レースドライバーの先導でサーキット走行を体験
2024年10月20日に開催された全日本EV-GPシリーズ第6戦「筑波EV 60kmレース」(関連記事)の会場となった茨城県の筑波サーキットで、このシリーズ戦の主催者でもある日本電気自動車レース協会(JEVRA/関谷正徳理事長)が主催する一般参加のEV体験走行会が行われました。
先導車両付きでレースの舞台でもある筑波サーキットコース2000を3周ほど走行。ストレートでも速度は80km/h程度に抑え、隊列で走る体験走行で、レーシングスーツはもちろんヘルメットも不要。車両の定員まで同乗OKというお気軽な規定です。参加料は1台3000円。
EV-GPのレースでは、午前中(この日は10時過ぎ〜)に公式予選が行われたあと、出走するEVの充電時間などをたっぷりとって決勝レース(この日は16時45分〜)まで長い時間が空いています。
体験走行会が行われるのはEV-GP公式予選終了直後の時間です。コースを占有できるのは約10分間だけですが、サーキットを気ままに走れる貴重な機会。また、予選と決勝の間に過ごす長い空白の時間つぶしにもなるので、一緒に取材に行った著者陣の木野さんに助手席で写真を撮ってもらうことにして、勇んで参加してみました。
私自身、以前レーシングカートで少々遊んでいましたが四輪でのサーキット走行経験は少なく、アルファロメオに乗ってた頃にタイムアタックしたり、日本一周したEVスーパーセブンのドライバーとしてジャパンEVフェスティバルの1時間耐久レースを走ったりした程度。それでも、クルマと自分の限界を見極めながら走るサーキット走行の楽しさはそれなりに理解しているつもりです。
今回、速度制限&先導車付きの「体験」ではありましたが、マイカーのKONAを購入してから初めてって感じでスポーツモードに設定し、それなりにラインを取りながら、サーキット走行を楽しむことができたのでした。
顔なじみのEVオーナーも初サーキット走行を満喫
今回の体験走行会。主催はJEVRAで集客や進行などにはテスラオーナーズクラブ(TOCJ)が全面協力。テスラジャパンからもスタッフが駆け付けて、走行会に参加したテスラオーナーに記念品をプレゼントしたり、決勝レースまでの空き時間にモデルS PlaidとモデルYの試乗会を実施していました。今回記事ではTOCJが開設した参加者用のLINEオープンチャットで共有された写真も活用させていただきました。TOCJのみなさま、ありがとうございます。
走行会の参加台数は約45台。20mほどの車間を空けて隊列走行すると、2000mのコースの半分くらいは数珠つなぎになってしまいそうな台数です。やはりテスラ車が最も多く参加していましたが、それ以外の車種でEVsmartブログで紹介したこともある顔なじみのオーナーさんが参加していたので、感想などを聞いてみました。
【杉本さん】縁石を踏んで走ってみたのが楽しかった
まず『ジェントルなリーフオーナーが IONIQ 5 に乗り替え~停電でもアイスは守り抜く!』(2022年10月23日)という記事などで何度か紹介したことがある杉本容一さん。愛車は長年日産リーフでしたが、今回は買い替えて2年ほどのヒョンデIONIQ 5で参加です。
「自分のクルマでサーキットを走るのは初体験。YouTubeで筑波サーキットの走り方を予習してきました。最初はペースが遅く感じましたが、コーナーによってアウトインアウトとかのラインを走り、少し縁石を踏んでみるとか、サーキットならではの走りを楽しめました。またこういう機会があったら参加したいですね」(杉本さん)
EV-GPシリーズでこうした一般参加可能な走行会が実施されるのは初めてのことでした。今年は全戦終了しましたが、次年度以降、いろんなサーキットで実施されるといいですね。
【木沢さん】NISMOでサーキット走行は気持ちいい!
『筋金入りのリーフオーナーがサクラに乗り替え~亜由美さんの電気自動車ライフ』(2022年9月20日)という記事で紹介した木沢亜由美さん。この日は自分のサクラではなく、お父さんが買い替えたばかりの日産アリアNISMO B9 e-4ORCEで新潟から筑波へ駆け付けました。
「サーキットを走るのは初体験。スピード控えめで怖くなかったし、アリアNISMOでサーキットを走るのは最高。コーナーを気持ちよく回っていく感じが気持ちよかったです。もっとアクセルを踏みたいなとか、レースに出てみたいなと思ったくらい!」(木沢さん)
たとえば、ラジコンカーやミニ四駆が今でもエンジン駆動だったらこんなに普及しないはず。個人的に、この筑波サーキットを会場にした「日本EVフェスティバル」(特設サイト)の体験などを通じてEVはモータースポーツを身近にしてくれる乗り物だと感じています。
https://evfestival.jevc.gr.jp/
EV-GPシリーズはサーキットでのレースとしては出場へのハードルは低いものの、実際に走るとなるとおおむね2戦で1セットはタイヤ交換が必要になるだろうし、バトルで接触やクラッシュといったリスクはあります。EVだからこそ、多く人が気軽にサーキットを走れる機会が増えるといいなと思います。
【冨田さん】IONIQ 5Nでタイムアタックしてみたい
実は最近、IONIQ 5 Nの参戦など注目度が高まっていることもあり、EV-GPの会場はテスラ車を中心としたEVオーナーのオフ会イベント状態になっています。白馬でのジャパンEVラリーで知り合った冨田賢吾さんとも、EV-GPの会場で言葉を交わすのが恒例になってきつつあります。というわけで、3人目のオーナーの言葉紹介は、納車されて間もないIONIQ 5Nで参加した冨田さんです。
「サーキット走行は、5Nのサーキット試乗会以来ですね。エコモードとNモードの差を実感できたりしましたが、せっかくのNだし、もっと速く走りたい、Nの実力を試してみたいという思いが強くなりました。ヒョンデがオーナー向けのサーキット走行会などを開催してくれることに期待しています」(冨田さん)
サーキットで本気走行の体験は、一般のワインディングや高速道路での安全走行にも繋がるはず。ヒョンデばかりでなく、テスラや日産、BMWやアウディあたりにも「こうしたチャンスを増やしてくれないかな(できれば車種やメーカーの枠を超えて)」と呟いておきます。
タイムアタックできる走行会「EV DAY 2024」
EVでタイムアタックしてみたい! というのは、この日の体験走行で走ったみなさんの多くが抱いた感想だと思います。と、絶好のチャンスがありました。日本電動自動車振興会が主催する「EV DAY 2024 秋だよ走行会」です。
「EV DAY 2024 秋だよ走行会」開催概要
【場所】
筑波サーキット コース2000
【開催日】
11月24日(日)
【参加費】(税込)
体験走行会:4400円
フリー走行会:1万1000円
【募集締切】
11月4日(月・祝)
●参加者募集公式サイト
https://e-race.org/241124.html
募集台数は25台。締切は11月4日なので、ギリギリのお知らせになって恐縮です。
体験走行会はヘルメットなど不要で同乗も可能。
フリー走行会の走行時間は20分間で、ヘルメット、グローブ、シューズ、ツナギ(長袖、長ズボン)などの装備規定あり。もちろん計測器を付けてタイムアタックできます。
実は私も取材を兼ねて参加するつもりだったのですが、24日は外せない私用が入って行けなくなってしまいました。「行けるぞ」というみなさん、ぜひお楽しみください。
取材・文/寄本 好則