本日時点で、テスラは北から岩手県盛岡市、宮城県仙台市、長野県長野市、東京丸の内、東京六本木、東京お台場、横浜戸塚、静岡県浜松市、岐阜県羽島市、大阪市北区、神戸ポートアイランド、岡山県倉敷市の12か所のテスラ車専用スーパーチャージャーを設置しています。スーパーチャージャーの利用は、現行の車および2016年中に注文し2017年3月末までに納車される車はずっと無料、それ以降は毎年400kWh(1,600km走行分程度)が無料となっています。
東京丸の内(1基)と東京六本木(2基)を除いては、すべて1か所に4基以上の設置となっており、複数の方が同時に急速充電できる仕組みとなっています。充電器出力は120kWと現時点では世界最速で、モデルS/Xの90kWhモデルであれば30分間で70%、すなわち329km(EPA基準)分の充電ができるのです。このEPA基準というのは、私の経験ですが、夏であればエアコンをつけて時速100kmを超えないように走行していれば、EPA基準を達成できます。
さてこの超過料金の設定ですが、具体的には以下の条件で料金がかかるとのことです。
- スーパーチャージャーに接続し、充電が完了後、5分を経過した場合
- 丸の内スーパーチャージャーと六本木スーパーチャージャーはバレーサービスなので超過料金の対象外
- 混雑しているスーパーチャージャーにのみ適用。例えば4基のスーパーチャージャーで1基のみ使用している場合などは超過料金の対象外らしい(詳細未定と思われます)
- 超過料金は1分あたり税込み43円、上限なし
と、案外細かい条件が付帯されています。テスラ車の場合、スマホアプリに充電があと何分で完了する予定なのかが表示されており、また充電完了少し前と充電完了時に通知が届きます。通知を見逃さないためにも、EVsmartアプリでのタイマー設定をお勧めします。
公共のインフラである電気自動車の急速充電器に超過料金を導入するのはテスラが初めてだと思います。これは非常によい方法です。実際、次に使う方のことを考えている方はこの超過料金を払うことはなく、普段通り充電が完了したら車を移動するでしょうし、つい次の方のことを忘れてしまう方は、超過料金のことをご存じであれば、充電完了後に車を移動しなければならないことを覚えていられるでしょう。もちろん、悪意があって充電スポットに車を放置している人はいないでしょうが、そのような方は料金がかかるのであれば放置することはなくなるでしょうね。
電気自動車に毎日乗ってみると、本当に急速充電器を使う機会は少ないなぁと感じます。普段の走行は自宅・常置場所充電で充分賄えるわけで、単にガソリンスタンドに行く必要のない自動車として利用しているのです。ただ長距離を移動するときは急速充電器のお世話になる必要があるわけなので、放置車両を減らす今回のような方式は、急速充電インフラをより効率よく快適に利用できるようにするのだろうと思います。
今回の制度の設計を見た上で一つ面白いと思った点があります。この超過料金、支払うのは次回サービスセンターに行ったときなのですよね。クレジットカードで自動的に引き落とされるわけではありません。つまり、超過料金を支払うときは目の前に人がいるわけで、その時点で車を放置してしまったオーナーにはある意味「教育」ができるというわけなのです。もちろん超過料金に対してクレームをおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、テスラの担当者を前にクレームすることになりますので、超過料金が懲罰的なものではなく、より多くのオーナーのための施策であることを話すと、炎上はしづらいように思います。
今後、ぜひ日本国内で充電サービスを展開している事業者様には、ある程度の金額の超過料金の導入検討をお願いできれば幸いです。日本国内の急速充電器は(テスラを除き)ほとんどが税金の補助金で設置されています。公平で効率的な活用を進めたいものですね。
画像:Tesla Customer Stories: Italy