目次
EV急速充電器とは
電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)は、車の外部から電気を充電し、バッテリーに貯めた電気で走行することができます。この電気を車に充電するのに必要なものが充電器で、急速充電器・ケーブル付き普通充電器・充電ケーブル(または充電アダプター)の三種類があります。充電ケーブルは100Vや200Vのコンセントから充電するために使用する小型の充電器で、通常車の中に積んでおくものです。反対に、急速充電器やケーブル付き普通充電器は設置して使用するもので、多くは公共の場所に設置されていますが、自宅に設置することも可能です。
急速充電器にはいろいろな規格がありますが、世界では主にチャデモ、Mennekes Type 2(メネケスと読みます)、テスラスーパーチャージャー、Combo1(コンボ・ワン)、Combo2(コンボ・ツー)があります。たくさんありますね。このうちテスラスーパーチャージャー以外は全て規格化されていますが、なぜか乱立してしまっています。また、これ以外に中国はまた別の規格を使用しています。
チャデモは50kW(500V 125A)、Mennekesは70kW(500V 140A)、テスラは120kW(400V 300A/360V 333A)、Combo1/Combo2は200kW(1000V 200A)なのですが、Mennekesの70kWの規格の充電器は実際には存在せず、全く同じコネクターなのですが中身が交流の22kWタイプと43kWタイプ(こちらもほぼ存在せず)が多く設置されています。急速充電器は、ほとんどが直流(DC、ディーシーとも言います)なのですが、Mennekes Type 2だけは交流(AC、エーシー)です。さて混乱してきたと思うので表にしてみます(笑)
※コンボの正式名称はCombined Charging Systemで、CCSという略語もよく使われます。Combo 1をCCS Type 1、Combo 2をCCS Type 2と言うことも多いです。
規格名 | 最大出力 | AC/DC | 普及地域 | 画像 | コメント | マップの例(すべてではありません) |
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チャデモ | 50kW (500V 125A) 100kW策定中 | DC | 日本・欧州・米国 全世界1万か所以上 | Source: Car Watch | 欧州メーカーや米国メーカーはコンボ(1/2)規格に参加しているが、新設の充電器はチャデモとコンボのデュアルが多い | 米国・欧州 |
Mennekes Type 2 (AC) | 22kW (400V 32A) 43kW (400V 63A) | 3相AC 単相も可能(普通充電) | 欧州 | Source: Mennekes | 22kWには多くのEVが対応しているが、43kWに対応しているのはRenault Zoeのみ。43kW対応充電器は存在しない模様 | |
Mennekes Type 2 DC-mid | 70kW (500V 140A) | DC | 欧州 | ACと全く同じコネクターだが同じピンを使ってDC急速充電もできる | ||
テスラ スーパーチャージャー | 120kW (400V 300A/360V 333A) | DC | 米国・欧州・アジア 全世界602か所 | Source: Michael's Blog | 一か所に複数基を設置し、602か所、3519基。コネクターが小型で、AC普通充電も兼用している。自社の車両のみに対応するため、ケーブルが非常に短い。なお欧州ではType 2コネクターを使い、独自に120kWを実現している | スーパーチャージャー |
Combo 1 | 200kW (1000V 200A) | DC | 米国・オーストラリア | Source: Electric Vehicle News | 米国ではEVgoがBMWと協業して現時点で222か所に設置。今後は25都市600か所程度を目指す模様。ほとんどのステーションは24-50kW。チャデモケーブルもあるデュアルステーションが多い | ChargeNow DC Fast |
Combo 2 | 200kW (1000V 200A) | DC | 欧州 | Source: The Long Tail Pipe | 欧州で1910か所。チャデモケーブル・Type 2ケーブルもあるトリプルステーションが多い | Mutwin Kraus氏のCCSマップ |
日本国内では、チャデモ規格の急速充電器が6300か所、テスラスーパーチャージャーが8か所設置されています。テスラモデルSを含むほとんどの電気自動車と、PHEVではアウトランダーPHEVのみがチャデモ規格に対応しており、国内での充電インフラは面的にはほぼ完成と言えますが、一か所の基数が少ないという課題は残っています。
チャデモ急速充電器なら全て同じか、というとそうでもありません。「出力」というものがあるのです。出力はkW(キロワット)で表します。通常、急速充電器は最大のアンペア数というものを持っており、これが出力と密接に関係しています。EVsmartではkW表示を採用しています。
出力 | アンペア数 |
---|---|
50kW | 125A |
44kW | 107A(日産など) 110A(ハセテックなど) |
40kW | 100A |
30kW | 75A(東光高岳など) 60A(ニチコンなど) |
25kW | 65A(ハセテックなど) 50A(ニチコンなど) |
20kW | 50A(東光高岳など) 40A(ニチコンなど) |
さて、実際に急速充電をする場合は、急速充電器を車に接続しますが、そうすると車は急速充電器から来た直流をそのままバッテリーに直結します。このとき、急速充電器はバッテリーの電圧に合わせて電力を供給しますが、電池は空のとき電圧が低く、満充電になると電圧は高くなります。例えばテスラモデルS 85kWhを例に取ると、電池が空のときは345Vくらい、満充電では403Vくらいまで変化します。充電を開始すると、50kW 125Aの充電器では、345V 125Aすなわち43kWで充電が開始され、充電が進むにつれ電圧が上がりますので出力も上がってだんだんと50kWに近づいていきます。しかし、今度はリチウムイオン電池の制約で、充電できる電流の上限がだんだん下がってきてしまうのです。すなわち出力は上がった後低下し、充電速度はどんどん遅くなります。
モデルS 85kWhを例にとると、おおよそ容量の75%まで充電されると、125Aでは充電できなくなり、どんどんアンペア数は下がっていきます。75%ではおおよそ391Vなので48.9kWをピークに下がり、80%では395V 110Aで43.5kW、満充電近辺では403V 4A程度ですからたったの1.6kWになってしまうのです。ほとんどの電気自動車では、80%までの充電が高速にできるので、急速充電時は80%までを推奨しているのですね。ちなみにリーフ24kWhモデルでは、同じ50kWの急速充電器で充電した場合、最初はもちろん125Aで80%になると50Aまで下がり、おおよそ20kWでの充電となります。アウトランダーPHEV(バッテリー12kWh)の場合、バッテリーが空でも20kWでの充電となります。
ここでお気づきの方もいらっしゃると思いますが、つまり、電池の容量が大きければ大きいほど、「ハイパワーで」「長時間」充電でき、短時間でより多くの電力量をバッテリーに充電できます。車によって30分間の充電で走行できる距離が大きく異なるのは、燃費のせいだけじゃなかったのですね。例えば日産リーフ24kWhでは50kW30分で80%充電した場合、104km前後。新型の30kWhモデルでは136km前後。テスラモデルSでは50kW30分で112km、120kW30分では220km前後走れるのです(モデルSでは30分充電しても80%にはなりません)。今後、電池の大きな長距離EVが増えると、充電インフラもハイパワーなものが必要とされることがお分かりいただけるかと思います。
EV急速充電器メーカーの一覧
チャデモ規格に対応している急速充電器メーカーを一覧にしてみました。データは2016年2月18日現在、急速充電器を販売しているメーカーのみとなっています。日産自動車製の急速充電器はすでに生産を終了していますので掲載していません。
メーカー名 | 読み | 機種名(最大出力機種) | 出力 | 入力 | 最大電流 | 寸法(幅x高さx奥行) | 課金対応 | 価格(最大/最小出力機種) | 見かける場所 |
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NEC | えぬいーしー | NQVC500M3-1 | 50kW/44kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 44kW: 110A(未確認) | 830x1650x550 | ○ | 300万/300万 | イオン |
NTTファシリティーズ | えぬてぃてぃふぁしりてぃーず | FSQC-50-1-S | 50kW/40kW/30kW/20kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 40kW: 100A 30kW: 75A 20kW: 50A | 550x1700x800 | ○ | 240万/160万 | |
菊水電子工業 | きくすいでんしこうぎょう | Milla-E50 | 50kW/42kW/20kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 42kW: 105A 20kW: 50A | 50kW/42kW: 550x1500x620 20kW: 550x1480x350 | ○ | 200万/150万 | 道の駅 |
九電テクノシステムズ | きゅうでんてくのしすてむず | KRCS-50-2 | 50kW/25kWx2 | 3相AC200V | 50kW: 125A 25kW: 62A | スタンド部: 280x1780x260 電源部: 830x1650x550 | ○ | 363万 | |
キューヘン(PDF) | きゅーへん | QC30S | 30kW QC30Dは2台シリーズ充電可 | 3相AC200V | 75A | 350x1620x450 | ○ | 255万 | |
サイカワ(PDF) | さいかわ | EDS-11-D10 (移動型) | 10kW | DC324V 80A(蓄電池) | 20A | 960x550x1200 | × | 630万 | |
GSユアサ | じーえすゆあさ | EVC-50KA | 50kW/30kW/20kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 30kW: 75A 20kW: 50A | 50kW: 950x1600x700 30kW/20kW: 700x1400x650 | ○ | 320万/145万 | イオン |
JFEテクノス | じぇーえふいーてくのす | RAPIDAS-R | 50kW | 3相AC200V | 125A | 1100x2050x790 | ○ | 490万 | 道の駅・高速道路SAPA |
新電元 | しんでんげん | SDQC-50-S | 50kW/30kW/20kW | 50kW/20kW: 3相AC200V 30kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V | 50kW: 125A 30kW: 75A 20kW: 50A | 550x1700x800 | ○ | 282万/170万 | |
シンフォニアテクノロジー | しんふぉにあてくのろじー | IEC-120-1A | 44kW | 3相AC200V | 110A(未確認) | 充電スタンド: 441x2050x310 電源盤: 945x1676x644 | ○ | 230万 | 道の駅 |
高砂製作所 | たかさごせいさくしょ | TQVC500M3 | 50kW/44kW/20kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 44kW: 125A 20kW: 62A | 830x1650x550 | ○ | 180万/180万 | 市役所等 |
デルタ電子 | でるたでんし | DCJ503J5A | 50kW/46kW/30kW | 3相AC200V | 50kW: 125A 46kW: 115A 30kW: 75A | 900x1700x600 | ○ | 250万/220万 | |
デンゲン | でんげん | DEV-10KW (移動型) | 10kW | 3相AC200V | 25A | 662x1067x746 | × | 200万 | |
東光高岳 | とうこうたかおか | HFR1-50B4 | 50kW/40kW/30kW/20kW/10kW | 50kW/40kW: 3相AC200V 30kW/20kW/10kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V | 50kW: 125A 40kW: 100A 30kW: 75A 20kW: 50A 10kW: 25A | 50kW/40kW/30kW: 1080×1695×460 20kW/10kW: 822×1790×450 | ○ | 180万/140万 | 高速道路SAPA |
ニチコン | にちこん | NQC-A502(E) | 50kW/30kW/20kW/10kW | 50kW/30kW/10kW: 3相AC200V 20kW: 3相AC200Vまたは 単相AC200V | 50kW: 100A 30kW: 60A 20kW: 40A 10kW: 20A | 50kW: 350x1565x880 30kW/20kW: 350x1565x595 10kW: 600x650x350 | ○ | 220万/140万 | 道の駅・ホテル |
日鉄住金テックスエンジ | にってつじゅうきんてっくすえんじ | EV-50 | 50kW/30kW/20kW | 50kW: 3相AC200V 30kW/20kW: 単相AC200V | 50kW: 125A 30kW: 60A 20kW: 40A | 50kW: 700x1700x730 30kW/20kW: 675x1650x775 | ○ | 235万/170万 | |
ハセテック | はせてっく | QC03-3P3W | 44kW/25kW | 44kW: 3相AC200V 25kW: 単相AC200V | 44kW: 110A 25kW: 65A | 700x1850x790 | ○ | 210万/180万 | 道の駅・ローソン・三菱販社 |
日立製作所 | ひたちせいさくしょ | HIQC-JP45 | 45kW/30kW | 3相AC200V | 45kW: 112A(未確認) 30kW: 75A(未確認) | 1045x1800x715 | ○ | 225万/225万 |
EV急速充電器の選び方(設置者向け)
急速充電器を設置される事業者の方は、いろいろな目的をお持ちだと思います。一番多いのは企業であればCSRや企業イメージ向上のため、公共団体等であれば低炭素社会を目指すためなどではないでしょうか。次に、多少なりとも電気自動車・PHEVユーザーの集客・利便性向上になれば、というものもあると思います。
この「集客」というところに注目してみると、当然使いにくい急速充電器は設置しても利用する人がいないため、意味がない、とも言えます。もし設置者の方で、(EV/PHEVの台数はまだ少ないので)わずかながらではありますが集客に興味のある方はぜひお読みください。
使いやすい急速充電器というのは人によって多少異なりますが、以下のようなものです。
- 50kW以上であること。40kWの急速充電器ではリーフも30分で80%まで充電できないばかりか、20kWの充電器では1時間以上かかります。2016年にGMがバッテリー容量60kWh以上と想定されるBOLTを販売開始、テスラも60kWh以上のモデル3を2018年に投入するため、国内でも2018年には60kWhが普通に走行するようになります。日産リーフも再度モデルチェンジするでしょう。
- 一か所に複数基設置されていること。仮にピーク時に1時間に3台が来るような環境で、1台当たり30分間充電すると、アーランB式の計算により、1基では60%の確率で充電がバッティングしてしまいます。2基なら充電待ちが発生する確率は31%、3基なら13%です。
- ケーブルが届くよう設置されていること。リーフはフロント中央、アウトランダーPHEVとBMW i3はリア右、アイミーブとテスラモデルSはリア左、ミニキャブミーブはボディ中央左、BMW X5 xDrive 40e/225xe/330eはフロント左と、各社充電口はバラバラの位置にあります。車をどちら向きに駐車させ、ケーブルをどちら方向に伸ばして充電させるのか、よく検討しましょう。
- 24時間充電可能であること。急速充電には時間がかかります。30分の間に営業時間を超えてしまったら?面倒なことを利用者に押し付けず、いつでも利用できるように運用しましょう。
- 受付が必要ないこと。無料でも有料でも、受付が必要な場合、利用開始時に5分は無駄になってしまいます。利用終了時に鍵を返すなどの手続きも非常に評判が悪いものの一つです。
- 互換性が高いこと。急速充電器メーカーには様々な会社がありますが、あまり各社の電気自動車/PHEVでテストしていないメーカーもあります。急速充電器の見積を取る際に、充電できる車両の一覧を取得しましょう。一部しか掲載がないメーカーはできる限り避け、設置後の利用者とのトラブルを避けるため、互換性に自信のあるメーカーの製品を採用しましょう。
- サービス体制がしっかりしていること。急速充電器は、案外壊れやすいです。特にプラグ部分を壊してしまうケースが多いそうです。故障した場合にどのくらいで修理してくれるのか、その場合の費用などをあらかじめ確認しておきましょう。また人気の少ないところでは防犯カメラを設置するなどして、乱暴な扱いやいたずらを未然に防ぎましょう。
EV急速充電器の選び方(利用者向け)
アウトランダーPHEVの方は、急速充電器は20kW以上であればどれでも充電速度は一緒です。あまり選び方のようなものはなく、どれでもよいとも言えるでしょう。電動車両サポートカードのベーシックプランなら、三菱ディーラー以外でも日産ディーラーでさえなければ30分360円。20分くらいでかなり充電速度が落ちますので、金額が気になる方は空から充電開始し、20分で切り上げることをお勧めします。20分なら240円ですよ!20分充電の場合50×70%=35km走行することができ、ガソリン1リッターを110円とすると、35 / 240 x 110 = リッター16km相当になります。30分充電しちゃうと、50×80%=40km走行できて360円なので、40 / 360 x 110 = リッター12km相当になってしまいます。
リーフの方は、急速充電器は40kW以上を選ぶのがよいでしょう。20kW-30kWの急速充電器はたくさんありますが、それらでは時間の無駄です。ZESP(日産ゼロ・エミッションサポートプログラム)のライトプランでは、日産ディーラーでの充電が無料となっていますが、それ以外の急速充電器では結構なコストがかかることが多いです。全体の約半数を占めるNCS加盟充電器では、30分1500円という体系になっているのですが、例えば同じ30分でも、新型リーフ30kWhで50kWなら136km分=1kmあたり11円(@110/lでリッター10km相当)、20kWでは約半分として68km分=1kmあたり22円(リッター5km相当)となってしまいます。日産ディーラー以外の急速充電器を頻繁に使う方は、スタンダードプランに加入したほうが良さそうです。
モデルSなど、バッテリーの大きな電気自動車の場合、長時間の充電をするなら急速は50kWのみを選ぶのがよいでしょう。44kWでも、50kWなら45分で済むところを51分かかってしまいますし、40kWでは56分かかってしまいます。大阪や神戸を通過する場合など、スーパーチャージャーが近隣にあると、回り道してまでスーパーチャージャーを使うべきかどうかは悩みどころです。例えばバッテリーがちょうど空になったと仮定して、80%まで回復させる場合、スーパーチャージャーではおおよそ50分かかります。50kWでは1時間21分。その差は31分になります。賢くスーパーチャージャーを使って、計30分程度の回り道ならそちらのほうが結果的に早く充電ができるということになりますね。大阪も神戸もスーパーチャージャーは4基設置なので、基本的に待ちが発生する可能性も非常に低いです。
本ページの冒頭辺りに貼られている画像で トリプル急速充電器(Mennekes Type 2、チャデモ、Combo 2)という物がありましたが、この急速充電器のメーカーは何処かご存じでしたでしょうか?
いつも楽しく拝見させていただいております。
今考えているのが、電気自動車の”2台持ち”です。1代目はテスラ。2代目にリーフを考えていますが、すでに自宅のウォールコネクタはテスラ専用普通充電器が設置されております。 そこで、このテスラ専用充電器からリーフ(他プリウスやアウトランダーも同様)に接続できるアタッチメントなどの情報がありましたら教えてください。
SAKURA21様、コメントありがとうございます。
https://shop.quickchargepower.com/JDapter-Stub-Tesla-Charge-Station-Adaptor-JDPTRSTB.htm
こちらの商品がベストかなと思います。もし多少スペースがあって、ウォールコネクターが第二世代であれば、負荷分散も可能です。つまり、二台目のウォールコネクターを一台目に接続し、二台目はこのアダプターでJ1772化して、二台を同時に充電できます。二台のウォールコネクター間は通信ケーブルが必要です。ブレーカーは一つだけ。もちろん先に充電している車の余った容量は自動的に二台目に割り当てられますので、いちいち繋ぎ変えたりスケジュール組まなくても、自動的にどちらも80%まで充電できちゃいます。この程度のことがなぜ国産メーカーにできないか、不思議で仕方がありません。
Yasukawa様へ
最近岐阜羽島IC付近のコストコでテスラスーパーチャージャー4連を見たとき、隣に柵で囲われた高圧受電キュービクルを発見しました。おそらく変圧器容量は500kW程度あると思われます。
こういう充電ステーションをEV生産メーカーはディーラーの有無を問わず順次拡大頂きたいです…特に有名な観光地はEV急速充電器の混雑が目立つので尚更ですが。
岐阜県でも飛騨高山(高山市)は割とEV充電器設置に熱心で急速充電器を市内各地に配分していて安心なのですが、下呂市は道の駅や下呂温泉の旅館などにあるだけで他は今一歩…背景には行政の財政難があるとみられます。
郡上八幡も日産店舗の充電器が休日午後夕方に混雑しやすく、慢性的な急速充電器不足が判明しています。これも郡上市の財政難が背景にありそう。
※急速充電器は本体だけで何百万円もかかるからおいそれとは導入しにくいでしょう。
愛知県でもテーマパークのある犬山市でさえ急速充電器は少なく、モンキーパーク・明治村・リトルワールドなどには普通充電器1台しかないというEV冷遇状態では遠隔地のEVオーナーには使いづらいといわざるを得ません…この地域にテスラや日産などの急速充電ステーション(できれば4~5台)があればいいのにと何度思ったことか。
中部国際空港のある常滑市も40kW以上の充電器が少なすぎます…もっとも愛知県はトヨタのお膝元だからEV比率は少ないかもしれませんが、三菱自動車の工場もあるから何とかして欲しいですね。
今後充電器のない鄙びた地域にEVが来なくなる可能性もあります…それが地域間格差を広めれば由々しき問題。過疎地域にEV充電器があるのは道の駅があるかガソリンスタンドが極端に少ないかのいずれかでしょう。
椿茂雄さん向け:自身は電気技術者として太陽光発電所のパワーコンディショナー設備の点検に携わる機会がありますのでその話をひとつ。
太陽光発電所のパワーコンディショナーはソーラーパネルで得られた400~500Vの直流電力をパワーコンディショナーで交流210Vあるいは440Vへ変換していますよ。
だから大きな改造をしなくとも、そこで得られた直流400V前後の電圧をそのままEV充電に当てるのは技術的には困難ではないでしょう。
ただしソーラーパネルの発電量は天候に大きく左右されるもの。蓄電池やキャパシタなどである程度電力量を確保しておかないとEVへの充電が途切れることになります。
JFEテクノスRAPIDAS充電器のように蓄電池内蔵であれば問題は少ないですが、蓄電池がある分価格は高く、バッテリーが放電したり関連回路が故障したりしてアシストがない状態では50kW機でも25kW機と大差ない出力になりますよ(己も体験済)。
そうでなくとも電力会社に勤めていた方によると大きな太陽光発電所のある配電線は天候変化時の電圧変動が大きいとか…だから今後は電力変換装置(パワーコンディショナー)に出力調整バッファーとなる蓄電池が必要ではないかと言ってました。
あと「50kWの壁」は受電電圧が低圧か高圧かの分かれ目にもなります。
かつて日産が発売していた44kW充電器は低圧受電可能な最大値でした…実際道の駅でそんな事例を拝見しました。
JFEテクノスRAPIDASも出力50kWながら高圧受電を避けられるよう蓄電池アシストを設けた訳でして。
EV充電器が50kW以上ならば6kV高圧受電になり電気主任技術者の選任が必要で、電気保安協会などへ外部委託したとして保安手数料が月2~3万円かかります。
それだからCHAdeMO規格の上限も自ずと50kW以下になったとか。
もし今後CHAdeMO2(仮)などと銘打って大電力充電器が出現しても、現在の法体系や電力会社の規定などが変わらない限り普及は難しいと思います…もしそうなれば仕事柄すぐに判りますが(笑)
※大容量電池搭載のEVがもっと普及すれば、6kV高圧受電設備に100kW急速充電器のついたキュービクル(受電箱)ができるかもしれませんね(笑)
ヒラタツ様、すでに日本国内でもテスラや米国・欧州のCCS(コンボ)の充電設備は、充電スタンドに専用のキュービクルを設置していますね。日本でもやればできると思いますし、やらないと他のメーカーはいつまで経ってもテスラに追いつけないかと。。
興味深く拝見しました。
ひとつ教えてもらいたいことがあり投稿します。
太陽光発電設備を使っての急速充電ができないか考えています。通常は、交流(200V、又は6600V)を直流に変えて充電すると思いますが、そのときの電圧は充電状況で変わると思いますが400~300V程度と思います。太陽光発電設備は直流で450~300Vに設定が可能です。これで直に、とはいっても充電コントローラーは必要ですが、充電できないか、そうしたものに改造が可能か考えています。
分かる方があれば教えてください。
もし、急速充電器をつくっているメーカーに直に相談する方法がわかればお願いします。
椿様、ご質問ありがとうございます。バッテリーの充電は電圧を安定させバッテリーの電圧上昇に伴って充電電圧を上げていかねばならず、太陽光発電のように日の出方で電圧が変動しちゃうような電源は使えません。
そのため、間に蓄電池を入れて、太陽光の電力を蓄電し、そこから普通充電する方法がよく使われます。ニチコンさんから以下の製品が出ておりまして、今回ご質問のような用途には合っているように思います。
https://blog.evsmart.net/ev-news/home-battery-nichicon-tribrid/
一度ご確認されてはいかがでしょうか。また質問がございましたらお知らせください。
yasukawa様
早々に返信感謝致します。すでにご連絡をさせていただいておりますが、私は充電器メーカー勤務であることから、設置者目線で後々悔いのない充電器設置をしていただければと思っております。さて、今回のループ電気さんのご提案ですが、さすがですね、私も目をつけており先日コンタクトを取りましたが(基本料金でお困りの充電器オーナーさんが多いので)、低圧/高圧もサービスは開始されているようですが、ご処置でしょうが特例で引き込んだ充電器単独契約はNGで、施設と込みでないと契約できないそうです。充電器の普及に関しては、業界におりますので情報を提供することは、勘弁してください。EVユーザー様の意見が多くなって来れば利便性は向上すると思います。
kent様、情報ありがとうございます!高圧も提供されているのですか!それは知りませんでした。。高圧の場合の特例というのは勉強不足で知らないのですが、高圧でも特例って使えるのですね。高圧というのは例外なく一需要場所一契約かと思っておりました。いずれにしろこれからハイパワーの充電器設置が加速するとよいですね。
いつも大変為になる記述で参考になります。
充電器選定に関してですが、記載内容はごもっともですが、昨今道の駅や新設される急速充電器の大多数は入力単相200V出力30kWの物が多くなっております。使用者目線では、充電時間が30分制限となっている課金システム上、出力が大きければ多きい程、充電できるエレルギーは多いので歓迎されるのですが、設置者目線としては、出力が50kW以上になりますと受電契約も高圧受電契約となるは、法規制による定期点検が求められる事から維持費用負担が重くのしかかる事から50kW出力ではなく、30kW品を設置する事例が多くなっております。
実際に、東北地方のある自治体では50kW出力の急速充電器を道の駅に設置しましたが、年間120万円以上の経費負担となっているそうです。経済産業省や国土交通省が低炭素時代を目指しBEV/PHEV普及を目論むのでしたら、補助金もいいのですが充電器向け電気料金設定を行わないと、50KW出力品は無論ですが急速受電器設置が鈍化するように思いますが如何でしょうか。
kent様、コメントありがとうございます!おっしゃる通り、設置者様の立場に立つとそのようなご意見、理解できます。当EVsmartブログおよびEVsmartサービスは、電気自動車・PHEVの利用者様を主たる対象として運営させていただいております関係で、どうしてもそちらの立場に立った記事が多くなることはご了承いただければ幸いです。
さて、すでに低圧では「Looopでんき」が基本料無料のプランを販売開始されています。高圧でも提供してもらえるよう、交渉をしてみられてはいかがでしょうか?もし高圧のプランが出れば、日本中の急速充電器の運営者はほとんどこちらの電力会社に切り替えてしまうのではないでしょうか。
この業界はスピードがどんどん上がっていて、出力競争もすでに、350kWが欧州で設置開始されています。米国でも新規の経路充電器(高速道路などのロケーションに設置する、長距離旅行のための充電器)は基本的に150kW以上と定められました。設置場所を集中させ、経路充電をハイパワー化、そして高速道路から遠く離れた道の駅などでは150kWは無理でも、複数基で長時間充電を可能にすることにより、旅行者をサポートする考え方に切り替えていかなければならないのだと思います。30分では買い物も落ち着いてできないですからね。