世界で最もEVを販売している自動車メーカーは? 日本の存在感は見えず

アメリカのメディア『CleanTechnica』が2024年の世界におけるEV販売を総括しています。プラグイン車ではBYD、BEVではテスラが第1位。日本の自動車メーカーは「Others」に埋もれています。2025年のトップ5予想まで、全文翻訳でお届けします。

世界で最もEVを販売している自動車メーカーは? 日本の存在感は見えず

【元記事】The Automakers Selling the Most EVs in the World Are … by José Pontes on『Clean Technica

プラグイン車ではBYDが第1位

世界で最も売れているプラグイン車(訳注:PHEVやBEVなど外部から充電ができる車)と、世界で最もPHEVを販売しているメーカーについての記事に続き、2024年世界EV販売レポートシリーズの締めくくりとして、最もPHEVを販売している自動車グループまたはアライアンスと、最もBEVを販売している自動車グループまたはアライアンスをそれぞれ紹介します。

プラグイン車の販売台数を自動車グループ別に見ると、BYD(プラグイン車市場シェア24.7%)がテスラ(2023年のシェア13.2%から10.4%に下落)に14.3%(240万台以上)の大差をつけて、2023年に引き続き1位を獲得しました。BYDは11月と比較して0.3ポイント、1年前と比較して2.7ポイントの大幅な上昇となりました。

こうした傾向からBYDの市場シェアはまだまだ伸びる可能性があり、同社は2025年に前年比約30%増と予測されているため、2025年にはシェア25%の壁を超えるかもしれません。

テスラに関しては、2025年は再び成長をすることがモットーのため、わずかな成長であってもプラスと考えることができます。つまり、同社のEVシェアが2017年以来初めて10%の大台を割り込むことになるかもしれないということです。

深圳のBYD本社にて。

テスラに追いつこうとする3位の吉利汽車は前年比0.1%の微増で8.3%を記録。シェアを1.5%伸ばして1年を終えました。このシェア増加により、今年はテスラを追い抜く軌道に乗るかもしれません。もちろん今年のテスラの動向に大きく左右されますが、2024年に吉利汽車は4位から3位に浮上したため、2025年に再び順位を1つ上げたとしてもおかしくはないでしょう。

来年は、おそらく世界で最も生産台数が多い吉利グループからどんどんフレッシュな車が出てくるため、吉利は業界第2位の有力候補として、年明けから素晴らしいスタートダッシュを決めたとさえ言えます。

2番手の集団ではフォルクスワーゲン・グループが4位でしたが、12月には0.1%のシェアを失い、2023年比で1.6%減となりました。そうは言っても、フォルクスワーゲンは間違いなく既存の自動車メーカーの中ではリーダーだと言えます。

また、2番手集団ではSAIC(11月の5.5%から上昇して5.6%)があと一歩のところでフォルクスワーゲン・グループを4位から引きずり下ろすところまで来ていました。もし今年に13ヶ月目があれば、フォルクスワーゲン・グループが陥落していたかもしれません。

いずれにせよ、上海汽車(SAIC)は五菱(ウーリン)の快進撃のおかげでこのポジションにいますが、いつまでもそれに頼ることはできず、2025年には他のブランドのラインナップを拡充させる必要があります。

3番手集団では、ステランティス(2023年の4.2%から減少して2.7%)が基本的に集団から脱落しました(2023年6位)。一方で、活躍したのは長安汽車(2023年2.9%から3.6%に上昇)で、6位にランクインしました。BMWグループ(2023年の4.1%から減少して3.4%)は7位をキープし(既存大手メーカーの中では2位)、2025年もこの順位にとどまることができれば御の字でしょう。

このグループでのもう1人の勝者がヒョンデ・起亜で、順位を1つ上げて8位に付きました。とはいえ、2024年のシェアは3.1%で、2023年の3.7%や2022年の4.6%には遠く及びませんでした。

BEVではテスラが第1位に返り咲き

BEVに限ってみると、テスラが世界のBEV市場で16.5%のシェアを獲得し、再び1位に輝きました。しかし、2023年のシェア19.1%からは大きく後退しており、2020年末の23%と比べるとかなり減っています。

銀メダルは再びBYD(16.3%)となりましたが、興味深いことに同社も2023年比でシェアが落ちています(-0.2%)。これは、BYDが現在PHEVに大きく軸足を置いており、BEVは控えめにしているためです。

それでも、停滞するテスラに対して20万台近く販売台数を伸ばしたため、2024年はテスラが勝ったものの、その差はわずか2万5,000台となり、2025年は両者がしのぎを削って争うことになりそうです。もしBYDが緩やかな成長を続けると予想される場合(例えば、前年比15%増)、今年は200万台強を販売することになります。

一方、テスラは2025年に200万台に届くでしょうか? コメント欄でご意見をお聞かせください。

画像:Tesla Inc.

その他では、吉利汽車がトップ5で最も躍進したメーカーで、BEVの販売台数を30万台以上増やし、2024年には90万台を超えました。これにより、2023年の5位から3位に浮上し、初のメダルを獲得し、シェアも6.2%から8.5%に拡大しました。

吉利汽車はどこまで伸びるのでしょうか?BEV分野でのポテンシャルを考えると、同社が2028年か2029年頃に1位の座を争っていてもおかしくないと思います。

4位の上海汽車(SAIC)は、2024年にフォルクスワーゲン・グループより上の順位に付けました。しかし2024年のシェアは7.9%から7.6%に下落し、2022年末のシェア9.3%から程遠い結果になりました。

フォルクスワーゲン・グループ(2023年の7.8%から6.9%に低下)は、2023年に比べて1つ順位を下げましたが、中国のメーカーがPHEVとEREV(レンジエクステンダー車)に転換しているため、2025年は5位をキープできるはずです。残りの既存大手メーカーは、フォルクスワーゲン・グループに大きく遅れをとって2024年を終えました(2024年のシェアはBMWが4%、ヒョンデ・起亜が3.8%)。

BEV単体の結果をBEV+PHEVの表やグラフと比較してみると、上位 5 社は同じだと気づきます。違いは、BYDとテスラの順位が入れ替わっていること(テスラはBEVしか販売していないためBEV単体のチャートで上位に来やすい)と、フォルクスワーゲン・グループとSAICの間でも似たようなことが起きていることです(フォルクスワーゲン・グループのラインナップよりもSAICの方がはるかにBEVに偏っているため)。

しかし、全体的には、PHEVを含めようと、そうでなかろうと、先頭集団、2番手、3番手で各プレーヤーの順位はそれほど変わりません。

私の2025年のトップ5メーカー予想です

【xEV】
BYD
吉利
テスラ
SAIC
VWグループ

【BEV】
BYD
テスラ
吉利
SAIC
VWグループ

あなたはどう思いますか?

翻訳/池田 篤史(翻訳アトリエ)

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この記事の著者


					池田 篤史

池田 篤史

1976年大阪生まれ。0歳で渡米。以後、日米を行ったり来たりしながら大学卒業後、自動車業界を経て2002年に翻訳家に転身。国内外の自動車メーカーやサプライヤーの通訳・翻訳を手掛ける。2016年にテスラを購入以来、ブログやYouTubeなどでEVの普及活動を始める。

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