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大規模マンションの来客用駐車場にEV用6kW充電器4口設置/記念のテスラ試乗会で2台成約

大規模マンションの来客用駐車場にEV用6kW充電器4口設置/記念のテスラ試乗会で2台成約

浦安市の大規模マンションの来客用駐車場に6kW普通充電器4口が設置されました。運用開始を住民にアピールする「テスラ試乗会」は盛況。なんと「即日で2台成約!」という情報が飛び込んできました。テスラ(EV)の魅力は乗ればわかる。自宅に充電器があれば乗りたい! ってことですね。

目次

浦安市のマンションに6kW充電器4口設置で運用開始

千葉県浦安市のマンション「レジアスフォート新浦安」にEV充電エネチェンジの6kW普通充電器4口が設置されました。2025年3月8日、充電器が利用開始となったことを住民の方々にアピールするため、テスラ車の試乗会イベントを開催するということで、取材に伺ってきました。

レジアスフォート新浦安は、A棟からH棟までの計764世帯が入居する大規模マンションです。駐車場は各世帯に1台分が確保されていますが、利用しない世帯の区画は2台目を希望する方に利用されており、現在も満車の状態が続いています。

EV用充電器が設置されたのは、A棟前の「来客用駐車場」スペースです。5台分の駐車区画に、EV充電エネチェンジの6kW普通充電器4口が設置されました。

試乗会イベントは、この来客用駐車場を会場に開催。テスラジャパンの協力で『モデル3』と『モデルY』が1台ずつやってきて、あらかじめ予約した住民の方々が試乗しました。2~3時間ほどと短時間のイベントではありましたが、顔なじみのご家族や子どもたちが後席に同乗するなどして和気あいあい。EV充電エネチェンジが「ガチャガチャ」プレゼントイベントを行うなどして盛り上がっていました。

EVオーナーさんの要望で充電器設置を検討開始

充電器設置を要望したアウディのEVオーナーである村林さん。PCA(プレミアムチャージングアライアンス)の「1年間無料」特典が終了したこともあり、自宅マンションの充電器設置を喜んでいらっしゃいました。

レジアスフォート新浦安の竣工は2003年。すでに20年以上経っていますが、共用部の中庭などは公園のように美しく、建物の外観もオシャレできれいなマンションでした。駐車場もしっかり用意されているものの、EV用充電器はまだ設置されていませんでした。

住民の代表で組織する「管理組合」で充電器設置の検討を始めたきっかけは約3年前。アウディから発売された『Q4 e-tron』を注文した村林聡さんが「ご意見箱」にEV用充電器設置の要望を投書したことでした。当時、理事会の「駐車場・駐輪場部会部長」だった上原智宏さんと、管理組合理事長の橋爪雄輔さんらの管理組合幹部は「時代の要請でもありマンションの資産価値向上のため」にEV充電器設置が有効と考えて情報収集を開始しました。

その後、駐車場・駐輪場部会部長は丸山和慶さん、藤田幹生さんへと引き継がれながら、充電器設置の計画は前進。2023年には国の充電インフラ補助金が早々に締め切られたこともあり足かけ3年の時間が掛かったものの、この日、晴れて利用開始の日を迎えることができたのでした。

駐車場・駐輪場部会歴代部長の方々。左から、丸山さん、藤田さん、上原さん。

管理組合の負担ゼロで設置運用できるのが決め手

エネチェンジ(現在はミライズエネチェンジ)が行ったガチャガチャプレゼントコーナーは子どもたちに大人気でした。

橋爪理事長をはじめとする管理組合の幹部は、浦安市が開催したマンション向けEV充電設備の説明会などに参加して情報を収集。3社ほどの充電サービス事業者からプランと見積もりを取り、最終的に「設置や運用で管理組合の負担はゼロ」で、共用部に6kW充電器を設置するEV充電エネチェンジの提案を選択したとのこと。

充電器の利用者はエネチェンジが用意したフォームで利用登録した上で、「EV充電エネチェンジ」アプリを自分のスマホにインストール。規定の「充電器番号」を入力して「充電開始」をタップすれば充電が開始されるなど操作は簡単。クレジットカードなど支払い方法もアプリに登録しておく仕組みで、充電セッションが終われば自動的に課金まで完了します。

このマンションの場合、電気契約もエネチェンジが行っていて管理組合に電気代の請求はありません。いわば、共用部の来客用駐車場をエネチェンジに貸し出して、充電サービスを提供しているイメージです。充電料金は文字通り「受益者負担」。充電した利用者がエネチェンジに支払って完結します。

基礎充電施設の場合、料金設定などは条件によってさまざまなのであくまでも一例ではありますが、レジアスフォート新浦安の充電料金は「270円/1時間」とのこと。6kW充電器なので、おおむね「45円/kWh」です。充電サービス事業者が提供する基礎充電の料金としては合理的な設定料金だと思います。

管理組合のみなさんに伺うと「各社の提案で充電料金も比較して納得できる設定だった」とのこと。基礎充電設備導入を検討する場合、設置が無料とかだけでなく、利用者が許容できる充電料金かどうかというのは、とても大切なポイントといえるでしょう。

次のマイカーはプラグインにしようかな

管理組合の橋爪理事長。

実は、橋爪理事長をはじめ、駐車場・駐輪場部会歴代部長の上原さん、丸山さん、藤田さんらの幹部は、みんな「マイカーはまだエンジン車」とのことでした。EVをはじめとしたプラグイン車(PHEVを含む外部充電可能なクルマ)は気になっているものの、みなさんそれぞれ「マンションに充電器がなかったし、やっぱりまだ車両価格が高くて……」と感じていたそうです。

「新浦安は人気が高まっているエリアでもあり、このマンションも購入時より値上がりしています。さらに、EV充電器が設置されたことでさらなる資産価値向上に寄与できると思います。充電器設置は、マンションにとって重要なアップデートですからね。そろそろマイカー買い替えの時期ですが、私自身、プラグイン車はまだ高価と感じていました。でも、ずっと乗り継いでいるディーラーさんからもすすめられているし、マンションに充電器が付いたので、次のマイカーはプラグインにしてみようかな」と、橋爪理事長は笑顔で充電器設置の意義を話してくださいました。

ちなみに、充電器を利用する住民はマンションのコミュニティセンターで来客用駐車場を予約して、前述のように専用アプリを通じて充電器を利用します。5区画の来客用駐車場に4口の充電器があるので、今後、EVを利用する住民が増えてくると「来客用駐車場がいつも充電するEVでいっぱい」といった状況が生じてしまう可能性もあります。

また、今回の設置を4口としたことにも「正直にいってとくに根拠はありません。1台2台では少ないし、まずは4口でやってみようという判断です」(丸山さん)とのこと。まずはスタートして、課題が出てきたらその都度アップデートしていけばいいという方針で、本格的なEV普及(たとえば新車販売シェアが30%を超えるような)まではまだしばらく掛かりそうな日本の現状を鑑みて、とても賢明なやり方だと感じます。

ところで、この日のテスラ試乗会。3時間ほどと短時間のイベントで試乗車が2台。合計8枠だけのプチ試乗会ではあったものの。試乗枠は事前予約で満杯。しかも、この日の試乗だけでなんと2台成約したという情報が入ってきました。

3月末までの納車に間に合えば、今テスラが実施している「5年間スーパーチャージャー無料」の特典があるから、せっかくマンションに設置された充電器を利用する機会は少なくなるかも知れませんが、住んでいるマンションに充電器があるという安心感がEV購入への不安をなくしてくれた効果は小さくないだろうと思います。

また、テスラやEVに興味はあっても「試乗まではしたことがない」という方がまだまだ多いんだなってことを実感しました。EVの魅力をもっともっと伝えるために、これからもEVsmartブログではさまざまなEV情報発信に励みます!

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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