マンションの展示会にEV充電をテーマのブースを出展
2021年10月7日(木)〜8日(金)に東京ビッグサイトの青海展示棟で開催された『マンション総合EXPO』という展示会に、集合住宅への充電設備設置推進ビジネスを進める「ユアスタンド株式会社(以下、ユアスタンド)」が、日東工業、ニッパツ、パナソニック、椿本チエイン、モリテックなどの充電器やV2H機器メーカーとともに出展するという知らせをいただきました。
ユアスタンドは、EVsmartブログで注力している「集合住宅の充電設備設置事例」を紹介する際、物件情報や管理組合との取材調整などで2019年頃から協力してもらっています。また、日東工業やパナソニックの普通充電設備についてもアーカイブ記事があるので、テキストリンクしておきました。すなわち、ユアスタンドをはじめとする出展各社は、「集合住宅にも電気自動車用充電設備を普及させよう!」という課題解決を目指すという点で、EVsmartブログの同志です。微力ながら「ぜひ応援したい」という思いで、取材に駆けつけた次第です。
ユアスタンドのブースには普通充電器がズラリ
到着してみると、ユアスタンドのブースはかなり大きかったので少し驚きました。ユアスタンドでは首都圏を中心としたマンションなど集合住宅へのEV充電器の導入で管理組合などをサポート。充電の予約や認証&課金の操作ができるオリジナルのスマホアプリを提供しています。会場のブースには、ユアスタンドのそうしたサービスを紹介するパネルやパンフレットとともに相談コーナーが設置されていました。
何より目を引いたのは、その横にズラリと並んだ各社の充電器展示です。前述のメーカー各社の充電器の実機が置かれ、各社のご担当者が訪れるゲストに特徴などを説明。私が滞在したのは1時間ほどでしたが、その間にも多くの来場者が続々と説明を求める様子が印象的でした。やはり、EV充電設備設置は、マンションオーナーや管理会社の関心が高まっているんだな、と実感できました。
この日、会場に並んでいた各社の充電設備を、写真でザッと紹介しておきましょう。
まず、日東工業の『Pit-2G』という普通充電器です。4G通信機能を備えていて、ユアスタンドと連携して集合住宅での充電器予約や独自課金も可能なサービスを提供するというニュースは、以前の記事でも紹介しました。
また、日東工業ではさまざまなEV・PHEV用充電設備をラインナップしていて、スタイリッシュで便利なコンセント『Pit-C3』は私自身がユーザー(取材時にモニターとして機器をいただいてしまいました)です。
その隣りに展示されていたのは、椿本チエインの『eLINK』というV2X対応充放電装置。実機を見るのは初めてでした。停電などの非常時にはEVやPHEVからの電気を建物などに供給できるほか、デマンド (電力需要))のピークカットやピークシフトをコントロールする高度な機能も備えています。
次はパナソニックのコーナー。パナソニックではEV充電用屋外コンセントをはじめ、多彩なEV充電機器をラインナップしています。展示されていたのは『ELSEEV(エルシーヴ)』と名付けられた普通充電器が2種類。ケーブル付きのスタンドタイプの「パブリックエリア向け Mode3」。そして、6kW充電にも対応し、太陽光発電や家電コントロールを実現するAiSEG(アイセグ)連携タイプも用意されている「ELSEEV hekia S Mode3」でした。この機器の実際の導入事例(個人の戸建てですけど)は『FIT終了に向け「テスラモデルS」と「AI 自宅充電器」を導入してゼロエミッションな環境を実現』という記事でレポートしています。
その横の充電器はこれまた初対面。モリテックスチールという京都のメーカーが発売している「EV/PHEV用 ケーブル自動巻き取り式充電スタンド」です。
7mの付属ケーブルを引き出して充電。コネクタを充電器本体のホルダに戻すと、自動的にケーブルを巻き取って収納(掃除機の電源コードがシュルシュル収納される感じ)される仕組みです。私が伺った際、メーカーのご担当者がご不在だったのですが、ユアスタンド社長の浦さんが実演してくれて、ちょっと感激! って感じでした。YouTubeに解説動画が公開されていたので、埋め込んでおきます。
最後の実機が、ブースの中央、機械式駐車場のパレットを模した場所に置かれるモデル3とともに展示されていたニッパツパーキングシステムの機械式立体駐車場用の充電設備です。
ニッパツパーキングシステムは、機械式駐車場機器の販売施工、メンテナンスなどを手がける国内トップカンパニーのひとつです。展示されていた黄色いボックスの機器は、まだ開発中の試作品ということでしたが、立体駐車場パレットの左右前後、駐車するEVの充電口位置に合わせてどこにでも設置可能とのこと。立ち話では「来年にも商品化を目指す」ということでした。
「集合住宅だから」とか「立体駐車場だから」とか、電気自動車用充電設備を設置できない言い訳というか説明を聞くことが少なくありませんでしたが、こういうプロダクトが世に出てくれば、少しは風向きが変わってくれそうです。
「何を設置してどのように運営するか」はユアスタンドに相談を
マンションに関わる住宅設備やリフォーム、建材などのブースが並ぶ会場の中、電気自動車用充電設備のブースはユアスタンドだけ(私が眺めた限りでは)でした。ズラリと並んだ普通充電器も壮観。ユアスタンドブースの一画だけは、電気自動車用充電器展示会の様相で。説明に立つ各メーカーご担当者の熱意を感じ、日本でも電動化シフトは着々と進みつつあることを実感できました。
テスラの伊賀スーパーチャージャーには、ユアスタンドアプリで使う普通充電器も並んでいて、ユアスタンドアプリをはじめて使ってみることができました。集合住宅ばかりではなく、職場や宿泊施設などの普通充電器設置についても、ユアスタンドさんは強い味方になってくれる、はずです。
また、電気自動車メディアとして公平を期して、改めて紹介しておくと、普通充電器の普及促進に関しては、『Ella』を発売するジゴワッツや、『PLUGO BAR』のプラゴ、東光高岳との協業で本格的なサービスをローンチした『WeCharge』のユビ電など、さまざまなプレイヤーがチャレンジを始めています。
日本でも、充電できる電動車が一気に増え始めるまで、もうあまり時間はないでしょう。マンションなど集合住宅の管理運営に関わるみなさんには、一日も早く、本気で電気自動車用充電設備設置を検討してみていただきたいと願います。
(取材・文/寄本 好則)
集合住宅の充電設備で問題なのは運用です。いかに利用料金を確定して、徴収するか。これを管理組合側で行うのは、手間がかかります。はっきり言って不可能です。また、あまりに料金が高いと利用してもらえないでしょう。利用者にとって、納得感のある合理的な料金設定が必要になります。これに対しては、例えば電力の夜間料金を利用すれば、1kwhあたり十数円に抑えることができるでしょう。そうした場合課題になるのが、時間帯別の充電管理です。夜間帯だけ充電サービスを行うとか、時間帯別に料金設定を変える必要があります。これを管理組合側でできれば、充電器設置は容易になるでしょう。
ユアスタンドのサービスはこれを柔軟に行ってくれるようなので、期待しています。EVが必要になるのは、地方で交通インフラが脆弱な地域。もちろん他の企業でもかまいませんが、全国規模でこのようなサービスを提供する企業が出てきてほしいです。