アウディが宿泊施設にEV用普通充電器を無償設置〜2023年度中に50カ所100基から

アウディジャパンが、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会と協力して、電気自動車の目的地充電インフラ整備を進めると合意したことを発表しました。Audi純正のEV用普通充電器(8kW)を、まずは2023年末までに50か所100基の無償設置を進めます。

アウディが宿泊施設にEV用普通充電器を無償設置〜2023年度中に50カ所100基から

最大出力8kWの純正充電器を無償設置

2023年5月15日、アウディジャパンは、電気自動車の目的地充電インフラ整備について全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(以下、全旅連)と協力して設置を推進することに合意したことを発表しました。

全旅連は支部旅館ホテル組合約1,500組合、旅館・ホテル約15,000軒(組合員数)などで構成される日本最大級の宿泊施設組合です。設置施設の選定方法などは発表されていませんが、まずは2023年中に50か所100基の設置を目指すとしています。

設置されるのはアウディ純正のEV用普通充電器(1カ所に充電器2基を無償設置)で、最大出力は8kW。今まで、宿泊施設に設置されてきた普通充電器のほとんどは出力3kWだったので、車両が対応していれば倍以上の電力で充電できることになります。たとえば、バッテリー容量82kWhの Q4 e-tron でほとんど電気を使い切った状態で宿に到着しても、10時間で80kWhを充電可能。大容量EVでも「寝ている間に満充電!」が容易になります。

アウディでは、電動化戦略「Vorsprung 2030」に基づき、2033年以降は全モデルの販売を電気自動車とする計画を発表しています。

2023年は、全国のアウディe-tron店に既に設置されている50基の50kW-90kW急速充電器を150kW急速充電器に置き換え、150kW急速充電器を全国合計で102基にすることで急速充電ネットワークを拡大することも発表。ポルシェ ジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンとともに展開する急速充電ネットワークサービス「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」と併せて、日本国内の充電インフラ拡充を進めることになります。

宿泊施設の目的地充電設備拡充は、EVユーザーの願いでもあります。アウディのプレスリリースで締めくくりに述べられている「お客様満足の向上に貢献するとともに、アウディ ジャパンのEVシフトへのコミットメントを示しています」という言葉が頼もしいですね。

設置されるアウディ純正の普通充電器。
(プレスリリース『e-tronと巡る「Audi Sustainable Future Tour Maniwa」』より引用)

課金や予約は、どうなるの?

発表の内容は素晴らしいことで大歓迎なのですが、少し疑問があったのでアウディジャパンの広報ご担当部署に確認しました。

Q●今年度中に50カ所100基とのこと。来年以降、最終的な設置箇所数、基数などの計画はありますか?

A●次年度以降も継続的に設置を進めていきますが、現時点で公表しております目標設置数は2023年度内のみとなります。次年度以降の設置数につきましては継続的に発表させて頂きます。

Q●アウディ以外のEV(PHEV)でも利用できますか?

A●全EV(PHEV含む)ユーザーが使用可能となります。

Q●課金はどのように行いますか?

A●アウディジャパンとしてユーザーへの課金は行いません。設置先旅館・ホテル様に運用方法を委ねさせていただきます。また、旅館・ホテル様が課金をしたとしても弊社は費用を徴収いたしません。

Q●利用者(宿泊客)が事前に充電器利用を予約することはできますか?

旅館・ホテル様によっては駐車場に紐づけ予約可能な場合もございますが、条件は設置先によりことなります。

※Q&A ここまで。

質問メールを送ってすぐに、明快な回答をいただきました。予約や課金などの運用は、設置する宿泊施設に委ねられることになるようです。

最も気になったのは、利用できるのはアウディ(もしくはフォルクスワーゲングループ)のEVのみ? という点だったのですが、メーカーなどを問わずすべてのプラグイン車で利用できるとのこと。素敵です。

出力8kWということなので、料金は1時間400円(50円@kWh)くらいが相場でしょうか。とはいえ、これで一晩、仮に10時間充電すると4000円っていうのは、私のように3kW出力でしか充電できないEVオーナーとしてはやや腰が引ける高額です。切りのいいところで、一晩2000円ポッキリくらいの設定(出力別料金だとさらにうれしいですけど、運用がややこしくなりますよね)にしていただければ、感謝しつつ利用させていただきます。

また、宿泊予約と同時に充電器の予約ができるようになると安心です。

全旅連関係者のみなさま。設置した施設でどのように運用すべきかについてユーザーの声を聞きたいといった要望がありましたら、EVsmartブログ編集部としても全面的に協力させていただきますのでご一報くださいまし。

なにはともあれ、EVユーザーにとっての朗報でした。

あ、そういえば、宿への無償設置に国の充電インフラ補助金を使うのかどうかを質問し忘れました。使わないとすればワンダフル過ぎますが、多分利用するのでしょう。確認できたら、追記しますね。

文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 充電器が設置されるのは嬉しいのですが
    相性問題が発生して充電できない場合はmode1にできるのでしょうか?
    Audiに訊いたら的外れな回答を頂きました

  2. Audiの決定は、自社ユーザー(高級車ユーザー)の獲得優先ではなく、EVユーザー全体の利便性を図る中でEVの普及を目指し、新たなEV需要を引き出すという点で素晴らしい戦略だと思います。

    >切りのいいところで、一晩2000円ポッキリくらいの設定(~ 中略 ~)にしていただければ、感謝しつつ利用させていただきます。

    宿泊施設側にとって設備の設置経費が無料なわけですから、利用に関しては集客促進の面から、当面無償提供もしくは実費提供(あるいは実費相当の料金)にできると良いですね。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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