Wallboxの家庭用電気自動車双方向充電器が待望のエディソン賞を受賞

ヨーロッパの電気自動車充電機器をリードする、スマート充電会社のWallboxが、今週、社の双方向充電器である『クエーサー』2020年エディソン賞の『エネルギーと持続可能性部門』を受賞したことを発表しました。『CleanTechnica』の記事を、全文翻訳でお届けします。

Wallboxの家庭用電気自動車双方向充電器が待望のエディソン賞を受賞

元記事:Wallbox Bi-Directional Charger Wins Coveted Edison Award by Steve Hanley on 『CleanTechnica

化石燃料ではなく再生可能エネルギーを

WallboxのCEOであるEnric Asunción氏は、記者会見で「Wallboxは化石燃料ではなく再生可能エネルギーに社会が頼れる未来を見据えています。私達はより多くの人が電気自動車を使えるよう、充電をできる限りシンプルにするよう尽力しています」と語りました。

「とは言っても、私達のビジョンは充電の先にまで広がっています。この変化を成し遂げるには、より知的で効率的なエネルギー・マネージメントが必要だからです」

「クエーサーはユーザーが車両、家、電力網を繋げてエネルギーをより効率的に使用できるようにします。その意味するところは電気自動車のバッテリーに蓄えた電気を、必要な時に家や電力網に送り返せることです。私達のチームはクエーサーのような、世界で誰も見たことの無い住宅用双方向充電器を構築するのに大きな努力をしてきました。エディソン賞という権威のある賞を、私達のイノベーションにいただけたことを、大変名誉に感じています」

初めての住宅用双方向電気自動車充電器

クエーサーの設置イメージ(wallbox公式サイトより引用)

クエーサーは世界初の家庭用双方向充電器となります。電気自動車を充電できるだけでなく、電気を電力網に戻したり、家用に使うことができます。以前、この双方向テクノロジーは、車両が大量にある場所での実験段階で、大規模かつ3倍の値段でしか使えませんでした。Wallboxのエンジニアチームは、このテクノロジーをスマートな見た目でコンパクトサイズ、かなりの低価格で消費者に提供できるようにしたのです。
編集注※ Wallboxのウェブサイトを確認すると、クエーサーはCHAdeMOコネクタを介して最大7.4kWで充放電できるとのこと。価格は未発表のようです。この記事では「世界初」と紹介されていますが、日本ですでに発売されているV2H機器を記者がご存じないのかも知れません。とはいえ、コンパクトで安価というのは気になる!

クエーサーはiOS、Android、さらにエネルギー管理プラットフォームとともに動く設計で、ユーザーが充電器を簡単にコントロールできるようになっています。このレベルのコントロールでは、電気自動車の電気を家用に使いたい時に、ユーザーは簡単にセットすることができます。

クエーサーはさらに進歩した顔認証システムとジェスチャー操作テクノロジーを搭載し、安全かつ柔軟に友人や近隣住民間でアカウントをシェアできるようにしています。顔認証に加え、Bluetooth、Wallboxアプリ、RFIDを使っての認証も可能です。

3000人のパネリストが審査

エディソン賞のミッションとは、「世界で認知、高く評価されるイノベーション及びイノベーターを育成し続けるリーダーになり、世界にポジティブな影響を与えることです。私達のビジョンはトーマス・エディソンと彼のメンロパークチームが前代未聞の数のイノベーションを市場に持ち込むことに成功したビジョンとその遺産に、常に導かれています」とあります。

今年の賞にノミネートされた団体はすべて、世界中のビジネスリーダーで構成される3000人の識者に審査されました。エディソン賞のエグゼクティブ・ディレクターであるFrank Bonafilia氏によれば、「厳正な審査の結果、クエーサーは大きな変化をもたらすイノベーションを提供し、部門内で最も優れた新しい商品やサービスの中でも際立っていました」としています。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)8件

  1. i-MiEV(M)乗りですがこれは興味津々ですね!
    既に自宅に3.5kWソーラー発電があり3年後にFIT終了だから価格次第では買います、ただ自宅に接続する地点で電気工事が必要になりますが。
    その電気工事ともなると経済産業省・電気事業法・電気工事士法など日本の司法関連や電圧の違いなどからくる電気用品安全法などの許認可が問題になりそうです。ただでさえ三菱やニチコンのV2Hでも結構時間かかったし、何かと行政が足枷になりそうな悪寒。
    むしろ日本では電力配線と接続しないオフグリッドでの導入から先行していくんじゃないでしょうか!?電源のない別荘にソーラーパネルを取付け電気自動車の充放電をしながら別荘の電源も確保するならお役所は何も言えなくなるはず。
    それか今後日本で停電が頻発し市民一般の苦情がお役所へ大量にぶつけられる時代にでもなれば売れると思うのですが。
    Wallboxの価格も不明。せめて何ユーロか判れば1ユーロ100円の概算でもだいたい判るのですが…日本円で30万円以下ならV2Hはこれでキマリ!でしょうか!?

  2. コンパクトでかつ安く大量に生産されて日本にも来て欲しいですね。
    日本車にだけ対応しているものは既に日産や三菱など色々出来ていますが、CHAdeMO対応車の全てに使えるものとしては世界初なのでとても嬉しいです。

  3. いいですね!
    日本でもこのようなクエーサーの様な商品を開発して発表してもらえれば。
    日本のV2Hと比べて優れた点や劣った点をさらにしりたいですね。

  4. このコンパクトサイズで値段も手頃であれば、非常に有意義なシステムですね。
    V2H対応の車種のみかとは思いますが、こういう取り組みが増えて欲しいと思います。

    最も、周囲とのエネルギーを相互補完し合うという成熟した社会が前提になりますが、マスク買い占めるこの国で普及させるためには、やっぱりFITみたいな制度が必要なんでしょうかね…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事