目次
バッテリーのコストと電気自動車の価格の関係
電気自動車(BEV)に限らず、レンジエクステンダー(BEVx)やプラグインハイブリッド(PHEV)などは、ハイブリッド自動車(HV)やガソリン車(ICE)に比べて価格は高くなる傾向にあります。その理由はバッテリーです。これらの車には大容量のバッテリーが搭載されており、車メーカーはバッテリーを専門製造会社から購入して装着しているのですが、その購入価格が高いため、結果として車両の価格に跳ね返ってしまうのです。
パナソニック、オートモーティブエナジーサプライ(AESC=日産とNECの合弁会社)や東芝、LG化学などの製造会社がしのぎを削ってコストダウンに努めていますが、まだまだバッテリーのコストは高いと言われています。
バッテリーのコストはkWh(牛肉が1kgあたりいくら、のようなイメージで考えてください)単位で計るのですが、リーフが発売された2010年当時は1kWhあたり1000ドル(12万円)であったのに対し、2014年には540ドル(65000円)に低下しているとBloomberg New Energy Financeは指摘しています。テスラはモデルSでパナソニック製のバッテリーを使用して200ドル(2万4千円)を実現していると言われ、2020年には140ドル(17000円)を目指すと言われています。また2014年10月に、バッテリーの開発会社であるSakti3のCEO Ann Marie Sastry氏は、2年後に携帯電話など向けに100ドルが実現可能とインタビューで発言しており、電気自動車用もその後に計画しているとの発言がありました。
上の仮説を使うと、24kWhのバッテリーを搭載するリーフのバッテリーのコストは2010年には24(kWh)x12(万円)=288万円であり、車両価格のかなりの部分を占めていました(注、2010年当時はかなりの円高)。しかし、現在では24(kWh)x6.5(万円)=約156万円となり、40-55%程度に収まってきています。モデルSの85kWhモデルではバッテリーのコストが車両価格の20%を切っており、収益性の違いは言わずもがなです。パナソニックとテスラ連合は、バッテリー容量ベースでは世界シェア43%を獲得しており、米国ネバダ州に建設中のギガファクトリーが2017年に稼働すると、さらにコストが下がることが期待できます。
補助金と補助金適用後の価格
現在、4人乗り以上の電気自動車で最も安いのは三菱アイミーブで、補助金適用後100万円台の後半から200万円台の前半、日産リーフは補助金適用後200万円台前半から300万円台前半、BMW i3が400万円台前半。PHEVでは三菱アウトランダーPHEVが300万円台、トヨタプリウスPHVが200万円台前半から300万円台後半となります。2014年9月に発売になったテスラモデルSは800万円台前半から1200万円台後半までとプレミアムな価格になっています。(オプション等は含まず、車両本体のみの価格)
補助金は「次世代自動車振興センター」が交付するもので、毎年金額が異なりますが、だんだんと少なくなってきています。これ以外にも地方自治体の補助金を受けられる可能性がありますので、各都道府県に確認するとよいと思います。例えば東京都では、事業用の自動車で、かつ外部給電が可能な車種(リーフやe-NV200、アイミーブは対象です)の場合は補助金が受けられます。補助金を受けてBEV/PHEV等を購入する場合、4年間の保有義務が発生しますので、4年以内に売却する場合には補助金の返却が必要となります。
補助金以外にもBEVやPHEVには金銭的メリットがあります。例えば東京都では、BEV/PHEVはHVと異なり、自動車税・自動車取得税は5年間全額免除となります。その他の地域でも都道府県ごとに免除または軽減措置がありますので、確認したほうが良いでしょう。
ガソリンハイブリッド車と電気自動車/PHEV車のガソリン代比較
自動車のランニングコストであるガソリン代に注目した記事はまた後日アップしますが、ざっくりと比較しておきましょう。
ハイブリッド(HV)中型車(プリウスを想定)は、1リットルのガソリンで20km程度走行できます。電気自動車/PHEV中型車(リーフを想定)をガソリンに換算すると、1kWhの電力(東京では昼間おおよそ30円、夜間12.5円)で6km程度走行できますので、ガソリンを1リットル当たり125円とした場合、
- 昼間電力で充電した電気自動車/PHEVの燃費:
25km/l相当 →HV車と同等以上の燃費(冬・暖房ありでも) - 夜間電力で充電した電気自動車/PHEVの燃費:
60km/l相当 →HV車より3倍良い燃費
となります。
では、中型車同士の比較に加えて、大型のHV車でレクサスLSハイブリッド(9km/l、ハイオク135円/l)と、BEVのテスラモデルS(4km/kWh)を、年間のガソリン代で比較してみましょう。それぞれ年間8,000kmを走行するとします。
中型乗用車 | 年間ガソリン代/電気代 | 大型乗用車 | ||
---|---|---|---|---|
プリウス | 50,000円 | レクサスLSハイブリッド | 120,000円 | |
リーフ(昼間電力) | 40,000円 | テスラモデルS(昼間電力) | 60,000円 | |
リーフ(夜間電力) | 16,667円 | テスラモデルS(夜間電力) | 25,000円 |
どうでしょう?大して違わない、という考え方もあるでしょうし、年間走行距離が多い方は魅力を感じるかも知れません。
豆知識
「ニュースなどでご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、電気自動車を自宅で充電せず、無料の急速充電器で充電して、LEAF to HomeやSMART V2Hなどのシステムを導入すると、電気自動車の電力を逆に家庭で利用することもできます。本来は平日昼間などに車を使わない間、電力を電気自動車から家庭に供給し、夜間の電力料金の安い時間帯に電気自動車に充電するという使い方で、電力のピークシフトに役立てるためのシステムなのですが、それを逆手にとって無料の電力を家庭に持ち帰るというわけです。確かにリーフで20kWhの電力を月に20回持ち帰れば400kWhとなり、ほぼ家庭の一か月の消費電力に相当します。
電気代タダ!ということで裏技だと思われがちですが、本来無料の急速充電器は設置された事業者の方が目的をもって設置されており、その目的に該当しないことから、このような利用方法はだんだんできない方向になっていくと思われます。例えば夜間は利用できなくなったり(走行じゃなくて電気が目当ての車両は夜充電することが多いそうです)、有料化されたりなど、結果として、電気自動車/PHEVユーザーの利便性を損ねる結果となる可能性があると思います。また充電のために毎日30分間バケツリレーのように電気を運ぶのも、前時代的に見えますね。ちなみに、一回のバケツリレーで運べる電力は600円分ほどです。」
今年は 原油価格の低下流れから レギュラーガソリン価格が安くなっています
アメリカのシェールガス等を潰すための アラブの作戦とかチャイナの需要減とか
理由は経済評論家の方々が 言われていますが 枯渇して行くのは必須ですし
それにより 価格が反転上昇して行く事も想定され それが いつかだけの問題です。
京都大学開発の 炭酸ガスと水(石油を混ぜる)で ガソリンが出来るが実用されないと難しいでしょうね。http://www.rui.jp/ruinet.htmli=200&c=400&m=308416&g=132108
電気自動車(PHEVを含め充電で走れる車両)は CO2を排出しないか少ないですから
元の発電される電気が 石炭発電やLNG発電等から 風力、水力、地熱、太陽光、太陽熱、波浪等の CO2の無い自然由来の発電ならゼロエミッションが出来ると思いますし
地球温暖化はCO2より 他の排出ガス(代替えフロン等)による所も多いのでですが
現在 即 可能な温暖化防止の一番の対応策になると思います。
その為 補助金などの税金補助も出ている訳ですし 今後のスマートシティー策で
V2Hなどへも補助金を出していますから 今後の 対応としては先は明るいです
ちょうど 太陽光発電を屋根に設置したりするのと同様で 今後の地球の事を考えて
それを実行している方 それが同じようにBEVに乗られている方ではないでしょうか?
そしてそれらは 政府方針にも合っているので今は 補助金なども有ると云う事ですし
普及が進んで来ると無くなって来ますので 今でも損は無いのではないでしょうか?
普及は 数年先に起きるであろう 駆動用蓄電池のコンパクト化と蓄電容量の拡大
そして それらコンパクト大容量蓄電池の価格が BEVの普及を決めると思います。
スージーパパ様、いつもコメントありがとうございます!
BEVの普及の壁について、自分もたまに考えることがあるのですが、確かにバッテリーが小さく・大容量になれば一番大きな問題が解決しそうですね。
ただそこは技術的にとてもハードルが高いみたいで、時間がかかるかもしれません。私は、案外以下の施策が割と簡単で、効果があるのではないかと思います。
– 新設のビル・商業施設(一定規模以上)には、駐車場の全駐車スペース数の10%に普通充電器を設置することを義務付ける
– マンションの場合、管理組合は、自費で急速・普通充電器を設置するという提案が出された場合、拒否できない
特に下のは、すでに米国でも一部の州で法制化されているんですよね。日本は政府も補助金を出すだけじゃなく、ちゃんと後押しもしていかないといけないでしょう。