マイカー電気自動車のヒョンデ『KONA(コナ)』に、待望のワイヤレスアップデート(OTA)が降ってきました。ナビの使い勝手や音声検索が賢くなって、先日のアップデートで急速充電性能が最大70kW程度に改善。過去最高の30分間充電量を確認できました。
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3月にインフォテインメントシステムがアップデート
2024年1月に納車された愛車のヒョンデ『KONA(コナ)』カジュアルに、待ちわびたワイヤレスアップデート(OTA=Over The Air)が降ってきました。OTAとは無線通信によってクルマのソフトウェアを更新する技術です。整備工場(ディーラー)などに行かずとも、愛車の機能が最新になるのがオーナーとしてうれしいポイントです。
今年になって、私のコナには2回のOTAが舞い降りてきました。まず最初は2025年の3月8日。車載ナビやスマホ連携など「インフォテインメントシステム」が更新されました。

通知されたのは2月下旬。全車両を順次OTAを配信するということで、私のコナにアップデートが降ってきたのは3月8日のことでした。
通知された内容は「Apple CarPlayおよびGoogle Android Autoをワイヤレスで接続して使用できるようになりました」というのが中心です。とはいえ、私自身(iPhoneユーザー)はあまりApple CarPlayを使わないのでその点は「あ、そうなんですね」という感じではあります。
でも、同時に車載ナビゲーションも最新バージョンにアップデートされたようです。納車されてから今までしばしばあった、たとえば自宅近くの環七を走っていて「ルートは直進なのに陸橋の側道に誘導しようとする」といった「なぜそっち?」と感じる奇天烈なルート指示がほぼ解消。目的地設定時の音声認識の精度やレスポンス速度が改善された、と感じています。

取材先に到着した駐車場で突然OTAが降ってきたので、詳細説明画面などを撮り忘れました。手順などの案内は、もうちょっとわかりやすく「ときめく感じがあるといいな」という印象ではあります。
4月にはBMUアップデートで急速充電性能が向上
4月24日には「バッテリー制御装置(BMU)のアップデート」が降ってきました。「最大充電電流を230Aから260Aに向上させることにより急速充電の時間が改善されます」という内容です。
納車直後の記事でレポートでしたように、私のコナ・カジュアルにとって急速充電性能は「まあ、そこそこ」。弱点といっていいポイントでした。充電時の出力は「電圧×電流」で決まります。コナ・カジュアルのシステム総電圧は269Vと低いのがちょっと残念な点。国内に設置されているEV用急速充電器の電流最大値は「50kW器=125A」「90kW器=200A」「150kW器=350A」となっているので、50kW器で「269V×125A=約33.6kW」、90kW器で「269V×200A=約53.8kW」、150kW器では車両側の最大電流が上限となり「269V×230A=約61.9kW」が理論的な最大受入出力でした。
でも「最大充電電流が230Aから260Aに向上」すると、「269V×260A=約67.6kW」と、おおむね10%程度は高出力で充電できるようになる、はずです。
取材を通じて「コナも最大260Aへのアップデートを検討している」という情報は得ていたので、今か今かとOTAを待ちわびていたのですが、ついにその日がやってきたということです。
GWに駿河湾沼津SAまで充電ドライブで性能向上を検証
なにはともあれ、実際に150kW器で充電を試してみたい。と思ったものの、自宅ガレージで充電できるマイカーの電池はなかなか減りません。いっそ、充電するためだけに少し遠出してみるかというわけで、GW後半初日の5月3日、沼津港に海鮮丼を食べに行くという理由をくっつけて、新東名駿河湾沼津SAの150kW器で充電してみることにしました。

刺身定食にしました。
2024年1月の納車以来、私のコナ・カジュアルの150kW器での充電記録を掘り返して、表にしてみました。
年月日 | 充電場所 | 充電電力量 | 開始時SOC |
---|---|---|---|
2024/1/29 | 浜松SA下り(ABB) | 22.7kWh | 6% |
2024/1/29 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 15.5kWh | 43% |
2024/2/19 | 浜松SA下り(ABB) | 18.8kWh | 34% |
2024/2/20 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 23.5kWh | 18% |
2024/4/27 | 浜松SA下り(ABB) | 20.8kWh | 38% |
2024/4/28 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 26.3kWh | 15% |
2024/5/19 | 浜松SA上り(ABB) | 24.8kWh | 17% |
2024/7/3 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 26.6kWh | 16% |
2024/8/4 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 23.3kWh | 28% |
2025/1/19 | 浜松SA下り(ABB) | 20.8kWh | 19% |
2025/1/19 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 18.2kWh | 29% |
2025/5/3 | 駿河湾沼津SA上り(ABB) | 28.5kWh | 11% |
いちばん下が今回の記録です。30分間の充電電力量が「28.5kWh」と、歴代最高を記録しました。瞬間最大出力は「70kW」の表示(冒頭写真)を確認。今までは150kW器でも「60kW程度」が上限だったので「速くなった」という手応えを感じることができました。
表を見ておわかりのように、同じ出力の、なんとなればまったく同じ急速充電器で同じEVを充電しても、開始時SOC(バッテリー残量)やバッテリー温度、外気温などの条件によって充電結果にはバラツキがあります。ちなみに、沼津出発時に確認したバッテリー温度は「適温」表示だったので、今回、手動のバッテリーコンディショニング(温度調整)機能は使っていません。
今回、出発前は「往路の駿河湾沼津SA下りで充電してから海鮮丼」という腹づもりだったのですが、東名で事故もあってかなりの渋滞に遭遇して到着が遅くなったこと。また、低速巡航距離が長くなったこともあり、御殿場JCTあたりでまだ30%程度のSOCが残っていた(東京出発時は62%)ので、先に沼津港で海鮮丼に変更しました。
満腹になった後、ドライブモードをスポーツにして、東名富士インター〜西富士道路〜新東名をブイブイ走り、SOC11%で駿河湾沼津SA(下り)に到着しました。充電量をしっかり検証するためには150kW器で30分間1台のみで充電できるかどうかが問題でしたが、到着するとちょうどアウディe-tronが充電を終了したところで、空いてた区画にチェックインして充電開始。その後30分間、もう1口の区画に充電するEVが入ってくることはなく、無事に「30分間ひとりじめ」で充電することができたのでした。

6口中4口が充電中。やっぱり、SAPAの複数口設置は大切です。
15分間で約16kWhの結果に「そこそこ納得」
充電記録の表を見ると、条件が近い2024年4月28日、今回と同じ駿河湾沼津SA上りの「26.3kWh」や、7月3日の「26.6kWh」と比べて、30分間での充電量増加は2kWh程度だけ。「そんなに変わらないじゃないか」と考える方もいるでしょう。とはいえ、充電速度が抑制される傾向はSOCが高くなるほど強くなります。今回の場合、充電開始から15分でSOCは44%に回復し、充電電力量は「16.016kWh」と表示(充電器側)されていました。

SOC50%到達までの所要時間は約18分。今回30分で70%まで充電して東京帰着時は42%(28%消費)だったので、急ぐときは50%も充電できればOKです。
高速道路での経路充電は次の中継点、または目的地までの電力でOKってことが多いので、常に30分間行うわけではありません。初速が70kWに向上して、「15分間で16kWh充電できる」という検証結果を得られたのはオーナーとしてうれしいことなのでした。
ただし、賢明な読者の方はすでにお気付きかと思いますが、今回のアップデートで向上したのは急速充電時の「最大電流」ですから、260A以上を供給してくれる最大150kW以上の急速充電器であることが必須です。今までもそうでしたけど、これからますます「高速道路では150kW器を選んで充電」するのがいいなぁと実感したのでした。
なにはともあれ、無料のOTAでマイカーが賢く強くなっていくのはオーナーとしてとても喜ばしいことです。ヒョンデでは、上位車種のIONIQ 5でもOTAで充電性能の改善などを提供してくれています。ZEVだけで日本再進出を遂げたヒョンデの本気を感じるサービスだと感じます。
まあ、急速充電性能が弱点である私のコナ・カジュアルとしては「まあ、そこそこ」だった充電性能が「そこそこ納得」になった程度ではありますが。ナビの地図や機能はできれば毎年アップデートして欲しい(安めの有料でもいいです)と願いつつ、次なるアップデートにも期待しています。
取材・文/寄本 好則
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