カーボンニュートラルなんて必要ない?
昨今何かと話題の「カーボンニュートラル」ですが、これは例えばエアコンの温度をやたら寒い/暑い温度で我慢するような対策では、全く達成できません。普段の生活を支えるインフラから、根本的に変えていかないといけません。建物の断熱性能を上げて、より快適な温度設定にしても、以前より省エネになるようにする。エアコンの電力も、化石燃料を使わない電源に切り替えていく。住宅の建材も、化石燃料を使わずに生産する。要するにCO2のことなんか心配しなくても、普通に暮らせるようにしなければいけません。
それが出来るだけの技術も、なんとか揃いそうです。再生可能エネルギー、原子力、省エネ(建物の断熱等)、EV/FCV、水素製鉄、電力からの化学品合成(power-to-chemicals)、等々。対応するのが大変で手間もお金もかかりますが、達成はなんとか可能と見られてますし、それだけ新しいビジネスも生まれることになります。今の日本に問われているのは、そのような抜本的なインフラの変革を進める覚悟です。変化の痛みを緩和しつつ、変化への対応を進める、社会全体での取り組みが求められていると言えます。
ところがこうした技術に関して、科学的に不適切な論理を用いて実用性を否定しようとする主張が、昔から見られます。カーボンニュートラルの目標に戸惑う方々にとっては、魅力的に映るかも知れません。今まで通りでいい、変わらなくていい、そのままでいい、と言外に囁きかけてくれる、夢のような主張に思えるかも知れません。
ですがどんなに耳に心地よくても、信頼性を欠く情報に騙されてしまうと、結局は損をするでしょう。ビジネスの判断を誤るだけでなく、自らの信用も毀損しかねません。「そうだったらいいな」という気持ちにつけこまれないようにするには、具体的な手口や、注意すべき点を知っておくのが有効です。
本記事では昨年秋に公開されたManhattan Instituteによる動画を例に、不適切な主張の例を解説します。
What’s Wrong with Wind and Solar?(YouTube)
※動画は英語です。日本語訳で説明するので、この記事を読めば内容はおおむねわかるかと思いますが、ぜひ、動画も一度ご覧になってみてください。
洗練されたデザインのイラストがテンポよく動き、スーツ姿で印象が良く、「上席フェロー」という厳めしい肩書きの方が分かりやすく解説しています。そして昨今脚光を浴びている太陽光や風力発電、バッテリーやEVを批判する一方、化石燃料の利用を勧めてきます。しかし控えめに言っても、誤解を招く内容になっています。しかも予備知識が無ければ、誤解に気付くことすら難しくなっています。
どのような問題が隠れているか、主張ごとに逐一解説していきます。
【編集部注】 解説中の[1][2]…の数字は、文末に記載する参考文献を示します。
科学的な間違いをわかりやすく解説しましょう
「太陽電池の理論効率の上限は33%である」
現状の変換効率の最高記録(ちなみに記事執筆時点では動画の26%じゃなくて、27.6%になってます)は既にそれに近い、だからこれ以上の性能向上(や価格低下)は不可能だ、と主張しています。でもこれは、事実に反しています。
宇宙用等に用いられている技術では、既に47%の変換効率が実現しています。現在そのような太陽電池はまだ高価ですが、安価に生産する技術も幾つか開発中です。つまり動画の主張とは異なり、性能向上の余地があります。
候補となる技術は、例えば下記のような、多接合型太陽電池と呼ばれるものです(これ以外にもあります)。複数の種類の太陽電池を重ね合わせることで、太陽光に含まれる様々な波長の光をより効率良く利用する技術です。
●ペロブスカイト型という新型太陽電池(日本発の技術です)を、従来の結晶シリコン型と重ね合わせたもの(例)。変換効率の理論限界は、現在開発中のもので約39%。
●宇宙用に用いられる高効率多接合太陽電池を、HVPE法という生産方法で安価に製造するもの。変換効率の理論限界は50%超(例)。
動画では単に「効率」と言っているところ、上記では「変換効率」と書きました。これはもう一つ、動画で語られていない重要な論点です。化石燃料の場合、いくら発電機自体の「効率」が良くても、太陽や風のエネルギーを直接取り込んだりは出来ません。
化石燃料による発電では、得られる電力エネルギーは投入した燃料よりも小さくなります。
でも再エネの場合、太陽や風のエネルギーを取り込むことで、ライフサイクル中に投入するよりも何倍も大きなエネルギーを得られます。昔の変換効率14%の太陽電池ですら(図1)。
つまり再エネは(土砂崩れを起こして自爆するような誤った使い方をしなければ)、太陽や風等のエネルギーを吸収することで、人類が持続的に使えるエネルギー資源を増やせます。発電機自体の「効率」だけを論拠に化石燃料と比較をすると、この利点を無視することになります。
ついでに指摘しておけば、世界的に再エネは最安の電源になりつつあります(図2)。
「変換効率」も確かにコストに影響しますが、機器の生産・流通規模や、設計・施工等の技術も大きく影響するため、変換効率だけでコストの低減余地を論じることは出来ません。この動画では、その肝心のコスト低減に言及していません。
動画からは脱線しましたけど、持続性もコストも、大事ですよね。
……あれ、じゃあこの動画は何のために?
とここで気付いた方は、たぶんこの後のツッコミも読まなくて大丈夫だと思います。続けますけど。
「太陽光も風力も出力が変動する。対応策はバッテリーだけ」
“The” solutionと言っているので、「だけ」という意味になります(少なくとも、そう取れます)。またこの動画では特にリチウムイオンバッテリー(LiB)だけを想定しているようです。
確かにバッテリーは便利で、身の回りでも使われているのでなじみがあります。「変動するからバッテリーに溜める」というのは、分かりやすい説明です。でもバッテリーほど”便利”でなくても、広域での運用による均し効果、需要の能動化、再エネ側の出力制御等、もっと安価な対応手段が複数あります(図3、図4)。
一般的には太陽光や風力が年間発電電力量に占める割合が例えば3~4割以上になるまでは、基本的にバッテリーは必須ではありません。これは国際連系線(国をまたぐ送電線)のない日本を含む話です。しかも化石燃料寄りの機関である、IEAの結論です[1]。
太陽光や風力の割合が増えてくると、電力が余るようになってきます。太陽光や風力は運転に燃料が必要ありませんので、数%程度ならば、捨ててしまうのが合理的です(出力抑制)。
さらに余る電力が増えてくると、エネルギーを溜めて使うのが合理的になってきます。けれどエネルギーを溜める手段は、揚水発電、蓄熱、水素・メタン・合成燃料、フローバッテリ等々、LiB以外にもたくさんあります。各々特徴があるので使い分けることになりますが、LiB「だけ」を挙げているのはおかしい、と言えます。
たとえば揚水発電の資源量は世界全体では膨大で、50USD/MWh以下のコストのものだけでも2017年時点の世界の年間電力消費量の8割相当ぐらいあると見積もられています[2]。
もちろん地域の偏在や環境影響等の制約も受けますが、こちらも増えると思われます。
またLiB等のバッテリーを利用するとしても、EVのバッテリーが優先的に使われると思われます。なぜならば電力系統から見れば、EVは「余力を集めるコストだけで利用できる、安価な蓄電資源」だからです。
例えば日本の乗用車6000万台が平均50kWhのバッテリーを搭載したEVになった場合、その蓄電容量の合計(3000GWh)は日本全国の揚水発電所の容量の合計(130GWh)の20倍以上、日本の丸一日分の電力需要量に匹敵する計算です。その一部が利用できるだけでも、無視できない蓄電能力になります。電力需要の増加量よりも10倍ぐらい大きな蓄電能力を持ちますので、EVの普及は再エネや原発の柔軟性に欠ける部分を補い、火力発電に頼る割合を減らす上で、またとない援軍になると思われます。
以上より、バッテリーだけが出力変動への対応策だという主張は事実に反している、と言えます。また、太陽光や風力を主体とした再エネだけでも、全世界のエネルギー需要を賄い、かつ現在と同等のエネルギーコストで済ませることも可能と見られています[3]。
“風力発電には大量のリサイクルできないブレードが必要”
風力発電のブレード(羽根)は、丈夫で長持ちするプラスチックやガラス繊維で造られています。リサイクルは不可能ではないものの、コストとエネルギーを必要としますので、使用後は埋め立てられるケースが多いです。でも、埋め立てたところから有害物質が出てくる訳ではありません。そして何十年も稼働していた間、その分だけ化石燃料の使用量を削減しています。
化石燃料を燃やすと、燃料中の重金属(水銀、ベリリウム、クロム、カドミウム、時には放射性物質も)が環境中に拡散します。PM2.5や窒素酸化物、二酸化硫黄等の大気汚染物質も排出します。たとえば近年は海水の水銀濃度が上がり、米国等では妊婦はマグロ等を避けるように勧告が出されたりしていますが、その水銀汚染の主因の一つが石炭の燃焼と見られています[4]。
そのように広範囲に汚染物質をまき散らすのに比べれば、限られた量の埋め立てで済ませる方が害は少ないと言えます。しかしこの動画では、その点に言及していません。
“20年使ったあとの太陽電池パネルが大量のゴミになる”
太陽電池の原料は主にガラス、アルミ、シリコン、そして配線に使われる銅や銀、樹脂等です。リサイクルの技術は確立しており、重量の95%以上がリサイクル出来ます。欧州等では専用のリサイクルの仕組みがあり、回収率の義務付けまで行われています。でもこの動画では、一切言及していません。
“再エネやバッテリーに使われる原料の採掘で、自然破壊や人権侵害が起きる“
確かにそのような問題のある事例もあり、対策が求められているところです。例えば児童労働等でコンゴ産のコバルトが問題視され、コバルトの使用割合削減が進められているところです。
……ところで、比較対象の化石燃料ではどうでしょうか。石炭やオイルサンド鉱山での自然破壊、フラッキングや原油流出による水圏の汚染、排気ガスによる大気汚染、気候変動による世界各地での自然災害などが思い浮かぶところです。動画でもちょうど、ここで化石燃料に話が移るのですが……。
“だから代わりに化石燃料を使おう。井戸を掘るコストも安いし”
……あれ? ちょっと待った。自然破壊や人権侵害の話はどこへ? そしてなぜ発電コストでなく、井戸を掘るコストだけを、風力発電機のコストと比べているのでしょう。
自然破壊の話は、明らかにおかしいとお気づきでしょう。この動画では、化石燃料の利用に伴う自然破壊の話を一切していません。特に気候変動を引き起こす温暖化ガスの排出にまつわる話は、全く出てきません。気候変動の影響が顕在化しはじめ[5]、このままだと人類文明自体が危ういとまで言われているのに[6]、です。それよりも小さな問題だけを理由に新しい技術を攻撃する一方、それよりも遙かに大きな環境破壊や人権侵害を無視して古い技術の利用を勧めるのは、合理的とは言えません。
コストの比較の件も、少し考えればおかしいと気付かれるかも知れません。風力発電は、運転に燃料が要りません。このため設備の導入費用は、たとえば発電コストの半分以上を占めると見られます(図5)。
一方で火力発電の場合、「井戸を掘るコスト」は発電コストの一部に過ぎません。実際にはこの他に発電所自体の建設費用も必要ですし、何よりも燃料そのものを購入し、輸送し、備蓄する費用が必要になります。燃料費は発電コストの例えば5~8割になり、市場価格も激しく変動します。そのコストやリスクを一部しか算入せずに他の技術と比較するのは、実用性を論じる上で不適切だと言えます。
さらに言えば、化石燃料と、再エネや原発とでは、国の貿易収支や地域の経済に与える影響も違ってきます。
国外、或いは地域外から化石燃料を買ってくると、その度にお金が外へ出て行ってしまいます。しかし再エネや原発の場合、化石燃料の火力発電よりも、国内、或いは地域内の利益を増やすことが可能です。これはEVの電力についても同様です(図6)。
つまり脱炭素化には、化石燃料に対する出費を減らし、域内の経済を良くする効果も期待できます。ですがこの動画では、そんなことも考慮されていません。
まとめ
以上より、このManhattan Instituteの動画には主に下記のような問題があると言えます。
●事実に反して、再エネの性能をこれ以上上げるのは不可能という主張をしている。
●発電コストで比較せず、化石燃料が有利になるような一部だけのコストで比較している。
●太陽光や風力の変動への対応方法に関して、バッテリー以外の手法を無視している。
●化石燃料による環境破壊や人権侵害を無視する一方、それより小さな問題を理由に再エネやバッテリーを批判している。
●持続性と発電コストのいずれの観点でも再エネが優れることを考慮していない。
●気候変動のリスクを無視している。
気候変動なんてウソだったら良いな、対応なんてしたくないな、と思われている方には、この動画の主張は耳に心地よく響くかも知れません。しかし本件に限らず、エネルギーに関しては玉石混交の情報が流布されています。
自分にとって都合がよいかどうか、あるいは動画にお金がかかっているかどうかでは無く、主張の裏付けや論理の妥当性、関連する情報との整合性等で情報を取捨選択しないと、結局は損をする危険性が高いと言えます。
気候変動への対応は、確かに大変です。しかし大変だということは、それだけ多くの商機が生まれるということでもあります。変化に対応しつつ商機を見逃さないためにも、情報の信頼性に注意なさることを、お勧めいたします。
(文/櫻井 啓一郎)
参考文献
[1] IEA, The Power of Transformation, 2014.
[2] J. D. Hunt et al, Global resource potential of seasonal pumped hydropower storage for energy and water storage, Nature Communications 11, 947 (2020).
[3] LUT/EWG, Global Energy System based on 100% Renewable Energy – Power, Heat, Transport and Desalination Sectors, 2019.
[4] UNEP, Global Mercury Assessment, 2013.
[5] 文部科学省、気象庁、日本の気候変動2020.
[6] T. M. Lenton et al., Climate tipping points — too risky to bet against, Nature 575, 592-595 (2019).
本来自然が吸収する太陽光をソーラーパネルで受け電気にすることは未来の資源を前借りしているだけなのでは?
どれだけソーラーパネルが増えればどれだけ地球の循環に影響するのかも考えて見て欲しいです。
議論に混ぜてください。
再エネでいま、課題となっているのは非同期電源である風力と太陽電池です。同期電源ではないため、半分近くになってくると系統の慣性力が弱くなり、同期電源の回転機発電が脱落すると電圧と周波数の安定性が取れず、ブラックアウトする可能性が指摘されているのは事実です。しかし、技術的に対応が可能です。アイルランドでは古典的な技術を使い慣性力を付加しています。新たな慣性力を維持する技術も世界各国で開発中です。日本でもアイルランドと同じ技術で当面対応する方向になっています。(古典的な技術は過去の存在になったと思われたロータリーコンデンサを使用する方法です。)
確かに蓄電池も安定させる方法で重要で、すでに日本では送電系統に充電池をいれ、実証実験を始めています。技術的に蓄電池の価格は確実にさがっています。また、古典的な鉛蓄電池技術を活用し不可能とされた新技術を古河電池が開発、電力用として今年発売する予定です。(リチウム電池と同程度機能・コスト半減・温度管理軽減)
再エネはどの国も導入しており、送配電網への負荷は相当なものです。しかし、試行錯誤を繰り返しています。机上での対応だけでなく、実際に生じた問題も解消しています。それを技術力で乗り越えるしかないと思います。
我が国はオイルショック前、電源の7割を石油に頼っていました。オイルショックで4倍になった石油、あの失敗した苦い経験があります。国産エネルギーを増加させることはエネルギー保障上、必要です。
もちろん、すべての電源をいま、捨てることもできません。すべての電源が重要です。バランスをとって進めていけばいいと思います。
こんにちは
過去の物ですがいま太陽電池はシリコンが主流です。
シリコンは世界中にあるのですが精製に大量の電気がいるため
偏っています。中国はかなり電力的にむりに精製と結晶化させている
と思います。
重要なのは電力です。太陽光発電・太陽熱発電で圧倒的に優位なのは
サハラ砂漠や中東、オーストラリアでしょう。
中国はこの点で優位のままでいられるのかといえば、自分は懐疑的です。
また、太陽電池もシリコンを作ったものは今後も残ると思いますが
新たな技術が開発され、移っていく流れになっています。
ウイグル問題は重要ですが太陽電池と関連付けるには簡単ではないかと
思います。もちろん、関連がないとはいいません。
中国だけで太陽電池が作られている訳でもありません。
太陽光パネルは世界の8割が中国製、そのうち6割がウイグルで材料をとっている。
中国での強制奴隷労働が太陽光発電が安いと言われる一因ではないでしょうか。
またウイグルでの中国の仕打ちは、とても人間とは思えない、言葉にすることも憚られる内容です。
それを踏まえてアメリカは、中国製の太陽光パネルの輸入を禁止する方向へ向かっています。
屋根の上のジェノサイドとも言われていることについて、どのようなお考えをお持ちですか。
また中国の奴隷労働がなくても、太陽光は安価な電源なのでしょうか。
筆者です。ご質問ありがとうございます。難しい問題ですが、下記のような状況かと思います。
・非人道的行為は当然、非難の対象になります。
・でもそれが化石燃料による環境破壊や気候変動のリスクよりも大きいと主張するなら、それもまたおかしいです。
・そもそも昨今の太陽電池工場は自動化が進んでいて、そんなに労働力を要しないかと存じます。
・中国では最近ウイグル以外の地域での工場建設のニュースが相次いでおり、批判を意識している可能性があります。ウイグル問題を理由にして輸入を阻止しても、影響は一時的ではないかと思われます。
・最近、太陽光産業も大きくなってきたのに伴い、欧米では「足下を見られない」程度に国産品を確保する動きが出ています。ウイグル問題はその格好の理由付けになった形でもあります。
太陽電池は95%以上が結晶シリコン型ですが、原料となる珪砂については、たとえばサハラ砂漠に砂の95%以上が珪砂の地域があったりします。中国でなくても、安価な生産自体は可能と思われます。中国が既に市場を押さえてしまったので、後からの参入が難しくなっているとは思いますが。
電気技術者として電気の仕様を考えたら、再生可能エネルギーは直流、化石燃料発電や送配電は交流…ぜんぜん違いますやん。直流と交流じゃ変換効率80~90%やし。
同じ直流同士は最近のパワーエレクトロニクスで進化変換効率95%以上、しかも蓄電可能なのも直流…さらに電線導体の利用効率も線の本数が少なくて済み(直流なら2本、交流は最低3本)しかも交流特有のインピーダンスや電力の進み遅れ(測定には三角関数計算必須)などで容量目いっぱい使えへんし(実効値でさえ最高電圧の7割)周波数がずれるだけで停電するし…電気主任技術者悩みの種ですわぃ。
北海道と本州を結ぶ送配電連系線が直流電力になっているのも電線を効率よく使うのと万一の停電範囲を減らすため。北海道ブラックアウトの際ももし北海道と本州が交流でつながっていたら関東までやられてた可能性なきにしもあらずですよ!?
…ここまで延々と交流電機の話を引っ張ってすみませんが、電力系統を知らない方があまりに多いのでその欠点を判りやすく列記させて頂きました。
いままでの利権関係とて多くの問題を抱えていることは明らかです!
30年前の応用化学授業とて「化石燃料を車に使うなんてもったいない、化学原料として温存すべきだ」と言ってましたし。それをずっと頭の中に置いてきた僕はアイミーブを見て再生可能エネルギーこそ社会永続の第一歩やと思うた。さらには大気汚染や病気の元凶をも減らせるー思うた。むしろ医薬的ツッコミを入れたほうが効くんちゃいます!?誰とて健康に無関心やないはずですから。
> 再生可能エネルギーは必ずベースとなる火力と原子力発電をセットにしないといけないから
水力や地熱やバイオマスはどこにいったのでしょうか?
> 水素やアンモニアに変換すれば効率的ですし
電気エネルギーが3分の1以下に減ってしまう水素への変換を何故「効率的」と思われたのでしょうか。
アンモニアに変換するなら、窒素を結合する工程でエネルギーがさらに差し引かれます。そもそも劇物なので、乾電池のように適当にそのへんに置いておくことはできません。
〉水力や地熱やバイオマスはどこにいったのでしょうか?
それらも一緒に発電すればいいだけですよね?ただ水力と地熱発電はその時に必要な量の発電を必要な量だけ時間を問わずできるのならそれでもいいですけど。
風力発電なども需要を超える供給を行った場合のエネルギーの変換方法の問題なので水素に変えれば純国産エネルギーとして使えるのでいいかなと。所詮余ったものの活用なので、バッテリーに保存するよりも効率的ではないかなと。効果的でもいいですよ。
再生可能エネルギーは必ずベースとなる火力と原子力発電をセットにしないといけないから、対立するようなものではないと思うんですけどなんでこう目の敵にするんでしょうね。たしかに余剰電力をバッテリーに保管するのは無駄ですけど、水素やアンモニアに変換すれば効率的ですし、騒音等を対策すれば増やしていくのは日本のためになりますね。
私は51歳です。私が子供のころは温暖化なんて話は一般的に聞くことはありませんでしたが(専門家の間ではそんな話もあったのかもしれませんが)、省エネというのは言われていました。それは石油は限りある資源であり、このままでは30年かそこらで無くなってしまうという話でした。だから大切に使いましょうという話でした。私は子供心に不安だったし、大人になって石油がなくなったらどうなるんだろうと思っていました。
それから30年以上経った現在、新たな油田が見つかったり採掘技術が進歩したことにより、今も普通に石油が使われています。私が子供のころと変わらず、今も昔もあと何十年かは大丈夫と言われています。でもどちらにしても、このままいけばいつか石油は枯渇することに変わりはありません。
ここ最近の石油やガスを使う話はCO2ばかりに注目がいってしまい、「石油はいずれなくなる」というあまりに基本的な話がおざなりになっていると思います。温暖化が例えCO2排出と関係ない話であっても、「どうせ石油はいずれななくなるのだから、今のうちに再生エネルギー技術を推進して未来永劫エネルギー問題に直面しない社会を作り出すべき」という理屈で、こんな話は簡単に論破できます。難しい根拠や計算をする必要もありません。脱炭素派の人たちはもっとこの基本的な話を前面に出すべきだと思いますよ。
そんなことはありませんよ。
エイモリーロビンスのソフトエネルギーパスが出版されたのは1977年。CO2にかぎれば温暖化はそれほど昔からではないかもしれませんが、フロンやメタンガスの地球温暖化効果は1970-80年代には心配されていました。当時の日本はオイルショックの後遺症で石油枯渇の話題ばかりでしたが。もっとも、フロンはオゾン層破壊の問題の方が心配されていたかもしれません。そういえば、オゾン層破壊の話、最近聞きませんね。人類もやればできる、ということでしょうか?
問題の動画も、再エネにおける課題は、提示してくれてるんですけどもね。
しかし再エネが駄目で、石油のが優れているという乱暴な理論には辟易です。
石油エネルギーなども必要な場面や、コージェネで熱と電気、両方を取るなどの方法が有効な場面も多いので、本来なら、再エネVS化石燃料の対立の議論となるべきではないのですけども。
化石燃料を使うことにとらわれず、置き換えるべき、置き換えが可能であるモノは持続可能な再エネに切り替える、そして必要な場面では化石燃料機関を利用する。
そのような融合から持続可能性社会へと変貌することが必須だと思うんですけども。
単純な二元論の対立は非建設的なのですが、既得権益の反発というのがあるのでしょうね。
再エネの問題は、不安定な電気を経済合理性がないほどの高額で無理やり購入していることです。そもそも不安定な電気はノイズと同じで価値が非常に低いのです。今は余裕の中で吸収していますが、いずれ電力系統が不安定となって再エネは頭打ちになるか、高額なバッテリー・揚水を増設するしかありません。また、高額で再エネを購入していますが、再エネが増えていけば電気料金がヨーロッパのように上昇してショックを受けることになるでしょう。すべては再エネ導入に賛成した人の責任ですので、しっかり責任を取ってほしいものです。
佐藤和希 さま、コメントありがとうございます。
EVsmartブログ編集部の寄本と申します。電気料金の課題については、再エネ以前にも「総括原価方式」など、必ずしも利用者=社会の利益と利便が大切にされてきたとはいえない世界なのでは、と認識しています。また、櫻井さんの指摘にもあるように再エネ電力のコストは下がりつつあり、そんなにひどいことにはならない(できない)と信じつつ、再エネが拡大することで電力の価格(価値)が高まるなら、ある程度は受け入れて暮らす覚悟、ではいるところです。「再エネで値上げ」のほうが、「LNG高騰で値上げ」よりは納得しやすいというか。
FITが高価過ぎたことや、さらなる比率拡大に向けた安定化やストレージの技術革新など、「未来に向けてちゃんと進んでるんだよ」というのが、今回の記事の主旨ではないかと思います。記事中にもあるように「カーボンニュートラルなんて必要ない」として、将来世代に対して脱炭素の「責任」は誰がどう取れるのか、ということでもあり。もちろん、水素利用や藻類バイオマスなど、さらに再エネのバリエーションを増やし、効率や品質を高めていくことも大切でしょう。
自動車の電動化もそうですが、前進することが重要ではないかと思います。
佐藤様
コメントありがとうございます。
日本では確かに原発事故後に太陽光等で他国の2倍もの買取価格が設定された影響で賦課金が無用に高騰し、再エネの価格低減が他国に対して遅れています。
ただそれでも、事業用の太陽光発電や陸上風力発電ではそれぞれ13円/kWhと11円/kWh(2019年実績、BNEF調べ)と、ようやく石炭火力やガス火力並の発電コストになってきました。
今後もさらに価格低減すると見込まれています。このため少なくとも新規の太陽光や陸上風力については、今後はむしろ電力価格を平均で引き下げて行くと期待されます。(それでもバイオマス用の輸入燃料や、洋上風力の成否等、心配も絶えませんが…。)
太陽光や風力は確かに出力が変動しますし、旧来の技術だけでは対処が難しいとされた時期もありました。
しかし現在では情報技術や電力制御技術の発達により、記事中でも言及しましたように蓄電や揚水以外にもデマンドレスポンス等の様々な手法を組み合わせることで、実用的なコストでこれらを主体的に活用できるようになっています。
その際はEVも、バッテリーのコストを考慮せずに済む(余力を集めるコストだけで利用できる)蓄電資源として、電力価格の安定化や供給の信頼性向上に寄与できます。
なお専門的な資料になりますが、太陽光や風力を活用する方法の詳細については、例えばIEA(国際エネルギー機関;化石燃料寄りの国際機関です)の下記報告書に記されています。
・電力の変革(Power of Transformation)
・電力システム変革の状況(Status of Power System Transformation)
いずれも和訳が公開されています。
様々な電源や需要側での対応等が絡む話になりますので複雑ではあるのですが、舵取りさえ間違わなければ、再エネは経済的にも日本社会に貢献できるものと思われます。