【テスト車両が充電中?】日本上陸予定の電気自動車キャデラック『リリック』に遭遇!

アメリカの自動車文化を支え富の象徴と言われた「キャデラック」。米国を代表するプレミアムブランド初のBEV『LYRIQ(リリック)』は2022年春に北米で発売。2025年には日本発売が予定されています。12月某日、筆者は偶然日本仕様と思われるリリックの充電風景に遭遇しました。

【テスト車両が充電中?】来春日本上陸予定の電気自動車キャデラック『リリック』に海老名SAで遭遇!

米国で販売絶好調のリリック

『LYRIQ(リリック)』は米国において商業的成功を収めているようで、米国GMは2024年11月19日に「2024年3四半期で同クラスで最も売れた車」と発表、2024年1~9月に米国で2万台以上を販売したことを伝えました。

その発表の中では、米国市場においてBEVの購入者は、航続距離・デザイン・価格の3つの要素を重視するとし、リリックはその3要素をすべて満たしていることが好調なセールスの理由になったと伝えています。

キャデラック リリック(豪州向け公式サイトから引用)

右ハンドルのBEVをグローバルに展開

2023年11月15日にGMは、リリックの右ハンドル仕様をオーストラリアとニュージーランドで発表しました。この発表の中では、GMが柔軟性の高いモジュール式「アルティウム」バッテリープラットフォームに投資したことで、右ハンドルのBEVをより効率的に開発できるようになり「リリックは最初から世界中の右ハンドル市場向けに設計され、高級感とスタイルを第一に考えた、ゼロから設計された車」であるとしています。

GMジャパンは、かねてよりリリックの右ハンドル仕様を日本市場に導入することを明示しています。BEVではありませんが、2019年に日本市場に導入されたシボレーのスポーツカー「C8 コルベット」に右ハンドル仕様を設定し、好調なセールスを記録していました。このころからGMは右ハンドル市場に力を入れ、右ハンドルBEVにも力を入れています。

リリックの日本仕様がどうなるのか、現段階で詳細は明らかにされていません。しかし、2024年12月20日にGMジャパンが発出したプレスリリースによると、2025年春発表に向けて事前情報の希望登録者の募集を開始。リリックについての情報が2週間ごとに5回のメールで届くとのことです。

「キャデラック リリック ハンドレイザー」キャンペーン
登録サイトはこちら

日本仕様で急速充電性能や価格がどうなるのかは気になるところです。GMジャパンにこの点を問い合わせしようかと思いましたが、段階的に詳細情報を発表してファンや購入検討者の期待を高めていく時期に、筆者が事前情報を聞き出してそれより先に伝えるのは僭越至極かと思い(そもそも事前情報を教えてくれないでしょう)控えることにしました。

豪州仕様のインテリア。

右ハンドルの豪州仕様はどうなっている?

右ハンドルのオーストラリア・ニュージーランド仕様は、日本仕様がどうなるかを推測する大きなヒントになるでしょう。そのスペックを紹介します。

ボディサイズは、全長4996mm × 全幅1977mm(サイドミラーを含めると2207mm) × 全高1623mm、ホイールベース3094mmと米国・豪州ではミドルサイズクラス、日本ではラージサイズに相当する堂々たる大きさとなっています。なお、ボディサイズは北米仕様と同じです。

エレガントで未来的なデザインが特徴のSUVで、大胆なフロントグリル、細長いLEDライト、流線型のボディが高級感を演出。環境性能と美しさを両立させたスタイルが魅力的です。

パワートレインは、前後2モーターの四輪駆動で、最高出力388kW(528PS)・最大トルク610N・mとなっています。このスペックは北米仕様と同等(北米仕様2024年モデルは500HP、2025年モデル515HP)ですが、北米市場では後輪駆動のシングルモーターモデルがラインナップされていますが、豪州市場向けでは省略されています。

バッテリー容量は102kWh、最大DC急速充電(CCS規格)速度は190kWで、これも北米・豪州仕様ともに同じスペックとなっています。

インテリアでは、メーターからセンターディスプレイまでを連続させた33インチの超大型液晶ディスプレイを採用し、Apple CarPlay、Android AUTOに対応、緊急ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなど、先進予防安全技術・運転支援技術が採用されています。これらも北米仕様と同じです。

顕著な相違点といえば、豪州仕様のホイールは21インチに対して、北米仕様では22および20インチが採用されており、デザインも異なっていることです。これは仕向け地の道路事情に合わせたローカライズのひとつと推察でき、日本仕様においても、日本の道路にあったタイヤ、ホイールが選択されるのではないかと思われます。

そのほかは北米・豪州仕様、装備に大きな違いは見受けられません。WEBカタログを見ただけではわからないローカライズされた細かな仕様はあるかもしれませんが、日本仕様は豪州仕様と基本は同じスペックや装備で上陸してくると筆者は推測しています。ただし、北米や豪州の急速充電はCCS規格(北米はCCS1、豪州はCCS2)、日本はCHAdeMO規格となり、系統電力事情も異なることから、充電性能は未知数。GMジャパンがキャデラックのBEVにふさわしい性能を与えてくれることを期待します。

日本での車両価格は?

 
グレード・価格は、「ラグジュアリー」が11万8735.4オーストラリアドル(1オーストラリアドル=98円の為替レートで約1164万円)、「スポーツ」が12万735.4オーストラリアドル(約同1183万円)からとなっています。米国市場でAWDモデルの価格はラグジュアリーが6万3490ドル(1ドル=158円の為替レートで約1003万円)、スポーツが6万3990ドル(同1002万円)となっています。

オーストラリアでの車購入は、地域により地方税が異なる税込価格表記となるため、一概にアメリカ仕様よりオーストラリア仕様が高くなっているとは言えず、グレード構成や価格は同等と言えます。これらのことから、日本での車両価格は、1000~1200万円の間で設定されるのではないかと推察しています。

海老名SAでの充電スポットでリリックを発見!

2024年12月上旬、筆者が海老名SA(上り)に立ち寄ったとき、90kW級の急速充電器で充電中のリリックを見かけました。

海老名SAで充電中のリリック。

そのリリックは、仮ナンバーを付けた右ハンドルで、運転席のドライバーは何かを注視している様子。充電中のデータを取っているテスト車両のように見えました。

筆者は運転中だったため、助手席の人にスマホでさっと撮影をしてその場を去りましたが、その後、首都高速を走行中にも遭遇しました。テスト車両と思われるリリックの撮影画像をチェックしてみると、ホイールは21インチで豪州仕様と同じデザインのもので、タイヤはコンチネンタル・プレミアムコンタクト7と思われるものを履いていました。

渋滞中の首都高速を走行中に筆者のクルマを追い抜いたリリックは、非常にワイドでありながら、スタイリッシュな印象で、特徴的なフロントマスクとリアエンドは斬新で目立っていました。

首都高速で遭遇したリリック(助手席乗員が撮影)。

ただ、全幅2mの車体では、駐車場の選択肢が狭くなり、細い道には入っていけないなど、乗る人が選ばれてしまうという点は否めないなとも感じました。しかし、そこはキャデラック。恐らくリリックを買う人のほとんどは、複数台クルマを所有できる富裕層で、駐車場の選択肢や細い道が通れないといったネガは気にならない人となることでしょう。

また、キャデラックを選ぶオーナーは、個性を大事にし、ファッション感度も高い人が多いと筆者は感じています。そういった人々はリリックの日本上陸を歓迎することでしょう。さらに、キャデラックに興味なかった層も、高級SUV、しかもBEVということで着目する人が出てくるものと思われます。

実は、筆者はアメ車も大好きで、20代の頃シボレー・カマロ(3代目)を所有していました。キャデラック リリックの事前情報メールを登録して日本上陸を楽しみにしている1人です。

取材・文/宇野 智

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					宇野 智

宇野 智

エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元「MOBY」編集長で現在は編集プロダクション「撮る書く編む株式会社」を主宰、ライター/フォトグラファー/エディターとしていくつかの自動車メディアへの寄稿も行う。

執筆した記事