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淡路島に電気自動車が大集合!「AWAJI EV MEET 2025」レポート/BEVならではの楽しみ方で情報「交歓」

淡路島に電気自動車が大集合!「AWAJI EV MEET 2025」レポート/BEVならではの楽しみ方で情報「交歓」

テスラ、ヒョンデ、日産、ボルボ、ホンダ……。メーカーや車種の枠を超えたEVが大集合。4月19日に兵庫・淡路島の国営明石海峡公園で開催されたオフ会「AWAJI EV MEET 2025」の様子をレポートします。

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快晴の淡路島に40台以上のEVが集結

2025年4月19日(土)の淡路島は快晴に恵まれました。恵まれすぎて4月なのに最高気温が27度という夏日に。会場となったのは、神戸から明石海峡大橋を渡ってすぐの場所にある国営明石海峡公園です。海際にある駐車場に、40台以上のEVと約60人の参加者たちが集合しました。

確保されたスペースが広かったので、あまり車間は詰めずに整列。マイカーのそばで、キャンプ用の椅子やテーブルを広げてもまだ余裕があります。クルマがぎっちり並んでいるのも見栄えはしますが、のんびりスタイルもいいですね。

会場は広大な海辺の駐車場でした。

今年は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から30年です。震源は、まさにこの淡路島北部。国内で初観測された最大震度7の直下型地震で、建物の耐震基準の改正など防災対策が抜本的に見直されたのはご存知の通りです。「ボランティア元年」という言葉が生まれて、災害支援のあり方についても大きな転機となりました。

そんな節目の年にあたり、蓄電池として活用できて、災害時に役立つEVを淡路島に集めてみようという企画が進められたそうです。イベントを主催したのは、自動車雑誌「CARトップ」を発行している株式会社交通タイムス社。メーカーや車種を問わない電気自動車のイベント「EV MEET」(関連記事)を主宰する「EVごはん」の石井啓介さんに声がかかり、関西で開催することになったのだとか。

EVごはんの石井さん(左)と、IONIQ 5 Nで参加の小峰さん(右)。

「私が参加するEVのミーティングは関東圏が多くて、関西のユーザーとはおもにオンライン上でのやり取りになっています。リアルにお会いできる今回のオフ会は、とてもいい機会になりました」(石井さん)

EVを活用した防災ネットワークの構想も

趣旨に沿って、防災をテーマにしたトークショーも行われました。マイクを握ったのは「Hyundai Motor Club JAPAN」(旧IONIQ OWNERS QLUB)会長の辻榮亮さん。ヒョンデ(Hyundai)車オーナーの交流に取り組む一方で、EV黎明期から活動している「EVオーナーズクラブ(EVOC)」の2代目代表に就任し、EVを防災に役立てる啓蒙活動にも取り組んでいます。

辻榮さん(右)とアキヨさん(中央)によるBEVキャントークの様子。

2019年に千葉県に大停電などをもたらした房総半島台風で被災した体験を持つ辻榮さん。この日は「EVオーナーによる災害対応ネットワークを作りたい」という構想を明かしてくれました。事前に登録しておいた有志のEVオーナーで「停電などが起きている被災地にマイカーで電気を運ぶ」という活動です。

各自治体で、EVやPHEVを有事に蓄電池として活用する施策は以前から進んでいますし、昨年1月に起きた能登半島地震のときには、充電インフラ各社が被災地周辺の急速充電スポットを一部無償開放しました。復旧・復興支援のためにEVを有効活用する動きは広がってきています。EVオーナーのボランティアネットワークも、制度をしっかりと整備すれば、有効な防災対策になりそうです。発足したら私もぜひ参加したいと思いました。

EVの走行用バッテリーから電気を取り出すノウハウを知っていることは、災害の時にも間違いなく役に立ちます。いくつか災害の現場を取材していますが、明かりがある、携帯電話を充電できる、それだけでもすごく助かるものです。

EVキャンプ&車中泊の楽しさも満喫

というような話ばかりだと、なんだか眉間にシワが寄ってきそうですが、蓄電池としてEVを活用することには、楽しさもあります。その代表的な使い方と言えるのがEVキャンプ。じつは辻榮さん、毎年8月に富士山の麓にあるキャンプ場で、EVを集めた「EV Summer Camp」(関連記事)を主催しています。

そこで、女子キャンププロデューサーのアキヨさんと一緒にトークする「キャンプ談義」も行われました。

辻榮さんが乗っているIONIQ 5は、車内の100Vコンセントや専用アダプター(ともに標準装備)から家電製品への給電、いわゆるV2L(Vehicle to Load)が可能です。冷蔵庫やIH調理器具が、自宅にいるような感覚で使えてしまいます。辻榮さん自身、「僕も以前は、キャンプに電子レンジや炊飯ジャーを持っていくなんて……と思っていたけど、やってみると、これがいいんですよ」とフィールドで家電を使いこなす「BEVキャン」を推奨。

アキヨさんは、マイカーにキャンプ用品を大量に積み込むオートキャンプ(残念ながらEVではないそうです)がいつものスタイルとのこと。でも、この日は機内持ち込みサイズのキャリアケースひとつに、テントから寝袋まで野宿用品一式をパッキングするミニマルスタイルを披露。「それに全部入るの?」と参加者を驚かせていました。この身軽さはコンパクトEVでのお泊まりにも応用できそうです。

全日本EV-GP参戦車両もオフ会に参加

モンドスミオさんとレース参戦車両。

会場でのトークショーでは、テスラ モデル3 RWDで全日本EV-GPに出場しているモンドスミオさんが出場車両に乗ってきてくれて、「EVレースの楽しみ方」を語ってくれたのも印象的でした。この日は、昨年のEV-GP第5戦にヒョンデ IONIQ 5Nで参戦して優勝(関連記事)を飾った小峰猛彦さんもゼッケン付きの5Nで来場していて、EVレースカー2台はかなり注目を集めていました。

会場を歩いてみます。「EVごはん」の隣でレモネードのブースを出していたのは、岡山でEVの普及活動をしている「岡山EVサロン」の代表、田野りょうさん。5年前にテスラ モデル3を買って「世界観が変わった」のがきっかけで、テスラオーナーのオフ会を主催し始め、それが全メーカーのEVを対象にした「ふれあいEV」というイベントへと変わっていったそうです。

「EVに興味のない人に向けて『乗ってみませんか』という訴求をしています」。年一回のイベントとは別に、毎月試乗会も開催しているとのこと。EVの伝道師ですね。今年の「ふれあいEV OKAYAMA」は9月27、28日にCONVEX岡山で開催される予定。私もお邪魔したいと思っています。

毎月1回「関西定例EVオフ会」を主催しているテスラ モデルSオーナー、まったてさんともお話しすることができました。Xでずっとフォローしていたのですが、こういう機会でもないとなかなかお会いできません。関西定例EVオフ会はもう3年ぐらい続いているそうで、毎回15台ぐらいは集まるのだとか。これまた機会があれば参加させてもらいたいところです。

お揃いのTシャツを着て目立っていたのが「Hyundai Motor Club JAPAN」です。代表の辻榮さんが千葉在住のため、オフ会はどうしても関東圏が中心になってしまうそうで、今回は交流を広げるのに絶好の機会。関西でのイベントを企画しているというIONIQ 5オーナーのヒロさんは「Hyundai Customer Experience Center大阪も開業準備が進んでいるので、つながりを広げていきたい。これから増えていきそうなインスターのオーナーにも入ってもらいたいです」と話していました。

一般の(というのも変ですが)参加者の方からも話を聞きました。ボルボ EX30に2人の子供を乗せて参加していたのは地元・淡路市在住の井上博文さん、円香さんご夫妻。ご主人は、これまでクルマを所有していなかったそうで、初めてのマイカーがEVとのこと。

「走り出したときにすごく気持ちいいですね」と博文さん。EVにした理由は、太陽光パネルを乗せたマイホームを建てたから。BYD ATTO3、フォルクスワーゲンID.4も候補に挙がったそうですが、デザインが決め手になってEX-30にしたそうです。

これまで、BMW ミニクーパーやスズキ クロスビーに乗ってきた円香さんも「スーッと動く感じが好きです。運転していて楽しいクルマですね」とEVには好感触。平日の通勤にも使って、週末はドライブをご家族で楽しんでいるとのことでした。

主催は「CARトップ」の交通タイムス社

今回のイベントの主催は交通タイムス社。会場では、雑誌「CARトップ」の取材陣が、参加者にインタビューして愛車と一緒の写真を撮影していました。いつもは取材をする側の私も、取材されました。「CARトップ」の5/26発売号に掲載されるそうです。

「今回はEVオーナーの皆さんの声を集めたいと思ってこういう企画にしました。雑誌ではEVを特集することが少なかったので、今後はEVの関連記事をさらに増やしていきたいですし、サーキット走行会のようなイベントもやってみたいですね」(大阪支社長の吉坂直樹さん)

じゃんけん大会で盛り上がるなどして、日中のイベントが一段落した後、一泊二日で参加した車中泊チームは、会場近くの「アクアイグニス淡路島」という複合型天然温泉リゾートにクルマを移動させました。

ここの車中泊エリアには、衝立で仕切られた駐車スペースの隣に人工芝の空間がついています。なのでマイカーの隣に机や椅子を出してのんびりできます。ほぼオートキャンプ場という感じ。所用のあった私は、ちらっと覗かせてもらっただけでしたが、EV仲間の楽しい会合は、どうやらかなり夜遅くまで繰り広げられたようです。

東京在住の私もやはり、オフ会取材というと関東圏が多くなってしまいます。でも全国各地にEV界を盛り上げよう、つながりを広げようとしている人たちがいて、みなさん楽しそうに活動中だと知ることができたのが、今回の一番の収穫でした。

取材・文/篠原 知存

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この記事を書いた人

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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