多くのオーナーさんが「EVからEVへ」
2024年9月15日、新潟県南魚沼市の石打丸山スキー場で開催された「Niigata EV Owner’s Meeting」(新潟EVオフ会)。速報レポートでお伝えしたように、イベントを主催したのは個人オーナー有志ですが、参加台数はなんと102台。幹事の代表者である木沢亜由美さんはもともとリーフオーナーだったこともあり参加者も「元リーフオーナー」が多いのですが、リーフから他のEVへ乗り替えた方も多く、集まったEVのバリエーションは多種多彩。趣旨に賛同したテスラオーナーもたくさん集まっていました。
最近の日本では、EV普及に対してネガティブな報道が目立っています。国内自動車メーカーのEV車種がなかなか増えないので、新車販売シェアが伸び悩むのは当然といえば当然のこと。はたして、EV普及は幻想なのか。実際のEVオーナーは、EVにどんな魅力を感じているのか。何人かの参加者に「EV推しのポイント」を聞いてみました。
速いから抜かれても悔しくない
まず、長年のEVオーナー仲間の顔なじみからインタビュー。最初にお話を聞いたのは、さつきさん・伸一さんご夫妻です。さつきさんは2010年の発売当初からのリーフオーナー。今はサクラに乗り替えてます。
「EVの魅力は、やっぱり走りがスムーズで気持ちいいこと」とさつきさん。ハイパフォーマンスなエンジン車大好きだった伸一さんもそんなさつきさんの影響もあって最近アリアに乗り替えました。
EV(アリア)の印象は「とにかく速い」こと。「エンジン車時代は抜かれたら抜き返したりしてたけど、アリアになってから抜かれても悔しくない(ちゃんと走ればこっちが速いとわかってる)から、ゆったり走るようになりました」(伸一さん)そうです。
「ZE0からZE1へ。リーフには11年乗ったけど、私には少し大きかった。サクラはとても乗りやすいけど、サイズや質感などにやっぱり軽自動車だなという心許なさを感じるところもあって。日産には、ノートのかっ飛びEVモデルを期待してます」(さつきさん)とのこと。欲しくて買える車種のラインナップが、EV普及のポイントであることを指摘してくださいました。
ちなみに、一緒に写真に写ってくれた「リーフ君」はさつきさんとともに長年の顔なじみで、もう13歳を超えたそうです。長生きしてね、リーフ君。
充電インフラの進化を実感
リーフからサクラに乗り替え、最近アリアが納車された寺西さんも長年の顔なじみ。2012年ごろ、私がi-MiEVで関西遠征取材に行った際、海老名ー足柄ー富士川(当時はまだ新東名はなく、急速充電器があるSAPAも限られていました)と、寺西さんの充電が終わる頃、私が到着する、いわゆる「玉突き充電」で言葉を交わしたのが最初の出会いだった方です。
寺西さんが感じているEV推しのポイントは「なんといっても加速と乗り心地の良さ」。アリアが納車されて感じているのが「バッテリー容量が増えて充電性能が上がったことで、とにかく長距離がラクになった。アリアが納車されてすぐに東京から九州まで遠征して、急速充電インフラがすごく充実してきていることも実感できました。まあ、もう少しあるといいなと感じるエリアもまだあるけど」と寺西さん。
とはいえ、リーフ愛はまだ健在。「予算もあってプロパイロット2.0は我慢したんだけど、手放し運転の便利さも知ってるからちょっと不便かなと感じるところもある。価格も含めてリーフの新モデルに期待してます。発売されたら買い換えるかも」ということでした。
ZESP2で車中泊ドライブを満喫
リーフe+で参加した今井さんも以前からの顔なじみ。5月に開催されたエネチェンジEVサポーターズのBBQ懇親会にも、山形県から参加してらっしゃいました。
2011年に初期型リーフに乗り始めた今井さんの現在の愛車はバッテリー容量62kWhの『e+』。24kWh時代から、日産の充電カード「ZESP2」の「旅ホーダイ」を活用して車中泊の気ままなロングドライブを満喫。
「ZESP2なら、どこまでも行けるじゃないか! と気付いたのがきっかけ。温泉やグルメを楽しみながら、リーフの車中泊でロングドライブを楽しむのが趣味になりました。EVはアイドリングがないから車中泊も気持ちいい。故障がなくて(今井さんの愛車は故障知らず)メンテがラクなのも魅力ですね」と今井さん。
長年のEVオーナーだけに「充電待ちに遭遇することが多い高速道路はあまり使わず、いろんなところに立ち寄りやすい下道を走るのがお気に入りです」とのことでした。
今さらエンジン車には戻れない
ここからは「はじめまして」のオーナーさん。アリアNISMOで参加のSINさんは、5年ほど前にホンダS660からリーフNISMOに乗り替え。「そもそもマニュアル車が大好きで、AT車に乗るのは嫌だし、いっそミッションがないEVの、メーカーチューンドモデルは面白いんじゃないか? と」考えたのがEVに乗り始めるきっかけでした。
買い替えを検討し始めた時期にアリアNISMOが登場。「今さらEVを離れる気にはならなかったので、思い切って購入しました。限界まで攻めたことはないけど、速くてヤバい! アグレッシブな見た目の割に乗り心地がいい。技術の日産を実感してます」とぞっこんです。
「EVの魅力というか。上り坂でどんどん電池が減るのが不安という人がいるけど、上った後は下りがあって、回生で電池が増えたりするでしょ。勾配を頭に入れてドライブを楽しめるようになったのは、EVになっての変化ですね」(SINさん)
クルマが走るために使うエネルギーへの「気付き」をもたらしてくれるのは、EVの大切な推しポイントかも知れません。
家族みんなでEVに
ボルボXC40で参加のマツタケさん。長年のボルボファンで、自宅にはPHEVのV90 Rechargeもあるとのこと。「ノートe-Powerに乗って電気の良さを実感。好きなブランドであるボルボの選択肢の中で、乗りたいクルマを選んだらEVやPHEVだったという感じです」とのこと。
ガレージにEV充電用の3kWコンセントを設置して、今では3人家族がそれぞれ、ボルボC40、日産サクラのオーナーとなり、4台のEV(&PHEV)が並んでいるそうです。
「別々に出かけた休日の夜とか、自宅のコンセントが充電渋滞になっちゃうこともあるんです(笑)」とマツタケさん。実際に使って見ないとわからない改善点。サクラは200Vコンセントでいいでしょうが、ボルボのEVはせっかく高出力の普通充電も可能なので、ユアスタンドが扱っている「Wallbox」とか、スマートな高出力普通充電器を設置すると素敵ですね。
就職内定お祝いでモデル3をポチ
モデル3で参加のshuさんは、まだ大学4年生の21歳。
「テスラを知ってEVに興味をもって、いろいろ調べるうちにクルマを買うならEVのほうが魅力的だと気付いたんです。でも、まだ学生でお金はないし。18歳で免許を取ってすぐに購入したのは、中古の初代リーフ(24kWh)でした」(shuさん)
自宅に200Vコンセントも設置したけど、加入したZESP3の月額無料枠をフル活用。24kWhリーフでも毎日の通学や県内中心のドライブでまったく問題を感じることはなく、ますます「走りが良くて経済的」なEV推し、そして「いつかはテスラ」の思いが膨らみます。
「どうしてもテスラが欲しかったので、ずっとバイト代を貯めてきて。就職の内定が出たお祝いで、中古のモデル3を購入しました。新潟在住で4WDは必須だったので、選んだのは21年製のロングレンジ。コミコミで350万円くらいでした」(shuさん)
EV推しのオヤジライターとして、shuさんのような若い世代にEVの魅力への理解が広がっていることをすごくうれしく感じます。と、就職内定、おめでとうございます。
納車から5カ月ほどですでに「2万5000km以上走ってますね。青森や福岡へのドライブも楽しみました」とshuさん。テスラとともに歩み始めたshuさんの人生に、ますます幸ありますように、です。
抽選会でGETしたドラレコ読者プレゼント
すでにEVを愛車として活用しEVの魅力に気付いている人にとって、EVへのネガティブな評判はそれほど気にしていないということがわかります。結局は、乗ってみなけりゃわからないということでしょう。国内自動車メーカーから、より幅広いユーザーが「欲しくて買える」EV車種が続々と登場する日を待ち望みます。
さて、最後になりましたが。実は、この新潟オフでは全参加者へのプレゼントを用意して「大抽選会」が実施されました。特賞的な賞品には、車載冷蔵庫やドラレコ、主催者である木沢さんちの田んぼで収穫されたばかりの新米などがあったのですが。
なんと、取材といいつつ普通に参加者でもあった私に「ドラレコ」が当たっちゃいました。ありがとうございます!
とはいえ、私のKONAにはすでにドラレコ付いてるし。メルカリとかで転売するのはあまりにも申し訳ないので、限定1名の読者プレゼントにさせていただきます。
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※ 当選者決定いたしました。お申し込みいただいたみなさま、ありがとうございました!(9/24)
(取材・文/寄本 好則)