【動画あり】一部の普通充電器がトヨタウォレット認証へ変更~実際に使用してレポート

2022年3月7日より、全国約1,000か所に設置されている豊田自動織機製普通充電器の認証方法が変わりました。変更された初日、対象となる普通充電器を使用してきたので、その様子をレポートします。

【動画あり】一部の普通充電器がトヨタウォレット認証へ変更~実際に使用してレポート

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突然使用一時停止に

今回認証方法が変更となった普通充電器、元々はe-Mobility Power(eMP)や各自動車メーカーが発行していた認証カードを使って充電出来ていました。しかし2022年2月25日以降、一時的に使用できなくなり、3月7日からはスマートフォンに「TOYOTA Wallet(トヨタウォレット)」というアプリをインストールし、スマートフォン経由で認証・決済を行う必要があります。

各種充電カードをかざすだけで使用できていたユーザーからすれば、スマートフォンと充電器の両方を操作する煩雑な認証方法へと変わってしまいました。そして対象となる充電スポットは全国996カ所、約1,500台にのぼります。

なぜ認証方法が変わった?

対象となる豊田自動織機製の普通充電器「EVC1」はKDDI株式会社が提供するauの3G通信で認証していましたが、4Gや5Gの台頭があり利用者が減少、2022年3月31日に停波となります。その為充電器単体で通信を行うことが出来なくなり、スマートフォンアプリを介して認証・決済を行うこととなりました。

そもそもこの普通充電器は2013年度の経済産業省による補助金を使いJTBが設置したもので、充電器本体と工事費の2/3を国が負担。これに加え自動車メーカー4社(トヨタ、日産、三菱、ホンダ)が残りの1/3の費用と8年間の電気代を含む維持費用を負担する前提でスタートしたもの。

この事業が発表されたのが2013年12月で設置から約8年経過するので、いずれにせよ料金体系が変わる可能性があったということになります。

使い方について

①アプリをスマートフォンにインストール。
トヨタウォレットをインストール後、会員登録と決済方法の登録を行います。iOSはこちら。アンドロイドはこちら。今なら初回500円以上チャージすると、1,000円分の残高が追加でプレゼントされます。(2022年3月9日時点)

②充電器を操作。


・普通充電器の「START」をタッチ。


・スマホ決済を行うのでテンキーの「1」をタッチ。


・”次へ”の下にある「F3」をタッチ。


・利用番号が表示される。

③アプリを操作

・トヨタウォレットを立ち上げ、サービス選択から「EV Power Stand」をタップ。


・充電器に貼られているQRコードを読み取る。


この画面で初めて料金が表示されます。問題なければ先ほど充電器に表示させた利用番号を入力。画面に従い決済を完了させると、アプリ上に暗証番号が表示されます。

④暗証番号を普通充電器に入力


利用番号が表示されていた普通充電器で”次へ”の下にある「F3」をタッチすると暗証番号入力画面になります。アプリ上に表示されている暗証番号を普通充電器に入力。

認証が成功後、コネクターを車両側に接続すると充電が始まります。

注意点

①従量課金ではない
今回使用した機種「EVC1」の利用料金は充電した分だけ課金されるわけではなく、1回440円の固定料金でした。充電する時間によっては割高になってしまうので注意が必要です。
一般的な電気料金を1kWh=26.5円(税込み)と仮定。

440円/26.5円=16.6
16.6時間/3kWh(200V15A)=5.5時間

なので、5.5時間充電以上充電する場合、おおよそ元が取れる計算になります。(※充電時の損失は無視)

②施設によって料金は異なる
今回紹介した施設は時間無制限、1回440円でしたが、料金は施設によって異なる上、公開もされていません。実際に使用する際、トヨタウォレットに表示された料金をよく確認した上で利用されることをお勧めします。

③充電開始後、払い戻し不可
豊田自動織機製のEVC1は充電開始した後に料金の払い戻しは出来ません。

こんな施設も

茨城県鉾田市にある旅館・民宿くるみ屋さんでは豊田自動織機製の普通充電器EVC1とテスラウォールコネクター1基ずつを設置し、宿泊者は充電器を利用することが出来ます。

普通充電器の認証・決済方法変更をむかえるに当たり、3つの選択肢があったとのこと。一つは充電器を通信可能な機種に入れ替えるというもの。充電器本体代やシステム運用費は施設側が負担することとなります。もう一つは充電器は変えずにトヨタウォレットによる決済を導入すること。本体の入れ替えがないためコストはおさえられますが、運用費は別途必要となります。

最後の選択肢は自主運用です。くるみ屋さんでは自主運用を選択し、施設利用者は1回1,000円で利用可能。上記で紹介した施設(ホームセンター)よりも高いですが、宿泊施設とは滞在時間が異なりますし、バッテリー残量にもよりますが、電気代1,000円以上かかるケースも多いです。

宿泊代などと同時に支払うことが出来るのでアプリを入れたり、アカウントにチャージする必要がない分、利用者にとっては楽かもしれませんね。

(取材・文・写真/テスカス)

暗証番号だけの認証も

【編集部追記】 今回、テスカスさんの検証は、スタート画面で選択肢「1」の「スマホ決済」を選択して行いました。未検証ではありますが「2」の「暗証番号」を選択すると、充電器固有に決められた暗証番号を入力して充電し、設置者に直接、決められた利用料金を支払う仕組みになっていると思われます。

自主運用を選択したくるみ屋さんの充電器は、スタート画面から「パスワード(暗証番号)入力」のみが表示されるとのこと。スマホ(トヨタウォレット)決済を利用する機械とは異なるシステムがインストールされているようです。テスカスさんからくるみ屋さんに確認してもらったところ、従来のeMPカード(提携含む)による認証システムからは、3月10日にOTAでアップデートされたということでした。

充電器固有の暗証番号や、自主運用の際の暗証番号がネットで流出! なんてことになると大変ですね。利用者のみなさんも、ご注意ください。

それにしても、新しい認証&決済方法も、今ひとつユーザー本位で発想されたとは考えにくいややこしさです。OTAアップデートなんてことができるのであれば、もう少しユーザーに優しい仕組みになって欲しかったというのが正直な感想ではあります。テクノロジーの活かし方、難しいですね。 (寄本)

この記事のコメント(新着順)20件

  1.  以前から充電システムに対する改悪が色々あったんですね。
     EV、PHVの普及に対する国、自治体、メーカーの姿勢に疑問がありますね。
     当方、プリウスPHV利用歴3年、トヨタのPHV充電サポートメンバーズカードを取得していて、通常自宅で充電、遠出した際に高速のSAや道の駅の充電スタンドを利用していました。メンバーズカードは従量プランを選択していて、基本料金はかからず、単価は少し割高ですが、それなりにPHVのメリットを体感していました。
     ところが、先日メンバーズカードの発行会社から23年4月1日から新料金プラン適用の案内が郵送されてきました。それによると、基本料金なしの従量プランは廃止され、急速充電器の使えるプランは、最低でも1,650円の基本料金がかかり、また、充電単価も、普通が2.75円/分→4.95円/分と約2倍に、急速充電では、16.5円→66円/分と4倍近くに値上げされるとのことです。
     EV、PHVの使い方は、個人個人様々で、上記に納得される方もみえるかもしれませんが、私の場合、たまの遠出のために新料金体系で、このメンバーズカードを維持する気になれません。近日中に、退会する予定です。
     幸い私の車はPHVなので、これからは、普段は家充電、遠出したときはガソリン走行を選択していこうと考えています。
     冒頭にも書きましたが、国、自治体、メーカーの姿勢に大いに疑問がありますね。
     EV、PHVを普及させていこう という意図が全く感じられません。
     ただ、上記はトヨタの充電カードの話なので、他のメーカーのカードや他のシステムについては違うのかもしれません。 何か別の情報があれば教えていただきたいと思います。

    1. kosaku さま、コメントありがとうございます。

      トヨタの充電サポートプラン。昨年に続き短期間での価格改定のようですね。
      取材を打診してみたいと思います。

  2. 宿泊施設にあったので充電を試しみましたが、無制限1000円。
    当方の車はプリウスPHV。
    2時間半の充電で約60キロぐらいしか
    走りません。
    絶対にガソリンの方がお得です!

    1. ぷりぷりプリオ 様、コメントありがとうございます!
      ご指摘の通り、現状の有料の目的地充電は、基本的にBEV=純電気自動車を対象に価格設定がされていますね。

  3. 調べる大体1000円前後のところが多いですね。PHVの場合2時間弱でおよそ実走50キロほど。
    充電せずハイブリッドでガソリン使用して走れば300円ほどでしょうか。
    損するのに充電する訳ないですよね。
    これで本気でPHV、ピュアEVを普及させれると思ってるんですかね。

  4. GW の旅行先2箇所で、この新システムの充電器に遭遇しました。
    記事中にあるように、ユーザーの利便性を考えていない認証システムだと思いました。ウェブサービスには慣れているつもりなのですが、旅先で口座登録を含む新規のアプリをインストールする必要があるなんて、全く予想もしていませんでしたし
    私も手持ちのカードをことごとく拒否され、あてにしていた山中の宿での夜間充電は夢と消えました(泣)
    幸い、里まで下りて充電器を探す余力が残っていたから良かったものの、人里離れた山中で使えないアプリを握りしめて電欠の憂き目に逢っていたかもしれません。
    何かもっと簡便な認証システムがないものでしょうかね。。

  5. 旧PHV乗りですが、利用施設でカード使えなくなり、1回¥1000…(呆)充電容量が元々少ないので、3000w大容量ポータブル電源買いました。改悪過ぎる!

  6. 皆さんで、抗議を希望。
    これまでPHV充電サポートカードを利用しているものですが、
    10月から定額プランが今までの1100円から2970円へ約3倍の値上がりとなります。
    これは、段階的に値上げをしていくべきではないでしょうか?
    また、値上げをするならばディーラーで充電ができる時間の延長もしくは、
    24時間の利用が可能にすべきではないでしょうか?
    あまりに急の値上げでユーザ側としては、びっくりしている状態です。
    ガソリンの値段も上がっているのに電気料金まで上げるのはあまりだと思います。

    1. jo6dtu様、コメントありがとうございます!
      値上げなのですね、調べてみると、プランBというのが純電気自動車用のプランで、1100円→2970円になるみたいですね。
      プランAなら550円なので、PHEVならこちらにされる方法もあるかも?でも充電時間が長いならやはり改悪ですね。

  7. プリウスPHVの場合、電気満タンで80km分。ハイブリッドならガソリン2.5Lくらいで走れる。2022年4月で400円くらい。だから、これは高い。損した。ガソリンが下がったら、これは使えない。イトーヨーカ堂の充電機でのnanacoのように余りが使えるようにしないとダメだな。

  8. 自宅充電では1kwで25円前後なので、施設などで充電する場合は、最低でも30-40円ぐらい支払わなければ、施設としては 充電器のメンテナンスなどを考えた場合、維持できなくなってしまい。充電設備をもつ宿泊施設も増えていかないようなきがします。宿泊施設で一晩充電ならやっぱり最低1000円ぐらいが妥当なところなんでしょうか? ほとんどの施設は深夜電力契約はできないと思うので。。。

    1. masa様、コメントありがとうございます!
      宿泊施設は、WiFiを無料で提供するようになりました。それと同様に、アメニティの一つとして考えるやり方もありますね。

      それとは別に、宿泊施設が小規模な民宿の場合は別ですが、ホテルや旅館の場合は多くのケースで高圧受電となっており、kWhあたりの従量単価はもう少し安くできます。例えば東京電力の業務用電力の場合、
      https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan06.html
      17.54円/kWhとなります。

  9. モデル3 に乗っている者です。
    先日ホテルに泊まるときに認証システムが変わっていて1100円という元が取れない金額であったのでびっくりしました!しかもトヨタのアプリを入れて認証するという手間が増えたので更に残念に感じました。私の場合なぜかカードが登録できず充電ができませんでした涙。ただ、これはEVユーザーの1意見であり、設置者やメーカの都合考えるといろんな要因がありそうですね。私は頭が悪いのでよく分からないですが、単純に料金と手間が増えたという事で、またEVの乗りにくい世界になってしまったと感じました。

    1. りょう様、コメントありがとうございます。私も複数のクレジットカードを試しましたが、私の手持ちのカードは全部エラーで通りませんでした(汗
      銀行の口座は登録できたので、次回使ってみようと思っているところです。しかし銀行の場合はチャージというのはできないみたいなので、そのままデビットになるのでしょうかね。

  10. 実際やってみたらスマホ操作も充電器操作も簡単なんですよね
    しかし、初めてのところは価格がわからないのでまず価格を知ることからですね
    充電価格を知るだけなら充電器操作無しで、TOYOTA Walletから充電器のQRコードスキャンしたら場所と価格がアプリに表示されます。
    確認したら決済しないでキャンセルを押せばよいです。
    道の駅のような所で1回1100円となっていたのにはびっくりしました。
    宿泊のときの長時間充電以外では誰も使わないですね

  11. 充電器の設置費用も電気料金を含めた維持費用も無料というのは、旧NCSの契約形態では「加盟契約」というものだと思いますが、これは全国で約4500台あると思います。これらは契約期間が終了すると自腹で電気代などのコストを支払って充電器を維持するか充電器サービスを終了するかどちらかになります。eMPで継続すると普通充電は収入が1.65円(税込)/分になります。1時間3kWh程度充電すると収入は1.65*60で99円。電気代を25円/kWhだとすると3kWhで75円。一応黒字ですが、これにネットワーク使用料なども加わるのであまり利益はないと思います。それでも宿泊など目的地充電ならば、集客メリットはあるでしょう。
    eMPと契約すると充電カードによっては、基本料金は必要ですが普通充電が無料の場合もあるので、利用者にとってはメリットがあります。料金が上がると利用者は減少するので、おぞらく契約終了すると多くはeMPと継続するのではないでしょうか。ただ充電器の改修や交換が必要となった場合、費用によっては他のサービス会社や単独での利用になるかもしれません。
    そうはいっても、現在のeMPの収入では、一般契約は普通充電では6kWhの充電器にすると利益は出ません。急速充電器も30分で323.4円の収入なので、50kWhの充電器でも赤字ではないでしょうか。eMPは利用料に応じて収入があるのでリスクはありませんが、充電器を普及させたいのであれば電力を安く調達する努力をして、契約充電施設を支援すべきでは。そうしないと街の充電施設は減っていくばかりです。

  12. 3Gの停波に伴う変更という理由はわかるのですが、何故TOYOTA Walletのインストールが必要なのか、疑問です。トヨタ以外に日産・三菱・ホンダも費用負担しているわけですから、もっと一般的なアプリを採用できなかったのでしょうか?
    何故トヨタのアプリに決済手段の個人情報を入力しなければならないのか?
    その理由を問いただしていただきたいと思います。

  13. 変更のアナウンスなしはひどいですね。
    ドタバタで告知の暇さえなかったのか、
    はたまたEVまともにやる気なしの合図かな?

  14. 3Gを使っていた為だったのですね。
    てっきり普通に有線で通信しているのかと思っていました。
    映画館のあるオリンピックであっても5時間以上居ることはまず珍しいだろうし、認証操作が煩わしいです。
    今までは映画を見ている間に1分1.5円で好んで利用させて頂いていましたが、また課金システムが変わるまでは今後はもう使わないでしょう。
    大変残念です。

    施設側が本体の入れ替えを望まないところが殆どだという事は、やはり日本では国として充電インフラを整わせる準備が出来ていないと言えるかと思います。
    得する算段が出来なければ誰も進んでインフラ整備をしませんよね。

  15. 初めて使うかたにとって難解なものになってしまったというのが正直な印象です。
     また、休止に伴う事前周知(設置者、充電器メーカー、ネットワーク事業者等)が利用者に混乱を与えないようにできたかというと疑問が残ります。
     決済アプリについても「TOYOTA」を冠することに拘りがあるのかもしれませんが、他メーカーの充電車両に乗っている者からすると「囲い込み」感は否めません。
     使ってないのに文句ばかり言って申し訳ないのですが、システムが「改善」されることを願っています(検索時における料金体系確認など)。

    ただ、そのまま廃止になるよりはいいのかもしれませんね。

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この記事の著者


					畑本貴彦

畑本貴彦

1986年生まれ。福岡県出身。テスラモデル3注文を機にテスラに関する情報を集めだすも、日本語での情報が少ないことに気づき、2019年からテスラ専門ブログ・フォーラム「テスカス」を立ち上げる。

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