アップデートした「モデル3」にまたまた試乗。
「テスラ・モーターズ」は電気自動車のベンチャー企業として2003年に設立され、まずはスポーツモデルの「テスラ・ロードスター」を発売して注目を集めました。その後、セダンの「モデルS」、SUVの「モデルX」とモデルを増やし、2016年にはコンパクトモデルの「モデル3」の投入で一気にシェアを拡大。2019年の世界での販売台数は36万7500台で前年比で5割近くも増えたそう。
ちなみに、2017年には社名を「テスラ」に変更して、自動車&エネルギーの企業として事業を拡大。太陽光発電パネルやパワーウォールという家庭でも使える大容量蓄電池などの再生可能エネルギー活用アイテムにも力を入れています。
私は2019年秋、日本に導入されたばかりの「モデル3」に試乗しましたが、わずか4ヶ月で大きくアップデートされたと聞き、またまた試乗することにしました!
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レポートの前に、試乗する「モデル3」についてのおさらい。
説明してくださったのはテスラモータースジャパンのマーケティングスペシャリスト大塚洋亮さんです。
そして今回試乗するのは、デュアルモーターの「パフォーマンス」で、赤のボディカラーに白いシートを装備していますが、これはデモカーだけ。本国では設定があるものの、残念ながら日本導入モデルは白のシートの設定は無いそう。残念。もし白のシートが欲しい場合は……、この車が中古で出るのを待つしかないかも。
では、大塚さんの解説をご紹介。
現在、日本でのモデル3は、3つのタイプがあります。今回、試乗していただくのは「最高速が261㎞/hのパフォーマンスモデルですが、ここまでは速くなくてもよいからもっと航続距離を増やしたいという方のために「ロングレンジAWD デュアルモーター」、そして後輪駆動で性能も価格も抑えた「スタンダードレンジプラス」があります。将来的にはさらに廉価版「スタンダード」が導入されます。
そして日本では2019年秋にソフトウェアを「バージョン10.0」にアップデートしました。
これにより、たとえば米国で人気の「カップヘッド」というゲームや、「テスラシアター」、YouTubeやNetflix、Spotifyなどエンタテイメントが充実しました。
また、ドライビング ビジュアライゼーションによって360度の視界が確保されますが、今回、三角コーンのような低いものを検知したり、子どもや大人サイズの「人のアイコン」で出てきたり、自転車、バス、トラック、バン、セダンそれぞれ表示されるようになったのが進化した点です。
地図はグーグルマップを使っていてより見やすくなったうえ、そこにオリジナルのレイヤーをのせて、音声認識も加わっています。
オーナーになると専用アプリで車両をコントロールできる種類が増えています。またスマホと連動することで盗難防止に役立ち、アプリでの操作が可能になります。
といった説明の後、試乗車とご対面!
テスラはモデルSも角度によっては小さく見えますが、「モデル3」はさらに小さく見えます(実際に小さいのですが)。もちろん後席はモデルSと比べて狭いですが、前後のラゲッジルームはエンジンが搭載されない分、思ったより広々。特にリアは深さもあります。
そしてドアの解錠。Bピラーにあるセンサーにカードキーをタッチしてドアを解錠します。オーナーであればスマートフォンにテスラのアプリを入れて解錠が可能。カードキーはエマージェンシー的なものだとか。
また、専用アプリでコントロールできる機能も増加しているのは大塚さんの解説の通りなのですが、万が一、愛車が盗まれてもスマホのアプリで操作ができるそう。また空調の操作もできて、朝、出発前にフロントガラスの霜取りなどをする機能もあります。
搭載されているカメラは8つ。フロント3個、サイドに2個づつ、そしてバックカメラ。前方のカメラは録画機能があるのでドラレコとしても使用可。停車中でも自動録画ができるそうです。これは嬉しいですね!
ちなみに大塚さんによると「この機能はテスラでは無料で利用することができ、「セントリーモード」と呼んでいます』とのことです。
ユーザーの要望に応えた追加機能も!
テスラでは、お客様から寄せられた意見を実際に取り入れたりもするようです。その中のひとつが「ジョーモード」。これはジョーさんという人が、「子どもが起きないようにチャイムの音量を下げるサイレンとモードを作って欲しい」という意見から採用されたそう。
ほかにもソフトウェアのアップデートのタイミングが早くなったり、Bluetoothが改善されたり、アプリケーションランチャーで全てのアプリにアクセスできるようになったり。
また、ドライバーファイルによって、好みの車速やシートヒーターの有無、車間距離の好みなどが自動で設定されます。
日本に導入されていない機能としては、駐車場にいるドライバーを見つけて迎えに行き、60mであれば無人で移動可能な「スマート・サモン」という賢い機能や、車内でカラオケが楽しめるその名も「Caraoke」などが追加されています。
さらにステアリングはあえて本革ではなく、合皮にして「ビーガン」に。
もう、何から何まで最新のトレンドを掴みまくり。そしてその採用するスピード感に脱帽です。
試乗はほぼ100%充電状態で乗り出し、その時の航続可能距離は479㎞。走行すると、周囲の車のボディスタイルをしっかり認識しますが、驚いたのは車の前方を歩行者が横断した時、しっかり人のアイコンが横切るのを表示するという……。そして、道路わきの三角コーンはもちろん、工事用のパイロンや車線を仕切る棒なども認識するし、道路が2車線道路だった際、1車線離れたものでも認識します。
面白装備「ブーブークッション」もおならの種類が増えていました。「つまらないおなら」とか、こんなにバリエーションを増やす必要があったのか謎ですが、イーロン・マスク氏はこの手の笑いが好きなようです? アメリカンジョーク、私はちょっと理解に苦しみます。
充電は、せっかくなのでテスラ専用の「スーパーチャージャー」を利用しに、東京・東雲のスーパーオートバックス改め「A PIT オートバックス SHINONOME」の駐車場へ。有料かと思いきや、この駐車場は最初の1時間は無料。つまり1時間以内の充電だけなら無料で駐車場を利用することができます。しかも急速充電器は8基。
テスラの充電口は左の後ろ角。軽く触れるだけで自動で開閉し、ケーブルをつなぐと勝手に充電が始まります。日産リーフをはじめ、充電口はフロントの真ん中に設定されていることが多いのですが、それだと前から駐車せねばならず、駐車場によっては止めにくいので、後ろの角は嬉しいですね。
充電中は、テスラのお店を覗いてみたり、店内を探索。自動車関係の単行本が多いな、私も本を出したいな、と思いつつ、結局「スターバックス」でカフェタイム。しかし返却時間が迫っていたため、40分ではなく、30分強で充電を切り上げ。30分で150㎞走行可能分の充電を行い、価格は980円。つまり1㎞あたりの電気代は6.5円でした。
試乗時のエアコンの設定温度は27度で、シートヒーターON。約150㎞走行分のほとんどが首都高速道路を走行という状態でした。それでも、嬉しいのはそもそも、航続距離が長いこと。満充電で500㎞近く走行できるのはそれほどシビアに電池の残量を気にせず走行することが出来ます。しかも、テスラのスーパーチャージャー(急速充電器)なら、充電はとても簡単です。
そしてもうひとつの「モデル3」の目玉機能は「オートパイロット」。高速道路や自動車専用道路を走行時、法定速度内にスピードを設定すれば「自動運転レベル2」の運転支援をしてくれます。設定方法は、ディスプレイの中にハンドルのアイコンが出てきたら準備OK 。クルーズコントロールのレバーを2回、下に下げます。
でもなぜかこれを私は上手くできず。気が合わないのかしら?(笑) また、オートパイロット作動時にウインカーを出すと、周囲の状況を車がセンシングして安全確認後に自動的に車線を変更してくれます。
この車の試乗、1泊2日じゃ足りない~~~っ!
(取材・文/吉田 由美)
テスラ良いですね。
モデルYのロングレンジが出たら購入するつもりです。