ2026年第1四半期の台数速報/EV納車台数は前年同期比+6.3%、エネルギー部門は減少

テスラ2026年第1四半期の台数速報/EV納車台数は前年同期比+6.3%、エネルギー部門は減少

テスラの2026年第1四半期(Q1)生産・納車・エネルギー展開実績が4月2日に発表された。市場アナリストの推定では納車台数が約36万5000台前後と予想されていたが、結果は納車が35万8,023台、生産が40万8,386台となった。一方、エネルギー貯蔵製品の展開量は8.8 GWhにとどまった。速報で概要を解説する。
※冒頭写真は日本発売が発表されたモデルY L。

目次

車両納車台数は前年同期比で増加も市場予測を下回る

2026 Q1生産台数納車台数2026 通年生産台数納車台数
Model 3/Y394,611341,893Model 3/Y394,611341,893
Other Models13,775 16,130 Other Models13,775 16,130
合計408,386 358,023 合計408,386 358,023

テスラIR資料より作成

Q1の車両納車台数は35万8,023台となった。これは前年同期(2025年Q1)の33万6,681台から2万1,342台増加、率にして+6.3%の成長である。モデル3とYが34万1,893台を占め、その他モデル(モデルS、モデルX、サイバートラックなど)は1万6,130台だった。アナリストのコンセンサスは約36万5,000台前後だったため、約7,600台の下振れとなった。

最初に、この+6.3%は「復調」と言っていいだろう。振り返ってみると、前年の2025年Q1は、新型モデルYのモデルチェンジに伴う上海ギガファクトリーをはじめ世界一斉切り替えによるダウンタイムと、イーロン・マスクCEOの政治活動への反発(特に欧州でのボイコット)が重なり、大幅に低調だった。そこから1年経過し、2026年Q1は確実に持ち直した形だ。

もう一つのポイントは、Q1特有のシーズナリティ(季節性)も無視できないことだ。中国春節が2月にあり、上海工場の稼働が一時的に低下する季節要因が影響するし、グローバル需要も年初は落ち着きやすい時期だ。それでも前年比プラスを達成したことは、テスラの粘り強さを証明したと評価できる。

BEVの世界販売台数においては、BYDの31万389台を上回ったが、とくに中国やヨーロッパでは現地競合の台頭が続き、モデルYのフェイスリフト効果も一巡した感がある。そこでテスラはモデルY Lの6人乗りモデルをアジア地域(日本を含む)で導入するなど、さまざまな需要喚起策を行っている。

900万台目のラインオフを行った上海工場。(テスラIR資料より引用)

エネルギー貯蔵製品の展開は減少

エネルギー貯蔵製品の展開量は8.8 GWhとなった。これは前四半期(2025年Q4)の過去最高14.2 GWhから38%もの大幅減、前年同期(2025年Q1)の10.4 GWhからも約15%減である。アナリスト予想(約14.4 GWh)も大きく下回った。

この低下もエネルギービジネス特有の要因によるものと予測できる。大型メガパックプロジェクトなどは顧客のグリッド接続タイミングやプロジェクト準備状況に強く左右されるからだ。この減少要因については月末の決算発表ガイダンスで言及があるはずだ。

テスラのエネルギー事業は長期的に見て確実に成長を続けており、AIデータセンターの電力需要や、電力網の近代化、再生可能エネルギーの拡大が強力な追い風となっている。フル稼働中の上海メガファクトリーだけでなく、テキサス州ヒューストンでの新工場建設により、グローバル生産体制はさらに強化されており、一時的な減少の可能性が高い。

自動運転とロボタクシーで販売台数を増やせるか

東京・新宿でのFSDテスト走行の様子(関連記事)。

BYDをはじめとする中国メーカーは2025年、BEV販売でテスラを上回る勢いを見せたが、中国国内ではNEV需要の頭打ちや新勢力の台頭により、当初目標を下方修正せざるを得なかった。テスラも同様に、単なる台数競争から脱却し、ロボタクシーや自動運転、人型ロボット、エネルギーという新しい価値領域で差別化を図ろうとしている。

4月からはハンドルやペダルのないサイバーキャブの生産が始まっており、全米でそのテスト走行が目撃されている。ちょうど今週末、イーロン・マスクCEOがFSDの最新バージョンV14.3がもうすぐ広範囲にリリースされるとポストしていた。

このV14.3は「寝ていても目的地に到着できるレベル」であると以前から言われており、サイバーキャブの運用がすべて無人で行われることを考えると、このタイミングでのリリースは非常にロジカルであり、待望の無監督(Unsupervised)FSDへの大きな前進を示す証拠だろう。

Q1をもってこれまでテスラのブランドを形作ってきたモデルSとモデルXの生産が終了したが、今月には次期型ロードスターの発表が予定されている。ロードスターとサイバーキャブという全く性格の異なるEVが登場する中、テスラのQ2の動きにも注目したい。

新型ロードスター。(画像提供元:Tesla, Inc. )

Q1の決算発表は4月22日(日本時間23日早朝)に行われる。そこではFSDのサブスクリプション件数やサイバーキャブの進捗、そしてエネルギー事業について語られるはずだ。引き続き注目してレポートしたい。

文/前田 謙一郎x.com

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この記事を書いた人

テスラ、ポルシェなど外資系自動車メーカーで執行役員などを経験後、2023年Undertones Consulting株式会社を設立。自動車会社を中心に電動化やブランディングのコンサルティングを行いながら、世界の自動車業界動向、EVやAI、マーケティング等に関してメディア登壇や講演、執筆を行う。上智大学経済学部を卒業、オランダの現地企業でインターン、ベルギーで富士通とトヨタの合弁会社である富士通テンに入社。2008年に帰国後、複数の自動車会社に勤務。2016年からテスラでシニア・マーケティングマネージャー、2020年よりポルシェ・ジャパン マーケティング&CRM部 執行役員。テスラではModel 3の国内立ち上げ、ポルシェではEVタイカンの日本導入やMLB大谷翔平選手とのアンバサダー契約を結ぶなど、日本の自動車業界において電動化やマーケティングで実績を残す。

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