トヨタ『RAV4 PHV』に試乗〜気になる電池生産状況などを確認してきました

横浜市内で開催されたトヨタ新型ハリアーとRAV4 PHVの試乗会にEVsmartブログも飛び入り参加。モータージャーナリストの御堀直嗣氏、諸星陽一氏によるRAV4 PHVのインプレッションレポートとともに、受注停止で気になる電池生産の事情などをご紹介します。

トヨタ『RAV4 PHV』に試乗〜気になる電池生産状況などを確認してきました

まずは、ジャーナリストおふたりによる、試乗インプレッションレポートをお楽しみください。

この日の試乗会の主役は新型ハリアー、でした。

PHVには「パフォーマンスHV」の狙いもある

レポート/御堀 直嗣

RAV4 PHVは、18.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTCで95kmとされるモーター走行の間は極力エンジンを始動しない制御が行われている。これにはヒートポンプ式空調の採用も効果を上げている。これらによって、モーター走行を高速域まで存分に堪能できる。イグニッションの起動は、モーター走行を基本とする設定だ。

ハイブリッド(HV)走行では、バッテリーを床下に搭載することにより、すでに発売されているHVより低重心で安定した走行感覚となり、PHVらしさを体感させた。SUVでありながらグッと車体を沈み込ませ、タイヤをより接地させながら走る様は、RAV4に新たな魅力を加えている。

EVモードとHVモードの切り替わりも滑らかで、モーター走行感覚を損なわない制御の巧みさを感じることができた。

全方位によく仕上がっているだけに、モーター走行時に回生の強弱を運転者自ら操れるワンペダルのような機能が欲しくなる。

モーターは、アクセル操作に対し素早く、強弱を思いのままに調整しながら加速できる面白さがある。同じことは回生にもいえ、減速度を交通の流れやカーブの曲がり具合にあわせ瞬時に調整し、自在に操れるところが魅力だ。ワンペダル操作は、それを実現する仕組みだ。

話はそれるが、RAV4 PHVと前後して日産が発売したキックスは、e-Powerと呼ぶシリーズハイブリッドシステムを搭載し、ワンペダル操作のe-Powerドライブを装備する。EVでもPHEVでもないが、ノート、セレナと採用してきたe-Powerは、キックスに搭載するにあたりさらにEVらしさを与えるため、発電用エンジンをできるだけ作動させないようにした。静粛性が保たれ、あたかもEVを運転しているかのようだ。日産が、「新しい電気自動車のカタチ」と宣伝している(このコピーには違和感があるが)ことからも、HVであってもEVらしさを目指していることは明らかだ。

トヨタは、プラグインハイブリッド車をPHVと呼び、他社のようにPHEVといわない。RAV4 PHVの開発では、PHVを「パフォーマンスHV」の狙いもあると説明する。つまりHVのバリエーションとしてより上を目指す姿勢だ。同じモーター走行でも、日産とは目指すべき理想が違っているのがわかる。だが、プラグインハイブリッド車とEVは、エンジン車からHVへクルマが進化した従来の価値観とは違う次元へ消費者を誘う車種だ。

トヨタは、1997年の初代プリウス以来電動化技術を磨き、「EVはいつでも作れる」と述べる。しかし、作れることと、魅力あるEVとして売れることは違う。売って初めて、顧客がEVに何を求めるのかの声が届く。そのためにも、トヨタは早くEVを一台市販すべきだ。

販売店からは、他社と競える完全電動車の品揃えがなく、優良顧客が離れるのではないかと懸念の声も聞こえる。欧州でレクサスUX300eが発表されたが、それさえ、トヨタからレクサスへ顧客を逃がすことになり、メーカーと販売店の視点が違うことにも配慮されるべきではないだろうか。

多くの人が待ちわびたトヨタのプラグインモデル

レポート/諸星陽一

95kmのEV走行が可能だというRAV4 PHVは、まさに多くの人が待ちわびていたモデルと言える。その証拠に爆発的な受注を呼び、現在は注文ができない状態となっている。95kmの航続距離があれば、通勤使用で多くの人がEV走行のみで済ませられるだろう。

普段使いのクルマが給油することなく使え、万が一充電切れとなった場合はガソリンエンジンで走れるという安心感は、EV購入に躊躇している人には大きな後押しとなっているだろう。すでにプリウスPHVや三菱アウトランダーPHEVは市場に存在しているものの、やはりトヨタでSUVでPHVという3要素は非常に魅力的なものとなる。

RAV4 PHVの乗り味は基本的にEVだった。発進の力強さはもちろん、高速道路を移動しても基本はモーター駆動で走る。その加速感はかなり力強いものだ。バッテリー残量がしっかりとあれば電気モーターだけで走る「EVモード」を選択可能。アクセルを床まで踏み込むような力強い加速時もエンジンは始動せずにそのまま加速する。この感覚はまさにピュアEVのもの。静かにそして力強く加速する。

バッテリーを床下配置したことで、重心がグッと下がりハンドリングも良好だ。とくに半径の大きな高速コーナーでの安定感はバツグンに高く、ステアリングがビシッと決まって走り抜ける感じが気持ちいい。フロントがエンジン&モーター、リヤがモーターで駆動する4WDなので駆動力の掛かり方もムダがない感触。走行モードはエコ、ノーマル、スポーツに加えて、ブレーキLSD効果を備えるトライアルモードもあり、オフロード走行もかなり頼もしいものとなる。

ハイブリッドの先駆者であったトヨタだが、電動車については遅れているという話が時々登場する。しかし、私は遅れているとは思わない。EVより複雑な機構をもつハイブリッドを成功させていることは、EVへの技術転用は十分に期待できる。また、ミライはFCVではあるが駆動については電動だ。こう考えるとあとは充放電マネジメントをクリアすればいい。すでにこの課題についてはある程度のノウハウはあるだろうし、サプライヤーも優秀だからである。

ただ、トヨタはかなり慎重にことを進めている感じがする。今回のRAV4 PHVも急速充電は備えず、普通充電のみとしている。ご存じのように急速充電はバッテリーに大きな負担となる。PHVなので普通充電のみとして、バッテリー保護を大切にした部分も大きいのだろう。また、急速充電可能とすれば、高速道路の充電スポットなどで充電するクルマも増え、充電インフラに負担を掛ける。RAV4 PHVが普通充電のみとしたのは、じつは大正解で、これこそ正しいクルマ作りだと言える。

発売から約3週間で注文停止の大人気

さて、ここからは編集担当でもある寄本のレポートです。

トヨタでは『プリウス PHV』に続くプラグインモデルで、18.1kWhというプラグインハイブリッドとしては大容量の電池を搭載する『RAV4 PHV』の日本での発売が発表されたのは、6月8日のことでした。日本一の電動モビリティ情報メディアを目指すEVsmartブログでもすぐに『トヨタ RAV4 PHV いよいよ日本発売〜電動車の新基準となるか』と題した記事を公開して拍手喝采を送りました。

その記事の中でも、月間販売目標台数が「300台」であることに触れ、もっと売れて欲しい(売れるでしょ?)と応援していたのですが……。

トヨタ公式サイトのRAV4 PHV紹介ページトップ画面を引用。

なんと、発売発表からわずか3週間ほど経った6月末、トヨタ公式サイトの RAV4 PHV を紹介するページに「RAV4 PHV は現在、ご注文を一時停止させていただいております」というお知らせが掲出されました。理由は「新規搭載のバッテリーの生産能力を大幅に上回る注文」があったため。すでに「年度内の生産分は終了」しているとのこと。トヨタ広報部によると「受注を再開する際には、改めてウェブサイトで案内いたします」ということです。

というわけで、この記事を読んで「欲しい!」と思っても、当面はディーラーに行っても注文できないことをご了承ください。受注再開の情報があれば、改めて記事にしたいと思います。

電池などはどこでどのくらい生産しているのか?

はたして、トヨタではRAV4 PHVの発売に向けて、どういう態勢でバッテリーを生産していたのか。懇談の時間などを活用して、エンジニアの方に伺ってみました。

車両の生産工場は株式会社豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)であることは、日本発売発表時にもアナウンスされていました。電池のサプライヤーについては明確な広報ソースなどが見つけられなかったのですが、今回伺ってみると、トヨタとパナソニックが車載用角形電池事業推進のため設立して、2020年4月から事業を開始した合弁会社『プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社』(PPES)であることが確認できました。電池を生産しているのは「姫路工場」とのことだったので、RAV4 PHV用の電池はパナソニックの液晶ディスプレイ工場から転用された兵庫県姫路市内の工場で「全量が生産」されているようです。

ちなみに、日本国内のトヨタとしては受注停止となりましたが、7月に入って、トヨタが北米でRAV4 PHVを発売すること。また、スズキに『ACROSS(アクロス)』として年間3000台規模でOEM供給されることが発表されました。確認すると、北米への輸出分やスズキへのOEM供給分についても、電池はPPES姫路工場、組立は豊田織機長草工場ですべて生産されるそうです。北米での販売目標台数などは公表されていません。

ともあれ、電池工場の生産能力が月に300台分で精一杯ということではなく、日本国内向けRAV4 PHVのほかにも、たくさん供給しなきゃいけない状況下にある、ということだと思われます。

どんな電池なのか?

試乗会場に展示されていたカットモデルの電池部分。

PPESは、トヨタとパナソニックが電動化の推進を視野に、すでにパナソニックと合弁で設立していたプライムアースEVエナジー株式会社とは別に設立した会社です。RAV4 PHVに搭載されている電池も、完全電動化を見据えた高性能な電池では? とケミカルなどを尋ねてはみましたが、詳細は非公表。ただし「プリウスPHVが搭載するリチウムイオン電池の倍近いエネルギー密度」をもち、近くレクサスブランドで発売される電気自動車『UX300e』にも搭載される予定の電池であることがわかりました。

試乗会拠点となった広場のテントには、RAV4 PHV のカットモデルが展示されていました。電池セルのラベルや仕様表示などを読み取ることはできませんでしたが、コンパクトで高性能(おそらく)な角形電池が並んでいることが確認できました。

電池の温度管理については、エアコン冷媒のパイプを電池モジュールの下に通して、効率よく冷却できるシステムを採用。電池劣化の大きな要因となる高温下での使用を避けることができるとのことでした。電池ヒーターはとくになく、充電時や走行時に、ヒートポンプ式エアコンの暖気で温めるそうです。急速充電機能はないものの、しっかりした電池冷却のシステムが採用されているのは、プラグイン車へのうれしい配慮だと思います。

テント内には電池冷却システムを電飾で説明する展示物が用意されていました。この展示や、テント内に置かれたサーキュレーター、蛍光灯などの電源は、傍らに停められたRAV4 PHV から、AC100V1500Wを取り出せる『ヴィークルパワーコネクター』(標準で付属)を通じて配線されていました。高価な別売り機器がなくても実用的なAC電源が電動車から取り出せるこの仕組み、素晴らしいですね。

早く、もっといろんな電動車を発売して欲しい!

RAV4 PHVの受注停止。月販目標300台で年度内が完売ということは、6〜3月で約10カ月分、発売から3週間でおよそ3000台が完売したと推察できます。おそらく北米では日本の倍くらい売れそうだし、ヨーロッパを中心に導入するというスズキのOEM車も、ライバルと想定される欧州メーカーのSUV&PHEVやBEVがさらに高価であることを考えると引く手あまたになるのではないかと思われます。

エンジニアの方が「もっとしっかりニーズにお応えしなければいけないですね」と仰っていましたが、トヨタにとってRAV4 PHVの大人気はうれしい誤算だったのかも知れません。でも、今回の受注停止という事件によって、「たくさんのユーザーがトヨタの電動車を求めている」ことを裏付けたのではないでしょうか。

今回、私はRAV4 PHVに試乗した際にはほとんどEVモードで走行しました。率直に「とても素晴らしいEV」に仕上がっている印象でした。とはいえ、電池残量がガソリンメーターと同じように「針」でしか表示されず、ピュアEVに比べて電池とのコミュニケーションがしにくいこと。また回生ブレーキのフィーリングが普通のエンジン車、あるいはハイブリッド車のオートマと違和感がない、つまりEVらしさをあえて包み隠していることなどを感じました。

RAV4 PHVはあくまでもRAV4ブランドの最上級モデルであり、プラグインハイブリッドも「ハイブリッド」のバリエーションであるというのが、トヨタの「オススメ」なのでしょう。

それはそれでOKです。願わくば、RAV4 PHVの受注が一日も早く再開されますように。そして、日本中のユーザーが安心して乗れるトヨタの電動車として、ヤリスやカローラフィールダー(個人的好み)やミニバンなどの「バリエーション」として、トヨタの電動車がたくさんラインアップされるのを期待しています。

試乗会場には、プラットフォームが同じ三兄弟車種が勢揃い。北米で発売される『HIGHLANDER』にも少し試乗。アメ車テイスト満点で魅力的な一台、でした。

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)14件

  1. この車は買いかなと思いましたが、急速充電がないと聞き一気に購入意欲が薄れました。なんで急速充電付けなかったのか。初代プリウスPHVの教訓を生かしきれてないのでしょうか。
    トヨタの電動化に対する消極姿勢は大変残念。そして世界のEV販売台数ではリーフよりヒュンダイのEVの方が売れている。
    日本の自動車産業の未来が危惧される。

  2. x12+11様
    奥様が太陽光発電に乗り気ではないとのこと。わかる気がします。
    ネット上では、悪質な訪問販売で騙されたとの書き込み多いですものね。
    私の場合も当初乗り気ではなかったのですが、訪問販売が来た(ほぼ倍の価格です)のをきっかけに、価格比較サイト等で一括見積、価格ドットコム等で書かれている地元の優良業者に見積もり依頼したら結果的に地元業者が一番安かった次第です。またNEDOのHPから年間日射量を調べて、業者のシミュレーション値に偽りが無いかどうかの裏付もとりましたので、きちんと調べればリスクは無いですよ。
    気を付けなければいけないのが、太陽光発電はコストが十分下がっておりあまり旨味が無いようで、訪販は蓄電池を進めてきます。蓄電池は高額なので色々情報収集したほうが良いです。
    現状で買っても良いかなっていう食指が動くのはパワーウォール位ですが、何時になったら発売するのかなって感じですね。テスラモデルSも東京モーターショウで試乗してその場で予約、散々待たされて、日本発売前に1泊2日で借りて乗ったら都内から箱根往復で電欠寸前になり、また質感の低さ、遮音性の低さにガッカリして契約しなかったのを思い出します。また1倍最初のモデルSはLKASも無かったので、当時乗っていたレジェンドがLKAS付だったので、安全面で後退しているイメージもあり断念しました。今は全く違いますね。
    来週から1ヶ月程BMW i3を借りることになりましたので、以前アウトランダーPHEVも同様に借りて乗ったのとどう違うのか楽しみです。
    取り留めも無く書いてしまい失礼しました。

  3. メーオ様、コメントありがとうございます。
    我が家の場合、妻が太陽光発電には乗り気ではありません。工事が面倒であったり、トラブルへの不安などが理由です。さりとて、停電時には簡単かつ十分な容量のバックアップを模索しています。1.5kw1本では心もとないというのは前述のとおりです。

    バックアップだけのためにV2H工事をするというのは大げさかな、とも考えておりまして、その場合、PowerMoverの導入も選択肢です。PowerMoverがあれば、自宅が被災した場合のみならず、約50km離れた実家をはじめ知人宅への支援に駆けつける場合にも力強い味方となってくれるように思います。

    1. X12+11さん、こんにちは。
      当家は7年前に3.5kWソーラー発電を導入しましたが、やはり妻の反対は受けましたが…計算上8~9年で元が取れるうえ将来電気自動車を買えばガソリン代も減ることも分かってたから説得できました。しかも予定より早くセカンドカーが壊れてi-MiEV導入になった次第。
      バックアップ電源としてはi-MiEV導入地点でMiEVpowerBOX購入を検討、自分の有り金はたいて買いました…発電機だとキャブレーターが詰まって非常時に動かなくなるのがイヤですし自身の化学物質過敏も問題なので。
      1.5kW出力で3~4時間使えますが実際の消費電力量はIHクッキング5分で0.1kWhなので連続使用しなければ大丈夫。100V充電器も9Aしか流れないので自立運転状態でも普通に充電してくれそうです。
      3年後に迫ったFIT切れまでに安いV2Hが出てほしいですが今は望み薄。最低限のパワーで暮らす世の中にしないとダメでしょうかねぇ!?

  4. 安川様のコメントに全面的に同意します。
    家で安価な深夜電力で充電する方が月会費等を払って外で充電するよりもよっぽど合理的です。
    またコンセントで1500W使えれば非常事態では十分です。
    仮にV2H対応したとしても冬場にエコキュートでお湯を沸かしたら1日で電欠してしまいます。
    あくまでもクルマなので、非常時に家で電気が少し使えれば十分です。それ以上の機能がどうしても欲しい人は家に蓄電池を付ければ良いと思います。

    1. 我が家では、太陽光発電設備がないため、蓄電池を装着してもほどなく電欠してしまいます。PHVに期待するのは非常時でのエンジン発電による給電です。また、酷暑や厳寒時期に非常災害が重なると、1.5kwでは不安ですし、仮にV2H工事をしていなくても、PowerMoverがあれば1.5kwコンセントが3つ取れるので心強いです。

      個人的には、外出先での急速充電機能は不要ですので、この機能はあえて省いた上でのV2H対応のプラグインハイブリッド車があれば嬉しいです。

    2. x12+11様
      それでしたら太陽光パネルを屋根に乗せる方が精神衛生上も経済的にも良いですよ。パネル価格も下がっていますから、私の場合はシミュレーション上で8年で回収出来る予定です。売電して半年ですが、私の場合は現在の調子で行けば7年掛からず初期投資は回収出来ます。
      また初期費用0円で導入することも可能です。リンク先は神奈川ですが、東京でも同様の物があります。
      https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e3g/cnt/f360844/zeroennsolar.html
      太陽光パネルがあれば停電しても1500Wまで昼間は使えます。(晴れていればですが)
      当初私もFIT終了を見込んでV2H導入も考えましたが、昼間の発電をクルマに充電したら通勤にクルマが使えないですし、FIT切れの頃は中古のリーフの電池等が安く手に入り家庭での蓄電池設置も一般化すると予想したので今は全く考えていません。

  5. やはり、V2Hの観点から急速充電は必要でしょう。欧州などは給電の機能を省いていますが、日本のような自然災害大国は、大規模多人数の被災への停電対応ばかりでなく、V2Hによる家庭向け電力供給も視野に入れて国策としても考えるべきでしょう。
    世界の自然災害頻度が急激に増えていることから、欧州でもV2Hの考え方はいづれ広まると考えています。

    1. yoshinori Ishikawa様、コメントありがとうございます!
      実はこの件、どこかで議論したいと思っていましたし、記事にもしたいと思っていました。まだ自分の頭の中では整理が完全には付いていないのですが、ご意見をいただきましたのでこれを機に返信してみます。

      まずV2Hは災害に役立つ。これは間違いなく、同意です。
      ただV2Hには課題もあるのです。
      普通の戸建て住宅にV2Hを入れて動作させる場合、3kWまたは3kWが2回路となり、30Aずつ回路を分けないといけません。例えば3kWの機器が入っている場合、自宅は停電後即V2Hに切り替わりますが、その時点でV2Hが入っている方の回路でたまたま乾燥機とドライヤーが動いていたり、電子レンジと食器洗浄機とテレビとかが動いていたりすると、ブレーカーが落ちてしまいます。また、仮にうまく分散できていても、18.1kWhのバッテリーを空まで使えたとして、2日程度で電池がなくなってしまいます。
      本当に災害対策として使えるようにするためには、災害時、必須の電力を必要とするための回路を用意し、そこにV2Hを接続するような屋内配線設計が必要です。これなら、停電後、いくつかの部屋の電気が付かなくなることで停電に気づきます。その状態でもリビングのテレビ、照明、冷蔵庫、電子レンジは使えるようになっています。これで節約して生活すれば、1週間近くの停電を乗り越えられるようになります。もちろんバッテリー容量の大きいEVがあればもっと長期間大丈夫でしょうね。

      さてもう一点の議論は、トヨタさんのヴィークルパワーコネクターです。これはRAV4 PHVには標準装備で、非常に小さい機器で1.5kWまで取り出せるコンセントです。案外注目されていませんが、これがあればここから延長コードを使って、冷蔵庫とテレビを連続稼働させられ、電子レンジも冷蔵庫とテレビをいったん抜けば、問題なく使えるでしょう。照明等は電力消費では誤差範囲だと思いますが、LEDランタンのようなものは別途用意しておくべきだと思います。

      この二つのソリューション、そしてPHEV車種に急速充電機能を備えることで起こる問題等を考えると、トヨタさんの選択は間違っているどころか、ある程度妥当性があるように私は思うのです。このあたり、V2H用住宅の設計をされた方などからのご意見をいただきたいところではありますが、、いずれ、V2H住宅設計の専門家、V2H機器のエンジニア、そして実際に停電を含む災害に遭われた方などで、対談などができるといいなと考えています。

  6. >ちなみに、日本国内のトヨタとしては受注停止となりましたが、7月に入って、トヨタが北米でRAV4 PHVを発売すること。

    >また、スズキに『ACROSS(アクロス)』として年間3000台規模でOEM供給されることが発表されました。確認すると、北米への輸出分やスズキへのOEM供給分についても、電池はPPES姫路工場、組立は豊田織機長草工場ですべて生産されるそうです。

    車種やサイズを考えるとむしろ北米向けの車だろうという気がするのですけど
    本気で生産力を最大にしても電池を確保できないのか

    本来トヨタのPHVはあくまでも外部充電できるHVであって、加速巡航はそれを重視したモーターでやって高速走行はエンジンも使うという発想。
    純粋EVはもちろんすべてモーターでやるので、比較的高速で真価を発揮する作りで、特にテスラのような走りも重視する車では特に

    結果的にHV車のように使い方をするのがトータルでエネルギー効率が良いという作りになっている。

    だがどうも、PHVを買う客は「エンジン付きEV」を求めている。というズレがある
    EV走行で十分な距離ではエンジンを使ってガソリンを消費したくないと

  7. 少なくとも、カーディーラーで車を買うとい消費者の習慣が変わらないうちは
    「販売のトヨタ」のパワーはそのディーラー網にあるというのは変わらないでしょう

    メーカーのHPによるとHV向けが出力密度重視、EV向けがエネルギー密度重視とああるので、プリウスPHVはHV向け、RAV4はEV向けバッテリーを使っているのでしょうか
    https://www.p2enesol.com/#product

  8. RAV4PHVが急速充電に対応していないのは素晴らしい判断だと思います。
    長距離はガソリンで走行した方が時間もコストもセーブ出来ることをユーザーにも周知すべきで、興味本意や暇に任せたQCはすべきでないと言うことを知らしめるべきです。
    TOYOTA初PureEVの登場を期待します!

    1. RAV4PHVが急速充電に対応しないため、V2H非対応となったことがとても残念でなりません。
      プラグインハイブリッド車こそV2Xの本命であり、近年頻発する災害を考えれば、むしろ、来年あたりのマイナーチェンジで急速充電に対応していただきたいと思います。
      V2H対応の有無が車選びの大きな要因になる輩も存在することを知っていただければ幸いです。

    2. 「急速充電に対応しているのはすばらしい判断?」何を言っているのですか?誰にとってすばらしいのですか?大枚はたいて「購入した私」には、「今時発売するPHVで急速充電未対応は冗談だろ」というのが感想です。1)急速充電はバッテリーに負荷がかかる。2)充電スタンドの取り合いになる。1)は、普通を使うのか急速を使うのか「ユーザーが判断」する事。2)は、たかが月間300台程度増える位でEVとの共存を忖度するメーカーの姿勢を疑う。やるべきは車両仕様に制約をかける事ではなく、社会インフラとしての「充電施設不足」を「見えるようにする」事ではないのですか?

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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