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トヨタのディーラーにEV用超急速充電器が爆増中/150kW器ネットワークの拡大に期待&充電してみたレポート

トヨタのディーラーにEV用超急速充電器が爆増中/150kW器ネットワークの拡大に期待&充電してみたレポート

今年になって、全国のトヨタディーラーに最大出力150kWのEV用超急速充電器が続々と設置されています。指折り数えてみると、最大100kWの新型器と合わせて136カ所(台)がすでに設置されていることがわかりました。実際にビジター充電してみたレポートとともにお伝えします。

目次

150kW器は全国で104台が設置されていた!

今年のゴールデンウィークを過ぎた頃から、充電スポット検索アプリを使っていると、トヨタ系のディーラーに最大出力150kWの超急速充電器が設置され始めているのが気になっていました。とはいえ、トヨタのプレスリリースなどを確認しても特段のアナウンスは見当たりません。はたして、トヨタディーラーには超急速充電器がどのくらい設置されているのでしょうか。あまりにも気になったので、「EV充電エネチェンジ」アプリと「EVsmart」のウェブサイト、「GoGoEV」の情報をダブルチェックしながら、現状のリスト(記事末に掲載)を作成してみることにしました。

「出力100kW以上」で「トヨタディーラー」に設置されている充電器でフィルタリングして、北から順にリストアップしていった結果、2025年6月18日現在、最大150kW器が104台、最大100kW器が32台。100kW以上の合計では全国で136台がすでに設置されていることがわかりました。

出力100kW以上で充電できるEV車種が増えるなか、ことに地方では90kW以上のいわゆる「超急速充電器」の数はまだまだ少ないのが現状です。トヨタ系のディーラーで、突然降って湧いたかのように全国100カ所以上も最大150kWの充電スポットが増えているのは、とくに急速充電性能が高いEVオーナーにとって朗報です。

ひとつ、気になることがあって、150kW器がどんな密度で設置されているのか検索アプリの地図画面で確認を始めてみると……。むむむっ! もしかすると「トヨタさんはかなり考え抜いた計画に沿って充電器設置を進めているのかも?」と気がつきました。

超高出力急速充電器が「いい塩梅」で配置されている

トヨタ系のディーラー数は全国で約5000店とされています。実は2022年の4月、「トヨタ系全店に急速充電器設置へ」というニュースが流れた際、「5000店の充電器設置に補助金を使うのはどうなんだ?」と疑問を提示する記事を発信しました。

【関連記事】
「トヨタ系全店に急速充電器設置」で考えた「EV充電インフラ」の理想像(2022年4月18日)

改めてポイントをまとめておくと、100kWを超えるような超急速充電器を設置するべきなのは次のような要件を満たす場所といえます。

●経路充電インフラとして、適切な間隔で主要な道路の沿線など利便性の高い場所。
●基礎充電代替インフラとして、集合住宅が多い都市部の利便性が高い場所。
●いずれにしても、EVユーザーのニーズが多く高い稼働率を見込める場所。

トヨタ系を含む自動車ディーラーは近隣に多くの店舗が集まっているケースも多く、「全店に設置」するのは充電インフラとして過剰になってしまう懸念が高くなります。

基礎充電代替、つまり「集合住宅などで決まった車庫に充電設備を設置できないEVユーザーが基礎充電の代替として利用する急速充電器」であれば、地方都市の街道沿い、各社のディーラーに設置されていればそれなりに便利ではあるのでしょう。でも、それはディーラーにとっては顧客サービスの一環でもあって、公共用EV充電インフラの理想的な拡充を目指して用意された補助金を投入するべきではないケースも多いのではないかと思われます。

なんてことを考えつつトヨタ系ディーラーに設置された充電器を順繰りに確認していると、どうやら「私が妄想する懸念を超えたビジョンに基づいて設置が進められているのでは?」と気付いたのでした。これは地図でしっかり示したほうがいいと意を決して、Googleマイマップに超急速器設置店をプロットしてみました。

トヨタディーラーの高出力EV急速充電器設置状況/2025年6月(Googleマイマップ)

Googleマイマップにリンク。

経路充電インフラとして適度な間隔で配置

私が「おっ!」と感じたポイントを説明しておきましょう。まず、北海道に注目すると、札幌ー帯広ー釧路ー中標津と、道東へのルート上の店舗に高出力器(最大100kW器を含む)が設置されていることがわかります。また中国地方をクローズアップしてみると、広島や岡山といった都市には複数のスポットがありつつ、日本海側では「鳥取ー米子ー松江ー出雲」、瀬戸内海側は「岡山ー倉敷ー呉ー広島ー周南市ー山口」と、これも経路充電インフラとして合理的な配置になっています。

北海道を拡大。

各地でディーラーを運営する販売会社によって急速充電器設置への姿勢は異なるはず。なかには「うちはもっともっと設置するぞ」という前のめりなところもあるのではないかと思われますが、全国を通してかなりバランス良く設置が進んでいるのは、トヨタがそれなりのビジョンを描いていて、その計画に基づいて設置が進められているのではないかと推察します。

各都道府県の主要都市にバランス良く設置

政令指定都市のような中核都市では、ディーラーに設置される超急速充電器は前述した「経路充電」と「基礎充電代替」の両方で機能するでしょう。したがって、大都市を擁する販売会社では「片っ端から設置する!」ようなことにもなりそうですが、大阪府や愛知県といった都道府県別で設置台数が多い大都市圏でも、エリア内でバランス良く高出力器が配置されている様子が見て取れます。

大阪を中心とした関西圏を拡大。

ビジョンを貫いて理想的な経路充電インフラ構築を!

実は、今回の記事作成に際してトヨタに取材をオファーしたのですが「EVに関する大きな発表が控えているので少し待ってくれ」ということで、設置店マップから読み取れるポイントをまとめることにした次第です。「EVに関する大きな発表」は、期待して待ちたいと思います。

ともあれ、ディーラーへの超急速充電器設置について、私が推察するようなビジョンをトヨタがすでに描いているのだとしたら、ぜひ、このまま突き進んで欲しいところです。ただし、少しだけ気になった点を挙げておきます。

複数口設置を増やしていって欲しい

リストでも明らかなように、現状の150kW、100kW器の設置台数はそのまま設置店舗数となっています。経路充電として高出力器を利用するケースで心配なのは「充電待ち」に遭遇してしまうこと。おそらく、トヨタ本社や販売会社のご担当者も先刻ご承知のこととは思いますが、長距離ドライブで利用率が高い立地の店舗には、できるだけ早く複数台、もしくは複数口の充電器が設置されるのが理想的です。

高速道路IC近くの店舗を充電拠点に

すでに設置されたいくつかの店舗は高速道路のIC近くに位置しています。経路充電が必要となるロングドライブは一般的に高速道路を利用するケースが多いのは言うまでもありません。トヨタの大きなネットワークだからこそ、全国各地に「高速道路ICから3km以内!」といった好立地の店舗は少なくないでしょう。今後のひとつの目安として、高速道路の主要ICを網羅していくようなトヨタの急速充電インフラネットワークができあがっていくと素敵です。

EVユーザーとしては「隣がコンビニ」とかトイレや休憩に便利な場所だとさらに魅力的。敷地に余裕があるディーラーでは、充電器を設置して終わりではなく、トイレや休憩施設(地元の別事業者と連携とかもできそうな)まで整えてくれたりすると「わざわざ一度高速下りてでも立ち寄りたい充電スポット」になることでしょう。

e-Mobility Power提携のカードでは認証できない

トヨタ系ディーラーに急増中の超急速充電器では、従来のe-Mobility Power(eMP)提携カードでの認証ができなくなっています。これもまた、ユーザーにとっては月額基本料金が高く、充電器設置事業者にとっては充電器利用に対する提携料が安いという要因などによる「eMP離れ」の動向と評することができそうです。

充電する際は、トヨタが発行する「EV・PHV充電サポート」の充電カードで認証するほか、トヨタの充電カードを持っていない他社EVユーザーでも、スマホで充電器に表示されている二次元バーコードを読み取ってビジター充電を行うことができます。使い勝手はどうなのか。使ってみなけりゃわからないということで、自宅近くで150kW器が設置されたトヨタのディーラーで実際に充電してみました。

とくに下調べもせず充電器を訪れたけど、利用方法はとてもシンプル。私はクレジットカード決済を選びましたが、PayPayやd払い、au PAYなども選択可能です。

充電料金は99円/分で、30分で2,970円(以下、料金は税込)。マイカーであるKONAカジュアルの充電性能は「まあ、そこそこ」なので、30分間の充電電力量が21.9kWh、従量単価に換算すると約135.6円/kWhだったことになります。

端的に評すると「かなり高い」です。今回は取材だったから値段への躊躇は振り切って30分間充電しましたが、プライベートであれば電欠のピンチでもない限り利用しないでしょう。他社EVユーザーにも開放されていることは評価できるし、決済方法なども使いやすかった(前払い方式には少し戸惑いましたけど)けど、基本的にはトヨタの「EV・PHV充電サポート」会員向けの充電設備と評することができそうです。

ちなみに、「EV・PHV充電サポート」会員の充電料金は、月額基本料金1650円の「プランA」が66円/分。月額4950円の「プランB」が55円/分(毎月急速充電90分まで無料※余った無料分は翌月まで繰越)となります。また「EV・PHV充電サポート」はeMP提携カードなので、トヨタ・レクサス販売店の充電器のほか、高速道路SAPAなどeMP提携の充電器でもこの料金で充電できます。

大きなお世話ではありますが、トヨタ車であっても急速充電時の最大受入可能出力が低いPHEVのオーナーさんにとっては急速充電の料金設定はかなり高いと感じるのではないでしょうか。従量課金制の導入など、EV充電にまつわるいろんなことが前向きに進んでいくことに期待しています。

トヨタ販売店の超急速充電器リスト

参考までに、宮城、福島、新潟、愛媛、高知の各県は未設置です。地元販社との調整中、あるいは補助金申請のタイミングなどの事情があるのかと推察します。未設置の県を含めて、合理的なネットワークの拡大に期待しましょう。

都道府県店名150kW100kW50kW
北海道札幌トヨタ自動車 倶知安店11
北海道釧路トヨタ自動車 クレイン鳥取大通店11
北海道札幌トヨタ自動車 室蘭支店11
北海道AGHトヨタ札幌 ジョイック千歳11
北海道AGHトヨタ札幌 月寒店1
北海道釧路トヨタ自動車 音更店1
北海道釧路トヨタ自動車 中標津店1
北海道AGHトヨタ札幌 札幌店1
青森トヨタカローラ青森 青森中央店1
青森トヨタカローラ青森 柏店1
青森トヨタカローラ青森 神田店1
岩手岩手トヨペット レクサス盛岡11
秋田秋田トヨタ自動車 大曲店1
秋田秋田トヨタ自動車 臨海店1
秋田秋田トヨタ自動車 大館店1
秋田秋田トヨタ自動車 泉新国道店1
山形山形トヨタ自動車 山形店1
茨城茨城トヨタ自動車 水戸千波店1
茨城ネッツトヨタ茨城 マイネつくばみどりの1
栃木トヨタカローラ栃木 宇都宮錦店1
群馬群馬トヨペット 前橋天川大島店1
埼玉トヨタカローラ新埼玉 西川越店11
埼玉埼玉トヨタ自動車 志木富士見店1
埼玉埼玉トヨタ自動車 川口店1
埼玉埼玉トヨペット 久喜支店1
埼玉トヨタカローラ埼玉 上尾本店1
埼玉ネッツトヨタ埼玉 大成店1
埼玉ネッツトヨタ東埼玉 マイネッツ川口1
埼玉ネッツトヨタ東埼玉 マイネッツ久喜1
千葉千葉トヨタ自動車 千葉ニュータウン店1
千葉ネッツトヨタ千葉 ネッツタウン新港1
千葉千葉トヨタ 土気あすみが丘店1
千葉千葉トヨペット 松戸店1
千葉千葉トヨペット 稲毛海岸店1
千葉トヨタカローラ千葉 木更津店1
千葉トヨタカローラ千葉 鬼高店1
東京ネッツトヨタ東都 江東店1
東京トヨタモビリティ東京 世田谷深沢店1
東京トヨタモビリティ東京 小平BS前店1
東京トヨタモビリティ東京 レクサス有明11
神奈川トヨタモビリティ神奈川 茅ヶ崎西店11
神奈川ウエインズトヨタ神奈川 狩場インター店11
神奈川ウエインズトヨタ神奈川 伊勢原店11
神奈川ウエインズトヨタ神奈川 129橋本店11
神奈川トヨタモビリティ神奈川 海老名店11
神奈川ウエインズトヨタ神奈川 荏田西店11
神奈川トヨタモビリティ神奈川 酒匂パーク店11
富山トヨタモビリティ富山 中古車Garage 富山南11
富山トヨタモビリティ富山 双代町EVステーション11
石川石川トヨペットカローラ 金沢本店11
石川石川トヨペットカローラ 野々市本店11
石川ネッツトヨタ石川 鞍月店1
石川石川トヨタ自動車 金沢東店1
福井福井トヨタ自動車 本社11
山梨山梨トヨペット モビリティカフェフラスカ1
長野長野トヨタ自動車 GRGarage松本1
長野長野トヨタ SUV VILLAGE 川中島1
岐阜岐阜トヨタ自動車 金園店11
岐阜トヨタカローラネッツ岐阜 岐阜店1
岐阜トヨタカローラネッツ岐阜 カローラ高山店1
岐阜岐阜トヨペット 大垣店1
岐阜岐阜トヨペット 美濃加茂店1
静岡トヨタユナイテッド静岡 浜松東若林店11
静岡トヨタユナイテッド静岡 草薙店11
静岡トヨタユナイテッド静岡 浜松和田店11
静岡静岡トヨタ自動車 長沼店1
静岡静岡トヨタ自動車 宮竹店1
静岡静岡トヨタ自動車 富士店1
静岡ネッツトヨタ静岡 U-TOWN三島1
静岡トヨタカローラ静岡 沼津店1
静岡ネッツトヨタ静浜 サンストリート浜北店1
愛知トヨタカローラ名古屋 東浦店1
愛知トヨタカローラ愛知 稲沢店11
愛知トヨタモビリティ中京 西尾店11
愛知ネッツトヨタ中部 プラザ豊田1
愛知トヨタカローラ名古屋 荒畑店1
愛知トヨタカローラ名古屋 西大須店1
愛知ネッツトヨタ中部 プラザ一社1
三重三重トヨペット 桑名大山田店1
京都トヨタカローラ京都 山科店1
京都ネッツトヨタヤサカ 大久保店1
大阪トヨタモビリティ新大阪 名神茨木店1
大阪ネッツトヨタニューリー北大阪 豊中少路店1
大阪大阪トヨペット 泉北八田店11
大阪大阪トヨペット 寝屋川中央店11
大阪大阪トヨペット 中央店11
大阪大阪トヨペット 八尾店11
大阪大阪トヨタ自動車 生野店1
大阪トヨタモビリティ新大阪 新大阪本店1
兵庫トヨタカローラ神戸 神戸北センター店1
兵庫ネッツトヨタウエスト兵庫 加古川店1
兵庫神戸トヨペット 姫路店1
兵庫神戸トヨペット 川西店1
兵庫兵庫トヨタ自動車 三木店1
兵庫神戸トヨペット 宝塚店1
奈良奈良トヨタ モビリティガーデン奈良本店1
和歌山和歌山トヨペット 延時店1
和歌山和歌山トヨタ自動車 美園店11
鳥取トヨタカローラ鳥取 鳥取店1
鳥取鳥取トヨタ自動車 米子東店1
鳥取鳥取トヨペット 米子店1
島根ネッツトヨタ島根 松江店1
島根島根トヨタ自動車 出雲店1
岡山ネッツトヨタ山陽 岡南店1
岡山岡山トヨペット Hi Touch東岡山1
岡山岡山トヨタ自動車 本社1
岡山トヨタカローラ岡山 倉敷店1
広島広島トヨタ自動車 広島北店1
広島トヨタカローラ広島 広島支店1
広島広島トヨタ自動車 本店1
広島ネッツトヨタ広島 呉店1
山口山口トヨペット 山口本店1
山口ネッツトヨタ山口 新南陽店1
徳島徳島トヨタ自動車 徳島店11
徳島ネッツトヨタ徳島 国府店1
香川トヨタカローラ香川 善通寺インター店1
香川ネッツトヨタ高松 もみの木店1
福岡レクサス大野城1
福岡福岡トヨタ自動車 博多店1
福岡福岡トヨタ自動車 長尾店1
福岡ネッツトヨタ北九州 八幡本店11
佐賀佐賀トヨタ自動車 新栄店1
長崎トヨタカローラ長崎 佐世保大塔店1
長崎長崎トヨタ 長崎本店11
熊本熊本トヨタ自動車 くまもと中央店1
熊本ユナイテッドトヨタ熊本 カローラ熊本本店1
熊本熊本トヨペット 本店1
熊本ネッツトヨタ熊本 アンビー合志店1
大分ネッツトヨタ大分 ネスタ本店1
大分大分トヨペット 別府六勝園店1
宮崎宮崎トヨペット 大塚店1
鹿児島鹿児島トヨタ自動車 鹿児島店1
鹿児島鹿児島トヨペット 中山店1
鹿児島トヨタカローラ鹿児島 中山店1
鹿児島ネッツトヨタ鹿児島 城南本店1
沖縄県沖縄トヨタ自動車 トヨタウン美浜店11
出力別合計台数1043234

※最大出力100kW以上でフィルタリング。
※100kW器設置店はすべて50kW器を併設。150kW器に50kW器併設も2店舗あり。
※確認できたところではすべてが150kW器は新電元製、100kW器はJFEテクノス製の充電器でした。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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