ENEOS Charge Plus 担当者とEVユーザー座談会/よりよい日本の充電サービス実現へ!

ENEOS Charge Plusについての取材に合わせて、ENEOS本社でEVに詳しいジャーナリストやインフルエンサーを集めたグループインタビューが行われました。EVユーザーがうれしいと思う充電サービスとはどんなものでしょうか。

ENEOS Charge Plus 担当者とEVユーザー座談会/よりよい日本の充電サービス実現へ!

ENEOSからの質問にEVユーザーが答える座談会

ENEOSのサービスステーション(SS)などへの充電器設置を進めているENEOS Charge Plus(エネオスチャージプラス)。一部の充電スポットで60分充電サービスが試験的に始まったのを機に、会費無料にしている理由や将来のロードマップなどについて、ENEOSのEV事業担当者がインタビューに応じてくれました。記事はこちら

じつはこの取材では、ENEOSさん側から「当社の考えや取り組みをご紹介するだけでなく、ぜひEVユーザーさんのお声も伺いたい」と要望があり、懇意にしている「EVごはん」主宰の石井啓介さんが集めてくださったユーザーとのグループインタビューが実現しました。

杉本容一さん。

8月21日、東京・大手町のENEOS本社に集まってくれたEVユーザーの紹介から。2012年から日産リーフZE0、ZE1とEVを乗り継いで、いまはヒョンデ IONIQ 5に乗る杉本容一さん。日産やヒョンデのアンバサダーを務めてきて、EVsmartブログにもエバンジェリストとして何度も登場しています。

ミヤタネットさん。

ユーチューバーのミヤタネットさんは、EVについてユーザー目線で情報発信をしているインフルエンサー。EV歴は3年半。テスラ モデル3とモデルYの2台体制でEVライフを楽しんでいます。テスラユーザーに仲間が多く、先日はEV-GPのネット中継などもしていました。

片岡英明さん。

片岡英明さんは、フリーのモータージャーナリストで日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。EV黎明期から長距離テストや試走などに携わってきたEV通で、マイカーはBMW i3からHonda eとコンパクトEVを乗り継いでいます。Honda eオーナーズクラブの代表でもあります。

石井さんと私は、オブザーバーとして参加しました。石井さんは「EVごはん」の主宰者で、愛車はテスラ モデル3と1965年製オースチンヒーレー。最新EVとヘリテージカーという取り合わせが素敵です。そして、本稿筆者の私は3年前からHonda eに乗っているフリーライターです。

ENEOS株式会社からは、EV事業推進部EV事業企画グループのグループマネージャー、森真治さんと販促担当の竹山紘平さん、中野朝馨さんが参加。3人からの質問に、ユーザーが答えていくスタイルでグループインタビューが行われました。

SSでの充電はプラスアルファの価値がある

Q. 外出先での充電の頻度や不満を感じていることなどを教えてください。

片岡 充電器が故障しているのがなにより困りますね。少し前の話ですが、立ち寄った充電スポットで連続4ヵ所充電できなかったことがありますし、充電率ゼロも何度か経験しています。あと、冬の北国で氷点下10度以下とかだと、30分充電するのは辛いですよね。場所によっては凍えそうになります。

杉本 不満というと、IONIQ 5はせっかく101kWで充電できるのに、いまの充電環境では、多くの超高速充電器(最大90kW以上)で最初15分間のブースト充電しか高出力を享受できないことですね。ENEOSさんも含めて、もう少し高速化を期待したいです。

Q. 他社ディーラーでの充電に心理的な抵抗はありませんか。

杉本 リーフに乗っていたころ、日産にはどんどん行っていました。でもIONIQ 5にしてから、少し遠慮がちになりましたね。ENEOS Charge Plusをよく使うようになったのは、アウェー感なしに行けるというのもあります。SSのスタッフさんはクルマ好きの人が多くて、休憩していると、どちらからですか?とか話しかけてくれたりしますし。

片岡 SSではタイヤの空気圧調整ができるのもいいですよね。

石井 TPMS(タイヤ空気圧センサー)で車内からモニターできるから、逆に気になっちゃうんですよ。デジタルで数字が出るので、きちんと合わせたくなる。0.1とかズレてても変わらないのに(笑)。

ミヤタ トイレも自販機もあって掃除機までついているのは、ENEOS Charge Plusのプラスの価値だと思います。

Q. 実験的に60分充電をやっているのですが、ご意見があればぜひ。

杉本 「おかわり充電」という言葉があって、次の人がいなければ追加で充電するということなんですが、最初から60分できるというのは、精神衛生上は楽ですね。

EVオーナー独自のコミュニティー

Q. みなさん、オーナーズクラブのようなEVユーザーのコミュニティーに関わられていますが、どういう経緯で入られるんですか。

ミヤタ テスラは、車内にタッチパネルしかないとか、従来のクルマと全然違うので、ちょっと不安だったんです。オーナーがメーリングリストやフェイスブックでつながってると教えてもらって加入しました。オーナーズクラブって、何千万円もするような車とか、旧車っていうイメージで、このクラスの車でコミュニティーがあるとは思わなかったですね。

Q. たしかにEVならではかもしれませんね。

石井 テスラやヒョンデは、ディーラー網もなくて得られる情報が少ないのもあると思います。X(旧Twitter)とかでいろいろ調べていると、オーナーズクラブが出てくるんです。こんなのがあるのか、入っといた方が得かな、みたいな感じです。

ミヤタ スーパーチャージャーで充電してたら、隣の人が目を合わせてくるんですよ(笑)。運転席から出ていくと「こういう時はどうしてる?」みたいな話になって、その人にオーナーズクラブを紹介したりとか。

杉本 それはEVあるあるですね。まだマイノリティーというイメージがあるので、仲良くなりやすい。

ミヤタ ありますね。海外留学してる時に日本人の友達見つけたみたいな。

ENEOS Charge Plusは使いやすい?

Q. ENEOS Charge Plusが充電サービスとして優れていると思う点と足りない点を教えてください。

ミヤタ アダプターを使うテスラでも50kW器がフルスペックに近い47~48kWで最後まで動いてくれるのは利点です。それに画面表示がきれいですよね。SOCが何パーセントで、何kWで充電してるか、セッションがあと何分残っているか、いろいろな情報を集約して表示してくれるのがいい。古い充電器ではタッチパネルが曇って見えなくなったりしていますが、雲泥の差ですよね(笑)。白黒だった画面をカラーにしたとか、選択した時のタッチ音とか、素晴らしいと思います。

杉本 最後まで50kWが安定して出るのはいいですね。今後は、高出力化と(敷地の狭いSSなどにも設置できる)防爆充電器の開発に期待しています。まだそんなに高出力で充電できるEVは少ないのですが、一度設置したら10年は使うハードウェアなので、150kW、180kWも準備していただけるとうれしいです。

環境意識はあとからついてくる?

Q. EVに乗ってる方は環境意識が高いというイメージがあるのですが、みなさん環境意識はご自覚されていますか。

ミヤタ どうでしょう。加速がいいとか静かだとか、そっちの方が多いでしょうね。

片岡 きっかけはスポーツカーみたいな加速でも、知るといろいろ変わると思うんですよ。EVに乗ってみると。

杉本 たしかに。ガソリン車がCO2をどれぐらい出しているかも知らなかったけど、EVに乗るようになってから意識も行動も変わってきましたよね。

当初、1時間の予定だったENEOS Charge Plusグループインタビューは2時間を超えて続きました。このほかにも、ユーザーサイドから充電インフラについての改善案や要望がたくさん示されていました。すべてはお届けできませんが、雰囲気が伝わってくれればうれしいです。

この日集まったメンバーは、平均的なEVユーザーとは呼べないかもしれません。コスパの良さや効率性も重視しつつ、EVライフを楽しむことが優先事項。その言葉が知識や経験に裏付けられているので説得力があります。私もしっかり勉強させてもらいました。

終了が告げられても、ENEOS側もユーザー側も、聞き足りないし話し足りない、といった様子でした。複数口化や高出力化などが進み、EVの充電環境は日々刻々改善されていますが、まだやれることはあるはず。理想的なEV充電サービスの実現を目指して、サービス会社とユーザーとのこうしたオープンな対話は、ぜひ続いてほしいと思います。

取材・文/篠原 知存

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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