愛車のHonda eを走らせつつ電気自動車関連の話題をレポートする連載の第29回。Honda eとN-VAN e:のオーナーが集う初の「ホンダEV合同ミーティング」が東京都内で開かれました。楽しくおしゃべりして、コミュニティーの大切さも実感した1日でした。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
15台のHonda eとN-VAN e: が都内に集合
ミーティングを企画してくれたのは車載音響機器やカーナビゲーションなどを製造販売する大手電機メーカー、アルプスアルパイン株式会社です。すでにN-VAN e:のオーナーを集めたイベントを開催していて、次はHonda eのオーナーにも参加してもらおう、ということになったそうで、担当しているDigital Cabin Solution企画部の江崎徹さんと岸野亜理沙さんからご連絡をいただきました。
東京都大田区にあるアルプスアルパインの本社ビルには、一階部分に大きな開口部があって、広々とした空間が設けられています。会場になったのは、そのスペース。2025年7月19日(土)のお昼過ぎ、集合時間より早めに訪ねましたが、すでに到着されている方もいました。Honda eとN-VAN e:を向かい合わせにするような感じで、参加者のマイカーが並べられていきます。
オフ会っていつもそうですけれど、同じクルマが並んでいるだけで、ほっこりしてしまいますよね。始まる前からみんなニコニコ顔です。集まったのは2車種合わせて15台。車には乗らないで参加されたオーナーの方もいました。
N-VAN e:の方々は、Facebookグループの「HONDA N-VAN e:オーナー」で情報交換をしているメンバーが中心です。グループの管理者は、福岡県在住の江﨑香織さん。EVを活用して運送業を営んでいて、N-VAN e:だけでなく、三菱ミニキャブ・ミーブを2台とeKクロス EVも保有しているそうです。
HONDA N-VAN e:オーナー(Facebookグループ)
江﨑さんは昨年3月、まだN-VAN e:が発売される前にFacebook上に公開グループを立ち上げて「ご興味のある方等、気軽に入会してください」と呼びかけました。メンバー数は、オフ会の時点で290人。そのうちどれぐらいがオーナーかは把握できていないとのことですが、毎日のようにN-VAN e:に関する投稿があります。充電スポットの情報や、ホイールのマッチング、自作カスタムの紹介など、私も「興味がある」枠でメンバーにさせてもらっています。まだ投稿したことはなくて、もっぱら「いいね」を押すぐらいですけれど。
一方、Honda eの参加者は、本ブログで何度か紹介しているHonda eオーナーズクラブ(HeOC)のメンバーが中心。改めて説明しますと、HeOCはジャパンEVラリー白馬での交流をきっかけに、モータージャーナリストの片岡英明さんとスマホジャーナリストの石川温さんが発起メンバーになってくれて発足しました。
その後、まさかの生産終了という事態になったのですが、メンバーは増えていて、現在は30数名。今年5月に栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎで開催したオフ会(関連記事)には、19台が集まりました。普段はLINEで情報を共有しています。今回のミーティングでも初めてお会いするオーナーがいて、メンバーに加わってもらいました。
「充電カードどうする?」問題も話題に
そんな両グループを中心としたオフ会がスタートしたのは午後2時。まずはクルマと一緒に自己紹介タイム。なぜ乗り始めたのか、どんな風に乗っているのか、自宅の充電環境のことなどを交えて、それぞれが自身のEVライフを簡単に説明。それからフリートークの時間になりました。冷房の効いたロビー部分も開放されていて、あちこちで数人ずつが輪になるような感じで、話が弾んでいました。
共通の話題は、たとえば「充電カードどうする?」問題。公共の急速充電ネットワークを格安に利用できた「Honda Charging Service」カードが今年3月末でサービス終了してしまい、N-VAN e:オーナーはその恩恵を受けられませんでした。ホンダがEVユーザーに案内しているe-Mobility Powerや、それ以外のエコQ電、Power Xといった充電サービスの使い勝手や価格はどうなのか、話し始めるとエンドレスです。
個人的に、N-VAN e:のオーナーと話して新鮮だったのは、カスタム熱の高さでした。これまでに結構な数のHonda eオーナーと会ってきましたが、ノーマルで乗っている人が多いような気がします。対して、集まったN-VAN e:は、キャンプ仕様やがっつりお仕事仕様、ローダウンなどもあって個性豊か。エンジン車のN-VAN向けに出ている用品で使えるものもあると聞いて、なるほどと納得。
特筆しておきたいのは、ミーティングに、BEV開発に携わるホンダ社員も参加してくれていたことです。社員の皆さんのまわりには入れ替わり立ち替わり、いつもオーナーの輪ができていました。本田技研工業BEV開発センターから参加していた電動ソフトウェア戦略企画課チーフエンジニアの田上裕さんから、あとでお話を聞くことができました。

写真右端でマイクを握っているのが田上さん。
まずは感想から。
「熱気がありましたね。みなさんが楽しんでいるのがよく伝わってきました。私たちもユーザーさんの熱い期待に応えられるようにしたい、と改めて思いました」(田上さん)
今回のミーティングは、もともと協力関係にあるホンダとアルプスアルパインによる新たな取り組みのひとつだそうです。「これまでハードウェアをベースにしてきた自動車産業に、ソフトウェアで価値を創出していくという流れが生まれています」と田上さんは意図を説明してくれました。
SDV(Software Defined Vehicle=ソフトウェア定義型車両)という言葉が、少しずつ世間でも知られるようになってきていますね。ソフトウェアの更新によって機能を高めていく車のこと。本ブログの読者はとっくにご承知でしょうが、EVはエンジン車よりも、そのSDVとの親和性が高いそうです。
「充電機能だったり、クルマのコントロールに関することだったり、走行性能まで進化させていくことができます。そこに、世の中の声を反映させていくのが私たちの仕事。ユーザーさんの意見を聞いて次のモデルに、という感覚では間に合いません。具体的にはこれからトライということになりますが、ユーザーさんとのコミュニケーションから新しい価値のあるものを生み出していきたいと思っています」(田上さん)
ソフトウェアのアップデートには、車両情報や充電設備の情報など、さまざまなデータを活用するそうです。ユーザーとの接点から得られる情報もそのひとつということですね。EVの開発担当者とエンドユーザーが直接言葉を交わせる場というのは、1オーナーとして得難い機会であるのは間違いないですが、メーカー側としても重要度が増しているということなのでしょう。
ホンダEVコミュニティ(仮称)がローンチ準備中!
アルプスアルパインからは「ホンダEVコミュニティ」(仮称)というウェブサイトを準備していることも告知されました。Honda eやN-VAN e:、さらには秋に発売されるN-ONE e:も含めた、ホンダEVのユーザーが情報交換や交流のできるサイトを目指しているそうです。「オーナーはもとより、ホンダEVの購入を検討しているとか、そのうちに乗ってみたいという人も情報を得ることができる。ディーラーではなかなか教えてくれないようなリアルな話も聞ける、そういう場所にしていきたいと思っています」とアルプスアルパインの岸野さん。EV関連イベントの情報なども含めて発信してくださるそうです。ローンチを待ってます!
田上さんのお話にもあったように、ユーザーのコミュニケーションが車のアップデートにつながるかもしれません。一定のニーズがあれば、関連グッズなども生まれる可能性があります。実際、N-VAN e:オーナーとの先のミーティングで「車検証入れがない」という声が挙がったことがきっかけで、アルプスアルパインは収納できる用品の試作を検討しているそうです。
ただし、自社の商品ラインアップのことを考えているわけではない、と岸野さんが説明してくれました。「作るのは自動車メーカーや部品メーカーでなくてもいいと思っています。他の会社や、例えば製作が得意なオーナーさんでも構いません。困っている人と得意な人がつながって形にしていく。そうした循環の事例を示したいと考えています」。
なるほどです。コミュニティーを核に、ヒトやモノがどんどん結びついていくイメージが湧いてきますね。
これまでも、いろいろなEVオフ会に参加させてもらっていますが、メーカーの開発エンジニアや車載用品を作る電機メーカーの方が興味を持って関わってくれるというのは、心強い限りです。オーナーとしては、ただ同じ車同士で集まって、しゃべるの楽しい!ってだけでも全然OKなのですが、より安全で快適なEVライフ形成に貢献できるかもしれない、と思えるのはワクワクします。
今後も「ホンダEVミーティング」は引き続き開催していきたいとのことなので、Honda eやN-VAN e:オーナーの方、N-ONE e:の購入を検討されているみなさんと一緒に、期待して次回を待ちたいと思います。なお、N-VAN e:オーナーの方はFacebookの「HONDA N-VAN e:オーナー」グループに、ぜひ参加申請してくださいね。Honda eに乗っていてオーナーズクラブへの参加を希望される方は、下のコメント欄へメッセージをお願いします。
私のHonda e(2021/4/29~2025/8/5)
総走行距離 7万2375km
平均電費 8.9km/kWh
累計充電回数 急速495回、普通139回
取材・文/篠原 知存
コメント