我が家のEV「サクラ」への不満を解決/スマホワイヤレス充電をDIY

納車後半年が経過した我が家の電気自動車サクラに感じるちょっとした不満。足りない部分でDIYできそうな部分の解決を考えてみる。今回取り上げるのは、スマホのワイヤレス充電だ。自宅にあった材料などを活用してチャレンジした自作レポートを紹介する。

我が家のEV「サクラ」への不満を解決/スマホワイヤレス充電をDIY

足りないものはDIY! Qi充電器を追加する

前回「サクラの使いこなし方」の記事で紹介した「ちょっとした不満」のひとつが、スマホのワイヤレス充電器が装備されておらず、純正オプションが3万円以上もしてしまうことだった。市販のQi充電器を買ってきてトレーに置いておけばいい、と思ったが、それだけだと充電器のUSBケーブルを車両側のUSBコネクタにつなぐ必要がある。ならば普通にUSBケーブルをスマホにつなげばよい。それに市販の充電器は机の上などスマホが動かない前提のものが多い。車の中ではスマホや充電器が動いてしまうのでそのままでは使い勝手が悪い。

ならば同じようなものを作れないか。家にはちょうど使っていないQi充電器がひとつある。これをサクラのスマホトレーにうまく固定して、スマホも動きにくくすればいい。配線は、できればヒューズボックスか配線から電源をとるようにしたい。

調べたところ、電源はオプションパーツ用のカプラーを分岐させるコネクタがアマゾンなどで手に入る。内装パネルの一部を取り外す必要はあるが、12V電源(BATT、ACC、イルミネーション)を簡単に取り出せる。これにUSB電源ハブ(12V-5VのDC/DCコンバーター)をつなげば、市販のQi充電器をつなぐことができる。あとは、これをトレーにうまく固定してやるブラケットまたは台のようなものを作ればよい。

試作を兼ねて家にあるもので作ってみる

充電器のブラケットには、加工が簡単なプラ段を使うことにした。ウレタンフォームなどを使えば見栄えもよくできるのだが、まずは試作という意味も兼ねて、なるべくコストと手間をかけたくなかった。ちょうどプラ段の切れ端が余っていたので活用する。

家にあったワイヤレス充電器とプラ段。

必要な材料は以下の通りだ。

●市販のQi充電器
●USBケーブル
●プラ段(適量:今回の工作ではA4サイズ1枚で足りた)
●サクラ用電源取り出しカプラー(中継タイプ)
●USB電源ハブ(入力12V:出力5V)
●厚紙(なくてもOK)

あとは接着剤や両面テープ、カッターなども必要だ。内装を取り外すので、養生テープやクリップリムーバー・トリムリムーバーなども用意するといいだろう。

トレーの型どり

まずはコピー用紙やトレーシングペーパーで、センターパネルトレーの形を大まかにとる。スマホ用のトレーは下から2段目(一番下は小物入れ)で上がカップホルダーやエアコン操作パネルでふさがれているので手が入りにくい。指でトレーの形状にあわせて紙に折り目をつけるなどして型をとる。

型に合わせて厚紙などで型紙をつくる。型紙に合わせてプラ段をカットする。このとき手持ちの充電器の位置決めと配線処理の方法を考える。充電器の厚さがプラ段で約3枚分あったので、同じものを3枚作り、充電器が収まる部分を切り抜く。手持ちの充電器では、3枚合わせたプラ段のうち下2枚にケーブルを通すスペースをさらにカットした。いちばん上のプラ段は充電器の表面だけ出るように切り抜いた。

プラ段をカットして作ったスマホ充電ホルダー。大きさや形は好みで。

さらにその上に、スマホが横に動かないようにコの字型のストッパーを作って貼り付けた。写真ではプラ段の素材や切り口などがそのままで、「夏休みの工作感」全開の仕上がりだが、手持ちの充電器のアクリル部分が充電中に青く光るタイプで、半透明のプラ段が微妙に光ってくれるので、そのままとした。

充電器の電源は車両の12Vから引き出す

この状態で、センターパネルのスマホトレーに乗せて、既設のUSBコネクタから電源をとれば十分に機能する。だが、今回は既設USBコネクタを残したい。USB BタイプとCタイプの2つがでているのでひとつを使ってもよいのだが、家族や同乗者がいるときにフリーの充電ポートは貴重だ。それに家族全員がQi対応のスマホを持っているわけではない。自分も仕事ではスマホ(iPhone SE2)の他、iPad miniも使うことがある。

サクラのセンターパネルはエアコン操作パネルとスマホトレー、USBポート部分と、その下のシガーソケット、小物入れ部分の2つに分かれている。スマホトレーだけ取り外すことができればよかったのだが、サクラの場合、エアコン操作パネルと、その上部の金色のモール部品を取り外す必要がある。作業が大掛かりになるので、下側の小物入れ部分のみ外して、トレーの角にケーブルを通す切り欠きを入れることにした。

小物入れの外し方は、両サイド奥に1か所ずつブースファスナーを取り外せば手前に引くことができる。ブースファスナーはペン先やプラスドライバーの先で真ん中を押し込めばロックが外れるタイプだ。シガーソケットなどのコネクタがつながっているが、今回の作業では外さなくてもOKだ。

電源の取り出し方

電源はオプションパーツ用のカプラーを利用する。場所はステアリング下の内装パネルの内側、ステアリングコラムの奥の方にある。足元のパネルを取り外す必要がある。パネルを下から覗き込むと、両端にタッピングビスの頭が見えるはずだ。ビスを2つ外したら(ビスやクリップ類は小物トレーに入れておくと無くす心配を減らせる)、ステアリングコラムとパネルの隙間に手をかけて手前に引く。

オプションをまったくつけない場合、電源カプラーがそのままでているが、さETCやその他のオプションパーツがすでにカプラーを使っている場合は、カプラーが埋まっていて電源を取り出すことができない。分岐用の電源取り出しカプラーが市販されているので、それを使う。

カプラーの接続とUSB電源ハブの接続

筆者のサクラは、ETCユニットの上あたりに電源カプラーを発見することができた。既存コネクタを抜いて間に分岐型の電源取り出しカプラーを取り付ける。IGNのラベルが付いたコードに、USB電源ハブを接続する。これはカー用品店で市販されているもので、入力はDC12V。ギボシ端子とGND用のビス用クワガタ端子が付いたコードが伸びているものだ。本体にはDC/DCコンバーターが内蔵され、USB Bタイプのコネクタが2つついている。

ETCにつながっているカプラーを分岐させた。
分岐型のカプラーを取り付けたところ。

これをセンターパネルの小物入れの裏側に両面テープで貼り付ける。USB電源ハブと電源取り出しカプラーのGND線は適当なネジやボルトを探してボディ金属部分にとりつける。自作した充電トレーのUSBコネクタをUSB電源ハブに差し込めば配線完了だ。配線を確認して、車両のスタートボタンを押す。充電トレーにスマホを置いてみて充電が開始されることを確認する。

OKなら、配線がじゃまにならないように、配線クリップや束線バンド(インシュロック、タイラップともいうい)で処理する。あとは、ステアリング下のパネルとセンターパネルの小物入れを元に戻せば終了だ。

文/中尾 真二

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					中尾 真二

中尾 真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。「レスポンス」「ダイヤモンドオンライン」「エコノミスト」「ビジネス+IT」などWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアをカバーする。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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