EV充電サービス「エコQ電」を運営するエネゲートが、今年のGWに実施した「太陽光余剰電力の有効活用に向けたEV充電実証」実験の結果報告を聞く機会がありました。天気次第でEVの急速充電が最大半額となる機会を多くのEVユーザーが活用。太陽光発電の余剰電力をEV充電に活用する「デマンドレスポンス」の可能性を示す結果となりました。
「EV地方創生フォーラム」で実証実験の結果を報告
2025年のゴールデンウィーク、EV充電サービス「エコQ電」を運営するエネゲートが「太陽光余剰電力の有効活用に向けたEV充電実証」を目的とした実証実験を実施しました。GWは1年のなかでも太陽光の発電量が比較的多い時期であり、休日は企業の消費電力が減少するため余剰電力が発生しやすくなります。今回の取り組みはその余剰電力をEV充電で有効活用できるよう広くEVユーザーに呼びかけて効果を検証することが目的で、天気予報をもとに全国で約3000台のエコQ電が利用できる急速充電器の充電料金を最大50%割引とする試みでした。
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エコQ電が「天気次第でEV充電が最大半額」になる実証をGWに実施/太陽光の余剰電力を有効活用(2025年4月9日)
結果報告を行ったのは、株式会社エネゲート理事の貝原一弘氏。環境エネルギー政策研究所(ISEP)が実施している「EV地方創生フォーラム」月例ウェビナーでのプレゼンテーションでした。

「EV地方創生フォーラム」参加者限定で動画がアーカイブされています。
期間中の充電回数などは大きく増加
今回の実証実験の概要をあらためて紹介しておきます。
実施期間
2025年4月26日(土)~ 2025年5月6日(火)
実証参加者
エコQ電カード・アプリを利用しているEVユーザー
対象充電器
約3000台(全国のエコQ電カード・アプリで充電可能な急速充電器)
割引時間帯
8時~17時の時間帯で全国を10エリアに分けて設定
割引率
エリアごとに0%~50%の範囲で割引率を設定
割引率などの事前通知
天気予報を基に、エコQ電アプリから全国(10エリア)の割引率等を事前に通知

貝原氏のプレゼン資料より引用。(以下同)
エリアは電力会社の管轄エリアごとに分けられており、各エリアの対象急速充電器台数は上の図のように分布しています。
実証実験の対象となったGW中の充電回数です。EV普及の進展にともなって年々増加傾向ではありましたが、割引対象充電の設定によって2025年の充電回数が大きく増加していることがわかります。
全国の7エリア(北海道、東北、中部、関西、中国、四国、九州)が割引率50%、つまり好天に恵まれた5月5日の時間帯別利用回数です。帰宅途中と思われる17時以降にも一定の充電回数がありますが、割引時間帯の8時〜17時に多くのEVユーザーが充電を行っています。太陽光発電の余剰電力が発生する時間帯にEV充電を行うことで、一定のデマンドレスポンス(DR)が成立するポテンシャルを確認できたといえるでしょう。
ただし、5月5日、8〜17時の割引時間帯のEV充電電力量は7,423kWhであるのに対して、太陽光発電の出力抑制量は1,366万kWhとまったく桁数が異なっています。
とはいえ「今回の実証実験参加者は約3,500人だった。こうした取り組みを継続し、EV・PHEVユーザーが約60万人に拡がれば、上げDR(電力需要を意図的に増やして余剰電力を有効活用すること)が200倍となる。また、現在約3%である日本国内のEV・PHEV普及率が60%まで拡大すると、さらに20倍の上げDRが期待できる」ことを貝原氏は指摘しました。
「EV地方創生フォーラム」にEVユーザーの参加者募集
ISEPがClimate GroupやGR Japanの協力で開催している「EV地方創生フォーラム」では、広くEVユーザーの参加を募集しています。EV地方創生フォーラムは、自治体、企業、専門家、ユーザーなど、幅広いステークホルダーがEV普及促進に向けた具体的な取り組みを共有し、課題の解決に向けて議論を深めるための対話の場。月例で実施している「EV共創ウェビナー」、EVユーザーグループと連携した「EVミートアップ」など、参加者間の継続的で密な交流を生み出すことで、地域での具体的な課題解決の共創を目指す取り組みです。
参加してみようと思う方は、案内ページをご一読の上、規定に沿ってメールで参加申し込みをしてください。
【案内ページ】
EV地方創生フォーラム発足のお知らせ
取材・文/寄本 好則
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